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世界樹の迷宮シリーズの第1作 ウィキペディアから
『世界樹の迷宮』(せかいじゅのめいきゅう、英題:Etrian Odyssey)は、アトラスから2007年1月18日に発売されたニンテンドーDS用ロールプレイングゲーム。
2023年6月1日には、本作と『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯』『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』をHDリマスター化したオムニバスソフト『世界樹の迷宮Ⅰ・II・III HD REMASTER』がNintendo Switch/Steam向けに発売された。また、同日には各作品単体のダウンロード版も発売される[2]。
システムは古典的で、『ウィザードリィ』に近いスタイルの3DダンジョンRPG。製作者も「現代の自分たちが、ウィザードリィが生まれた時と同じ視点に立ったらどうなるか」をコンセプトの一つに挙げている。システム回りや音楽等に古めかしさを際立たせる工夫が垣間見られ、ゲーム中でプレイヤーをいざなうメッセージについても「さあ○○したまえ!」や「君は○○してもいいし、しなくてもいい / また○○してもいい」といった往年の翻訳ものゲームブックを思わせる特徴的な文体を用いるなど、懐かしくも新鮮な雰囲気を演出している。こうした作りにはプレイヤーの想像力を掻き立てる意図も込められており(これは製作者が「早解き禁止宣言」をしたことにも現れている)、近年の視覚的な要素を重視したRPGへのアンチテーゼとも取れる作品となっている。
また、戦闘面に於けるゲームの難易度は近年のRPGと比べると若干高めで、序盤の難易度は特に高いと専らの評判である。これは開発者によって意図されたことであるらしく、ゲームを進めるに従って難易度曲線は緩やかに落ちていくよう調整されているという。
こうした製作者の拘りのためか、必然的に近年の大作RPGに食傷気味だったオールドゲーマーを中心に話題を呼ぶ事となり、発売前から注目を浴びていた。結果、発売後しばらくは各地の店舗で品切れが続出し、最終的には公式サイトにてお詫びの声明が発表される事態にまで発展し、それがまた話題を呼び、極めて入手困難な状況が続いていたが、後に再出荷され、この状態は解消していった。
街での探索の準備と樹海の探索を往復しながらゲームを進めていく。樹海は3Dグラフィックによって作られ、主観視点で1マスずつ進んでいく。街ではパーティの編成や宿屋での回復、冒険に扱う武具や薬品の購入の他にも、酒場でクエストを受領して報酬や情報を得たり、ダンジョンから素材となるアイテムを持ち帰って売却することで強力な武具が売り出されたり、施政院に迷宮の探索結果を報告するなどして、パーティや街を発展させながら樹海の探索範囲を徐々に広げていき、最終的に樹海の最深部に辿り着くことが主な目的となる。
NEW GAMEを選択し開始すると、間もなくギルドの名前を設定するよう求められる。プレイヤーキャラクターのパーティーは主に「(ギルド名)の諸君」「(ギルド名)の皆」と呼ばれる。ギルドに登録できるキャラクター数は16人まで。
DSのタッチパネル画面を使用して、あたかも方眼紙に書き込むような感覚でダンジョンのマップをプレイヤー自身で作成出来ることが大きな特徴である。プレイヤーはマップに移動可能な床や進行不可能な壁の他、予め用意された9種類のアイコンやメモを設置することでオリジナルのマップを作成する。アイコンの意味は取扱説明書やゲーム画面に記されているが、任意の場所に設置できるためプレイヤーの解釈により他の意味での使用も可能となっている。自由度の高いマッピングシステムではあるが、アイコン及びメモの設置数に上限があることや用意されているアイコンでは表現の難しい地形が存在するなどといった問題も抱えている(この問題に対し、続編ではアイコンが追加される)。オートマッピング機能も搭載されているが移動した床が書き込まれるのみであり、壁の記入やアイコンの設置はあくまでプレイヤー自身が記入することとなる。
プレイヤーは、多彩なスキル(技・術など)を持つ9種類の職業から最大5人のパーティを組んで迷宮を攻略していくこととなる。
各職業はTPを消費して使用できる専用のスキルを持っており、敵を倒して経験値を入手しレベルアップすると能力の上昇と共にスキルポイントが与えられ、これを習得しているスキルに割り振ることで、スキルの効果を強化させたり新たなスキルを習得することができる。スキルは主に攻撃・回復・補助など戦闘に扱えるもののほか、ダンジョン内の特定のポイントで使うことでアイテムを採取できるというスキルも存在する。
レベル上限は70とゲームのボリュームの割にはやや低く、これは最強の状態になっても戦闘に緊張感を保つための調整とされている。キャラクターはレベル30を超えるとギルドで休養及び引退が可能となる。休養はキャラクターのレベルを10低下させスキルポイントを振り直すことができ、引退はそのキャラクターの能力をある程度継承した新キャラクターを作成できる。引退した時のキャラクターのレベルが高ければ高いほど、次世代のキャラクターの初期スキルポイントとステータスボーナスが増える仕組みになっている。
続編となる『II』ではレベル上限まで育てた上で引退すると、レベル上限が1つ上がったキャラを作成可能。これを繰り返すことでLv99まで上げることが出来るが、時間と根気が要る作業である。また、『III』、『IV』、『新』においても特定の条件を満たすことによってレベルの上限を引き上げることが可能となっている。
基本的にはオーソドックスなターン制システムを採用している。特に敵モンスターは一枚絵の表現でアニメーションなどもなく画面を彩るのは主にスキルや攻撃のエフェクトのみ、ダメージを受ければ鈍い衝撃音と共に画面が揺れるなど演出面でも極めて古典的な仕上がりとなっている。
スキルを使うなどの条件でBOOSTゲージが上昇していき、これが最大になると次に使ったスキルの効果や行動を強化するという「BOOST」コマンドが使用できる。
スキルには個別に発動速度補正が設定されており、その分だけ使用したキャラクターの行動速度に対して補正が加わる。そのため、たとえどんなに素早いキャラクターであろうとも強力なスキルを使おうとすれば行動が遅れ、逆に敵側が強力なスキルを使おうとしている時は敵の行動が遅れ、結果的に味方の行動が早くなる。
HPが無くなった場合は戦闘不能扱いとなる。
通常敵モンスターが戦闘時以外に画面(MAP)に表示されることはないが、特定のマップ上に限りF.O.E(Field on Enemy)と呼ばれる強力なモンスターが出現する。MAP上に火の玉のような画像で表示され、接触することで戦闘に突入する(戦闘に突入することで本来の姿がわかる)。このモンスターは基本的にその階層で登場するモンスターと比較して数段上の強さに設定されており、接触しないように避けて進むことが求められる箇所が多い。逆に倒さないと先へ進めないといった箇所も存在する。
F.O.Eの行動パターンには、その場を動かないタイプ、特定の箇所を巡回するタイプ、視界に入るなどの条件を満たすとアイコンの色が赤くなり、プレイヤーを追跡してくるタイプなどがある。F.O.Eは基本的にプレイヤーがMAPを1歩移動、もしくは戦闘で1ターン経過するごとに1歩移動する。
F.O.Eに接触すると戦闘となるが、この際F.O.Eの背後から接触するとプレイヤーが先制することができ、逆に背後から接触されるとF.O.Eに先制される。またプレイヤーの背後が壁や扉などの移動できない領域で戦闘となった場合、その戦闘では逃げることができなくなる。F.O.Eの行動範囲内で通常戦闘を行っているときにF.O.Eがプレイヤーに接触してくる可能性もあり、この場合、通常の戦闘にF.O.Eが合流した勢力が敵モンスターの勢力となり、戦闘が継続される。また、稀に戦っているモンスター全てを全滅させ、そのF.O.Eのみとの戦いになることがある(これによって倒れたモンスターの経験値等は入らない)。
ダンジョンより持ち帰ったアイテムを売却することで、それらを素材とした新しい武具やアイテムが商店と施薬院で売り出される。ストーリーを進行し、多くのモンスターを倒したり、各種採集を行うことで、ラインナップが充実していくシステムとなっている。
何の変哲もない小さな街「エトリア」。「世界樹の迷宮」と呼ばれる巨大な大地の裂け目から広がる地下樹海が発見され、執政院からお触れが出されたことで多数の冒険者が街を訪れ、大きな街へと発展してきた。しかし、訪れた冒険者の1人たりとも迷宮を踏破することができなかった。そして今、迷宮を踏破し、富と名誉を目指す若者(プレイヤー)が街の門をくぐるところからゲームは始まる。プレイヤーは街の冒険者ギルドに新たにギルドと仲間に加える冒険者を登録し、統治機関から与えられる指令を遂行しつつ迷宮の奥深くへと進んでいくことになる。迷宮内で新たなモンスターやアイテムを発見することで、街の商店等の施設が充実していく。迷宮の探索を続けるにつれ、腕の立つ2人の冒険者・レンとツスクル、執政院の長・ヴィズルとの出逢いを通し、世界樹の迷宮の真実へと近づいていくことになる。
声はドラマCD版のキャスト。
ディレクターの新納一哉は、開発当初は全ての要素を遊び終えるのにかかる時間を20時間程度にしようと考えていたが、結果的には40時間程度に膨らんだ[3]。敵との戦いに関しては、味方側の体力上限値を超えるようなダメージを与えてくる敵を用意している[3]。これに関して新納はシステムが破綻しているが、要素の組み合わせによって、生存できるように調整しており、そのようなゲームのバランス調整に多くの時間を割いたと語っている[3]。
ゲーム内には昼夜の概念が存在し、新納は当初は昼と夜で異なるゲームにしようと考えていたが、開発が進むにつれて焦点がずれてきたために予定より大幅に要素を削減したと語っている[4]。
敵との戦いに敗れて全滅した際にはゲームオーバーとなるが、その際キャラクターや所持品を失うのは開発当時のゲーム市場には厳しすぎるシステムな上、本作の「全滅を楽しんで欲しい」というコンセプトからも外れるため導入は見送られた[4]。当初はマップもリセットされる予定だったが、『ウィザードリィ』経験者であるファミ通の編集長にプレゼンテーションした際、「自分の描いた方眼紙の地図は消えなかった」ことから「全滅してもマップは残して欲しい」と言われ、リセットされないようにした[4]。
データ保存は街の宿屋で行われるが、中断に関しては、本作は手書きマップなどの大容量のデータが多い上、データ破損に備えたバックアップを用意した関係で容量不足となり、導入できなかった[4]。また新納は『ファイナルファンタジーIII』と『ドラゴンクエストIII』を例に挙げ、ボスまでの道中でコストを抑えていく[注 1]のも遊びの1つであることも中断を導入しなかった理由として語っている[4]。
ダンジョン内の宝箱には罠は仕掛けられていない理由は『ウィザードリィ』では罠を解除するためにシーフが必須であるが、新納にとって、たいして強くないシーフを、宝箱の罠解除のためだけにパーティーに入れないければいけないのは嫌だったからである[5]。
パーティーの人数の上限を5人にしたのは、6人だとなんでもできるパーティとなってしまい、4人では攻撃と回復以外の余裕がないが、5人であれば、5人目に自由な役割をもたすことができると考えたためである[5]。
本作のジャンルは3DダンジョンRPGであるが、新納の周囲にもダンジョンRPGを理解している人があまりおらず、新納は『ウィザードリィ』と同じであることを説明しても、『ウィザードリィ』自体を理解してもらえなかったと語っている[6]。本作はそのようなダンジョンRPG初心者であっても遊べるとし、新納としては開発当時のRPGが「色々ヘビーすぎて、社会人になってからは最後までプレイし続けられない事が多い」という考えから、「今のゲーム市場だとこんなゲームの企画は通らない」と思いながらも、本作のような作品を求めている人もいることを会社に主張して発売させることができた[6]。また新納は携帯ゲーム機向け作品であることからも、長く遊べないような人にこそ遊んでほしく、それを前提に調整していると語っている[6]。
音楽は古代祐三が担当しており、新納は本作開発当時FM音源を使用する曲がなかったため、あえてFM音源が主流だった時代のゲーム音楽を今の古代に作ってもらいたいと考えた[6]。
本作は『ウィザードリィ』とは異なり、キャラクターグラフィックが取り入れられている。キャラクターに関して、新納は本作開発当時に萌え志向なイラストが増えてきていることに関して、意識はしていたと語っているが狙ったわけではなく、男女ともに「かわいい」と思ってくれるデザインを意識して採用したと広報の宇田洋輔は語っている[7]。新納は携帯ゲーム機であるために「絵にメリハリをつけないとデザインが死んでしまう」との考えにより、黒ベタを使用するデザイナーを検討した結果、日向悠二に決めた[7]。
なお、ディレクターの新納は『世界樹の迷宮』の製作を最後にアトラスを2007年2月に退社している。退社後は『ルミナスアーク』等を開発したイメージエポックを経て、現在はスクウェア・エニックスに所属。
豪華ブックレット付きアウトテイクミニサントラ。
本作のBGMはPC-8801のFM音源からサンプリングした音色をメインに据えた構成となっている[8]。 そのため、2007年3月21日に発売されたオリジナル・サウンドトラックはDS音源版とPC-8801 FM音源版の2枚組という珍しい形となっている。
2007年9月7日発売。ゲームの世界観をベースにしたオリジナルストーリーで樹海探索に行って戻らない兄・クレイの後を追い、新米メディックのミルが樹海に挑む。BGMはゲームと同じものを使用し、スキルの概念や「殴りメディ(肉弾戦を得意とするメディック)」等のゲーム用語も登場する。
「世界樹の迷宮 〜去りゆくモノたちへの鎮魂歌〜」のタイトルでファミ通文庫(エンターブレイン)から2007年11月30日に発売している。筆者は嬉野秋彦。イラストは日向悠二。
エトリアの街の冒険者ゼノビアのパーティーは、ある冒険でパーティーのメディック・グラーフが命を落としたため、解散の危機に瀕していた。代わりの回復役を見つけるために奔走するゼノビアだが、ある時酒場で働いている給仕の少年・カミルが冒険者、しかも回復ができるバードであることを知り、パーティーへと勧誘するが……。一方同じ頃、冒険者たちを2層で足止めしている「森の王」と呼ばれる強力なモンスターを排除するために、執政院から賞金がかけられていた。
詳細は世界樹の迷宮SRSを参照。
エンターブレインから2010年3月に発売。著者は遠藤卓司/F.E.A.R.。スタンダードRPGシステム(SRS)を用いて制作された。『世界樹の迷宮』をベースに作られているが、一部のデータには『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯』の要素が組み込まれている。
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