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日本の行政機関のひとつ ウィキペディアから
財務省(ざいむしょう、英: Ministry of Finance、略称: MOF)は、日本の行政機関のひとつ[4]。健全財政の確保、公平な課税の実現、国庫の管理、税関業務の運営、通貨に対する信頼の維持等を所管する[注釈 1]。
財務省 ざいむしょう Ministry of Finance | |
---|---|
財務省庁舎 | |
役職 | |
大臣 | 加藤勝信 |
副大臣 |
横山信一 斎藤洋明 |
大臣政務官 |
瀬戸隆一 進藤金日子 |
事務次官 | 新川浩嗣 |
組織 | |
上部組織 | 内閣[1] |
内部部局 |
大臣官房 主計局 主税局 関税局 理財局 国際局 |
審議会等 |
財政制度等審議会 関税・外国為替等審議会 関税等不服審査会 |
施設等機関 |
財務総合政策研究所 会計センター 関税中央分析所 税関研修所 |
地方支分部局 |
財務局 税関 沖縄地区税関 |
外局 | 国税庁 |
概要 | |
法人番号 | 8000012050001 |
所在地 |
〒100-8940 東京都千代田区霞が関三丁目1番1号 北緯35.672538度 東経139.749075度 |
定員 | 73,388人(2024年9月30日までは、73,402人)[2] |
年間予算 | 35兆4762億7965万6千円[3](2024年度) |
設置根拠法令 | 財務省設置法 |
設置 | 2001年(平成13年)1月6日 |
前身 | 大蔵省 |
ウェブサイト | |
www |
財務省設置法第3条の任務を達成するため、財務省は国の予算・決算、税制、税関、国庫、国債、財政投融資、国有財産、通貨、政策金融に関することなどを司る。酒類やたばこ・塩事業は酒税およびたばこ税の関係で管轄している。また、日本たばこ産業、日本郵政および日本電信電話など、国が筆頭株主となっている特殊会社の多くを所管する。
2001年(平成13年)1月6日に、中央省庁等改革基本法により大蔵省を改編改称して発足した。金融行政は、内閣府の外局として新設された金融庁に全面的に移管された[5]。
財務省が編著者となる白書はない。定期刊行の広報誌には月刊の「ファイナンス」がある[6]。大臣官房文書課が編集発行をつかさどり、日経印刷が販売元となっている。2010年3月号までは、大蔵財務協会が販売していた。ウェブサイトのURLのドメイン名は「www.mof.go.jp
」。他に国税庁が「www.nta.go.jp
」、関税局、税関が「www.customs.go.jp
」と、独自のドメイン名を持っている。英語略表記のMOFからモフと呼ばれることがある。大手金融機関には、財務省とのコネクションを保ち、業務に資する情報を財務省官僚から取得するMOF担[注釈 2]と呼称される担当者が存在していたが、金融機関の監督官庁が金融庁となったことに伴い消滅した。
財務省設置法4条は65号にわたって所掌する事務を列記している。具体的には以下の事項に関する事務がある。
財務省の内部組織は一般的に、法律の財務省設置法、政令の財務省組織令及び省令の財務省組織規則が階層的に規定している。
過去の大蔵大臣および財務大臣は日本の大蔵大臣・財務大臣一覧を参照。
財務省の地方支分部局には財務局と税関、沖縄地区税関の3種類がある(法律第12条)。沖縄県における財務局の業務は、内閣府沖縄総合事務局財務部が行っている。
財務省が主管していた日本万国博覧会記念機構は、2014年4月1日に解散し、公園事業については大阪府が、基金事業については公益社団法人関西・大阪21世紀協会が承継した。
特殊法人(2024年4月1日現在、計5法人。すべて株式会社の形態で設立された特殊会社[8])
財務省が主管する地方共同法人は存在しない。
2024年度(令和6年度)一般会計当初予算における財務省所管の歳出予算は30兆2777億2341万5千円[3]である。2023年当初予算35兆4762億7965万6千円に比較して、5兆1985億5624万1千円の減少となっている。減少の大部分は、2023年に計上した防衛力整備計画対象経費の財源に充てるための防衛力強化資金への繰入れ分である約3兆3千億円が2024年には計上がないこと、2023年に計上した「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」の4兆円、「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」の1兆円、予備費の5000億円が、2024年には「原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費」及び予備費の各1兆円となったことである。
組織別の内訳では財務本省が29兆5047億4513万9千円と全体の約96.8%を占めており、以下、財務局が570億5445万2千円、税関が989億2092万8千円、国税庁が6170億289万6千円となっている。本省予算のうち国債費が27兆90億1919万1千円、「原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費」及び予備費の各1兆円である。
歳入予算は111兆3333億6275万円と国全体の歳入予算(114兆3812億3556万9千円)のうち約97%を所管しているが、これは財務省が内国税の徴収や国債発行、国有財産の管理など国の歳入となる主要な事務をすべて所掌しているためである。主な内訳は「租税及印紙収入」が69兆4400億円、「公債金」が35兆6230億円、雑収入の「防衛力強化特別会計受入金」が3兆7319億1724万7千円となっている。
財務省は、地震再保険特別会計、国債整理基金特別会計及び外国為替資金特別会計の3つの特別会計を所管しており、また内閣府及び総務省と交付税及び譲与税配付金特別会計を、国土交通省と財政投融資特別会計を共管している。さらに、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省所管[注釈 3]の東日本大震災復興特別会計を共管する。
一般職の在職者数は2023年7月1日現在、財務省全体で70,761人(男性52,497人、女性18,264人)である[9]。うち、本省(税関、財務局を含む)が16,129人(男性12,070人、女性4,059人)、国税庁54,632人(男性40,427人、女性14,205人)となっている。
行政機関職員定員令に定められた財務省の定員は特別職1人を含めて73,388人(2024年9月30日までは、73,402人)[2]。本省及び各外局別の定員は省令の財務省定員規則が、本省17,008人(2024年9月30日までは、17,022人)、国税庁56,380人と規定する[10]。
2024年度一般会計予算における予算定員は特別職7人、一般職72,969人の計72,976人である[3]。ほかに、特別会計の予算定員は、地震再保険特別会計が6人、外国為替資金特別会計が49人、財政投融資特別会計(財務省所管分)が354人[11]などとなっている。
一般会計の予算定員(一般職)機関別内訳は財務本省が1,913人、財務局が4,466人、税関が10,210人、国税庁が56,380人である。なお、適用される俸給表別にみると、税務職俸給表がもっとも多く54,564人、続いて行政職俸給表(一)が17,043人となっている。各税関で船舶職員も任用している関係から、海事職俸給表(一)の35人、海事職俸給表(二)の104人をそれぞれ措置されている。また、財務本省、税関、国税局の診療所には医療従事者の職員も任用されているため、医療職俸給表(一)の適用を受ける定員が23人、医療職俸給表(二)が25人、医療職俸給表(三)が52人、それぞれ措置されている。特別会計の予算定員(一般職)機関別内訳は財政投融資特別会計(財務省所管分)に財務局が248人含まれている以外は本省である。
職員の競争試験による採用は主に国家公務員採用総合職試験(院卒者試験)、国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)、国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)、国家公務員採用一般職試験(高卒程度試験)、財務専門官採用試験、国税専門官採用試験及び税務職員採用試験の合格者の中から行われる。いずれも人事院が実施する。
財務省職員は一般職の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は保障されており、職員は労働組合として国公法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国公法第108条の2第3項)。
2024年3月31日現在、人事院に登録された職員団体の数は671となっている[12]。組合員数は2万6053人、組織率は43.3%となっている。組織率は13府省2院の平均である33.4%を9.9ポイント上回っている。
現在、財務省本省においては財務省職員組合(財務職組)、財務局においては全財務労働組合(全財務)、税関においては日本税関労働組合(税関労組)及び全国税関労働組合(全税関)、国税庁においては国税労働組合総連合(国税労組)及び全国税労働組合(全国税)が活動している。財務職組、全財務、税関労組および国税労組は連合の国公単産である国公連合に加盟している。また、国立印刷局の全印刷、造幣局の全造幣、酒類総研労組および日本たばこ産業の全たばこ労組とともに、財務省関係機関労組の協議会として全大蔵労働組合連絡協議会(全大蔵労連)を構成している。全税関と全国税はともに少数派組合であり、全労連傘下の国公労連に加盟している。全大蔵労連に相当する組織として大蔵国公を構成する。
一般職の幹部は以下のとおりである[13]。
歴代の財務事務次官等は財務事務次官#歴代の財務事務次官を参照。大蔵次官が1949年6月1日、長沼弘毅の在任中に国家行政組織法が施行されたため、大蔵事務次官に改称した。2001年1月6日、武藤敏郎の在任中に中央省庁再編により、大蔵事務次官から財務事務次官に改称された。財務事務次官は主計局長から昇任する場合が多いが、国税庁長官や主税局長から昇任した事例もある。2000年6月の武藤敏郎の次官就任以降は主計局長からの任用が続いていたが、2016年6月に佐藤慎一が主税局長から昇任した。これは、主計局長以外からの昇任としては1999年7月の薄井信明以来17年ぶり、主税局長からの昇任としては1981年6月の高橋元以来35年ぶりのことである。
政府は、赤字国債の発行を抑えるため、自動車損害賠償保障事業特別会計(当時)から、1994(平成6)年と1995(平成7)年の2年間で約1兆1200億円を一般会計に繰り入れた。2003(平成15)年度までに一部が返済されたが、未だ約6000億円が返済されていない[29]。
未返済の6,000億円は、自動車ユーザーが支払ってきた自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の積立金である。
この積立金は保険金の支払いとは別に、ひき逃げ事故などにより後遺障害を負った被害者の救済や交通事故の防止対策などに使われている。
国交省は財務省に貸し付けた資金とは別に、約1500億円を運用して被害者救済を行っているが、その運用益は年間約30億円。不足する金額は、運用元本となる1500億円を取り崩して補填している。そのため、財務省から国交省への返済が実施されなければ、元本が枯渇する事態に陥っていた[30]。
2022年6月9日、自動車損害賠償責任保険(自賠責)の仕組みを変更する改正法が、衆議院本会議で賛成多数により可決した。
改正法の成立を受け、政府は2023年度、保険料を車1台当たり最大150円値上げする方針だが、自賠責保険料値上げの一因は被害者救済事業の原資の枯渇にある。自賠責保険料の値上げの前に6,000億円の返済が先ではないかという自動車ユーザーの当然の不満があり、解決が望まれている[31]。
2018年3月2日、朝日新聞は、財務省が作成した土地取引に関わる決裁文書が契約当時の文書と後に開示された文書とで内容が異なることを指摘し、文書が「(森友学園)問題発覚後に書き換えられた疑い」があると報じた[41]。12日まで財務省内で調査が行われ、同日国会に対し改竄の事実が報告された[42]。また、麻生太郎財務大臣がメディアの取材において、「理財局の一部の職員が書き換えた」ものであり、最終責任者は当時の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官であるとの説明がなされた[43]。
7日、近畿財務局職員である赤木俊夫が一連の改竄に関わったことを苦に自殺[44]。2020年3月18日には、赤木俊夫の妻が国と佐川を相手にした裁判を起こし、27日にはchange.orgにて首相宛の赤木俊夫の自殺をめぐる実態調査のための署名活動を起こした[44][45]。4月1日ではこの署名数が26万人になり、日本最多最速記録となった[44]。4月17日には30万人を突破した[46]。
赤木の上司は「(改竄の詳細を記して職場に残したとされるファイルに)赤木さんがきちっと整理している。前の文書や修正後の文書などがファイリングされていて、これを見たら、われわれがどういう過程でやったのかが全部わかる」と音声データに語っているが、国はファイルの確認を拒否して訴訟で争われた[47]。
2018年4月9日の参議院決算委員会で、財務省は森友学園側に「口裏合わせ」の依頼をしていたことを認め、理財局長の太田充は「大変恥ずかしい、大変申し訳ない、深くおわびします」と謝罪した[48]。
2018年5月23日、衆院予算委員会理事懇談会で、財務省は組織的な隠蔽を目的とした森友学園との交渉記録の破棄を認めた[49]。公表された資料は、1,000ページ近い交渉記録と約3,000ページにも及ぶ決裁文書だが、2014年4月28日の学園側と財務局側との打ち合わせが抜けおちているのではないかという批判があがり、再調査となった[50]。
骨太方針2015に判りにくい表現で財務省が埋め込んだ「社会福祉予算以外の一般歳出予算の3年間の増分の上限が1000億円」は、安倍内閣から岸田内閣まで気付かないままでいた。[51][52][53][54][55] すなわち、5ページも離れたページにある下記の2つの文章を組み合わせないと気付かないようにする細工と、骨太方針2015を後続の各骨太方針でも継続的に引き継いでいる事も判りにくくして、「社会福祉予算以外の一般歳出予算の3年間の増分の上限(キャップ)が1000億円=(1.6兆円ー1.5兆円)」とされていることに、内閣のどの大臣も認識できない状態を実現していた。
【骨太方針2015での問題の記述】
【骨太方針2022まで骨太方針2015の上記1000億円隠しキャップを継承させている仕組み】
骨太方針2022の第36ページに「令和5年度予算において、本方針及び骨太方針2021に基づき、経済・財政一体改革 を着実に推進する。」との文言を設定。
骨太方針2021の第37ページに「2022年度から2024年度までの3年間について、これまでと同様の歳出改革努力を継続する」との文言を設定し、このページの脚注153にて「これまで」とは、「2019年度から2021年度までの3年間の基盤強化期間」であると定義した。
骨太方針2019の第75ページに「令和2年度予算は、骨太方針2018及び本方針に基づき、経済・財政一体改革を着 実に推進するとともに、引き続き、新経済・財政再生計画で定める目安に沿った予算編成を行う。」との文言を設定。
骨太方針2018の第52ページに「基盤強化期間内に編成される予算については、以下の目安に沿った予算編成を行う。」としたうえで脚注175にて「これまで3年間と同様の歳出改革努力を継続する。」との文言を設定して、骨太方針2015の第30ページと第25ページの記述につないだ。
2022年10月26日に、自民党の政調全体会議において補正予算の規模などを討議していた最中に、財務省(午後2時39分、鈴木俊一財務相、財務省の茶谷栄治事務次官、新川浩嗣主計局長。)[56]が岸田首相を訪問して、岸田首相に対して「経済対策の規模は一般歳出で25.1兆円。与党とも合意がとれている」との嘘の報告をするという偽計を用いて、岸田首相を騙して補正予算規模を縮小しようとした。しかし、2022年10月26日の自民党の政調全体会議の最中に、岸田首相が萩生田政調会長に対して電話をして、「(経済対策について)財務省が与党と一致したと報告しに来たけど、政調会長は知っているの?」と状況を確認した。萩生田政調会長は、「まだ中身を議論しているのに、規模が決まるわけがない。」と岸田首相に返答した。[57][58][59][60][61][62][63] 財務省の行為は、自民党の政調全体会議に出席して審議している国会議員の業務と内閣の業務に対する妨害行為にもなっている。
近年では財務省の一連の政策的失策を隠蔽または情報曲解をさせる目的での、プロパガンダ技術(カードスタッキング)を多用し、財務省組織の都合の良い情報のみを一般に流布する手段として、各種メディア及び著名知識人を教唆し、カードスタッキングを優位に利用する行為が認められ、これが国益に必ずしも則しておらず、一省庁における一種の僭越的行為であるという意見が散見される。
各省庁への予算配分に関わる優越的権限を用いた、他省庁への僭越行為(事実上の支配的行為)がかねてより問題視されており、そのため財務省の末端に至る人員の傲岸不遜な態度、及びその権限を用いての事実上の支配権の拡大行為が、国益に必ずしも則していないという指摘がある。しばしば財務省側の意向に対して忖度する態度を取らざるを得ない省庁も多く、行政権上の僭越的挑戦と考えられる向きもある。
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