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日本の男性アニメーター、キャラクターデザイナー、アニメ監督 (1965-) ウィキペディアから
黄瀬 和哉(きせ かずちか[注 1]、1965年3月6日 - )は、日本の男性アニメーター、キャラクターデザイナー、アニメ監督[1]。大阪府出身[1]。株式会社プロダクション・アイジー取締役[1]。
きせ かずちか 黄瀬 和哉 | |
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プロフィール | |
生年月日 | 1965年3月6日(59歳) |
出身地 | 日本・大阪府 |
職業 | |
所属 | Production I.G(取締役) |
活動期間 | 1983年 - |
ジャンル | アニメーション |
代表作 |
作画監督・レイアウト 作画監督 キャラクターデザイン 総監督・キャラクターデザイン 『攻殻機動隊 ARISE』シリーズ |
高校卒業後、大阪デザイナー専門学校に入学するも[2]、求めていたアニメについての勉強できないことが分かり、4日で自主退学[3]。ちょうどその頃、谷口守泰と村中博美の二人が主宰するアニメ制作会社アニメアールが地元大阪にあることを知り[注 2]、入社する[1][3]。同期には逢坂浩司、沖浦啓之、小森高博、柳沢まさひでがいる[3]。 黄瀬は入社面接を担当した村中博美に師事し、村中の率いていたアニメアール第二スタジオに所属する[1]。第二スタジオが分離してスタジオ・ムーと改名してからもそちらに籍を置いていた。
1989年、映画『機動警察パトレイバー the Movie』に作画監督として参加したのを契機に上京し、Production I.Gへ移籍する[1]。
2011年、『たんすわらし。』(平成22年度若手アニメーター育成プロジェクト「PROJECT A」参加作品)で初監督を経験[4]。
2013年、Production I.G社長の石川光久の指名により映画『攻殻機動隊 ARISE』で総監督を務める[注 3][4]。黄瀬が担当したのは主に絵コンテのチェックと作画監督や原画の手伝いで、基本的に各話のストーリーや現場作業は各監督に任せ、脚本打ち合わせでも特に意見はせずに聞いていることが多かったという。一方、キャスティングに関しては、担当声優を全て変えるという大きな舵取りをしている[4]。
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
Production I.G社長の石川光久が「I.Gの秘密兵器」と評し、沖浦啓之、西尾鉄也とともにI.G作画三大神と呼ばれる名アニメーター[1][5][6]。
アニメーターとして、押井守監督の『攻殻機動隊』シリーズや『機動警察パトレイバー』シリーズ、庵野秀明監督の『新世紀エヴァンゲリオン』のテレビシリーズや旧劇場版などを支えている[1]。押井作品では作画監督として重要な役割を果たし、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』においては、実際に海外へのロケハンに赴いて実銃を撃って作画に反映したり、女性ボディビルダーを参考にしながら主人公・草薙素子の筋肉を描写したりして、押井の徹底的なリアリティへのこだわりに応えている[7][8]。また押井が導入した「レイアウトシステム」と呼ばれる制作方法の担い手の一人でもあるが、自身はそれについて「アニメーターにとっては単純に面倒くさいだけ」と語っている[7][9]。押井のレイアウト作りの前提にあるのは、カメラのレンズの効果を画に反映することであるが、人が自分の目で見ているものを描きたいのであれば、そのようなレンズの効果は本来必要がないので、黄瀬は「見た目で描いて存在感を出せるのだったら、ちまちまパースをとる必要はありません。絵ならではの嘘をついてしまえばいい」とまで述べている[7][10]。
黄瀬の絵はリアルだと言われるが、同じくリアル系のアニメーターと言われる沖浦啓之とは目指している方向性が違い、実写的・写実的なリアルを追求しているわけではない[11]。単に精密に描いているという意味でのリアルではなく、バランスの取り方、しわの描き方、独特な肉感の表現など、より感覚的なリアルである[11]。アニメの表現では、膨大な情報量をどう削ぎ落としてシンプルに落とし込んでいくかにアニメーターとしての技術の差が出るが、黄瀬はその能力が非常に高く、フォルムの取り方や動かし方も、割り切れるところは割り切った描き方をしており、作画枚数も意外に使わない[11]。若い頃から周りの状況や人物などを軽くラフでスケッチするなど、普段の生活の中で膨大なデッサンをして人間の仕草やフォルムをずっと研究していた[11]。あまりにリアルすぎて普通の人だと意識できないかもしれないが、絵を描いている人間だったら驚くようなリアルさをきちんと絵に落とし込んでいる、と野村和也は評している[11]。
「キャラクターは画であるけれど生身の存在だと思っている」と語り、それを生々しいまでに表現しようとする[12]。映画『機動警察パトレイバー the Movie』では、自由にやっていいと言われた黄瀬が高田明美によるデザインを完全に無視してキャラクターを描いた結果、それまでのOVAとは大幅に違ってしまい、完成後に波紋を呼んだ[9]。二作目の『機動警察パトレイバー2 the Movie』では、高田の方が1作目の黄瀬の絵に寄せてリアルめのキャラクターを描いてきたところ、それをまた無視して、もっとひどくリアルに描いた[9]。
押井からは「作品全体のスケールをしっかりつかんだ上で作画ができる人」[2]「元々色んな絵柄をやっていけて、あまりにも巧すぎて『自分の名前の売り所を自分から無くしているんじゃないか』という位何でも書くんです。ただ、黄瀬本人はアニメーター達が無意識に忌避して書きたがらない『中年男性』『日本人の顔』が大好きで、逆に『可愛い女の子』が全然描けないことで業界内では有名」[13]「佇まいを描かせると天才的にうまい」「『立っている』『座っている』絵だけで肉体の存在感・情緒まで描き上げている」[14]と評されている。
リアルへのこだわりは一貫しているが、それはカメラのレンズがつくるリアルではないと自身は考えている[7]。黄瀬は2000年の『BLOOD THE LAST VAMPIRE』が自らの画作りの転換点であったと述べ、原作者の寺田克也の画を「コミック調のリアル」と表現し、そのマンガ的なニュアンスを取り入れている[7]。その後、キャラクターデザインを手がけた『xxxHOLiC』シリーズでは、頭身が高く手足の長い、デフォルメされたCLAMPの絵柄に挑戦し、逆に『メイドインアビス』ではつくしあきひとの大幅にデフォルメされた丸っこいキャラクターにもとづいたデザインをするなど、実在の人間の骨格に囚われないマンガ的なキャラクターへの思い入れも強く表現するようになる[7]。
学生の頃からアニメが好きは好きだったが、業界を目指したのは、「画を描いてメシが食えたらいいなと思った」という理由が一番大きい[3]。アニメーションに関わるようになったきっかけは、高校の時に仲間とペーパーアニメのようなものを作って自分が描いたものが動いたのを観た時に「面白い」と思ったから[3]。学生時代はアニメというよりは漫画っぽい画を描いていた[3]。
『あしたのジョー』シリーズや『エースをねらえ!』のアニメのキャラクターデザインを手がけた杉野昭夫の絵が好きだと語っている[12]。
石川光久は「社会人としてはまったく褒められたもんじゃない(笑)。でも男気がある。例えば『内容が重くて、スケジュールもほぼ余裕がない』『100人頼んだら、100人断る』ような仕事を引き受けて、ものすごいクオリティで上げてくれたりする。そうかと思えば納期ギリギリまで本当に何もしない、ハラハラしていると最後の1カ月で1年分の仕事を終わらせちゃう。0か100しかない」と評している[15]。
人間ドラマに寄った様なモノが好きであり、影響を受けた作品としてアニメでは『宇宙戦艦ヤマト』、『銀河鉄道999』、『AKIRA』、映画では『ブリキの太鼓』、『17歳のカルテ』を挙げている[16]。
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