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東京都港区にあるビル ウィキペディアから
TBS放送センター(ティービーエスほうそうセンター)は、東京都港区赤坂にあるビル。所有者はTBSホールディングス。TBSテレビとTBSラジオの本社オフィス及びスタジオを有する。建物の延床面積は、在京キー局の社屋のなかでは、FCGビル(フジテレビ本社ビル)と日本テレビタワー(日本テレビ本社ビル)に次ぎ、3番目の広さである。通称『ビッグハット』。
1984年1月、東京放送(TBS。現・TBSホールディングス)の山西由之社長(当時)が「放送センター建設」の意思を表明した[2]。ほかの在京キー局と比べ、TBSは社有地が比較的に広大なため(戦前期は近衛歩兵第3連隊の司令部)、別館ビルとゴルフスタジオ[注 1]を取り壊すことで移転せずに新社屋を建設することが可能だった。1985年、放送センター特別委員会が報告書を提出した。その内容は、TBSの赤坂に社有地と払下げを求める国有地を合わせた66,729㎡の土地に、延べ床面積66,759㎡の放送センターを建設する。放送センターにラジオスタジオ八つ、テレビスタジオ五つを設置、TBSの全機能を集約する[3]。
1990年5月14日、新社屋建設計画を正式に公表した。建設計画も修正され、ラジオスタジオが8、テレビスタジオが6(うち報道スタジオとパノラマスタジオ各1)になった。スタジオは主に低層部と中層部に設置する[3]。工事の総工費は1,200億円、うち500億円は社債で賄う[4]。
1991年5月21日、起工式を行い工事を開始した。1994年4月25日に竣工式を行い、工事に2年11か月を費した放送センターが完成した。翌日から局舎の移転作業が始まり、主に土日を利用して作業した[5]。10月3日早朝、テレビとラジオの送出が新放送センターに切り替えられた。新放送センターから最初に放送したテレビ番組は、5時25分からの5分間特別番組『ニューTBS 輝き!のスタート』[6]、ラジオ番組は5時からの『起き抜け一番!榎さんのニュース&ミュージック』。竣工後、アメリカCBS、ドイツZDF、ロシアRTR、韓国YTNの東京支局もTBS放送センターに設置した[7]。
放送センターの高層部分は前面にあり、中層と低層部分は後方にある。地下1階は駐車場、地下2階は中継車専用駐車場と冷暖房・エネルギー管理設備がある。
1階には総合受付とロビー(唯一の一般客の入場可能エリア)、中央管理室及び防災センター。2階から4階までは主にテレビスタジオと報道局、情報制作局などのスペース。5階から8階までは主に事務スペースでコンテンツ制作局・スポーツ局などもこのフロアにある。9階にはTBSラジオの本社機能(スタジオと事務スペース)、10階以上の部分は、主に事務室、社員の福利厚生施設[8]である社員食堂(「赤坂亭」、「カフェテリア」、「Jクラブ」、喫茶店「プロント」の4つ[注 2]がある[9])・医務室・理髪室・コンビニ(セブン-イレブンTBS放送センター店、12階)・銀行ATM(三井住友銀行の企業内ATMおよびセブン銀行ATM、いずれも12階)[注 3] のほか、関連子会社などのオフィス・海外メディアの日本支局がある。15階はBS-TBSの本社機能(事務スペース)、20階は役員スペースとなっている。
最上部にある2層の円形パラボラデッキは愛称「ビッグハット」の由来。このパラボラデッキはヘリポート[注 4]になっており、ドラマや音楽番組などの収録にもしばしば使われている。このパラボラデッキに無線送受信設備を設置しているほか、夜になるとライトアップされ、照明の色が翌日の天気予報になっている(晴れはオレンジ、曇りは白、雨は青)。
2018年3月までは10階にもTBSラジオの本社機能があった。かつてはTBSと関係の深い東京エレクトロンの本社も入居していたが、2008年に隣接地に赤坂Bizタワーが竣工したことに伴いそちらに移転している。
その他、一ツ木通り側の入口には正面ゲート守衛詰所・車両検問所の建屋があり、放送センターと同じような円盤形の屋根がついていることからビッグハットにちなみ「スモールハット」と称されている[注 5]。
北側にはAスタジオの大道具搬入口へ繋がる、高低差12mの二段坂(通称『心臓破りの坂』)があり、春秋の改編期特番『オールスター感謝祭』では、移転2日前に放送された1994年秋の回から『赤坂5丁目ミニマラソン』などの企画で使われている。坂の途中には「北玄関」と呼ばれる専用口がある。
南側には赤坂通りから直接入れる『南公園』があり、1992年12月30日から1993年1月1日に放送された『元旦まで感動生放送!史上最大39時間テレビ「ずっとあなたに見てほしい 年末年始は眠らない」』の企画の一環で、オーストリアの芸術家・フンデルトヴァッサーが手掛けた「21世紀カウントダウン時計」(緑山スタジオより移設)が設置されている。その後の「21世紀カウントダウン時計」付近は管理が行き届かない状態になり、時計も動かなくなったが、2021年10月から2022年夏までは『THE TIME,』の番組内で当時司会を務めていた香川照之が「THE TIME,の森」として再生プロジェクトを行っていた。しかし、本人の不祥事による緊急降板でプロジェクト自体が自然消滅している[10]。また、かつてはウルトラマンマックスとメビウスの立像もあったが、老朽化のため2023年8月に撤去されている[11]。
ロゴマーク変更に伴い、2020年4月1日より正面中央などの看板が架け替えられた。また、パラボラデッキ下に竣工時からあったローマン体ロゴのネオンサインが撤去された。
ラジオスタジオは9階に集約されており、第2から第8までの計7つのスタジオを構える。
スタジオが主に更新工事など都合で使えない場合は他のスタジオを代わりに使用する。一例として、毎年12月30日は『輝く!日本レコード大賞』のラジオ中継で第6スタジオを親スタジオとして使用する関係上、同日とその前日(12月29日)は各ワイド番組で使用するスタジオを通常と交替する形で放送される。
2021年3月に第8スタジオの照明や内装、動画配信用の機材を含む大規模な設備更新が行われた[12]。これに伴い、『アシタノカレッジ』などでの動画配信の画質が向上している。
2022年2月末から3月にかけて、第7スタジオを閉鎖して大規模な設備の更新工事が行われた。
スタジオのマイクは、文化放送・ニッポン放送・TOKYO FMなど大概のラジオ局で見られる卓上式ではなく、天井から吊るされたものが使われている。またレール式になっており、マイクの位置を左右に動かすことも可能である。この形のマイクは各スタジオに4本ずつあり、増設するときは卓上式のものを追加して使用する。また、TBSラジオでは大概のラジオ局に見られるカフスイッチが存在せず、マイクのオン・オフをミキサーが行っている。そのため、ブースのテーブルには時刻確認用の時計の上にオンかどうかを知らせるタリーランプがついており、パーソナリティはそれを注視する[13]。ただし、咳が出そうなときのために時計に付属される形で「ミュートスイッチ」が設置されており、それを押し下げることで一時的に放送上に乗らないようにすることができるシステムとなっている。一部スタジオの時計には社名変更後もTBS R&C時代の企業ロゴがそのまま描かれている[14]。 第8スタジオでは、2021年3月の設備更新に伴い、タリーランプおよびミュートスイッチが時計から分離され、時計は汎用のものに変更された[15]。
TBSラジオの放送音声は放送センター内に館内放送として流されており、TBSラジオの本社・スタジオのある9階だけではなくアナウンスセンターや食堂にも流れている。番組内ではパーソナリティやアナウンサーがそれをネタにすることも多い。
2020年4月より新型コロナウイルス感染防止の観点から、スタジオのドアを常に解放・換気した状態[注 7]で放送しており、テーブルには透明のアクリル板を2023年5月まで置いていた。2020年4月5日までは対面に座る人物を遮るようにテーブル中央に横向きに置いていたが、翌6日からはさらに縦向きのものが追加され十字形となった。さらに、当時放送されていたワイド番組『たまむすび』のパーソナリティ・赤江珠緒が感染した関係で4月上旬の2週間、第8スタジオを緊急閉鎖し、消毒作業を実施した。その間生ワイド番組は第6スタジオと第7スタジオを交互に使用する形になり、クロストークは第6スタジオと第7・8スタジオの距離の関係で音声を繋ぐのみとなった。 第8スタジオの閉鎖解除後は、パーソナリティ・スタッフに関係なく、また、ゲストであってもマスク着用の義務(後に緩和されたが、2021年夏のデルタ株の流行に伴い再度義務化された)、さらに1つのスタジオにつき定められた人数(当初は2人でその後は4人までに緩和された)以上での放送を禁止し、それ以上の人数で行う場合は通常収録に用いる第2 - 4スタジオやワイド番組パーソナリティの意向も含めスタジオ外やTBS社外の一室などにリモート機材を設置した臨時のスタジオ、また、第7・8スタジオを使う番組では隣接するスタジオも使用し、上記クロストークの要領で放送する形をとっていた。また一部の収録番組は外部のスタジオを借用して対応している。
1994年10月の移転当初はA・B・C・N・Pスタジオから稼働開始し、D・E・Fスタジオは移転後暫く経ってから機材導入・稼働開始となった(Dスタジオを用いる情報番組はそれまでBスタジオを代用)。
※AスタジオとBスタジオには160㎡の共通スペースがあり、美術搬入口が一体化している為、共同搬入口部を用いて連結が可能。ちなみに、もう一つの美術搬入口が横のCスタジオとつながっている。(美術倉庫が『オールスター感謝祭』赤坂5丁目ミニマラソンのコースの一部になっている。) ※AスタジオとBスタジオのロビーも共通の吹き抜けスペースになっており、出演者・スタッフの待ち合わせや打ち合わせのための場所になっている。また、バラエティ番組の企画でこのロビーが使われることが多数ある。ロビー周辺には出演者控室やリハーサル室があり、リハーサル室は番組収録や音楽番組にアイドルグループなど大人数のグループが出演する際の控室としても用いられる。
TBSは放送センターの愛称を一般公募した。19,540通の応募があり、社内委員会の選考と社員100人の投票で「ビッグハット」が選ばれた。この案は3人からの応募があり、抽選で千葉県松戸市在住の主婦が受賞し、100万円の賞金が贈られた。「ビッグハット」のネーミングは、前述した屋上のパラボラデッキから由来している[6]。
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