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日本の映画 ウィキペディアから
『人造人間ハカイダー』(じんぞうにんげんハカイダー)は、東映スーパーヒーローフェアの一環として1995年4月15日に公開された特撮映画。英題はROBOMAN HAKAIDERもしくはMechanical Violator Hakaider。
キャッチコピーは「正義も悪もいらないぜ! オレの名はハカイダー!!」。
1995年4月15日に公開された東映スーパーヒーローフェアの作品の一つ。『人造人間キカイダー』に登場する敵役のロボット、ハカイダーを主人公とした作品である。しかし原典とは設定が大きく異なり、名前とイメージだけを使用したスピンオフ作品である[3]。
プロデューサーは『キカイダー』でもプロデューサーだった吉川進、脚本はキカイダーで前期メインライターであった伊上勝の実子である井上敏樹がそれぞれ起用されている。
公開翌年の1996年に劇場未公開シーンと新規追加撮影シーンを加えた、ディレクターズカット版が公開された。
原作者である石ノ森章太郎が生前に製作に関わった最後の東映特撮作品である。
争いのない奇跡の街ジーザスタウンに、黒い破壊者ハカイダーが現れた。ゲートを破壊して侵入したハカイダーは、迎撃に現れた重武装兵を次々と倒していく。その姿を見た反政府ゲリラのカオルは、ハカイダーを救世主と考える。
重武装兵との戦いで傷ついたハカイダーはカオルに助けられ、ジーザスタウンが元老院の総督グルジェフに支配されていることを知る。しかし、カオル以外のゲリラはハカイダーに興味を示さず、自分たちの欲望のために戦っていた。そのような彼らに対しハカイダーは「お前たちも醜い」と言葉を投げかける。そこへ重武装兵を連れた公安司令官ミカエルが現れ、ハカイダーとゲリラたちを一掃する。
瀕死の重傷を負ったカオルはハカイダーと再会し、オアシスへ誘った直後に息絶える。怒りに燃えるハカイダーは、グルジェフの歪んだ心に支配された偽りの平和を破壊するべく、元老院へと向かう。ここにハカイダーとグルジェフおよびミカエルとの決戦が始まるのだった。
絶海の孤島にある監獄に封印に近い形で幽閉されていた戦闘型人造人間。トレジャーハンターたちが監獄に侵入したことで、トレジャーハンターを皆殺しにしつつ永い眠りから覚醒する。元々はジーザスタウンの治安維持用にグルジェフに開発されたロボットだったが、如何なる手段を用いても制御不可能であったために廃棄処分が決定し、処分寸前に数名の科学者によって盗み出され行方不明となっていた。非戦闘時にはリョウと呼ばれる人間形態に変身する。
人間形態では人語を発しないが、戦闘形態では人間の感情を理解しているかのような発言をする。信念をもつ者には思いやりをもって優しく接するが、信念をもたない者には容赦がなく、他人の自由を奪う者に対しては、それが自分とは無関係であっても不快感を示す。物語終盤では、カオルに対して深い思いやりを見せる。人間形態では食事も可能だが、食物からエネルギーを摂取しているわけではなく、酸素と反物質を対消滅させて動力をまかなっている。
その戦闘能力は驚異的で、重装武兵程度の改造人間は束になっても敵わず、まして人間ではパンチの一撃にさえ耐えられず死に至る[注釈 1]。ハカイダーの発展型であるミカエルには機能面・性能面というスペックでは著しく劣るものの、突撃力や防御力、そして破壊力ではハカイダーの方が勝っている。激昂すると、周囲の物質や触れた物体を燃焼させる能力も見せる。何かを思いやる気持ちや怒りの感情でその能力は急激に上昇するため、ポテンシャルは未知数である。気分が高揚すると、人間の脳髄のような電子頭脳が紅く発光する。また自己修復機能を有しており、破損部位は時間とともに修復される。
ミカエル ROBOMAN MICHAEL | |
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別名 | 超高性能戦闘用人造人間 |
全高 | 220 cm |
重量 | 345 kg |
パンチ力 | 20 t |
キック力 | 35 t |
ジーザスタウン公安司令官。自我が芽生えたために廃棄されたハカイダーの代わりに開発されたロボットで、出自としてはハカイダーの弟にあたる[4]。軍事・警察といった治安維持の一切を取り仕切る超高性能戦闘型ロボットである。ハカイダーの発展型であるために、スペック上ではハカイダーを遥かに上回り[注釈 3]、最終決戦においてその能力が垣間見られる。ハカイダーのような人間形態に変わる機能はなくベースカラーもハカイダーの黒と対照的に白色となっている。一人称は「私」。グルジェフの命令のみに従い、彼の語る正義を信じて疑わない。
犯罪者の自殺を阻止するなど生命の大切さと尊さを理解している一方で、ハカイダーとの戦闘で生き残った重装武兵を「戦って死ななかった」という理由でその場で処刑するという残忍な一面を持つ[注釈 4]。また、ハカイダーとの決戦ではハカイダーショットを奪い、弾丸を抜いてから銃身で殴りつけるという陰湿な行為も平然と行う。ハカイダーに対してライバル心的な感情を見せるなど、様々な顔を見せる。
最終決戦においてハカイダーとの激しい攻防を繰り広げ、敗北寸前まで追い詰めるが怒りの感情により急速にスペックが上昇したハカイダーにより、右腕をアームショットで打ち落とされ、エンジェルウィングを引き千切られ、首を脊髄ごと引き抜かれ、破壊される。
ハカイダーによって首をもぎ取られて破れた後、グルジェフの所有していた戦車マシン[4]と合体し、ミカエル戦車となる。ミカエルの意識は消え、グルジェフの持つリモートコントローラーによって操られている。
形状からして小型戦車と言うよりも二足歩行戦車に近く、ミカエルの首を移植され、長い首を持った異形の怪物のように描かれている。ハカイダーを(ヘルズシザースで捕らえて地面や壁に叩き付けたり、ヘルズキャノンで右腕を打ち落としたりと)追いつめるも、最後はアームショット[注釈 7]に敗れ爆発する。破片(頭部とヘルズキャノンの一部)はグルジェフの所へ飛び散り、頭部はグルジェフ死亡後、意識を持って「…私は…正義…」と台詞を繰り返した。
ジーザスタウン元老院の総督。口では平和と市民への愛を謳っているが実際は尊大で傲慢な性格の持ち主であり、市民のことも自分の意に従い続けるからこそ美しいと言って憚らない。平和というのも自分に逆らう犯罪者を捕らえて金属チップを埋め込んで洗脳、あるいは抹殺によって成り立つ「偽りの平和」である。しかしながらジーザスタウンのほとんどの市民は彼の恐怖政治と偽りの平和とをおおむね受け入れている状態にあり、そのことを自分の成し遂げた成果として強い陶酔を覚えている。自分の支配力をさらに強めるためにハカイダーを作らせたが制御できず廃棄し、新たにミカエルを作らせる。ミカエル戦車をも破壊され、拳銃も通用しない[注釈 8]ハカイダーに惨めに狼狽する姿に、ハカイダーから「殺す価値など無い」と唾棄され見逃される。だが、懲りずにミカエル戦車にあったヘルズキャノンでハカイダーを背中から撃とうとしたため、彼のパンチを腹に受けて死亡した。本編後の世界が舞台のゲーム版ではハカイダーと同タイプのボディを移殖して復活を遂げる。
元老院の親衛隊である改造人間。ミカエルが指揮する。元は人間だったが頭脳と肉体を改造されており、自らの意志を持たない兵器と化している(劇中では「上から命令されただけ」とハカイダーに命乞いをする描写がある。ただし、その後に「自分の意志を持たぬ者に生きている価値など無い」と一蹴されている)。一定の周期で本部でエネルギーの補充が必要であるが、本部中枢のコントロールユニットを破壊されるとほとんどの個体が行動不能に陥る。二つのタイプがあり、寸胴な体躯をした小隊長クラスとスマートな体躯をした一般兵士クラスがある。
反政府ゲリラが使用する武器でも倒せるほど脆弱であるが、その数による圧倒的な質量攻撃は効果的で、不意の攻撃とはいえハカイダーを機能停止に追いやる。
ジーザスタウンを統括する元老院転覆をたくらみ、ゲリラ活動を行う集団。軍資金調達のために現金輸送車から現金を強奪する際重武装兵と戦うハカイダーと遭遇、傷ついたハカイダーを保護する。
元老院転覆を謳うがその実、自らが新たな支配者として君臨しようと企んでいる。そのためにハカイダーに「醜い」と言われる。ハカイダーを追う重武装兵にアジトを襲撃され、全滅させられる。
元老院議長であるグルジェフが築き上げた現代のエデンと言われる近未来の「理想都市国家」[4]。分厚い隔壁で覆われた都市は外界と完全に遮断され、一見、秩序に守られた平和な街を装っている。しかしその実、重武装兵を始めとした圧倒的な武力によってグルジェフがジーザスタウンの市民を支配している。グルジェフの執務室にはジーザスタウンの情報を伝えるモニターが設置されており、市民はグルジェフによって四六時中、監視されている。劇中グルジェフはジーザスタウンが設立されてから三回目の記念日だと発言する。
ジーザスタウンはグルジェフが議長を務める元老院のもと、公安司令官であるミカエルが国境警備隊、元老院親衛隊「重武装兵」、公安警察「ジーザススワット」を指揮するという組織となっている(劇中ではグルジェフ以外の元老院議員、ジーザススワットは登場しない)。
ジーザスタウンを見下ろすようにそびえ建つ元老院本部の中枢にはセキュリティーユニット、重武装兵管理コントロールシステムが設けられている。厳重な警備によって護られている本部であるがこれが弱点となっており、中枢部を破壊された場合、重武装兵の大半は行動不能に陥る(ハカイダーが元老院本部へ乗り込む際の先制攻撃でやられる)。
1996年に発表された完全版。約26分の劇場未公開映像を追加して合成をやり直し[2]、通常版ではエンドロールに挿入されていた映像が本編に組み込まれている。これによって、劇場版では唐突に出て来た台詞が自然な流れの中で出て来るように改善されたり、登場人物の感情を理解しやすくなったりしている。また、ミカエル戦車との戦闘シーンでは、新設定の武器「破壊砲」が登場している[2]。音楽も一部手直しされており[2]、主題歌は使われていない[注釈 9]。
2014年に東映チャンネルで放映された。
4誌に掲載されたが全て未単行本化。
『人造人間ハカイダー -ラストジャッジメント-』というタイトルで、セガサターン用ゲームソフトとしてセガより1996年12月27日に発売された。セガサターン用ガンコントローラ「バーチャガン」対応のガンシューティングゲームで、アドベンチャーゲーム要素も多少ある。
ストーリーは映画の続編になっており、井上敏樹が新たにストーリーを作成した。「ラストジャッジメント」という副題は、元々は映画の副題として考えられていたもの。エンディングムービーの実写シーンは本ゲームの為に撮り下ろされており、当時では新人だった女優の秋本祐希がカレン(ビジンダーの人間態)役として出演している。
ハカイダーがグルジェフとミカエルを倒し、その戦いから10年。ジーザスタウンの新たな支配者ギルに従うことを拒否したハカイダーは刺客ワルダーに敗れ、右腕を奪われる。予備の右腕を付けたハカイダーは、奪われた右腕と己の誇りを取り戻すために再びジーザスタウンへ向かう。
ハカイダーは戦闘形態のみの登場。予備の右腕にはアームショットが装備されていないため、ハカイダーショットのみで戦う。弾丸は4種類あり、それぞれ威力や一度に装填できる弾数が異なるため、状況によって使い分ける必要がある。破壊砲も使用できないがゲーム中では特に理由は説明されていない。
映画版の敵であるミカエルやグルジェフが復活し、再びハカイダーと戦う。また、プロフェッサー・ギル、ワルダー、ビジンダーなど『人造人間キカイダー』『キカイダー01』のキャラクターが設定を変えて登場。また、ギル配下のロボットのネーミングパターンは『キカイダー』に登場したダークロボットと同じである。映画からの再登場となったキャラクターは原則映画と同じ役者が声を担当しているが、グルジェフの声は三木真一郎に変更されている。また、ワルダーの声は『キカイダー01』でワルダーを演じた渡部猛。
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