007/カジノ・ロワイヤル (1967年の映画)

1967年のジェームズ・ボンド映画 ウィキペディアから

007/カジノ・ロワイヤル (1967年の映画)

007/カジノ・ロワイヤル』(英語: Casino Royale)は、1967年公開のイギリスアメリカ合作のスパイコメディ映画

概要 監督, 脚本 ...
007/カジノ・ロワイヤル
Casino Royale
Thumb
ジェームズ・ボンド役の
デヴィッド・ニーヴン
監督 ジョン・ヒューストン
ケン・ヒューズ
ロバート・パリッシュ
ジョセフ・マクグラス
ヴァル・ゲスト
脚本 ウォルフ・マンキウィッツ
ジョン・ロウ
マイケル・セイヤーズ
原作 イアン・フレミングカジノ・ロワイヤル
製作 チャールズ・K・フェルドマン
出演者 ピーター・セラーズ
ウルスラ・アンドレス
デヴィッド・ニーヴン
オーソン・ウェルズ
ジョアンナ・ペティット
ダリア・ラヴィ
ウディ・アレン
音楽 バート・バカラック
ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス
撮影 ジャック・ヒルデヤード
編集 ビル・レニー
配給 コロムビア映画
公開 1967年4月13日
1967年4月19日
1967年12月16日
上映時間 131分
製作国 イギリス
アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $12,000,000
興行収入 $41,744,718[1]
$10,975
$22,744,718
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コロムビア映画の製作。ピーター・セラーズウルスラ・アンドレスデヴィッド・ニーヴン他オールスターキャストの大作コメディーで新人時代のジャクリーン・ビセットも出演していることで知られる。

概要

要約
視点

作品はイアン・フレミングの同名の小説で1953年に出版された『カジノ・ロワイヤル』を原作とする007シリーズのパロディで、オーソン・ウェルズが悪役のル・シフル役で出演、007を名乗る人物と戦うストーリー展開である[2]

1955年、まだアメリカでは無名のボンド小説のシリーズ1作目の映画化権をグレゴリー・ラトフが$6000で取得[3]。しかし、ラトフは本作を映画化することなく1960年に他界、その後、権利はハリウッドの重役であるチャールズ・K・フェルドマンの手に渡り、ハワード・ホークス監督、リー・ブラケット脚本、ケーリー・グラント主演(イーオン・プロダクションズ(イオン・プロ)もシリーズを立ち上げる際、主演候補にしたが、グラントの年齢もさることながら、低予算の都合もあり、大スターのグラントを起用することは出来なかった。)で映画化を試みるが、失敗。その後、イオン・プロのシリーズが世界的に大成功したことから『カジノ・ロワイヤル』を正式なボンドシリーズにしようとした。イオン・プロとユナイテッド・アーティスツ(ユナイト)も合作の可能性を模索していたが、最終的に交渉は決裂した。

交渉決裂後、フェルドマンはショーン・コネリーと接触、出演交渉をするが、当時のコネリーは半年に1回はボンド以外の役をやることで気分転換を図っていたため、連続してボンドを演じることに拒否反応を示し、このオファーを断る。

これらの交渉不成立の結果、フェルドマンはコロムビア映画と契約し、本家007シリーズと当時世界中を席巻していたスパイ映画を茶化した壮大なパロディ映画にすることに方針転換し、イオン・プロのシリーズでも(現在に至るまで)行われていない、超オールスターの作品にすることを決意、ボンド役にフレミングの友人でボンドのモデルの一人とされていたデヴィッド・ニーヴンを迎え、隠居久しい老ボンド卿という設定にした。作品公開時のニーヴンは57歳、一方のコネリーは37歳で、当然、激しいアクションシーンは存在しない。もっとも、ロジャー・ムーアが最後にボンドを演じた『007/美しき獲物たち』の公開時のムーアの年齢は58歳で2022年現在でも最高齢のボンドである。

老ボンド卿は本作では前面に立たず、ピーター・セラーズを筆頭に多くのスターたちがボンドの影武者となって画面を賑わせ、敵とスタッフと観客を混乱させる。

本作はこれが本物と言わんばかりにデヴィッド・ニーヴン=ジェームズ・ボンドであることを強調したため、今日でもボンドのモデルはニーヴンだと固く信じている者も多いが、ニーヴンはあくまでもモデルの一人に過ぎず、外見上のボンドのモデルはピアニストのホーギー・カーマイケルである。さらに言えば、原作、最後の作品である『黄金の銃を持つ男』のボンドのモデルはまさしく、ショーン・コネリーその人である。

また予告編等で出演するスターたちを紹介する度にナレーションが発した「○○・イズ(is)・ジェームズ・ボンド」という謳い文句が、流行し、ユナイトも『007は二度死ぬ』のポスターに「ショーン・コネリー・イズ・ジェームズ・ボンド」と謳ったものの、当時プロデューサーとの関係が悪化し、契約延長の意思がなく、降板を表明していたコネリーの逆鱗に触れた。これに慌てたユナイト側は『ショーン・コネリー・アズ(as)・ジェームズ・ボンド』に訂正させるという場外戦も展開した。

『007は二度死ぬ』より2か月だけ早く公開されたこの1967年版は、イオン・プロ以外によって制作された2つのジェームズ・ボンド映画のうち最初の作品である(2番目となる映画は1983年の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』)。全体的に明らかなパロディであり、当時の一般的なボンド像を随所でからかっている。ジャクリーン・ビセットが演じた役名は『黄金銃を持つ男』のグッドナイト(Goodnight)がGoodthighs("thigh"は腿のことで「ミス・フトモモ」などと訳された)と茶化され、『ロシアより愛をこめて』でクロンスティーン(=No.5)を演じたシェイバルや『ドクター・ノオ』のウルスラ・アンドレスが出演し、金粉美女の大騒ぎ、ドクター・ノオならぬドクター・ノアが細菌テロを計画するなど、他の007作品からのアイデアも盛り込まれたが、配給がMGM・コロンビア映画へ移ったので本作品は正式なジェームズ・ボンド映画作品としては考えられていない。

一方で、バート・バカラックによる音楽が素晴らしいこと(主題歌「恋の面影」はアカデミー歌曲賞にノミネートされた)、当時の豪華な俳優たちが数多く出ていること、にもかかわらず内容は脈絡のない乱痴気騒ぎをくりひろげること、などから1960年代のカオスな雰囲気が近年再評価され、『オースティン・パワーズ』シリーズなどにも影響を与えている。

あらすじ

20年前に引退して広大な庭園の中に立つ屋敷に隠棲する往年の名スパイ、ジェームズ・ボンド卿(007)を、イギリス秘密情報部長官のMと、CIAKGB、フランス軍情報部の幹部が訪ねて来た。各国の情報部員が謎の組織スメルシの手によって次々に殺害または行方不明になり、復帰を要請するためであったが、ジェームズ卿はこれを断る。制裁のため、Mの合図を受けて撃ち込まれた迫撃砲弾によって屋敷は爆破されるが、手違いでMも死亡してしまった。

ボンドはスコットランドに住むM夫人フィオーナを弔問に訪れる。Mの屋敷で彼を出迎えたのは、替え玉であるスメルシ工作員ミミだった。ミミたち美女工作員たちの目的はボンドの評判を失墜させることだったが、ミミはボンドの魅力のとりこになってしまい、彼に協力するようになる。ボンドは美女軍団から仕掛けられた鳥形爆弾攻撃やカーチェイスを退ける。

ロンドンに戻り、Mに替わって情報部のトップに就いたジェームズ卿は、犠牲になった情報部員たちが色仕掛けに負けたことを知る。彼は敵を混乱させるため、全ての情報部員にジェームズ・ボンド(007)と名乗らせることにさせ、男性情報部員には女性からの誘惑に耐える訓練を施す。

ジェームズ卿とマタ・ハリとの間に生まれた娘マタ・ボンドは、父の命を受けて、かつて母も学んだ東ベルリンのスパイ学校に潜入する。彼女はそこで、スメルシ幹部ル・シフルがみずから使い込んだ組織の金を穴埋めするために、秘密フィルムを各国の情報機関に売りさばくオークションに遭遇し、妨害に成功した。

窮地に陥ったル・シフルは、カジノ・ロワイヤルでイカサマ・ギャンブルをして金を稼ごうとする。ジェームズ卿は元情報部員の富豪ヴェスパーを通じてバカラの名手イブリン・トレンブルをスカウトしており、彼もまたジェームズ・ボンドを名乗ってル・シフルと勝負することになった。ヴェスパーがル・シフルから透視サングラスを奪ったことで、トレンブルはバカラの真剣勝負に勝利を収める。カジノを出たヴェスパーとトレンブルはル・シフルによって誘拐される。トレンブルは精神的な拷問にかけられるが、辛くもヴェスパーによって救出され、ル・シフルはスメルシの刺客によって射殺される。

やがて、スメルシのボスであるドクター・ノアの正体と、彼の馬鹿馬鹿しい目的が明らかになり、最後の対決である大ドタバタ活劇が展開する。

キャスト

要約
視点
さらに見る 役名, 俳優 ...
役名 俳優 日本語吹替[4]
日本テレビNETVOD
イブリン・トレンブル(007)ピーター・セラーズ浦野光青野武川本克彦
ヴェスパー・リンド(007)ウルスラ・アンドレス武藤礼子此島愛子高橋理恵子
ジェームズ・ボンドデヴィッド・ニーヴン川久保潔中村正安原義人
ル・シッフルオーソン・ウェルズ雨森雅司富田耕生五王四郎
マタ・ボンド(007)ジョアンナ・ペティット松尾佳子吉田理保子角本明子
ザ・デテイナー(秘密兵器)ダリア・ラヴィ英語版此島愛子織部ゆかり
ジミー・ボンドウディ・アレン嶋俊介肝付兼太坂東尚樹
ミミデボラ・カー水城蘭子野村須磨子
ランサム(CIA)ウィリアム・ホールデン木村幌嶋俊介石原辰己
ルグラン(フランス情報局)シャルル・ボワイエ和田文夫和田啓堀越富三郎
マクタリー(M)ジョン・ヒューストン千葉耕市北村弘一五王四郎
スメルノフ(KGB)クルト・カッツナー英語版渡部猛神山卓三仗桐安
ジョージ・ラフト大木民夫北村弘一堀越富三郎
フランス外人部隊員ジャン=ポール・ベルモンド青野武神山卓三
クーパー(007)テレンス・クーパー英語版柴田秀勝仲木隆司本多新也
マネーペニーバーバラ・ブーシェ小原乃梨子麻上洋子まつだ志緒理
バターカップアンジェラ・スコーラー英語版森田育代登場シーンカット槙乃萌美
エライザガブリエラ・リカディ英語版浅井淑子
ヘザートレイシー・クリスプ英語版川口有美子織部ゆかり
ペグエレイン・テイラー英語版
ミス・フトモモジャクリーン・ビセット小林裕子織部ゆかり
メグアレクサンドラ・バステード英語版
ホフナーアンナ・クエイル英語版三木弘子津川祝子
ハドリーデレク・ニモ英語版青野武仲木隆司藤翔平
ポロロニー・コーベット英語版肝付兼太登場シーンカット坂東尚樹
カジノ支配人コリン・ゴードン英語版梓欣造村松康雄石原辰己
カールトン・タワーズバーナード・クリビンス英語版上田敏也蜂須賀智隆
武器を誘導する女トレイシー・リード英語版
ドアマン/MI5の男ジョン・ブルーサル英語版
Qジョフリー・ベイルドン英語版北村弘一登場シーンカット井木順二
Qの助手ジョン・ウェルズ英語版納谷六朗大泊貴揮
マティス警部ダンカン・マクレイ英語版北村弘一田原正治
カジノの受付グレアム・スターク英語版肝付兼太広瀬正志
シックシック・マレー英語版
ジョンジョナサン・ラウス英語版
英国陸軍将校リチャード・ワッティス英語版
ル・シッフルの部下ヴァルデック・シェイバル英語版寺島幹夫嶋俊介
最初のバグパイプ奏者パーシー・ハーバート英語版
コントロール・ルームの指令係ペニー・ライリー
女部隊隊長/チンリンジーン・ローランド太田淑子くわばらあきら
以下はノンクレジット
ジョンソンレオン・タウ英語版藤城裕士蜂須賀智隆
ジャグ(J)ミレーユ・ダルク
中国の将軍バート・クウォーク青野武登場シーンカット
コントロール・ルームの女キャロライン・マンロー
バグパイプ奏者ピーター・オトゥール北村弘一仲木隆司
ミミの配下アンジェリカ・ヒューストン
フランケンシュタインの怪物デヴィッド・プラウズ
車を追う男スターリング・モス
不明
その他
N/A城山知馨夫原えおり
秋元千賀子
鈴木れい子
戸部光代
俊藤光利
太田五葵
日本語スタッフ
演出佐藤敏夫高桑慎一郎飯村靖雄
翻訳広瀬順弘真鍋美枝
調整今関幸一山田太平和島幸太
効果藤田信夫
遠藤堯雄
大野義信
東上別符精
N/A
制作東北新社日米通信社ブロードメディア
初回放送1972年6月14日21日
水曜ロードショー
1976年10月9日
土曜映画劇場
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※2023年12月27日発売の『007/カジノ・ロワイヤル 日本語吹替版初収録スペシャル・エディション』には、上記の3種類の吹替を収録[5]

スタッフ

脚色および追加台詞(クレジット無し):ウディ・アレンヴァル・ゲストベン・ヘクトジョゼフ・ヘラーテリー・サザーンビリー・ワイルダーピーター・セラーズ

関連項目

脚注

外部リンク

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