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補助記憶装置 ウィキペディアから
USBフラッシュドライブ(英: USB flash drive)は、USBを用いてコンピュータに接続してデータの読み書きを行う半導体メモリを用いた補助記憶装置のうち、別途メモリーカードやリーダライタを必要とせずに単体で動作するものである。日本国内ではUSBメモリ、USBフラッシュメモリなどとも呼ばれ[1][2]、英語ではthumb driveなどの呼称もある。
典型的な製品の大きさは、長さ数センチメートル、幅と厚さはUSB A端子より若干大きい程度である。
USBメモリの普及当初はUSB A端子にてコンピュータと接続するタイプが多かったが、スマートフォンやタブレットコンピュータの普及に伴いmicro B端子やUSB Type-C端子、Lightning端子などをもつUSBメモリも販売されるようになってきた。
USB規格には、USB Mass Storage Class(USBマスストレージクラス)という補助記憶装置を接続するための仕様があり、このクラスに対応した機器およびオペレーティングシステム (OS) であれば、機器専用のデバイスドライバを改めてインストールする必要もなく、装置をUSBコネクタに接続することでOS内蔵のクラスドライバ(共通ドライバ)でただちに補助記憶装置として認識することができる。この仕組みを用いたのが、USBメモリである。
データの記録にはフラッシュメモリが使われており、記憶容量は2023年(令和5年)現在、数MBから1TB以上までさまざまである。フロッピーディスクやMO、CD、DVDのように専用のドライブ装置を必要としないうえ、コンパクトで大容量なため利便性が高い、モーター回転部などの駆動部がないため衝撃に強い、小型で可搬性に優れる、という特徴を持つ。
但し、小型のUSBメモリのなかには、狭義のUSBフラッシュドライブの構造ではなくmicroSDカードと小型のmicroSDカードリーダーを組み合わせることで記憶装置を構成している製品も存在する[3]。
2004年(平成16年)前後[注 1]から急激にシェアを伸ばし、SDメモリーカードとともに持ち歩ける大容量フラッシュメモリの主力として用いられている。補助記憶装置としての機能面で製品の差別化を図ることが難しいため、データの読み書き速度を向上させた製品や、セキュリティ確保のために指紋認証機能を備えた製品、デザインに趣向を凝らした製品が登場している。近年では食品やキャラクターなどをかたどったデザインのUSBメモリが数多く登場し、話題になることも少なくない。またUSB端子を保護するためのキャップが付いている製品や、USB端子をスライドさせて引き込めるキャップレスタイプもある。
パソコンのデザインや、その設置場所・設置方法によっては手を伸ばしやすい位置にUSBポートを装備していないこともあるため、使いやすさを確保するために延長ケーブルが付属する場合もある。
持ち歩ける利便性があるが故、様々な個人情報を記録したUSBフラッシュドライブを紛失する重大インシデントも度々発生し、社会問題にもなった。その後、セキュリティ機能を重視したUSBフラッシュドライブも発売された。
浮遊ゲート半導体メモリの一種である、フラッシュメモリについての基本は1980年代初期に舛岡富士雄によって発明された。フラッシュメモリは記憶素子(英語: Memory cell (computing))として浮遊ゲートMOSFETを使う。[5][6]
複数の個人らがUSBフラッシュドライブの発明者となる権利を主張した。1999年4月5日に、イスラエルの会社エム・システムズ (英語: M-Systems)(1989 - )のアミール・バン (英語: Amir Ban)、ドブ・モラン (英語: Dov Moran)、オロン・オグダン(英語: Oron Ogdan)はArchitecture for a Universal Serial Bus-Based PC Flash Diskと題する応用技術を特許出願した。[7][8][9]その特許は引き続き2000年11月14日に登録されそしてこれらの個人らはしばしばUSBフラッシュドライブの発明者として認知されてきた。同じく1999年、IBMの技術者シモン・シュムエリ(英語: Shimon Shumueli)はUSBフラッシュドライブを彼が発明したと主張する発明の提示を行った。[8]トレック2000インターナショナル (英語: Trek 2000 International)と称するシンガポールの会社はUSBフラッシュドライブを売ったとして知られる最初の会社である、そしてそれがその装置のオリジナルの発明であることも管理した。[10]日本では2000年6月にこの会社のThumb Driveと称するUSBメモリが日本で初めてのUSBメモリとして発売される。容量は16MB、32MB、64MB。当時普及していたOSはWindows 98がメインであるが、マスストレージドライバを標準実装しておらず、ドライバを別途インストールする必要があったため、出先でのデータ交換(フロッピーディスクの代替)には向かなかった[11]。最後にマレーシアの技術者プア・ケンセン (英語: Pua Khein-Seng)もその装置の考えられる数名の発明者の内の一人として認知されてきた。[12]
上記の特許権についての主張のこれらの争いがあるとすれば、数年にわたるUSBフラッシュドライブを巻き込んだ論争をする発明が起きた。トレック2000インターナショナルとネタック・テクノロジー (英語: Netac Technology)はともにUSBフラッシュドライブに関する彼らの特許の侵害をしたその他の者を告発した。[13][14][15]しかしながら、これらの民事訴訟にも関わらず、誰が始めにUSBフラッシュドライブを発明したかという問いは最終的には確立しておらずまた複数の主張が存在する。
多くのフラッシュドライブシップは予めFAT32、またはexFATファイルシステムにフォーマットされる。FAT32ファイルシステムの偏在性はそのドライブがUSB支援によっていかなるホスト装置からも仮想的にアクセスできることを許す。それに、標準FAT管理ユーティリティ(例えば、スキャンディスク)も壊れたデータを補修または再使用するのに用いることができる。しかしながら、ホストシステムに対してUSBで繋がったハードディスクドライブとしてフラッシュドライブは現れるので、そのドライブはホストオペレーティングシステムによって支持されるどのようなファイルシステムにも再フォーマットできる。
フラッシュドライブは無断片化できる。無断片化は(断片から断片へと移動する機械的読み取りヘッドが無い為)少しの利益しかもたらさず、なおかつ無断片化は不必要な書き込みをさせることでドライブの寿命を短くするという主張が広がっている。[16]しかしながら、幾つかの文献は[17]或るフラッシュドライブの無断片化は性能を向上させ、そしてフラッシュドライブでのその追加のソフトウェアは著しくならないだろうことを主張する。
幾つかのファイルシステムは、単純なフラッシュメモリ装置の寿命を延ばす様に、任意の部分における利用空間(例えば、或るディレクトリ)を集中させることなく、与えられた記憶装置における利用空間を分散するよう設計されている。幾つかのUSBフラッシュ装置は装置の寿命を延ばす為そのソフトウェア制御装置のなかに組み込まれたこの'ウェアレベリング'仕様となっている、しかし他方ではそうではない、従って、それはこれらのファイルシステムの一つを導入するのに必ずしも役立つ訳ではない。[18]
セクターは、512長であって、ハードディスクドライブと互換性があり、最初のセクターはマスターブートレコードとパーティションテーブルを含められる。従って、USBフラッシュ記憶部品は丁度ハードディスクのように区画割りできる。
フラッシュドライブの記憶装置は、概ね3,000-5,000のプログラム消去回数に対して適するところの、多値記憶素子(MLC)を基本とする記憶装置によって大抵組み立てられている。[19]現今は、単値記憶素子(SLC)を基本とする記憶装置をもつ最高級フラッシュドライブのそれはおおよそ30,000回の書き込みに適する一方で、物理セクタ当たり500の書き込み回数に及ぶものである三値記憶素子(TLC)もしばしば使われる。[20]そのようなフラッシュメモリからの読み出し回数の限界は事実上無いので、個々のセルの確実な寿命を確保する様に、或る十分痛んだUSBドライブは書き込み保護されるかもしれない。
SLC/MLC/TLCの記憶装置の形式、フラッシュメモリチップの規模、そして実際の使用様式に依存するところの、フラッシュメモリの耐久性の評価は難しい問題である。結論として、或るUSBフラッシュドライブは数日から数百年にかけて長持ちし得る。[21]
記憶装置自体の耐久性に関わらず、USBコネクタ(端子)のハードウェアはたったおおよそ1,500回の着脱回数に耐えられるようにしか仕上げられていない。[22]
紛らわしいUSBフラッシュドライブはそれらの有する実際よりも大容量を有する触れ込みをもってしばしば売られる。これらは大抵小容量のUSBドライブである。それのフラッシュメモリー制御組み込みソフトウェアは改造されているのでそれらは大きな容量のドライブを模擬する(例えば、或る2GBドライブは或る64GBドライブとして売買されるようになる)。コンピューターに差し込んだ時に、それらは売られた通りにそれら自体が大きな容量の物になるよう応答する、しかしそれらにデータが記録された時、もしくは書き込みに失敗した時、そのドライブは停止する、もしくは既存のデータに上書きされる。偽造USBドライブを検査並びに検知するソフトウェアツールが在る、[23][24]そして幾つかの場合においてその偽の容量の情報を取り除きそれらの装置を補修できてそれの実際の記憶容量で使える。[25]
このあたりの事情は、同じくフラッシュメモリ製品であるSDカードについても同様である[26]。
USB Mass Storage Classが実装された OS は多く普及し、インストール台数ベースでは対応したOSが多くなった。情報家電やゲーム機などでもサポートしている。また、多くのOSや機器ではFATファイルシステムをサポートしており、異なるOSや機種の間でデータの交換が可能である。USB 2.0環境の普及、近年のフラッシュメモリの大容量化、低価格化に伴い、データを持ち運ぶ補助記憶装置として、従来の小容量なフロッピーディスクを代替する形で広く普及した。
2004年前後から急激に普及をみせ、SDメモリーカードとともに持ち歩ける大容量フラッシュメモリの主力として用いられている。データを保存したり、複数のシステムの間でデータを持ち運ぶ用途に加えて下記のような使われ方がある。
特にUSBの出現以来、外付けハードディスクは広く使えるようになり安価になった。外付けハードディスクは現状フラッシュドライブよりもギガバイト当たりの費用が掛からず大容量で使える。幾つかのハードドライブは替わりのUSB2.0より速いインターフェースを支持する(例えば、サンダーボルト、ファイアワイヤ、及びeSATA)。レイテンシはハードドライブの性能に深刻な打撃を与えるけれども、(例えば、或る断片化していないファイルからの)連続したセクタの読み書きについては、多くのハードドライブは現状のNANDフラッシュメモリよりも高い持続的なデータレートを提供し得る。
ハードドライブは(例えば落下の)衝撃や振動による損傷に対して傷つき易く、高い場所での利用は制約があり、筐体でそれらは遮断されているが、強い磁場に晒されると脆弱であるのは、半導体メモリとは異なる。全体の嵩(かさ)から見れば、ハードドライブは通常フラッシュドライブよりも大きく重い;しかしながら、ハードディスクはしばしば記憶単位当たりの重量が小さい。アクセス速度を低下させ得る、ファイルの断片化によりハードディスクも悪くなるのはフラッシュドライブと同じである[要出典]
とても持ち運びやすい記録媒体としての、USBフラッシュドライブは容易に失われたり盗まれたりされる。全てのUSBフラッシュドライブはそのUSBドライブからインストールをせずに直接に実行できる、サードパーティーのディスク暗号化ソフトウェア(例えばFreeOTFE (英語: FreeOTFE))を使ってそれらの記録内容を暗号化できる。しかしながら、BitLockerのような或るものは、それが実行されるコンピュータにおいてその利用者に管理者権限を要求する。[要検証]
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
USBメモリは、その性質上、情報を長期に渡って保存したり頻繁に書き換えての使用には適さない記録媒体である。
USBフラッシュドライブに似通って現れるものでの、USB Killerは、データピンへ高い電圧パルスを給電するときに、USBポートの電源供給ピンを使って高い電圧までコンデンサーを充電するところの(電気)回路である。この完全に'切り離されている'(英: standalone)装置は即座に損傷したままになりうるか、若しくはそれに接続されるいかなる'受け入れ側'(英: host)ハードウェアをも破壊しうる。[38]
北朝鮮の税関検査を情報を捉えるレーダー網にたとえ、検査時にデータ量を0バイトで表示し、設定した一定の時間の経過後自動的にコンテンツが活性化するUSBメモリの呼称。韓国メディアが取り上げた。北朝鮮を脱出したITの専門家らが2010年2月に開発し、以来韓国ドラマ映像や自由民主主義に関する内容を入れて北朝鮮に送っていた[39]。
半導体の会社は単一のチップに多くのフラッシュドライブの機能を寄せ集めることによってフラッシュドライブ内部の部品の費用を減らす業績を成し、それによって部品個数と実装費用全体を引き下げた。
市場でのフラッシュドライブ容量は継続的に増大する。高い速度は現在のフラッシュドライブの標準になった。256GBを超える容量は2009年の初期に市場に現れた。[40]
レキサーのUSB FlashCardの導入は注目されている。それはフラッシュメモリーカードの多くの種類に取って代わるよう意図されたコンパクトなUSBフラッシュドライブになるものである。プレテック(英: Pretec)は類似のカードを導入した。それはどの様なUSBポートにも差し込めるが、しかしレキサーのモデルの丁度四分の一の厚さしかない。[41]2008年までに、サンディスクはSD Plusと呼ぶ或る製品を製造した。それはUSBコネクタが付いたSDメモリーカードである。[42]
サンディスクは、基本的に学生或いは生徒により使われる、フラッシュドライブ上の著作権保護された内容の保存と使用を管理できる新技術も導入している。この技術はFlashCPと呼ばれる。
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