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デジタル放送の規格 ウィキペディアから
ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting、統合ディジタル放送サービス)は、日本放送協会(NHK)が中心となって開発し、日本、フィリピン、中南米諸国が採用するデジタル放送の方式である。衛星デジタル放送用のISDB-S、地上デジタル放送用のISDB-T、地上デジタル音声放送用のISDB-TSB、デジタルケーブルテレビ用のISDB-C等がある。
日本の仕様と区別してISDB規格の国際方式を指す場合、ISDB-T Internationalの名称が用いられ、主に南米で採用されている方式については、ISDB-TB(ISDB-Tb)やSBTVDと呼ばれている。これらの国際方式については、本項のISDB-T Internationalを参照のこと。
デジタル放送方式の一つ。複数の放送が一つの送信機から放送される点でDABなどのようなデジタルラジオの規格や同じデジタルテレビ放送方式であるATSCやDVB-Tとも共通点が多い。実際の運用においては未使用(空き)のテレビ周波数チャンネルを用いて運用される。このアプローチはテレビ放送においては他の国でも見られるが、ラジオ放送については他の国では見られたことはなかった。
なお、地上デジタル放送の携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス(ワンセグ)での映像符号化方式はMPEG-4 AVCである(当初計画ではMPEG-4となっていたが特許料の安いこの方式になった)。
従来のアナログハイビジョン(MUSE方式)では60フィールド/秒(30フレーム/秒)だが、デジタルハイビジョンでは59.94フィールド/秒(29.97フレーム/秒)である(インターレース走査時)。映像フォーマット(画面解像度)[注釈 5] は次の通り(インターレース=飛び越し走査、プログレッシブ=順次走査)。
2009年7月29日のARIB STD-B32「デジタル放送における映像符号化、音声符号化及び多重化方式」2.2版より、高度衛星デジタル放送方式に関連する規定が追加され、UHDTVフォーマット(Ultra High Definition TV)の「UHDTV 1」相当(水平3840画素×垂直2160ライン)の映像入力フォーマット及び最大22.2チャンネルの音声入力信号に対応した。
なお放送局側の事情により、映像部分がノーマルサイズ(4:3)のものをハイビジョン用のワイド映像信号(16:9)に変換(詳細は映像のコンバートを参照)して放送する場合がある。この場合、多くのノーマルサイズテレビの視聴では上下左右に黒幕が付き額縁のように表示されてしまう(詳細は額縁放送を参照)。ただし、放送局側が識別信号を事前に入れることによってノーマルサイズ(4:3)映像への自動変換表示を受信機側に促すことが可能。また受信機(テレビ・単体チューナー)側に機能(「サイドカット」・「ズーム」及び「パンスキャン」などの名称)が搭載されていれば、前述の識別信号の有無によらずに同様に手動操作による変換表示が可能である。
ISDB for Satellite(衛星)の略。BSデジタルテレビ放送、BSデジタル音声放送、110度CSデジタル放送で使用されている。
ISDB for Satellite, 3rd generation (衛星第三世代)の略。BS4K放送、BS8K放送、CS4K放送(スカパー!では終了済み)に使用[3]。
ISDB for Terrestrial Television Broadcasting(地上テレビジョン放送)の略[4] で、「13個のOFDMセグメントで伝送帯域を構成する地上デジタルテレビジョン放送の放送方式」と定義[5] されている。地上デジタルテレビ放送で使用されている。
方式 | ARIB規格番号 | ITU-R勧告 | |
---|---|---|---|
映像符号化方式 | MPEG-2 Video(ISO/IEC 13818-2) | STD-B32 | BT.1208 |
音声符号化方式 | MPEG-2 AAC(ISO/IEC 13818-7) | BS.1115 | |
データ符号化方式 | BML(XHTMLをベース) | STD-B24 | BT.1699 |
多重化方式 | MPEG-2 Systems(ISO/IEC 13818-1) | STD-B10 STD-B32 | BT.1300 BT.1209 |
限定受信方式 | ARIB限定受信方式 (B-CAS) - 暗号化:MULTI2 | STD-B25 | |
チャンネル帯域幅 | 6 MHz(7 MHz・8MHzも有効) | STD-B31 | BT.1306 System C |
伝送路符号化方式 | OFDMセグメント(13セグメント/チャンネル) | ||
キャリア変調方式 | QPSK・16QAM・64QAM・DQPSK | ||
モード | モード1・モード2・モード3 | ||
ガードインターバル | 1/4・1/8・1/16・1/32 | ||
内符号誤り訂正 | 畳み込み符号(符号化率:1/2・2/3・3/4・5/6・7/8) | ||
外符号誤り訂正 | リード・ソロモン符号(204・188、t=8) | ||
情報レート | 6 MHz:3.7 - 23.2Mbit/s 7 MHz:4.3 - 27.1Mbit/s 8 MHz:4.9 - 31.0Mbit/s |
ISDB-T International とは、ISDB-T を国際仕様に改めた方式であり、日本でしか採用されていないICカードによる著作権・視聴国保護を省いたもの。南アメリカ大陸地域を中心に普及したことから、「南米方式」と呼ばれる。変調方式などはISDB-Tを基礎としつつも、トランスポートストリーム層の動画圧縮技術に、従来のMPEG-2に代わってH.264/MPEG-4 AVCを採用する等の改良が加えられている。
最初にブラジルで採用された事から、南米地域の一部においてはSBTVD(ポルトガル語: Sistema Brasileiro de Televisão Digital、別名:SBTVD-T:SBTVD Terrestre)と呼ばれており、ブラジルを含む南米各国で採用されつつある。SBTVDという名称にはブラジルの国名が含まれるため[8]、通常は国際規格名称であるISDB-T(ITU-R勧告BT.1306 System C)を用い、特に南米で採用されているブラジル方式(日伯方式)として区別する場合は ISDB-TB(ISDB-T Brazil)[9] やSBTVDと表記する。
ブラジルは地上アナログ放送にはPAL-M方式を用いている。2003年の段階で一旦は独自方式の開発を決定したが、そのための資金や人的・時間的資源が不十分であることから2005年にそれを断念。2006年4月13日、ブラジル政府のアモリン外相、コスタ通信相、フルラン開発商工相ら閣僚による使節団と麻生太郎外務大臣(当時)の間でデジタル放送に関する覚書が調印され2006年6月29日、SBTVD方式の採用を正式に決定した[10]。2007年12月3日のサンパウロでの商業放送開始を皮切りに2009年12月31日には各州都で、2013年12月31日には全市町村での放送を開始する。アナログ停波は2016年6月29日を予定[8]。
ISDB-T Internationalは、ISDB-Tの国際方式として世界各国での採用を目指し、実際に2009年4月にペルー(2010年3月放送開始)[11]、2009年8月にアルゼンチン(2010年4月放送開始)[12]、2009年9月にチリ[13]、2009年10月にベネズエラ[14]、2010年3月にエクアドル[15]、2010年5月にコスタリカ[16]、2010年6月にパラグアイ[17] 及びフィリピン[18]、2010年7月にボリビア[19]、2010年12月にウルグアイ[20]、2011年10月にモルディブ[21]、2013年2月にボツワナ[22]、2013年5月30日にグアテマラ[23]、2013年9月26日にホンジュラス[24] が採用を決定した。
方式 | |
---|---|
映像符号化方式 | MPEG-4 AVC(ISO/IEC 14496-10) HP@Level 4.0 |
音声符号化方式 | MPEG-4 AAC(ISO/IEC 14496-3) |
データ符号化方式 | GINGA-NCL |
多重化方式 | MPEG-2 Systems(ISO/IEC 13818-1) |
限定受信方式 | なし |
放送方式として採用した国および採用決定と放送開始年月日[26][27]
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「携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス」(ワンセグ)で使用されている。
ISDB for Terrestrial Sound Broadcastingの略[36] であり、「1個又は3個のOFDMセグメントで伝送帯域を構成する地上デジタル音声放送の放送方式」と定義[37] されている。かつて地上デジタル音声放送(地上デジタルラジオ)で使用されており一時消滅するも、i-dioで再び使用されるようになった。
ISDB-Tの移動体向け放送(1セグメント放送)と基本的に同じであり、1セグメントもしくは3セグメントを利用する。
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ISDB for Cableの略。デジタルケーブルテレビ向けの規格。日本CATV技術協会が中心となって策定された。デジタル放送の再送信の際に変調方式を変えないパススルー方式と、64QAMもしくは256QAMに変換するトランスモジュレーション方式の2種がある。パススルーとトランスモジュレーションの違いは、ケーブルテレビ#伝送方式を参照。B-CASカードは「ケーブルテレビ専用」の橙色のカードを使用する。
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ISDB-T for mobile multimedia(移動体マルチメディア向け)の略。モバイルマルチメディア放送の規格。ISDB-T・ISDB-TSBにプッシュキャスト(蓄積型放送)機能を追加し、また動的にセグメント配分・使用セグメント数を変えることで。帯域を有効活用することができる。プッシュキャストではコンテンツ配信も可能で、有料配信サービスも可能。mmbi(旧:株式会社マルチメディア放送)により規格策定・実証実験が行われた後、2012年にサービスが開始(サービス名:NOTTV)された。
2010年9月9日、総務省はISDB-Tmm方式を提言していた株式会社マルチメディア放送に2011年7月のアナログテレビ放送停波後に空く207.5 MHz-222MHzの周波数帯を使用する特定基地局の開設計画の認定を行った[38][39]。株式会社マルチメディア放送による関東地域でのサービス開始は、東京スカイツリーの開業に合わせたいとしている[40]。なお、同様の機能を持つMediaFLO方式を推進していたメディアフロージャパン企画は認定を得られず、実際に参入できなかった[41]。
2015年11月27日、NOTTVは2016年6月30日にサービスを終了すると発表、予定通り同日に終了した[42][43]。
ARIB STD-B25「デジタル放送におけるアクセス制御方式」で規定[44]。
WOWOW・スター・チャンネル・スカパー!は、有料放送視聴契約者のみ視聴できる様に暗号化されており、視聴にB-CASカードが必要になる(無料番組は暗号化されていないため契約者以外でも視聴できる)。
地上波・衛星放送においてはWOWOWは放送開始当初から(2003年11月から全面導入)、その他の民放BS・地上波とNHKは2004年4月5日以降、著作権保護を強化するためのコピー制御として録画管理、再生管理、放送内容の暗号化を解読するB-CASカードとコピーワンスが有効になっている。
そのためDVDレコーダーなどを使用して番組をDVDに記録する場合、記録型DVD向けの著作権保護技術「CPRM」に対応したDVD-R、DVD-RAM、DVD-RWを対応機種で使う場合を除いて記録はできない(DVDレコーダーによって特定の種類のDVDには録画・ムーブが不可等の制限もある)。
またムーブと呼ばれる機能がある機種ではHDDからDVDにダビングした場合、HDD側の番組は消去され、この機能が無い機種ではダビングそのものが出来ない。一方、VHSなどのアナログ機器(DVD・VHSレコーダー内蔵のVHS等を除く)は、アナログ映像出力を経由するため、影響を受けないので録画可能である。
ただし、アナログ信号・機器においてもCGMS-Aによりコピー制御の信号は除去されずに重畳・記録されるため、コピー制御対応機器に対してそのようなアナログ信号・媒体を入力とした場合にもコピー制御の影響を受けることはある。
コピーワンスでは、B-CASカードを差し込むことにより暗号が解除されるため、正規のテレビ受像機以外(コピーワンスの無い受信機では暗号解除できない)による受信を防いでいる。
しかしコピーワンスは導入以降、「1回限りのコピーでは厳しすぎる」「ムーブに失敗した場合、録画データが失われてしまう」などの批判・苦情が数多くあり、これらを反映して、北京オリンピック放送前の2008年(平成20年)7月4日から、地上波デジタル・BSデジタルの無料放送、一部のCSデジタル放送を対象に9回のコピーと1回のムーブを許容するダビング10が導入された。なお、ほとんどの有料放送では、従来通りのコピーワンスの運用が継続されている。
NHK BS放送では、受信機器(B-CAS)に同梱されている「はがき」などで、日本放送協会に個人情報を通知しなかった場合、最初の受信から約1か月後より、NHKへ電話等をするように促すメッセージが常時表示される(コピーワンス導入以前は、B-CASカードが差し込まれていない場合、B-CASカードが差し込まれていない事を注意するメッセージが表示された)。これは規格上、テレビ受像機で消せないものとなっている。
地上デジタルラジオにおいては、放送開始当初からコピーワンスが有効になっている。また運用規定で、録音した機器以外で再生することはできないように定められている。なおヘッドフォン出力端子やアナログのライン出力端子から出力した音声には、コピーガードは働かない。
デジタルテレビジョン放送においては、ハイビジョン画質での録画ではデジタル放送をそのまま受信するため文字情報なども併せて録画される。デジタルチューナーが内蔵されていない機器とはチューナー(内蔵テレビ)のi.LINKで接続する。
当初はメーカー製PCに留まっていたが[45]、フリーオの登場で、Dpa(デジタル放送推進協会)が「PC用デジタル放送チューナのガイドライン」を策定した事により、2008年からバッファローやアイ・オー・データ機器等のパソコン周辺機器メーカーから、PC用デジタルチューナーが発売されている。ワンセグ受信チューナーはUSBやPCカードタイプが、多くのメーカーから発売されている。限定受信システム#パソコンでの限定受信システムも参照。
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