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出荷、保管、取扱いに耐える強度を有した容器 ウィキペディアから
輸送コンテナ(ゆそうコンテナ、英語: shipping container)とは、出荷、保管、取扱いに耐える強度を有した容器(コンテナ)のことである。
輸送コンテナはインターモーダル輸送に使用される再利用可能な大型のスチールボックスから、ありふれた段ボール箱まで多岐にわたる。国際海運業の文脈では「コンテナ」「輸送コンテナ」は、「インターモーダル貨物コンテナ」と実質的に同義であり、これは荷降ろしや積み替えを行わずに、ある輸送モードから別の輸送モードに移行できるように設計されている[1]。
インターモーダル貨物コンテナは海上コンテナとも呼ばれ、地域や国家をまたいで製品や原材料を移動するために設計された、再利用可能な輸送・保管ユニットである[2]。全世界には約1700万個のインターモーダルコンテナがあり、国際貿易を担う世界の長距離貨物の大部分は、このインターモーダル輸送コンテナで輸送されている。さらにこれらのコンテナのうち数百万個は、元の港への返送コストを省くために廃棄されたと推定されている。インターモーダル輸送の発明は、20世紀後半の商取引のグローバル化に大きく貢献し、商品の輸送コスト、ひいては長距離貿易のコストを劇的に削減した[3][4]。
航空貨物輸送においては、板状のパレットとあわせてユニット・ロード・デバイス(ULD)と総称される[5]。コンテナはパレットよりも多様な形状の貨物のユニット化や貨物の保護に適しており、金属製のほか、用途によっては合板、ファイバーボード、段ボールなどを素材として、1回限りで使い捨てる場合もある[6]。なお、航空機へ効率的に積載するため、航空機の下部貨物室(Belly)へ積み込むものは下部の角が切り落とされ、上段に積み込むものは上部の角が切り落とされた設計になっている[6]。
主に鉄道を用いて運ばれるその国の鉄道規格に応じたコンテナを指す。ただし鉄道によって運ばれる「海上コンテナ」は、基本的にはインターモーダル輸送の分野に含まれるので、「鉄道コンテナ」とは呼ばれないことが多い。
日本において流通する鉄道コンテナの種類は、以下に大別される。
段ボール箱は輸送用コンテナとして、非常に多く使用されている[9](すべての輸送用コンテナの90%以上を占める)[9][10]。軽量でリサイクル可能であり、さまざまな製品を出荷するのに十分な強度を持った、多種多彩な段ボールが存在する。
木箱は、重くて密度の高い製品の出荷によく使用される。
クレート箱は大きなコンテナで、多くの場合木でできており、大きくて重い、または扱いにくいものを運ぶために使用される。クレートは、被覆の有無にかかわらず、自立構造を持っている。
中間バルクコンテナ(IBC、IBCトート、IBCタンク)は、バルク流体および材料の一般的な輸送、保管、および取り扱いに使用される多目的コンテナ。さまざまな種類のIBCが作られており、IBCの適性・耐性などによって、化学物質、酸、コースティクス、不活性材料、食品グレードといった長大な分類データーシートがある。また通い箱として使用する折り畳み式のIBCコンテナも存在する。[11]IBCには用いられる材質には、一般的に以下がある。
バルクボックスは、バルク数量の保管と出荷に使用されるパレットサイズのボックスである。
ドラムは、鋼、プラスチック、繊維で作られた円筒形の輸送用コンテナである。それらはしばしば液体や粒状材料を入れて使用される。金属製のものはドラム缶と呼ばれる。
輸送コンテナと同じ考え方で、PI(π)コンテナによる容器の標準化により積載効率の最適化を図る。
コンテナの本来の目的は、貨物を運ぶ事である。 しかし、近年の産業構造の大きな変化や、日々生まれ続ける革新的技術等を組み合わせて現代ではコンテナとは貨物を運ぶ容器では事足りなくなり、以前では想像もつかなかった使われ方もしている。その代表事例が、従来の貨物ではなく、設備そのものを運ぶあるいは、コンテナを利用した二次的加工設備などである。
コンテナの強度は新しい素材の登場や、近年の溶接や塗装を含め目覚しい製造技術の向上と共に、20世紀と比較して格段に強度が増してきている。例えば1個当たり30数トンのコンテナが船倉で9段積みされて、静止状態時での最下位にあるコンテナ本体の上部四隅部位には、30数トン×8個=300トン弱の荷重が既に掛かっている。更に航海中で大しけに遭遇し、船体が上下に激しく揺れた場合には、静止状態の2倍弱の数百トンもの加圧される垂直荷重に絶えうる強固な強度が製造時に規定されている。
このためにコンテナの耐久性も非常に高くなっている。さらにコンテナには、規格化され、積み上げたり横に連結することや逆に切断することができ、移動が比較的簡易に可能で世界中にあふれているという特長もあるため、特に比較的安く汎用性の高いドライコンテナは理想的な建築材料とも言える。
コンテナを買い取って物置代わりに使う家庭や、建築現場やイベント会場での仮設オフィス、空き地でのカラオケボックスに使う会社などは以前からあったが、コンテナを多数組み合わせて家屋や各種の店舗や屋台、オフィス、アパート、寮、学校、アトリエ、ほか仮設住宅などを作っている個人や会社や政府関連機関、あるいは建築家も世界各地に多く現れている。 日本国内での現状としても、海上コンテナをベースにしたコンテナハウスなど、改造コンテナの使用事例も多い。一方で、比較的手軽に利用・設置が可能であることから、建築確認申請などの手続きを経ずに(あるいはそれを要することを知らない一般市民により)設置され、違反建築物として取り締まりの対象とされる例が全国で後を絶たない。このような違反においては、コンテナ同士の結合や基礎への緊結も十分になされていない例も多い。こうしたことから実際に利用する場合には、建築士や特定行政庁に相談するなど、十分注意する必要がある。
なお、日本国内で建築材料として利用するには建築基準法第37条の規定に適合すること、簡便にはJIS規格に適合していることなどを証明する必要があるため、一般にイメージされるより、またスーパーハウスなどの類似ニッチに比べても、建築確認の取得難易度は高い。
またコンテナは、通常、外から扉を閉めると、中から開けることは困難であり、コンテナをそのまま倉庫に転用する際には、閉じ込め事故防止に留意する必要がある。実際に起きた事件として、風の子学園事件が上げられる。
1990年代以降、北アメリカには、貿易赤字に伴って比較的安いコンテナが大量にあふれることになった。工業製品はアジアから、一部はヨーロッパから、コンテナに積載されて北アメリカに来るが、北アメリカから輸出する製品は少なく、船会社はそれなりの費用をかけて空コンテナを大量に送り返す必要があった。空コンテナの返送費より新品のコンテナを中国などで買う費用の方が安い場合もあるため、コンテナを一方的にアジアからアメリカに送り、不要になった中古コンテナのアメリカでの新たな使い道を見つける必要が生じていた。
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