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日本の映画作品 ウィキペディアから
『海よりもまだ深く』(うみよりもまだふかく)は、2016年5月21日に公開された日本映画。監督は是枝裕和。主演は阿部寛。
団地を舞台に、売れない小説家の主人公と、団地に一人住まいのその母親、別れた元妻とその息子。こんなはずじゃなかったと今を生きる家族を映したストーリー[2]。
第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品作品[3]。第26回フィルムズ・フロム・ザ・サウス映画祭(ノルウェー)でシルバー・ミラー賞(最高賞)[4]。
キャッチコピーは「夢見た未来とちがう今を生きる、元家族の物語」。
主演の阿部寛は映画『歩いても 歩いても』(2008年)、『奇跡』(2011年)、ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』、本作と是枝作品には4度目の出演。(主演は3度目)。『歩いても 歩いても』以来の樹木希林と親子役を演じる[5]。
阿部が『歩いても 歩いても』で演じた主人公は"横山良多"で、『ゴーイング マイ ホーム』で演じた主人公は"坪井良多"。本作の主人公も"良多"と役名が共通している。「良多」は是枝監督の学生時代の友人の名前であり、『そして父になる』(2013年)では主演の福山雅治が"野々宮良多"役を演じるなど是枝作品にはよく出てくる役名である。
作家の篠田良多は、島尾敏雄文学賞[7]を受賞した経歴を持っていた。だが、その後15年は鳴かず飛ばずで、今は「小説のリサーチ」と称して興信所に勤めて生計を立てている。出版社からは漫画の原作をやらないかと勧められてはいたが、純文学作家のプライドから二の足を踏んでいたのだった。そのクセ、ギャンブルには目がなく、少し稼ぎがあればそこにつぎ込むばかりでいつも金欠状態であり、母親の淑子や姉の千奈津に金をせびる毎日を送っていた。そんな彼に愛想を尽かした妻の響子は離婚して久しく、月に一度、一人息子の真吾と会わせることと引き換えに養育費5万円を求めるほかは、一緒に食事することすら拒んでいた。だが、そんな良多にも父親としての意地があり、真吾に会う時には、養育費は用意できなくてもどうにか金を都合してプレゼントは用意していた。
台風が日本に接近しているある日、良多は月に一度の息子と会える日を持った。響子は、元夫である彼が、自分の新しい恋人のことをすでに調査していることに呆れ、冷たい態度を崩さない。それでも天気の崩れかたを危ぶみ、親子三人、淑子のアパートで一夜を過ごすこととなった。父親を心配して調子を合わせる真吾は、眠れずに父と一緒に嵐のなかを外出、公園の滑り台に籠って駄菓子を味わう。戯れに話し込む親子は、将来の夢について言葉を交わす。考え込む良多は、翌日からの自分のことを振り返ってみるのだった。
翌日、晴れ渡った空のもと、団地を出る親子の姿があった。
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