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『キングダム ハーツ 358/2 Days』(キングダム ハーツ スリー ファイブ エイト デイズ オーバー ツー、KINGDOM HEARTS 358/2 Days)は、スクウェア・エニックスより日本版が2009年5月30日、北米版が2009年9月29日、欧州版が2009年10月9日に発売された[2]、ニンテンドーDS用コンピュータゲームである。本作は、『キングダム ハーツII』(KH2)に登場したキャラクター・ロクサスの視点で物語が展開する。シリーズ1作目『キングダム ハーツ』の間から『KH2』に至るまで、ロクサスがXIII機関に所属していた時期を描く。シリーズで初めて採用された複数人で遊べるマルチプレイモードが最大の特徴である[3]。
ジャンル | アクションRPG |
---|---|
対応機種 | ニンテンドーDS |
開発元 | スクウェア・エニックス / ハ・ン・ド |
発売元 | スクウェア・エニックス |
シリーズ | キングダム ハーツ シリーズ |
人数 | 1-4人 |
メディア | ニンテンドーDSカード |
発売日 |
2009年5月30日 2011年8月25日 - 廉価版 |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
売上本数 | 約53万本[1] |
ディズニーとスクウェア・エニックスのコラボレーション作品であるキングダム ハーツ シリーズ(以下KHシリーズ)の一作。『COM』と『KH2』の二作品で主人公のソラと敵対していたXIII機関が本作ではプレイヤー側の立場となるのも特徴の一つである。
DSの機能をフル活用するコンセプトだった『すばらしきこのせかい』とは反対に、本作はタッチスクリーンのようなDS特有の機能を使わず、なるべく従来のKHシリーズに似た操作性を追求するために操作はほとんどがボタン操作となっている[4]。上画面にはキャラクターを操作する画面やイベントシーンが表示され、下画面にはマップや一部イベントシーン、パネルシステム、チャットリンゲージなど(後者2つについては後述する)が表示され、また下画面をスライドすることでカメラ操作が可能(カメラはボタンでも動かせる)。
数字が並んだ暗号のようなサブタイトルはディレクターの野村哲也が以前からつけたかったもので、『すばらしきこのせかい』では新作がそのようなタイトルでは敬遠されやすいという懸念から採用が見送られたといい、大きなネームバリューを持つKHシリーズのサブタイトルであれば問題ないということで今回採用された。また野村はタイトルの意味について、クリアして初めてわかるという仕組みだが、その解釈は人によって異なると語っている[5]。
野村のデザインによる、オリジナル仕様のニンテンドーDSiを同梱したバージョンも同時発売された。また、2011年8月4日にはアルティメットヒッツとして廉価版が発売されている。
2013年に発売した『キングダム ハーツ HD 1.5 リミックス』では、本作を映像作品としてHD画質でリメイクされたものが収録された。DS版で使用されていた映像を含め、総時間はおよそ2時間50分に及ぶ。
アクションRPGに分類される本作は、これまでのシリーズと同様、3D空間でキャラクターを操作して戦うというゲームスタイルをニンテンドーDS上で忠実に再現している。またそれだけではなく、シリーズ初となるマルチプレイ(多人数によるプレイ)、キャラクターの性能を全てパネルで制御する「パネルシステム」、HPが残り少ない時に発動可能となる切り札「リミットブレイク」など、様々な新要素を盛り込んでいる。
本作の最大の特徴として、1人プレイ用のストーリーモードと、マルチプレイが可能のミッションモードの2つのゲームモードが存在することが挙げられる。ここではそれぞれの特徴について説明していく。
ロクサスを主人公としてゲーム本編のストーリーを進めていくモード。難易度は従来のシリーズと同じくビギナー(初心者向け)・スタンダード(通常の難易度)・プラウド(上級者向け)の三種から選択する。ロクサスは機関メンバーのサイクスからミッションを受領し、XIII機関の本拠地である「存在しなかった城」からディズニーの世界を含む様々なワールドに赴き、ハートレスを倒すことでのハートの回収、特定のハートレスの探索・討伐、ワールドの調査など、多彩なミッションを遂行していく。1つのミッションを完遂すると「DAY」が進み、これを繰り返すことでシナリオを進めていく。
XIII機関は隠密行動が原則のため、これまでのシリーズのようにディズニーキャラクターと協力して敵を倒すといったことはなく、ディズニーの世界との関わり方は、これまでのシリーズとは毛色が異なる。ミッションによっては他の機関メンバーが同行することもあり、その場合の機関メンバーはNPCという形でミッションを手助けしてくれる。
ストーリーモードと同一のデータを使用し、ホログラムミッションに1-4人で挑戦するモード。このモードではニンテンドーDSのワイヤレス通信で最大4人のマルチプレイが可能であり(本作のDSカードは人数分必要、またさらには4人のパーティーキャラが戦うシステムはシリーズ初でもある)、プレイヤーはXIII機関のメンバー全員を含めた総勢19名(内6名は条件を満たすことで使用可能)のキャラクターの中からそれぞれ操作するキャラクターを選びミッションに臨む。なお、同じキャラの選択は不可となっている。また、このモードは通信を行わず1人でプレイすることも可能だが、ミッションは4人プレイを前提としてバランス調整されているため1人プレイでは必然的に難易度は上がってしまう。当初はニンテンドーWi-Fiコネクションにも対応する予定で開発されていたが、ミッション中にニンテンドーDSの限界に迫るほどの処理が必要となった結果、対応は見送られた。開発当初、マルチプレイでないときは配下ノーバディを連れていけるようにしたかったが、ハードの性能の制約で実現できなかったともされている[6]。
ミッションの成績によって上位のプレイヤーには「ミッションクラウン」が与えられ、これも集めることでモーグリショップで景品がもらえる。この順位争いに加え、後述するように仲間に攻撃を当てるよう設定することができ、これらの要素から「協力」よりも「競争」に近い作りとなっているのがわかる。これはディズニー側からの希望で、敵として登場したXIII機関を操作できるならそういった構図の方がいいという意見があったためと、開発側がXIII機関はフレンドリーな関係より競い合っている方がそれらしいと判断したためである[4]。
この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
物語の始まりは『キングダム ハーツ』でソラがハートレスとなった頃。強い心の持ち主がハートレスになった際、心に取り残された身体と魂がノーバディとして生まれ変わることがあるが、それはソラも例外ではなく、黄昏の街トワイライトタウンでソラのノーバディが誕生していた。ノーバディで構成される組織・XIII機関のリーダーであるゼムナスに機関に勧誘された彼は、新たにロクサスという名前を授けられ、XIII機関に加わることとなった。
ノーバディになる前の過去の記憶がなく、また伝説の武器・キーブレードを使うことができる彼は、機関の言われるがままにハートレスを討伐する任務をこなす日常を過ごしていく。そのさなか、ロクサスは先輩の機関メンバーであるアクセル、そして彼より後に機関に加入した“14番目”の機関メンバー・シオンと交流を深め、徐々に感情と呼べるものを習得していく。 シオンがリクに敗北したことをきっかけに、自らの出生に疑問を持ち、忘却の城で自分の真実を知ってしまい脱走をした。ある日脱走したシオンを連れ戻す任務を受けたロクサスがシオンに歩み寄ろうとしたとき シオンはキーブレードをロクサスに向け、戻れない事を伝えたが、その時アクセルがシオンに奇襲を仕掛けむりやりシオンを、機関に連れ戻したことから3人にすれ違いが起こるようになっていく。
日本語版キャスト / 海外版キャスト の順。
主題歌は『KH2』と同じく宇多田ヒカルの『Passion』。BGMはシリーズ作品の楽曲を手がける下村陽子が担当する。本作の楽曲について下村は、『KH2』でのロクサスの運命を知っているため、「意識せずとも自然と悲しくやるせない曲調になった」という[7] 。また、本作が切ない結末の物語だったことから「せめて音楽だけでも救いを」という思いをこめて、楽曲「Vector to the Heavens」を作る。これはロクサスがシオンと戦う場面で流れる曲で、下村は希望をこめて最後にタイトル曲のフレーズを入れたと述べている[8]。「Vector to the Heavens」は反響が良く、『キングダム ハーツ HD 1.5 リミックス』では再録音しており、注目してほしい1曲だとしている[9]。
東京ゲームショウ2007において、シリーズ新プロジェクトの一つとして『キングダム ハーツ コーデッド』『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』と同時発表された。
雑誌表紙[10]などで使用されたキャッチコピーは「もう思い出せない大事なこと」である。ゲームのパッケージに使われたイラストは、ロクサスの足元が白く、背景のない場所に立っていることがキャッチコピーを暗示するイメージだと野村は述べている[11]。
ゲーム発売前に行われる『週刊ファミ通』のクロスレビューにて、40点満点中35点以上の点数が出ると選ばれる「プラチナ殿堂」入りの評価を得る[12]。
発売後は、2日間で29万本以上を販売し、週間ランキングで1位となる(ファミ通調べは291,211本[13]、メディアクリエイト調べは295,000本[14]、アスキー総合研究所調べは319,828本[15])。2009年の年間ソフト販売本数ランキングでは、ファミ通調べは522,260本で14位[16]、メディアクリエイト調べは538,800本で19位[17]、アスキー総合研究所調べは571,981本で12位に入る[18]。本作は、日本国内外ともに販売が好調で、累計149万本(日本54万・北米75万・欧州20万[19])のヒットとなる[20]。2012年時点での日本国内での累計実績はアスキー総合研究所調べで59.1万本である[21]。
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