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1997年のスパイ/アクション映画 ウィキペディアから
『トゥモロー・ネバー・ダイ』(原題: Tomorrow Never Dies)は、ロジャー・スポティスウッド監督の1997年のスパイアクション映画。映画「ジェームズ・ボンド」シリーズ第18作。米国では『ゴールデンアイ』の収益を上回り、1997年の映画の世界興行成績で、第4位を記録した[4]。
トゥモロー・ネバー・ダイ | |
---|---|
Tomorrow Never Dies | |
監督 | ロジャー・スポティスウッド |
脚本 | ブルース・フィアスティン |
原作 | イアン・フレミング |
製作 |
マイケル・G・ウィルソン バーバラ・ブロッコリ |
出演者 |
ピアース・ブロスナン ジョナサン・プライス ミシェル・ヨー テリー・ハッチャー ジョー・ドン・ベイカー リッキー・ジェイ ゲッツ・オットー デスモンド・リュウェリン ヴィンセント・スキャベリ ジョフレー・パーマー コリン・サーモン サマンサ・ボンド ジュディ・デンチ |
音楽 | デヴィッド・アーノルド |
主題歌 |
「トゥモロー・ネヴァー・ダイ」 シェリル・クロウ |
撮影 | ロバート・エルスウィット |
編集 |
マイケル・アルカン ドミニク・フォーティン |
製作会社 |
ダンジャック イーオン・プロダクションズ メトロ・ゴールドウィン・メイヤー ユナイテッド・アーティスツ |
配給 |
MGM Distribution Co. UIP |
公開 |
1997年12月12日 1997年12月19日 1998年3月14日 |
上映時間 | 119分 |
製作国 |
イギリス アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $110,000,000 |
興行収入 |
$339,504,276[1] $125,304,276[2] |
配給収入 | 8億5000万円[3] |
前作 | ゴールデンアイ |
次作 | ワールド・イズ・ノット・イナフ |
イギリス諜報部MI6はロシア当局と合同で、ロシア国境における武器取引マーケットの調査を行っていた。侵入したボンド(ピアース・ブロスナン)の撮影した映像から、大量の武器と日本人テロリストの磯倉聡やアメリカ人のテロリストのヘンリー・グプタ(リッキー・ジェイ)をはじめとする危険人物が集まっていることを確認したMI6は、ロシア側の合意により、取引現場を破壊すべくイギリス海軍艦艇から巡航ミサイルを発射する。ところが、市場の商品の中に核魚雷があることが判明、ミサイルはすでに母艦から距離が離れすぎていたため自爆指令電波が届かず、ボンドには退避命令が出される。だが、ボンドは命令を無視して核魚雷を搭載した攻撃機もろとも確保して飛び去り、直後にミサイルが取引現場を破壊した。チェルノブイリ以上の核汚染は阻止されたが、この代償として現場にいた危険人物の1人、ヘンリー・グプタは逃走してしまう。
その後、南シナ海の中華人民共和国の沿岸の「公海上」を航行していたイギリス海軍の23型フリゲート「HMSデヴォンシャー」が、中国人民解放軍空軍のミグ戦闘機による領海侵犯の警告を受け、謎のステルス艦によって海中からの攻撃を受け沈没した。ステルス艦は中国軍のミグ戦闘機も撃墜した上に、脱出したフリゲート艦の乗組員たちを「中国製の銃」を使って皆殺しにした。
HMSデヴォンシャーは実際には中華人民共和国の領海内を航行していたが、なぜか艦内のレーダーには領海から離れた公海上を航行していると表示されていた。また同時にシンガポールのMI6支局は、不可思議なGPS電波が発信されていたことを掴んでいた。さらに、HMSデヴォンシャーからの「公海上で中国人民解放軍空軍機の魚雷攻撃を受け撃沈された」との電文を受けたばかりのイギリス海軍本部・国防省とM(ジュディ・デンチ)、および首相らが事実関係の確認に追われている最中にもかかわらず、なぜかエリオット・カーヴァー(ジョナサン・プライス)率いるメディア・コングロマリット「カーヴァー・メディア・インターナショナル」が発行するイギリスの新聞「トゥモロー」上に、「公海上を航行するイギリス海軍艦と中国人民解放軍のミグ戦闘機が交戦し、イギリス海軍艦が撃沈され乗組員が虐殺された」という記事が掲載される。
「トゥモロー」が伝えるHMSデヴォンシャーの「公海上」での撃沈と乗組員の虐殺に激怒した国防大臣は、イギリス海軍艦隊の中華人民共和国への派遣を命じるものの、「トゥモロー」の早すぎる記事の掲載と不可思議なGPS電波の発信に疑問を抱いたMはこれに反論する。これを受けて国防大臣は、艦隊が現場海域に着くまでの48時間を保留期間とし、事実関係の調査を命じた。Mはボンドをカーヴァー主催のパーティーが行われるハンブルクに派遣する。現地空港でQ(デスモンド・リュウェリン)からボンドカーを受け取ったボンドは、銀行員を装ってパーティー会場に潜入し、カーヴァーのみならず、かつて関係を持っていたカーヴァー夫人パリス(テリー・ハッチャー)に近付く。ボンドとパリスが親しげに言葉を交わすのを見たカーヴァーは、配下のスタンパー(ゲッツ・オットー)に命じてボンドを別室で痛めつけさせる。しかし警備員たちを返り討ちにしたボンドが会場の電源を落とし、カーヴァーのスピーチは台無しになる。カーヴァーはボンドとパリスの会話やボンドの偽装身分を調べ、彼が政府系のエージェントであることに気付く。
宿泊先のホテル・アトランティークを訪ねてきたパリスから情報を得たボンドは、カーヴァーのハンブルク本部ビルの最上階に侵入し、実はカーヴァーに雇われていたグプタの部屋からレーダーの座標を狂わせるGPS暗号機を奪う。その場を脱出しようとしたボンドは、パーティーの席で新華社通信の記者と名乗っていた中華人民共和国国外安保隊員ウェイ・リン(ミシェル・ヨー)と鉢合わせする。侵入者に気付いた警備員たちから追われた末に、二人は別々に脱出する。カーヴァーの逆鱗に触れたパリスは、カーヴァーに依頼された殺し屋でスタンパーの師匠でもあるDr.カウフマン(ヴィンセント・スキャベリ)によって、ホテル・アトランティークで殺されてしまう。ボンドはカーヴァーからの電話で示唆されたホテルの部屋でパリスの遺体と対面を果たし、カウフマンに心中を装って殺されそうになるが、一瞬の隙を突いてカウフマンを倒す。その後カーヴァーの部下たちに追われるが、ボンドカーを駆使したカーチェイスの末に脱出した。
ボンドは沖縄県のアメリカ軍基地に飛び、CIAのジャック・ウェイド(ジョー・ドン・ベイカー)の協力で、デヴォンシャーが沈んでいることが判明した南シナ海へ向かう。公海上空から単身降下したボンドはベトナム領海内の海底にデヴォンデャーを発見、その喫水下には魚雷の爆発ではなくカッターで切り取られた孔が開き、艦内のミサイル庫からは巡航ミサイル一発が消えていた。ボンドはやはり艦内を調べに来たウェイと再会するが、海溝に落ちつつある艦から出て浮上した二人はカーヴァーの手下に捕らえられて、ベトナムのサイゴンにあるカーヴァー・メディア・インターナショナルの支局に連行されてしまう。そこで中国軍のチャン将軍と組んでいたカーヴァーの口から、偽のGPS電波でHMSデヴォンシャーを中華人民共和国の領海におびき寄せた上に、HMSデヴォンシャーと中国人民解放軍のミグ戦闘機を自らが所有するステルス艦によって沈没・墜落させたこと、さらにステルス艦からデヴォンシャーから盗み出した巡航ミサイルを用いて北京を攻撃し、情報操作で両国間の戦争を演出して大きな利益を得る計画が語られる。
何とかカーヴァーの元から脱出し、チャン将軍からの刺客も退けた二人は、イギリス海軍と中国海軍が対峙する南シナ海へ向かい、両者の間に潜入しようするカーヴァーのステルス艦に乗り移る。二人は外板に爆弾を仕掛けようとするが、発見されてウェイが捕まってしまう。しかしボンドが艦の内側で爆発を起こして外板を破損させたことで、英海軍23型フリゲート「HMSベッドフォード」はステルス艦を捕捉し、同じく補足した中国軍の了解のもとで砲撃を開始。ボンドは乗組員との銃撃戦の後、逃亡しようとしていたカーヴァーをステルス艦に搭載されていた水中カッターで押し潰して殺害する。そして、ウェイを人質にとったスタンパーの抵抗を制し、デヴォンシャーから盗み出された巡航ミサイルに爆弾を仕掛けることに成功。スタンパーごと巡航ミサイルとステルス艦を爆破し、ウェイを救い出した。報告を受けたMは、「カーヴァーは所有する船で航行中に行方不明となり、自殺である模様」と情報操作するよう手配するのであった。
アメリカの女性シンガー、シェリル・クロウが起用され、同タイトル曲を歌った。イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位12位を獲得した。さらに、同サウンドトラック・アルバムに収録されたMoby演奏のテーマ曲"James Bond Theme"が、「ミュージック・ウィーク」誌で、最高位8位を獲得しているが、アメリカでは、どちらもチャート入りを果たせなかった。なお、同サウンドトラック・アルバムは、アメリカの「ビルボード」誌アルバム・チャートでは、最高位197位だった。
映画の評判はまちまちで、映画レビューコレクションのウェブサイトである「Rotten Tomatoes」は58%の評価を、類似のサイト「Metacritic」は52%の評価を付けた。「CinemaScore」によって実施された投票では、映画に「A +からF」のスケールで「A-」の平均等級を与えられた。
シカゴ・サンタイムズ、ロジャー・エバートは4つ星の3を与え、「もう少し現代的で、通常よりももっともらしい」悪役が登場し、時々おもしろい場面がある」 「映画にはいつもよりも微妙な風刺が見られた」と評した。評論家ジェームス・ベラーディネリは「多くの年で最高のボンド映画」とし、ブロスナンについて「柔らかな自信を持ち、ショーン・コネリーに非常に似ている。」と記述したしかし、ロサンゼルス・タイムズ、ケネス・トゥランは、この映画は「以前のボンド映画とはほとんど変わらない」と批判し、評論家Charles Taylorは、サイトSalon.comにこの映画は「非人道的なもの」だと書いた。
シェリル・クロウが歌ったタイトル曲は、ゴールデン・グローブ賞「ベストオリジナルソング–映画」と、「映画またはテレビのために特別に書かれたベストソング」のグラミー賞にノミネートされた。また、この映画は、サターン賞で4つのノミネートを受けた。
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | ||
---|---|---|---|---|
ソフト版 | フジテレビ版[11] | テレビ朝日版[12] | ||
ボンド | ピアース・ブロスナン | 神谷明 | 江原正士 | 田中秀幸 |
エリオット・カーヴァー | ジョナサン・プライス | 谷口節 | 小川真司 | 羽佐間道夫 |
ウェイ・リン | ミシェル・ヨー | 松熊明子 | 佐々木優子 | 深見梨加 |
パリス・カーヴァー | テリー・ハッチャー | 相沢恵子 | 田中敦子 | 渡辺美佐 |
グプタ | リッキー・ジェイ | 島香裕 | 宝亀克寿 | 辻親八 |
ローバック | ジョフレー・パーマー | 筈見純 | 藤本譲 | |
M | ジュディ・デンチ | 此島愛子 | 谷育子 | 沢田敏子 |
マネーペニー | サマンサ・ボンド | 加藤優子 | 宮寺智子 | 佐藤しのぶ |
Q | デスモンド・リュウェリン | 田口昂 | 北村弘一 | |
スタンパー | ゲッツ・オットー | 諸角憲一 | 谷口節 | 中田和宏 |
カウフマン | ヴィンセント・スキャベリ | 稲葉実 | 青野武 | 千田光男 |
ウェイド | ジョー・ドン・ベイカー | 大川透 | 内海賢二 | 池田勝 |
ロビンソン | コリン・サーモン | 水野龍司 | 山野井仁 | 青山穣 |
国防長官 | ジュリアン・フェロウズ | 稲葉実 | 小島敏彦 | 仲野裕 |
デイブ・グリーンウォルト | コリン・スティントン | 中博史 | 牛山茂 | 内田直哉 |
インガ・バーグストロム | セシル・トムセン | 幸田夏穂 | 鈴鹿千春 | |
ステルス艦艦長 | マーク・スポルディング | 稲葉実 | 佐々木梅治 | 大川透 |
チェスター艦長 | ブルース・アレクサンダー | 小島敏彦 | 水野龍司 | |
リチャード・デイ | クリストファー・ボーエン | 大川透 | 金尾哲夫 | 仲野裕 |
ピーター・ヒューム | アンドリュー・ホーキンス | 伊藤栄次 | 内田直哉 | |
ブカーリン | テレンス・リグビー | 中博史 | 稲葉実 | 稲葉実 |
ケリー提督 | マイケル・バーン | 田口昂 | 仲野裕 | |
ジェフ・ホッブズ | ヒューゴ・ネイピア | 水野龍司 | 小室正幸 | 池田勝 |
軍曹 | アル・マシューズ | 青山穣 | 斎藤志郎 | 後藤哲夫 |
大佐 | ピップ・トレンス | 水野龍司 | 中田和宏 | 池田勝 |
エイビスレンタカー係員 | アンチェ・シュミット | 幸田夏穂 | 木藤聡子 | 斎藤恵理 |
アシスタント | ウィリアム・スコット・マッソン | 大川透 | 古田信幸 | 後藤敦 |
兵装士官 | アンソニー・グリーン | 高瀬右光 | 山野井仁 | 古田信幸 |
デボンシャーの船員 | ドミニク・ショーン | 樫井笙人 | ||
カーヴァーの手下 | ニール・フィネガン | 大川透 | 北川勝博 | 木村雅史 |
レーダー兵 | アダム・ベイカー | 堀川仁 | 高瀬右光 | 樫井笙人 |
ミグパイロット | ビンセント・ウォン | 田口昂 | 田尻ひろゆき | 清水敏孝 |
広報係 | ダフネ・デッカーズ | 幸田夏穂 | 鈴鹿千春 | 藤貴子 |
水兵 | ジェラルド・バトラー | 古田信幸 | 鈴木正和 | |
BMW750iLのコンピューター | 加藤優子 | 小野未喜 | ||
空港アナウンス | 青山穣 | 吉田孝 | ||
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