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日本のサックス奏者、コメディアン、俳優、作曲家 (1932-1996) ウィキペディアから
安田 伸(やすだ しん、1932年〈昭和7年〉9月19日 - 1996年〈平成8年〉11月5日)は、日本のサックス奏者、コメディアン、俳優、作曲家。本名は安田 秀峰(やすだ ひでみね)。愛称はヤッさん。
現在の東京都中野区江原町生まれ[1][注釈 2]。父は佐賀県出身で右翼活動をしていたが、やがて毛皮と皮革の商売を始めた[3]。生後まもなく川崎市に移り、川崎市立高津小学校6年生のとき疎開[1]。母の実家がある川崎市柿生を経て厚木市に移り、旧制厚木中学校(現在の神奈川県立厚木高等学校)1年生のとき敗戦を迎える[1]。軍人志望で陸軍幼年学校に願書を出していたが敗戦によって音楽の道に志望を変更し、コルネットを独学で学ぶ[1]。学制改革を経て新制厚木高等学校在学中、吹奏楽部を創部してアルトサックスを担当し、部長を務める。高校1年生のときは東大か一橋大学を志望していたが、高校3年のとき楽器に熱中し、1951年、東京藝術大学管楽器科に進む[1]。しかし、クラシック音楽の世界の封建性に馴染めなかったうえ、高額の月謝を払い続けることに対する経済的困難もあり、進駐軍クラブでジャズマンとしてアルバイトを始める[1]。
やがて東京藝術大学に別科器学科が創設されるとそちらに移り[4]、1953年に修了。以後は横浜や横須賀や上野などを拠点にジャズマンとして活動[1]。横浜時代に石橋エータローや谷啓と知り合う[1]。1953年の暮れから半年ほど、石田正弘(サックス)、谷崎幸雄(ベース)、日野哲夫(ドラム)と共にバンド『フォー・デバーズ』を組んで東京や名古屋で演奏し、石橋のバンドと共演した[1]。
その後、石橋がリーダーをつとめる『ザ・ファイブ』での活動を経て、『ハッピー・フーリナンス』の一員として名古屋のクラブ「フェルナンド」に出演したが、このクラブにはザ・ピーナッツが出演していた[1]。この頃から『スイングジャーナル』誌にしばしば名前が登場するようになる[1]。
1957年秋、石橋エータローの紹介でハナ肇とクレージーキャッツに参加[1]。ドラッグに溺れて脱退した石田正弘の後任として[5]テナーサックス(ときおりクラリネット)を担当した。真面目な性格で、メンバーの中で唯一『おとなの漫画』全1835回に出演した。また、『シャボン玉ホリデー』ではなべおさみと組んだコント、「キントト映画の助監督」役で知られ、監督役のなべに「ヤスダー!」と怒鳴られ続け、メガホンで頭を殴られ続けながらも理不尽な命令に黙々と従い、最後には立場が逆転する役柄を演じている。また、ブリッジをしながらサックスを吹き鳴らす演奏法でも知られており、舞台や一部のクレージー映画などで披露している。真面目な性格ゆえに自らのタレント性のなさに悩み、関係者の一人から(青島幸男は「俺かもしれないな」と述べている)[6]「安田伸はクレージーのお荷物だ」と陰口を叩かれて一度は本気で脱退を考えたが、友人から「お前は六大学野球における東大のような存在。負けてばかりのお荷物だが、いつか何かやるんじゃないかという期待があるから六大学の面白さがあるんだ」と言われて思いとどまったという[2]。
俳優としても活動し、多くの映画やテレビに出演した。しかし、クレージーには音楽専門家のような形で参加していたため、元々俳優として活動していくつもりは無かったらしいが、舞台『屋根の上のバイオリン弾き』に出演した際に演劇の「面白さ」に気づき、本格的な勉強を始めたという[7]。
作曲家としても活躍しており、『週刊クレージー』のテーマ曲を始めドラマの主題歌、劇伴や企業の社歌、団体歌、体操の伴奏曲など数多くの曲を作曲した[7]。
後年は森岡賢一郎や南廣らとバンド『シーラカンス』を結成し、『もしもタヌキが世界にいたら』などの曲を発表した。また、谷啓のバンド『スーパーマーケット』とも共演していた。
私生活では1966年に美容研究家の竹腰美代子と結婚。愛妻家で知られ、そこから「ミヨコー」というギャグが生まれたほどだった。しかし子宝には恵まれず、晩年は安田自身が肝臓癌と闘病を余儀なくされるなど試練にも見舞われたが、最後まで仲睦まじく添い遂げた。
※ 太字は役名。
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