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日本の小説家 ウィキペディアから
福井 晴敏(ふくい はるとし、1968年11月15日 - )は、日本の小説家。
福井 晴敏 (ふくい はるとし) | |
---|---|
誕生 |
1968年11月15日(55歳) 東京都墨田区 |
職業 | 小説家 |
国籍 | 日本 |
代表作 |
『Twelve Y. O.』(1998年) 『亡国のイージス』(1999年) 『∀ガンダム(小説版)』(2000年) 『機動戦士ガンダムUC』(2007年 - 2009年) |
主な受賞歴 |
江戸川乱歩賞(1998年) 日本推理作家協会賞(2000年) 日本冒険小説協会大賞 大藪春彦賞 吉川英治文学新人賞 |
デビュー作 | 『川の深さは』 |
影響を受けたもの
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ウィキポータル 文学 |
東京都墨田区生まれ。私立高輪高等学校卒業、千葉商科大学商経学部経済学科中退。
メディア関連などでは一貫して一人称を「俺」としている。
福井本人は2021年において、自身を「アニメ作家」であると発言している[1]。詳しくは後述。
大学中退後、警備員として働きながら小説の執筆を進める。ただしこれは、あまりにも暇な警備員生活で何か面白いことはないかと考えて書き始めただけのもので、当初は小説家になるつもりは全くなかったという。最初に書いた小説は原稿用紙5,000枚を超える大作で、本人は「たかが7人程度が面白いと言ったからといって、それで小説家になれるわけではないのに、おだてられて結局出版社に小説を送ってみようと思った」と語っている。
第一作『川の深さは』が第43回江戸川乱歩賞選考委員会で大きな話題となり、当時選考委員だった大沢在昌が特に絶賛して注目を集めたが、惜しくも落選(この年の受賞作は野沢尚の『破線のマリス』)。翌1998年、『Twelve Y. O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞した。この作品は、単作品として評価されるべき同賞への応募であるにもかかわらず、あえて前年度の『川の深さは』の続編として書かれている(ただし、『川の深さは』との関連は舞台設定程度)。これは、前年の『川の深さは』に対する大沢在昌の論評が「翌年も待っている」という趣旨であったためとも考えられる(この後福井と大沢の付き合いは続いており、福井は大沢の著作「標的走路」にサインを求めたこともあるという)。
その後『亡国のイージス』で第53回日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞と、2000年の大藪春彦賞を受賞、直木賞候補ともなった。2003年、『終戦のローレライ』で第23回吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞を受賞した。2005年には『ローレライ』として『終戦のローレライ』が、続いて『戦国自衛隊1549』、『亡国のイージス』が相次いで映画化されこの3本が福井の代名詞となった。また、初の短編集『6ステイン』が直木賞候補になる。
お気に入りの映画は、『日本沈没』『新幹線大爆破』『太陽を盗んだ男』で、これは映画『ローレライ』の監督である樋口真嗣と一致している。
※ この節の出典→[1]
後述するガンダム作品を新規に書き下ろし、その中の一作である『機動戦士ガンダムUC』のアニメ化においてもスタッフとして深く関与して以降、アニメ作品のストーリー構成を担当する事が多くなっている。
2021年に公開された『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』におけるインタビューなどで、この点について問われた際には下記のような理由があると答えている。
また自分の好みや向き不向き以外に、21世紀初頭における小説業界の状況について一家言あり「文芸界の話題やニュースが、世間には1mmも届いていないし、伝わってもいない(状況だと認識しているので)小説家として、小説で世間に発信できることは少ないと実感してしまった」とのコメントもしている。
『亡国のイージス』は、単行本で2段組、654ページ。文庫版は、上・下巻500ページを超える。『終戦のローレライ』も文庫版では全4冊にもなる。しかし福井本人は、分厚いと読者が手に取るのに抵抗があるので、短く書くことができれば、と思っているようである。
作中頻繁に登場する「DAIS(ダイス)」こと防衛庁情報局(ディフェンス・エージェンシー・インフォメーション・サービス)なる秘密組織は、実際には存在しない(防衛庁情報本部は実在する)。この組織は処女作『川の深さは』に初登場し、『Twelve Y. O.』『亡国のイージス』『6ステイン』『C-blossom』『op.ローズダスト』『人類資金』にも登場している。同様に福井作品お馴染みのものとして「GUSOH」という架空の兵器がある。また、ストーリーはいわゆるバディものが多い。
また、『亡国のイージス』や『戦国自衛隊1549』など、ほとんどの作品は自衛隊に関する専門用語が満載された小説である。このことについて福井自身は2005年に以下のようなことを語っている。
文体は堅く、ストーリーもハードな作風が多い。しかし作者自身は「ばかばかしい文体でおふざけの凄い作品を書きたいという思いが強すぎて、真面目な自分とふざけた自分に多重人格化している」と発言しており、エッセイなどではかなりフランクな表現が目立つ。
雑誌などで福井について取り上げられるとき、「大の『機動戦士ガンダム』ファン」「自他共に認めるガンダムマニア」などと書かれることがあるが、正確には「ガンダム」シリーズではなく、これらの多くを手がけた作家富野由悠季のファンであり[1][注 1]、富野のインタビュー本の解説を書いたこともある。2人の関係は、出世作『Twelve Y. O.』が受賞した際に福井が富野にそれを献本したことから始まっており、「富野さんが言いたいことを小説で書くとこういうことだろう」というメッセージが込められていたようである。福井はNHKの番組『トップランナー』に出演した際も、富野への尊敬の意を表した。福井は初代ガンダムのブームの際に、テレビアニメでも当時大ヒットしていた総集編の映画でもなく、まず富野の書いた小説を読んで「富野ワールドに触れ、魅了された」と語っている。ちなみに、福井が富野アニメの中で一番好きなものは『伝説巨神イデオン』であり、小説で最も好きなものは『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』であるという。一方、富野自身は福井の結婚式の仲人を務めている。
福井は富野作品のノベライズもしており、それが『ターンエーガンダム』(改題『月に繭 地には果実』)である。これは福井自身「気合を入れて書いた本」であり、お気に入りのひとつだという。
また、単なる富野ファンに留まらず、自身の作品にも富野の演出方法を取り入れている[注 2]。富野についてのムック本『富野由悠季 全仕事』によれば、デビュー前に自身の作品の人間ドラマの目標として、『閃光のハサウェイ』を意識していたという。
さらには、矢立肇、富野由悠季を原案とする小説『機動戦士ガンダムUC』[2]を『ガンダムエース』で2007年から2009年にかけて連載した。これについては「俺がやらずに誰がやる」という心境であったらしい。同作は2010年から2014年にかけてOVA化され、順次劇場でイベント上映もされた。このアニメ版には、小説『UC』の著者である福井もストーリーとして参加している。 福井はインタビューにおいて、宇宙世紀作品では避けて通れないと言えるニュータイプ論に対する自身による解答と、『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙』のラストメッセージに対する答えを出すことが、作品のメインテーマであると語っている。
その後も、漫画『機動戦士ムーンガンダム』のストーリー、アニメ映画『機動戦士ガンダムNT』の脚本を手がけている。
ほか、皆川ゆか『評伝 シャア・アズナブル』のコメントの中で、「龍馬にではなくシャアに学べ」や、シャアという人物を「自意識過剰でマザコン」「自分しか愛せなかった男」と評し、反面教師としなければならないと語っている。『電撃ホビーマガジン』では「フクイ軍曹の目指せ!トップガン!」で「フクイ軍曹」として登場し、ガンダムシリーズに登場するモビルスーツやモビルアーマーなどの兵器に乗っている。
これら2作品は「DAIS(ダイス)」の原型のような組織や、他作品中で語られている「920」という工作員が主役として登場している。『敗者達〜』は、福井曰く「福井晴敏のネタ帳」「書ききっていたら創作活動をやめていたかもしれない」らしい(『HOW TO BUILD 福井晴敏』 幻冬舎より)。ちなみに『敗者達の黙示録』は『HOW TO BUILD 福井晴敏』にダイジェスト版が掲載されている。
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