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運転指令所(うんてんしれいじょ)とは、鉄道において列車乗務員(機関士、運転士、車掌)、駅等に業務指示を行う現業機関である。呼称は鉄道事業者や業務内容により異なる。運輸指令所(うんゆしれいじょ)と呼ぶ事業者や、漢字呼称に司令の字を充てる事業者もある。
テロ対策等の観点から、多くの事業者では所在地を原則として公表していない[1][2]。電話番号も電話帳には掲載されないが、踏切や架道橋には緊急連絡先として明記されている。
電力会社などで、施設の運転を遠隔で監視・制御する部署を同様に運転指令所と称している例もあり、これらについても簡単に述べる(後述)。
列車乗務員や駅など現業に対する指揮、指示が業務であるが、事故など異常がなければ列車の運行状況や機器の動作の監視が主な業務となる[1]。一旦ダイヤの乱れが発生すると、運転整理、振替輸送の依頼、設備の復旧作業指示、場合によってはバス代行の手配等多忙な状態となる。
指令所で指令業務を行う職員のことを、指令員という。特に、列車の運行に直接関わる輸送指令(後述)で従事する指令員を輸送指令員または運輸指令員(運転指令員の呼称を使用する事業者もある)という[3]。輸送指令員は日本の場合乗務員経験者・助役出身者が多い。これは指令員が乗務員経験者であれば路線の線路配線や線形などに精通しており、迅速かつ的確に指令に関する判断ができるという考えからである[1]。
日本国外(スペインなど)では“指令の仕事に乗務員の経験は必ずしも必要ではない”という考えから、乗務員の経験がない指令員も多い(ヨーロッパでは職種別に採用を行い、運転系と営業系、現場系や事務系は採用段階で分かれていることも多い)。
指令業務は、内容によりセクションを細分化している事業者が多い。そのセクションの分け方や呼称は事業者により異なる場合があるが、代表的なセクションと業務内容は以下の通り。
路面電車の場合、概ね1980年代中頃までは電車の運行状況を集中的に管理するシステムがなく、主要な停留場や車庫に輸送・運用指令に相当する業務を行う事務所を設け、利用者の増減や発着本数等の状況を見ながら運行間隔の調整や行先・系統指示を行っていた[4][5][6]。多くの軌道事業者においてはこの指令業務のことを「操車」あるいは「配車」と呼称しており、業務を行う事務所を「操車所(室)」「配車所(室)」、業務を行う職員を「操車係」「配車係」などと称した[4][5][6]。ただし、分岐点における分岐器・信号機の操作・進路指示についても同じ「操車」などの呼称が用いられており、信号扱所に相当する操作室のことも「操車所(室)」などと呼ばれ、交差点で見通しを良くするために高い位置に設けられたものは特に「操車塔」などと呼ばれた[7]。
複数の箇所で個々に指令業務が行われることから、運行本数の偏在が起こりやすく[4]、また、電車の所在自体は把握できないため道路混雑が激しくなると適切な運行指示が困難となった[8]。
現在も運行されている路面電車においては、集中的な運行管理システムを導入し、鉄道と同様な運行管理・指令業務を行っている事業者もある[5][9][10]が、従前同様の直接目視による運行管理を続けている事業者も多い[6][10]。
発電所・変電所・製鉄所などで機器の運転の指示を行うため運転指令所が設けられることがある。遠隔制御システムではなく現地スタッフに指示を出す機関をいうこともある[11]。また、製鉄所では受配電などのためのエネルギー設備の運転指令所をエネルギーセンターと呼ぶことがある[12]。
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