日本経済団体連合会
日本の業界団体 ウィキペディアから
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一般社団法人日本経済団体連合会(にっぽんけいざいだんたいれんごうかい、英語: Japan Business Federation)は、日本の大手企業を中心に構成された経済団体(利益団体)である。略称は「経団連」。
経団連会館 | |
団体種類 | 一般社団法人 |
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設立 | 1961年6月29日 |
所在地 |
日本 東京都千代田区大手町一丁目3番2号 経団連会館 北緯35度41分19.2秒 東経139度45分48.6秒 |
法人番号 | 1010005018440 |
起源 | 経済団体連合会、日本経営者団体連盟 |
主要人物 | 会長 十倉雅和 |
活動地域 | 日本 |
主眼 | 日本経済の発展を促進 |
活動内容 | 経済法制、金融資本市場の整備 |
収入 | 65億円(2020年度) |
従業員数 | 228人 (2022年現在) |
会員数 |
企業会員:1,494社 団体会員:155 特別会員:33 (2022年4月1日現在) |
ウェブサイト |
www |
日本商工会議所、経済同友会と並ぶ「経済三団体」の一つで、その中でも影響力は際立って大きく、会長は「財界総理」と称される[1]。かつては経済産業省所管の社団法人であったが、公益法人制度改革に伴い内閣府所管の一般社団法人へ移行した。会員のメンバーは三極委員会の出席者と重複することがある。
経団連は、2002年5月28日、経済団体連合会(1946年8月16日発足)が、日本経営者団体連盟(以下「日経連」。1948年4月12日発足)を統合して発足した団体である[2][3]。
「企業の価値創造力強化、日本と世界の経済の発展の促進」を目的としている[2]。経営者の意見の取りまとめ、政治・行政・労働組合・市民などとの対話、会員企業への憲章遵守の働きかけ、各国政府・経済団体や国際機関との対話をしている[2]。
東証プライム上場企業をはじめ、日本経済の有力企業が多く加盟しているため、その利害が社会問題に対する見解や主張に反映されている。「経団連成長戦略」などの経済発展、企業利益増加を図る政策の提言を行っていて、自由民主党に政治献金を行い、政界・経済界に大きな影響力を持った組織と言われている。経団連の事務局職員は官僚になぞらえて「民僚」と呼ばれ[4]、会長が出身企業から連れてくる政策担当スタッフと共に、会長の記者会見の想定問答や政策提言の文案の作成などの事務作業を一手に引き受ける。
1922年(大正11年)8月1日に井上準之助、内藤久寛、池田謙三(第百銀行頭取)、中島久万吉、井坂孝、串田万蔵、大橋新太郎、藤山雷太、和田豊治、郷誠之助、団琢磨の11名を発起人として日本経済聯盟会(経済聯盟)が結成され[5]。1923年(大正12年)に日本工業倶楽部にて財界から代表者が出席し、第一回会議総会が開催された。
もともと、経団連は日本の経済政策に対する財界からの提言及び発言力の確保を目的として結成された組織であり、日経連は労働問題を大企業経営者の立場から議論・提言する目的で結成された組織であって健全な労使関係を哲学としていた。加盟企業のほとんどが両者で重複しており、日経連は労使間の対立の収束とともに役割を終えつつあるとの理由から統合された。
会長については「日本の中心となる産業」の「中心となる企業」のリーダー(社長・会長・相談役)から選ばれる傾向にあり、歴代会長は原則として製造業のトップが就くという暗黙のルール[8] がある。また「会長としての適性」、「会長活動に必要な資金を企業が捻出できるか」などを判断の上で決定される。会長は俗に「財界総理」[9]、「財界天皇[要出典]」とも呼ばれる。会長は後任や副会長を選ぶ事実上の権限を持つ[8]。なお、経団連会長職はかなり多忙な役職であるため、歴代の多くの会長は就任時に出身企業の会長(もしくはそれに類する役職)に就任し、出身企業の経営自体は社長など後任に任せているケースが多い。
副会長については、各産業(製造業・非製造業)のバランスを考えて選ばれる。現職副会長から次期会長を選ぶのが慣例である[8][注釈 1]。また、審議員会議長(旧評議員会議長)は経団連におけるいわゆるナンバー2のポストとされ、主に非製造業のトップが務める。
経団連首脳(会長・副会長)には共通点があり、2018年時点で全員が男性、60代以上、転職経験なし、サラリーマンとして経営トップに上り詰めたサラリーマン経営者である[8][10][注釈 2]。若者や女性が少なく単一的な首脳人事に対し、多様性がないと批判されている[10]。
役職 | 氏名 | 所属 |
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会長・代表理事 | 十倉雅和 | 住友化学会長 |
副会長・理事 | 東原敏昭 | 日立製作所会長 |
橋本英二 | 日本製鉄会長 | |
津賀一宏 | パナソニックホールディングス会長 | |
南場智子 | ディー・エヌ・エー会長 | |
小路明善 | アサヒグループホールディングス会長 | |
永野毅 | 東京海上ホールディングス会長 | |
遠藤信博 | 日本電気特別顧問 | |
小堀秀毅 | 旭化成会長 | |
永井浩二 | 野村ホールディングス会長 | |
筒井義信 | 日本生命保険会長 | |
澤田純 | 日本電信電話会長 | |
垣内威彦 | 三菱商事会長 | |
泉澤清次 | 三菱重工業社長 | |
野田由美子 | ヴェオリア・ジャパン会長 | |
亀澤宏規 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ社長 | |
長澤仁志 | 日本郵船会長 | |
髙島誠 | 三井住友銀行会長 | |
兵頭誠之 | 住友商事会長 | |
吉田憲一郎 | ソニーグループ会長 | |
事務総長・代表理事 | 久保田政一 | |
専務理事・業務を執行する理事 | 椋田哲史 | |
根本勝則 | ||
常務理事・業務を執行する理事 | 藤原清明 | |
井上隆 | ||
原一郎 | ||
長谷川知子 | ||
監事 | 内田晴康 | |
土岐敦司 | ||
役職 | 氏名 | 所属 |
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審議員会議長 | 冨田哲郎 | 東日本旅客鉄道会長 |
副議長 | 早川茂 | トヨタ自動車副会長 |
大橋徹二 | コマツ会長 | |
菰田正信 | 三井不動産会長 | |
安永竜夫 | 三井物産会長 | |
時田隆仁 | 富士通社長 | |
小坂達朗 | 中外製薬特別顧問 | |
魚谷雅彦 | 資生堂会長 | |
満岡次郎 | IHI会長 | |
西澤敬二 | 損害保険ジャパン会長 | |
安川健司 | アステラス製薬会長 | |
原典之 | 三井住友海上火災保険会長 | |
柿木真澄 | 丸紅社長 | |
稲垣精二 | 第一生命ホールディングス会長 | |
内田高史 | 東京ガス会長 | |
井上和幸 | 清水建設社長 | |
漆間啓 | 三菱電機社長 | |
中田誠司 | 大和証券グループ本社会長 | |
石井敬太 | 伊藤忠商事社長 | |
次原悦子 | サニーサイドアップグループ社長 | |
(2024年5月31日現在)
(2019年7月1日現在)
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※初代の諸井貫一から3代目加藤正人までは『代表常任幹事』制を採用。 |
代数 | 歴代評議員会議長 | 所属企業 | 在任期間 |
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初代 | 斯波孝四郎 | 日本海事協会 | 1946年8月16日 - 1948年3月16日 |
2代 | 高橋龍太郎 | 日本商工会議所 | 1948年3月16日 - 1952年3月27日 |
3代 | 石坂泰三 | 東京芝浦電気 | 1952年3月27日 - 1956年2月21日 |
4代 | 菅礼之助 | 東京電力 | 1956年5月24日 - 1968年5月24日 |
5代 | 佐藤喜一郎 | 三井銀行 | 1968年5月24日 - 1974年5月24日 |
6代 | 河野文彦 | 三菱重工業 | 1974年5月24日 - 1980年5月23日 |
7代 | 岩佐凱実 | 富士銀行 | 1980年5月23日 - 1986年5月28日 |
8代 | 山下勇 | 三井造船 | 1986年5月28日 - 1990年12月21日 |
9代 | 松澤卓二 | 富士銀行 | 1990年12月21日 - 1994年5月27日 |
10代 | 齋藤裕 | 新日本製鐵 | 1994年5月27日 - 1998年5月26日 |
11代 | 関本忠弘 | 日本電気 | 1998年5月26日 - 1998年10月23日 |
12代 | 那須翔 | 東京電力 | 1999年5月25日 - 2002年5月28日 |
代数 | 歴代評議員会議長〔審議員会議長〕 | 所属企業 | 在任期間 |
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初代 | 那須翔 | 東京電力 | 2002年5月28日 - 2002年9月9日 |
2代 | 森下洋一 | 松下電器産業 | 2003年5月27日 - 2006年5月24日 |
3代 | 西室泰三 | 東芝 | 2006年5月24日 - 2008年5月28日 |
4代 | 米倉弘昌 | 住友化学 | 2008年5月28日 - 2010年5月27日 |
5代 | 渡文明 | JXホールディングス | 2010年5月27日 - 2014年6月3日 |
6代 | 岩沙弘道 | 三井不動産 | 2014年6月3日 - 2018年5月31日 |
7代 | 古賀信行 | 野村ホールディングス | 2018年5月31日 - 2022年5月31日 |
8代 | 冨田哲郎 | 東日本旅客鉄道 | 2022年6月1日 - |
※2012年4月より、審議員会議長。 |
この節は中立的な観点に基づく疑問が提出されているか、議論中です。 (2012年9月) |
設立当初から、東芝(傘下にウェスティングハウス・エレクトリック)、日立(関連企業にGE日立ニュークリア・エナジー)、三菱重工業など原子力プラントに技術力をもつ企業や日本の主要電力会社(東京電力、中部電力など)が経団連に参加している。なお、3.11の東日本大震災以降、エネルギー政策の見直しや脱原発運動が高まる中、経団連内部においても再生可能エネルギーの普及を推進するソフトバンクや、電力会社のあり方に疑問を呈する楽天など一部の会員企業から経団連の原子力推進姿勢の堅持に対して内部批判を受けたが、現執行部は少数意見だとしている。 なお、楽天は2004年に加盟したが、経団連が発送電分離や独占自由化に対して後ろ向きであることが原因で[39]、2011年6月に退会した[40]。
イギリスの気候変動シンクタンクであるインフルエンス・マップによると、経団連に所属するごく一部(日本のGDPの10%)の電力、鉄鋼、自動車、セメント、電気機械、化石燃料産業による火力発電の増強を求める強力なロビー活動が反映されているため、日本の気候政策はIPCCやパリ協定の目標と一致しない[41]。
経団連の原発政策に関するスタンス
経団連は、会員企業が政治献金を行う際の政策評価基準となる「政策評価」を年度毎に発表している。税財政など複数の項目に対し最も評価が高い「A」から最も評価が低い「E」まで、アルファベットでランク分けされているのが特徴である。以前は共産党などの少数政党の評価もしていたが、最近は自民党と民主党の評価のみを発表している(共産党は財界団体が政党を比較評価すること自体を非難し、財界が金で与党を支配している実態があらわになったものだと主張している)。
2007年度の政策評価は自民党は去年と代わらず高い水準だったが民主党への評価は6項目で評価が下がるなど、大幅ダウンとなった。特に民主党の雇用、労働政策には「ホワイトカラーエグゼンプションに絶対反対の立場をとっており、労働者の均等待遇原則や有期契約の規制強化等を盛り込んでいる」と激しく批判しており評価も「D」という低いものだった[49]。
また、2007年2月23日に行われた衆議院予算委員会の中で共産党の佐々木憲昭は、経団連が自民党に対し2004年に22.6億円、2005年の25億円の政治献金をしていると述べ自民党に対する政策評価表の中にある「A」の数と献金額が比例して増えている事から「経団連の言いなりになればなるほど献金額が増えている」「官邸が経団連に直接支配されている」と批判している[50]。
元民主党代表の岡田克也も、「政策の合致度によって、献金額を決めるのは贈収賄の問題になりかねない、かなりきわどい問題だ」「経団連という1つの経済界の団体が、そういう形で各企業の政党に対する献金について、いわば介入をするというやり方が、決して良いとは思わない」と批判している[51][注釈 3]。
2010年3月8日、この“政策評価に基づく献金”を取り止め、各企業ごとの自主的判断に任せる旨の声明を出した一方で、アメリカ合衆国などを参考に、個人献金の拡大策を検討し、政府に働きかける意向を示した[46]。しかし前述の通り、2014年9月に再び政策評価に基づく献金を再開すると発表した。
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