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メジャーリーグベースボールの第54回アメリカンリーグ優勝決定シリーズ ウィキペディアから
2023年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月3日に開幕した。アメリカンリーグの第54回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 54th American League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、15日から23日にかけて計7試合が開催された。その結果、テキサス・レンジャーズ(西地区)がヒューストン・アストロズ(同)を4勝3敗で下し、12年ぶり3回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。
2023年のアメリカンリーグ チャンピオンシップシリーズ | |||||||
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シリーズ情報 | |||||||
試合日程 | 10月15日–23日 | ||||||
観客動員 | 7試合合計:29万6880人 1試合平均: 4万2411人 | ||||||
MVP | アドリス・ガルシア(TEX) | ||||||
責任審判 | ジェームズ・ホイ(第2戦を除く)、 マービン・ハドソン(第2戦のみ)[1] | ||||||
ALDS | TEX 3–0 BAL HOU 3–1 MIN | ||||||
チーム情報 | |||||||
テキサス・レンジャーズ(TEX) | |||||||
シリーズ出場 | 12年ぶり | 3回目||||||
GM | クリス・ヤング | ||||||
監督 | ブルース・ボウチー | ||||||
シーズン成績 | 90勝72敗・勝率.556 西地区2位=第2ワイルドカード | ||||||
分配金 | 選手1人あたり50万6263ドル[2] | ||||||
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ヒューストン・アストロズ(HOU) | |||||||
シリーズ出場 | 7年連続11回目 | ||||||
GM | デイナ・ブラウン | ||||||
監督 | ダスティ・ベイカー | ||||||
シーズン成績 | 90勝72敗・勝率.556 西地区優勝 | ||||||
分配金 | 選手1人あたり17万3187ドル[2] | ||||||
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ワールドシリーズ |
両球団はともにテキサス州を本拠地としていることから、州旗にあしらわれた一つ星にちなんでその対戦が "ローンスター・シリーズ" と呼ばれるライバル関係にあるが、ポストシーズンで対戦するのは今回が初めて[3]。7戦4勝制のシリーズにおいてビジター球団が全勝したのは、アストロズとワシントン・ナショナルズが対戦した2019年のワールドシリーズ以来4年ぶり2度目で、そのシリーズと同様に今シリーズでもアストロズは本拠地で1勝もできずに敗退した[4]。シリーズMVPには、ポストシーズンの1シリーズにおける最多打点記録を15に更新し[注 1][5]、7試合で打率.357・5本塁打・OPS 1.293を記録したレンジャーズのアドリス・ガルシアが選出された。このあとレンジャーズは、ワールドシリーズでもナショナルリーグ王者アリゾナ・ダイヤモンドバックスを4勝1敗で下し、球団創設63年目で初の優勝を成し遂げた。
2021年、MLB機構が非銀行系住宅ローン会社のローンデポと契約を締結し、同社はその年から5年間リーグ優勝決定戦の冠スポンサーとなった[6]。これにより、大会名はアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ presented by ローンデポ(英語: American League Championship Series presented by loanDepot)となる。
10月10日にまずレンジャーズ(西地区2位=第2ワイルドカード)が、そして11日にはアストロズ(西地区優勝)が、それぞれ地区シリーズ突破を決めてリーグ優勝決定戦へ駒を進めた。
レンジャーズは2017年から6年連続で負け越し、2022年は地区首位アストロズに38.0ゲーム差をつけられた。シーズン終了後、新監督にブルース・ボウチーが招聘され[7]、選手補強では防御率リーグ13位と低迷した先発ローテーションへ、新たにジェイコブ・デグロムやネイサン・イオバルディらが加わった[8]。2023年は4月上旬から地区首位を守り、前半戦終了時には52勝39敗で2位アストロズを2.0ゲーム差上回る。デグロムは6登板のみで肘を痛めてシーズンを棒に振ったが、イオバルディがエースとなり、野手陣は打撃のみならず守備でも投手陣を援護した[9]。投手補強はシーズン中も続き、8月1日のトレード期限までに先発のマックス・シャーザーやジョーダン・モンゴメリーを獲得した。後半戦は他球団の追い上げを受け、8月30日にはアストロズやシアトル・マリナーズに抜かれて3位へ落ちる[10]。その後はマリナーズを抜き返してアストロズと優勝を争い、全162試合を同じ90勝72敗で終えたが、直接対決でアストロズに負け越していたために地区優勝を逃してワイルドカードにまわった[11]。平均得点5.44はリーグ最高、防御率4.28はリーグ10位。コーリー・シーガーやイオバルディらここ数年の大型補強が実を結び、新人のジョシュ・ヤンをはじめとする若手・中堅選手の躍動も目立った[12]。ワイルドカードシリーズではタンパベイ・レイズを2勝0敗で[13]、地区シリーズではボルチモア・オリオールズを3勝0敗で[14]、それぞれ下した。
アストロズは2017年・2022年と直近6年で2度ワールドシリーズを制した。両優勝時の主力選手のうち、エースのジャスティン・バーランダーと一塁手ユリ・グリエルがシーズン終了後にFAとなった。チームは新一塁手にホセ・アブレイユを迎え入れた一方で、エースの抜けた穴は層の厚さで補えると判断し補強を控えた[15]。2023年は故障者が相次ぐ。特に先発投手陣では5月から6月にかけて、ルイス・ガルシアやランス・マッカラーズ・ジュニア、ホセ・ウルキディらが離脱した。ただブランドン・ビーラックやJ.P.フランスらの台頭があり、先発陣は前半戦でイニング消化数も防御率もリーグ3位と上位につけた[16]。その前半戦を50勝41敗、地区首位レンジャーズと2.0ゲーム差の2位で折り返すと、8月1日のトレード期限までにはバーランダーを再獲得し、戦力のみならず士気をも向上させる[17]。9月4日からの対レンジャーズ3連戦全勝で首位に浮上し[18]、その後も優勝争いを続けた結果、全162試合を同じ90勝72敗で終えたものの、直接対決でレンジャーズに勝ち越していたため地区優勝となった[11]。平均得点5.10はリーグ3位、防御率3.94はリーグ6位。投手陣だけでなく野手でも、ホセ・アルトゥーベの故障離脱やJ・アブレイユの打撃不振を脇役選手の健闘で埋め合わせることができた[17]。ワイルドカードシリーズは地区優勝3球団中2番目の高勝率だったため出場を免除され、地区シリーズではミネソタ・ツインズを3勝1敗で下した[19]。
リーグ優勝決定戦の第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、地区優勝球団どうしやワイルドカード球団どうしの対戦の場合はレギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に、地区優勝球団とワイルドカード球団が対戦する場合は地区優勝球団に与えられる。したがって今シリーズでは、アストロズがアドバンテージを得る。この年のレギュラーシーズンでは両球団は13試合対戦し、アストロズが9勝4敗と勝ち越していた[20]。
両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。
テキサス・レンジャーズ | ヒューストン・アストロズ | ||||||||||||
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守備位置 | 背番号 | 出身 | 選手 | 投 | 打 | 年齢 | 守備位置 | 背番号 | 出身 | 選手 | 投 | 打 | 年齢 |
投手 | 61 | コディ・ブラッドフォード | 左 | 左 | 25 | 投手 | 52 | ブライアン・アブレイユ | 右 | 右 | 26 | ||
45 | アロルディス・チャップマン# | 左 | 左 | 35 | 56 | ロネル・ブランコ | 右 | 右 | 30 | ||||
33 | デーン・ダニング | 右 | 右 | 28 | 58 | ハンター・ブラウン | 右 | 右 | 25 | ||||
17 | ネイサン・イオバルディ★ | 右 | 右 | 33 | 68 | J.P.フランス | 右 | 右 | 28 | ||||
22 | ジョン・グレイ | 右 | 右 | 31 | 53 | クリスチャン・ハビエル | 右 | 右 | 26 | ||||
44 | アンドリュー・ヒーニー | 左 | 左 | 32 | 88 | フィル・メイトン | 右 | 右 | 30 | ||||
25 | ホセ・ルクラーク | 右 | 右 | 29 | 47 | ラファエル・モンテロ | 右 | 右 | 32 | ||||
52 | ジョーダン・モンゴメリー# | 左 | 左 | 30 | 50 | ヘクター・ネリス | 右 | 右 | 34 | ||||
54 | マーティン・ペレス | 左 | 左 | 32 | 55 | ライアン・プレスリー | 右 | 右 | 34 | ||||
66 | ジョシュ・スボーツ | 右 | 右 | 29 | 45 | ライン・スタネック | 右 | 右 | 32 | ||||
31 | マックス・シャーザー# | 右 | 右 | 39 | 65 | ホセ・ウルキディ | 右 | 右 | 28 | ||||
51 | ウィル・スミス | 左 | 右 | 34 | 59 | フランバー・バルデス★ | 左 | 右 | 29 | ||||
35 | クリス・ストラットン# | 右 | 右 | 33 | 35 | ジャスティン・バーランダー# | 右 | 右 | 40 | ||||
捕手 | 18 | ミッチ・ガーバー | 右 | 右 | 32 | 捕手 | 21 | ジャイネル・ディアス | 右 | 右 | 25 | ||
11 | オースティン・ヘッジス# | 右 | 右 | 31 | 15 | マーティン・マルドナード | 右 | 右 | 37 | ||||
28 | ジョナ・ハイム★ | 右 | 両 | 28 | 内野手 | 79 | ホセ・アブレイユ | 右 | 右 | 36 | |||
内野手 | 6 | ジョシュ・ヤン★ | 右 | 右 | 25 | 27 | ホセ・アルトゥーベ | 右 | 右 | 33 | |||
30 | ナサニエル・ロウ | 右 | 左 | 28 | 2 | アレックス・ブレグマン | 右 | 右 | 29 | ||||
5 | コーリー・シーガー★ | 右 | 左 | 29 | 14 | マウリシオ・デュボーン | 右 | 右 | 29 | ||||
2 | マーカス・セミエン★ | 右 | 右 | 33 | 16 | グレイ・ケッシンジャー | 右 | 右 | 26 | ||||
47 | ジョシュ・スミス | 右 | 左 | 26 | 3 | ジェレミー・ペーニャ | 右 | 右 | 26 | ||||
外野手 | 32 | エバン・カーター | 右 | 左 | 21 | 28 | ジョン・シングルトン# | 左 | 左 | 32 | |||
53 | アドリス・ガルシア★ | 右 | 右 | 30 | 外野手 | 44 | ヨルダン・アルバレス★ | 右 | 左 | 26 | |||
4 | ロビー・グロスマン | 左 | 両 | 34 | 23 | マイケル・ブラントリー | 左 | 左 | 36 | ||||
16 | トラビス・ジャンコウスキー | 右 | 左 | 32 | 20 | チャズ・マコーミック | 左 | 右 | 28 | ||||
3 | レオディ・タベラス | 右 | 両 | 25 | 30 | カイル・タッカー★ | 右 | 左 | 26 |
レンジャーズは地区シリーズのロースターから投手をふたり入れ替え、ブロック・バークとマット・ブッシュを外してジョン・グレイとマックス・シャーザーを加えた。グレイもシャーザーも入団後は先発を務めていたが、9月13日にシャーザーが右肩大円筋の張りで、同月28日にグレイが右前腕下部の張りで、それぞれ離脱していた。特にシャーザーの怪我は通常であれば全治8〜12週間を要するものだったが、リハビリを急いだことにより70球程度の投球が可能なまでに回復した[21]。監督のブルース・ボウチーは彼らについて、グレイを救援にまわす一方でシャーザーは先発させる見込みを示した[22]。地区シリーズでは、バークは1試合0.1イニングで2失点と崩れ、ブッシュは登板機会を得られなかった。
アストロズは地区シリーズのロースターから、外野手のジェイク・マイヤーズに代えて投手のロネル・ブランコを登録した。ブランコは回復力の高さや耐久性を評価されており、GMのデイナ・ブラウンは「2イニング投げてから中1日でまた2イニング投げられるし、元々は先発投手だから延長戦で何イニングか投げることもできる」と評している[23]。ロースター入り候補の投手としては、右肩痛からの復帰を目指すケンドール・グレーブマンもいたが、こちらは監督のダスティ・ベイカー曰く「回復は十分ではない」として見送られた[24]。マイヤーズは地区シリーズでは出場機会がなかった。外野手をひとり減らしたということは、怪我がちなマイケル・ブラントリーの健康面に自信があるものとみられる[23]。
ESPNが自社の記者11人にどちらがシリーズを制するか予想させたところ、アストロズ勝利予想が7人に対しレンジャーズ勝利予想が4人という結果となった[25]。『ジ・アスレチック』でも同様の企画が記者23人で行われたが、アストロズ勝利予想が9人に対しレンジャーズ勝利予想が14人と、こちらではレンジャーズ支持のほうが多かった[26]。CBSスポーツの企画では、記者6人の支持がレンジャーズとアストロズで3人ずつ半々に分かれた[27]。
2023年のアメリカンリーグ優勝決定戦は10月15日に開幕し、途中に移動日を挟んで9日間で7試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 | |
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10月15日(日) | 第1戦 | テキサス・レンジャーズ | 2-0 | ヒューストン・アストロズ | ミニッツメイド・パーク | |
10月16日(月) | 第2戦 | テキサス・レンジャーズ | 5-4 | ヒューストン・アストロズ | ||
10月17日(火) | ||||||
10月18日(水) | 第3戦 | ヒューストン・アストロズ | 8-5 | テキサス・レンジャーズ | グローブライフ・フィールド | |
10月19日(木) | 第4戦 | ヒューストン・アストロズ | 10-3 | テキサス・レンジャーズ | ||
10月20日(金) | 第5戦 | ヒューストン・アストロズ | 5-4 | テキサス・レンジャーズ | ||
10月21日(土) | ||||||
10月22日(日) | 第6戦 | テキサス・レンジャーズ | 9-2 | ヒューストン・アストロズ | ミニッツメイド・パーク | |
10月23日(月) | 第7戦 | テキサス・レンジャーズ | 11-4 | ヒューストン・アストロズ | ||
優勝:テキサス・レンジャーズ(4勝3敗 / 12年ぶり3度目) |
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