吉井勇
1886-1960, 大正~昭和期の歌人、脚本家 ウィキペディアから
1886-1960, 大正~昭和期の歌人、脚本家 ウィキペディアから
吉井 勇(よしい いさむ、1886年(明治19年)10月8日 - 1960年(昭和35年)11月19日)は、大正期・昭和期の日本の歌人、劇作家、小説家である[2]。華族(伯爵)でもあった。本名の読み仮名は「よしい いさみ」[1]。
北原白秋らと「パンの会」を結成。石川啄木らとは雑誌「スバル」を発行して耽美派の拠点とした。人生享楽の世界を歌った『酒ほがひ』(1910年)で注目された。ほかに『祇園歌集』(1915年)など。
維新の功により伯爵となった旧:薩摩藩士・吉井友実を祖父、海軍軍人で貴族院議員も務めた吉井幸蔵を父に、東京芝区高輪に生まれた[3]。
幼少期を鎌倉材木座の別荘で過ごし、鎌倉師範学校付属小学校に通う(現:横浜国大附属鎌倉小学校)。1900年4月に東京府立第一中学校(現:都立日比谷高校)に入学するが、落第したため日本中学(現在の日本学園中・高)に転校した。漢学塾へ通い、『十八史略』『文章軌範』などを習う。この頃『海国少年』に短歌を投稿して1位となった。
その後、攻玉社(現:攻玉社中・高)に転じ、1904年に同校卒業。卒業後には胸膜炎(肋膜炎)を患って平塚の杏雲堂に入院するが、鎌倉の別荘へ転地療養した際に歌作を励み、『新詩社』の同人となって『明星』に次々と歌を発表。北原白秋とともに新進歌人として注目されるが、翌年に脱退する。
大学を中退した1908年の年末、耽美派の拠点となる「パンの会」を北原白秋、木下杢太郎、石井柏亭らと結成した。
1909年1月、森鷗外を中心とする『スバル』創刊となり、石川啄木、平野万里の3人で交替に編集に当たる。啄木とは同学年だったこともあり、特に親しかった。3月に戯曲『午後三時』を『スバル』に発表。坪内逍遥に認められ、続々と戯曲を発表して脚本家としても名を上げる。1910年、第一歌集『酒ほがひ』を刊行。翌年には戯曲集『午後三時』を刊行し、耽美派の歌人・劇作家としての地位を築いた。
1915年11月、歌集『祇園歌集』を新潮社より刊行。装幀は竹久夢二、この頃から歌集の刊行が増える。歌風は耽美頽唐であり、赤木桁平から「遊蕩文学」であるとの攻撃を招いた。歌謡曲『ゴンドラの唄』(中山晋平作曲)の作詞を手がけ、大衆の間に広く流行した。1919年11月、里見弴、田中純、久米正雄らと『人間』を創刊。1934年からの土佐猪野々(現:香美市)での隠棲生活を経て1938年に京都府京都市に移り、歌風も大きく変化していった。
戦後は京都市より同府綴喜郡八幡町(現:八幡市)の松花堂付近に転居。八幡町在住時代は谷崎潤一郎、川田順、新村出と親しく、1947年には4人で天皇に会見している。
1948年に八幡町から京都市に戻る形で再転居。相前後して歌会始選者となり、同年8月、日本芸術院会員。「長生きも芸のうち」と言ったと伝えられている(1954年、8代目桂文楽が文部省芸術祭賞を受賞した時の言葉とされる)。
1960年、胃癌から転移した肺癌のため京都大学医学部附属病院で死去。戒名は大叡院友雲仙生夢庵大居士[4]。墓所は東京・青山の青山霊園にある。
最初の妻・徳子は、歌人・柳原白蓮の兄である伯爵・柳原義光の次女であった。徳子とは1921年(大正10年)に結婚したが、1933年に発生したスキャンダル「不良華族事件」において徳子が中心人物であることが発覚した。事件は広く世間の耳目を集め、徳子と離婚した。離婚後、勇は高知県香美郡在所村猪野々の山里に隠棲した。
1937年、国松孝子と再婚した。孝子は芸者の母を持つ女性で、浅草仲見世に近い料亭「都」の看板美人と謳われていた。結婚翌年には、2人で京都府へ移住した。勇は「孝子と結ばれたことは、運命の神様が私を見棄てなかつたためといつてよく、これを転機として私は、ふたたび起つことができたのである」と書いている[5]。
長男の吉井滋は後楽園スタヂアムの支配人を務め、1959年6月25日のプロ野球天覧試合の実現に蔭で尽力したことで知られる。
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