鮎川信夫賞(あゆかわのぶおしょう)は、戦後の現代詩を代表する詩人鮎川信夫にちなみ、時代に向き合うすぐれた詩集・詩論集に贈られる文学賞。主催は鮎川信夫現代詩顕彰会。2009年6月、雑誌「現代詩手帖」の創刊50周年を契機に創設された。
受賞は、選考委員の合議によって決定され、年1回2月末から3月初めに発表される。受賞者には正賞として賞状、副賞として50万円が授与される。選考対象は、前年1月から当年12月までに発表された詩集と詩論集とされているが、詩論については広義の評論も対象とされる。
2018年度(第10回)を最後に、以降の実施が確認できない。
- 第1回 (2009年度)
- 詩集部門受賞作
- 候補作
- 詩論集部門受賞作
- 候補作
- 神山睦美 『二十一世紀の戦争』 (思潮社)
- 吉田文憲 『顕れる詩―言葉は他界に触れている』 (思潮社)
- 季村敏夫 『山上の蜘蛛―神戸モダニズムと海港都市ノート』 (みずのわ出版)
- 野村喜和夫 『詩のガイアをもとめて』 (思潮社)
- 特別賞
- 第2回 (2010年度)
- 第3回 (2011年度)
- 第4回 (2012年度)
- 詩集部門受賞作
- 候補作
- 阿部日奈子 『キンディッシュ』 (書肆山田)
- 池井昌樹 『明星』 (思潮社)
- 季村敏夫 『豆手帖から』 (書肆山田)
- 齋藤恵美子 『集光点』 (思潮社)
- 高塚謙太郎 『カメリアジャポニカ』 (思潮社)
- 望月遊馬 『焼け跡』 (思潮社)
- 詩論集部門受賞作
- 候補作
- 安藤礼二 『祝祭の書物 表現のゼロをめぐって』 (文藝春秋)
- 藤井貞和 『人類の詩』 (思潮社)
- 水田宗子 『モダニズムと〈戦後女性詩〉の展開』 (思潮社)
- 守中高明 『終わりなきパッション』 (未来社)
- 第5回 (2013年度)
- 詩集部門受賞作
- 候補作
- 新川和江 『ブック・エンド』 (思潮社)
- 時里二郎 『石目』 (書肆山田)
- 野木京子 『明るい日』 (思潮社)
- 管啓次郎 『時制論 Agend’Ars 4』 (左右社)
- 和合亮一 『廃炉詩篇』 (思潮社)
- 小林坩堝 『でらしね』 (思潮社)
- 詩論集部門受賞作
- 高橋睦郎 『和音羅読――詩人が読むラテン文学』(幻戯書房)
- 候補作
- 秋山基夫 『引用詩論』 (思潮社)
- 井坂洋子 『詩の目 詩の耳』 (五柳書院)
- 松浦寿輝 『詩の波 詩の岸辺』 (五柳書院)
- 福田拓也 『尾形亀之助の詩』 (思潮社)
- 第6回 (2014年度)
- 詩集部門受賞作
- 候補作
- 暁方ミセイ 『ブルーサンダー』 (思潮社)
- 季村敏夫 『膝で歩く』 (書肆山田)
- 杉本徹 『ルウ、ルウ』 (思潮社)
- 中尾太一 『a note of faith ア・ノート・オブ・フェイス』 (思潮社)
- 中島悦子 『藁の服』 (思潮社)
- 四方田犬彦 『わが煉獄』 (港の人)
- 詩論集部門受賞作
- 候補作
- 貞久秀紀 『雲の行方』(思潮社)
- 冨岡悦子 『パウル・ツェランと石原吉郎』 (みすず書房)
- 谷内修三 『谷川俊太郎の『こころ』を読む』 (思潮社)
- 山城むつみ 『小林秀雄とその戦争の時――『ドストエフスキイの文学』の空白』(新潮社)
- 第7回 (2015年度)
- 詩集部門受賞作
- 候補作
- 詩論集部門受賞作
- 山内功一郎 『マイケル・パーマー―オルタナティヴなヴィジョンを求めて』(思潮社)
- 候補作
- 第8回 (2016年度)
- 詩集部門受賞作
- 荒川洋治 『北山十八間戸』(気争社)
- 伊藤浩子 『未知への逸脱のために』(思潮社)
- 候補作
- 詩論集部門受賞作
- 候補作
- 亀井俊介 『日本近代詩の成立』(南雲堂)
- 近藤洋太 『詩の戦後―宗左近/辻井喬/粟津則雄』 (書肆子午線)
- 樋口良澄 『鮎川信夫 橋上の詩学』 (思潮社)
- 矢野静明 『日本モダニズムの未帰還状態』 (書肆山田)
- 第9回 (2017年度)
- 詩集部門受賞作
- 候補作
- 榎本櫻湖 『Röntgen、それは沈める植木鉢』 (思潮社)
- 近藤洋太 『SSS』 (思潮社)
- 多和田葉子『シュタイネ』 (青土社)
- 広瀬大志 『魔笛』 (思潮社)
- 松尾真由美『花章 - ディヴェルティメント』(思潮社)
- 詩論集部門受賞作
- 宗近真一郎 『リップヴァンウィンクルの詩学』(響文社)
- 候補作
- 第10回 (2018年度)
- 詩集部門受賞作
- 中尾太一 『ナウシカアの花の色と、〇七年の風の束』(書肆子午線)
- 候補作
- 大木潤子 『私の知らない歌』(思潮社)
- 菊井崇史 『ゆきはての月日をわかつ伝書臨』(書肆子午線)
- 小池昌代 『赤牛と質量』(思潮社)
- 友理 『雨の巨人』(響文社)
- 和合亮一 『QQQ』(思潮社)
- 詩論集部門受賞作
- 候補作
- 安藤元雄 『『悪の華』を読む』(水声社)
- 添田馨 『クリティカル=ライン――詩論・批評・超=批評』(思潮社)
- 三浦雅士 『孤独の発明 または言語の政治学』(講談社)
「現代詩手帖」(思潮社)2009年12月号、2010年4月号、2011年4月号