クリエイター (Kreator 。日本ではクリーター とも表記する。その詳細は#補足・備考 で説明する。)は、ドイツ 出身のスラッシュメタル ・バンド 。
概要 クリエイターKreator, 基本情報 ...
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同国スラッシュ・シーンの草創から活動してきた実績を持ち、日本では「ソドム 」「デストラクション 」と並んで『ジャーマンスラッシュ三羽ガラス (Dreigestirn des deutschen Thrash Metal) 』とも称されるジャーマンメタル の代表的グループ[4] 。
1980年代
創設メンバー ミレ(Vo/G) & ヴェンター(Ds)
1982年 に旧西ドイツ のエッセン で前身バンド・トーメンター (Tormentor) が結成される。オリジナルラインアップはミランド・"ミレ"・ペトロッツァ (Vo,G) 、ユルゲン・"ヴェンター"・レイル (Ds) 、ロブ・フィオレッティ (B) 。TORMENTORとして2本のデモテープを作り、アンダーグラウンド・シーンで話題になる。ちなみに、デモ音源のうち4曲は、現在『Endless Pain』の再発盤(輸入盤のみ)にボーナストラックとして収録されている。
1985年 にドイツのヘヴィメタル専門レーベル、ノイズ・レコード と契約を結び、バンド名をクリエイター (Kreator) に改名しデビューアルバム『Endless Pain』をリリース。このときミレ・ペトロッツァは17歳であった。その後、ギタリストに元ソドム のデストラクターことミヒャエル・ウルフ (G) を迎えるが、技術不足を理由にたった1回のギグだけでクビにする。
1986年 、2ndアルバム『Pleasure to Kill』、シングル『Flag Of Hate』をリリース。その後、ギタリストにイェルク・トリッツェを迎える。
1987年 に3rdアルバム『Terrible Certainty』をリリースし、続いてミニアルバム『Out of the Dark... Into the Light』をリリース。
1989年 、4thアルバム『Extreme Aggression』をリリース。その後、イェルクが脱退し後任に元ソドム のフランク・"ブラックファイヤー"・ゴトツィックを迎え、アメリカ へ進出した。
1990年代
1990年 、5thアルバム『Coma of Soul』をリリース。
1992年 、6thアルバム『Renewal』をリリース。デスメタル で有名なアメリカ フロリダ州 タンパ の「モリサウンド・スタジオ 」でレコーディングされた(プロデューサーはトム・モリス )。このアルバムではスラッシュ色が後退し、インダストリアル的アプローチをみせる。
1993年 、アルバムリリースにおけるツアーの一環として4月に初めての日本公演 を行った。秋にオリジナルメンバーのベーシストだったロブ・フィオレッティが脱退し、後任にアンドレアス・ヘルツが加入する。
1995年 、アンドレアス・ヘルツが脱退し、後任にクリスチャン・"スピーシー"・ギースラーが加入。同年、エピック・レコードとの契約が切れバンドはGUNレコード と契約し7thアルバム『Cause for Conflict』をリリース。本アルバムは『Renewal』の雰囲気を残しつつ、ハイスピードな演奏と叫ぶミレのボーカルとややスラッシュ色が回帰した作風となっている。
1996年 、フランク・"ブラックファイアー"・ゴトツィックとジョー・カンゲロッシが脱退。後任に元コロナー のトミー・ヴェッターリが加入し、ユルゲン・"ヴェンター"・レイルがバンドに復帰。
1997年 、8thアルバム『Outcast』をリリース。本アルバムは全曲ミドルテンポで構成される。
1999年 、9thアルバム『Endorama』をリリース。本アルバムではピアノやシンセサイザーがフィーチャーされた作風になってる他、ミレのボーカルがクリーンボーカルと叫ぶスタイルを使い分けたメリハリのあるものになった。アルバムからは『Chosen Few』がシングルカットされる。
2000年代
2001年 、ギタリストがワルタリ のサミ・ウリ=シルニヨに交代し、アンディ・スニープ のプロデュースによる10thアルバム『Violent Revolution』をリリース。再びスラッシュ路線に戻った。
2003年 、6月にライブアルバム『Live Kreation』及び同内容のDVD をリリース。
2010年代
2012年 、13thアルバム『Phantom Antichrist』をリリース。
ボーカルとギターを担当する主宰ミレ・ペトロッツァ
原点回帰を含んだ2005年のライブ
初期の彼らの楽曲は、ミレ・ペトロッツァのヒステリック なボーカルに、演奏力が追いつかない程の高速なリズムで展開していく猪突猛進なスラッシュスタイルで、2ndアルバム『Pleasure To Kill』では、当時最速のメタルバンドの一つと言われていたスレイヤー 以上に高速なサウンドが評価された。その後3rdアルバム『Terrible Certainty』、4thアルバム『Extreme Aggression』では若干スピードが押さえめになったが、アルバムごとに演奏力や楽曲構成はそれ以前のアルバムと比べ向上し、独特のリフ展開とあいまって世界中で人気を得ることになった。続く5th『Coma Of Soul』では、新加入したフランク・ブラックファイヤーによるメロディアスなギタープレイもフィーチャーされ、前作までの硬派なメタル要素をとりいれつつ、それに捉われないテイストを積極的に取り入れ、バラエティ豊かな曲調が収録されるようになった。
だが、その後の彼らは1990年代 初頭の「メタリカ 」の『ブラックアルバム 』の大ヒットやパンテラ の出現、そしてグランジ ブームなどの影響で、メガデス 、アンスラックス 、エクソダス らがこぞってスピード主体の曲からグルーブ主体の曲に変わっていったように、当バンドもスピード主体の曲からインダストリアル 要素やゴシック 要素を取り入れたり、ギター・ソロを排したりと試行錯誤を繰り返した。またミレも叫ぶのを止め、メロディを歌う唄法に移行してしまった。ゴシック路線では新たなファンを獲得したものの、初期のファンの多くからは失望をもって迎えられてしまい、世界的にヘヴィメタル が下火になっていった事も相まって、活動規模も縮小されることになった。後にミレ自身は、この頃を「アイデンティティの危機に陥っていた」と評している。
しかし、2000年 頃からアンスラックス、エクソダス、テスタメント らによる初期スタイルへの回帰ブームに合わせる形で、2001年 の『Violent Revolution』からは、再びスピーディな曲に乗せミレがヒステリックに叫ぶスラッシュ路線へ回帰し、再び人気を得ることに成功した。だが、単に初期の頃のようなスピーディーな部分だけでなく、中期に実験を重ねたメロディアスな部分もバランスよく曲に盛り込まれている。続く2005年 の『Enemy Of God』以降のアルバムでもその路線をアップデートし続けている。
※2020年5月時点
現ラインナップ
サミ・ウリ=シルニヨ (Sami Yli-Siriniö) - ギター (2000- ) 1972年4月10日生まれ
フィンランド人 で、ワルタリ にも在籍。他にティアマット のアルバムにも参加していた。
フレデリク・ルクレール (Frédéric Leclercq) - ベース (2019- )
フランス人 で、ドラゴンフォース 、ヘヴンリー でも活動していた。
ユルゲン・"ヴェンター"・レイル (Jürgen "Ventor" Reil) - ドラムス (1982-1994, 1996- ) 1966年6月26日生まれ。
設立者の一人。3rdまでは一部の楽曲でヴォーカルを担当している。
ミレ・ペトロッツァ (Vo/G) 2023年
サミ・ウリ=シルニヨ (G) 2023年
フレデリク・ルクレール (B) 2023年
ヴェンター・レイル (Ds) 2018年
旧メンバー
ミヒャエル・ウルフ (Michael Wulf) - ギター (1986)
元ソドム 。ソドム時代はデストラクターという芸名を名乗っていた。脱退後の1993年 に事故により逝去。
イェルク・"トリッツェ"・トレビアトウスキー (Jörg "Tritze" Trzebiatowski) - ギター (1986-1989)
フランク・"ブラックファイアー"・ゴトツィック (Frank "Blackfire" Gosdzik) - ギター (1989-1996)
ソドム 出身で、『Agent Orange』レコーディング後に脱退し、移籍という形でクリーターに加入。2018年にソドムに復帰した。
トミー・ヴェッターリ (Tommy Vetterli) - ギター (1996-2001)
スイス のスラッシュメタルバンド、コロナー の元ギタリスト。
ロブ・フィオレッティ (Rob Fioretti) - ベース (1984-1992)
アンドレアス・ヘルツ (Andreas Herz) - ベース (1992-1995)
クリスチャン・"スピーシー"・ギースラー (Christian "Speesy" Giesler) - ベース (1994-2019) 1970年7月4日生まれ
ジョー・カンゲロッシ (Joe Cangelosi) - ドラムス (1994-1996)
アメリカ のスラッシュメタルバンド、ウィップラッシュ の元ドラマー。
シングル・EP
1986年 Flag of Hate - HM/HR雑誌「BURRN! 」のレビューで、100点満点中4点という低評価を受けたことがある。
1987年 Behind the Mirror
1988年 Out of the Dark... Into the Light
1999年 Chosen Few
2012年 Phantom Antichrist
2012年 Civilization Collapse
2017年 Hail to the Hordes
2016年 Violence Unleashed
2020年 666 - World Divided
ライブ・シングル
2020年 Violent Revolution (Live in Chile)
ライブ・アルバム
2003年 Live Kreation
2013年 Dying Alive
2019年 Live At Dynamo Open Air 1998
2020年 London Apocalypticon (Live At The Roundhouse)
コンピレーション
1989年 V.A. / Doomsday News I (Track:10にAfter The Attackを収録。後にPast Life Traumaにも収録されている。)
1990年 V.A. / Doomsday News Ⅲ -Thrashing East Live-
(1990年3月4日に東ベルリン で行われたライブ音源を収めたオムニバス。クリーターはFlag Of HateとRiot Of Violenceが収録されている。)
1996年 Scenarios Of Violence
1999年 Voices Of Transgression
2000年 Past Life Trauma
ライブ・ビデオ
1992年 Hallucanative Comas
1990年 Extreme Aggression Tour 1989-1990 Live In East-Berlin
2003年 Live Kreation - Revisioned Glory (DVD)
2008年 At The Pulse Of Kapitulation (DVD)
前述の「Hallucinative Comas」と「Extreme Aggression Tour 1989-1990」をセットにしてDVD化したもの。
バンド名のカタカナ表記について :EPIC・ソニー より初めて日本盤がリリースされた4thアルバム『Extreme Aggression』では「クリーター 」と表記されていたが、ビクターJVC よりリリースされた6thアルバム『Renewal』以降は表記が「クリエイター 」に変更された。日本クラウン からリリースされた10thアルバム『Violent Revolution』以降は再び「クリーター 」に表記が変更された。その後 日本コロムビア に移り、13thアルバム『Phantom Antichrist』から再び「クリエイター 」となった。その後、ケイオスレインズ に移ってからもクリエイター表記のままである。 正しい発音は「クリエイター 」である。[10]
11thアルバム『Enemy of God』の「Murder Fantasies」ではアーチ・エネミー のマイケル・アモット がゲストで参加してギター・ソロを弾いている。これはプロデューサーのアンディ・スニープの縁によるものと思われる。
そのアンディ・スニープだが、かつて彼が在籍していたイギリス のスラッシュメタル バンド・サバト とはライブで共演したことがあり、そのライブの様子が『V.A. / Doomsday News Ⅲ-Thrashing East Live-』としてCDとVHSでリリースされている。また、後にギタリストとして加入するトミー・ヴェッターリも、当時在籍していたスイス のスラッシュメタルバンド・コロナー のメンバー(トミー・T・バロンの名で活動していた)として共演している。
ミレ・ペトロッツァはエドガイ の『Hellfire Club』の「Mysteria」でボーカルでゲスト参加した。
12thアルバム『Hordes Of Chaos』では『Pleasure To Kill』以来であるベーシック・トラックをライヴ・レコーディングで収録するという手法がとられている[11] 。
13thアルバム『Phantom Antichrist』について、ミレは「真実だと思っていたことが実は人を操るマスコミや支配者たちの手口だったらどうする、そういうことを考えた時に作ったアルバム」だと語っている[11] 。
Mcpadden, Mike (2012). If you like Metallica : here are over 200 bands, CDs, movies, and other oddities that you will love . Backbeat Books. p. 105-106
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