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相模鉄道の電車 ウィキペディアから
相鉄9000系電車(そうてつ9000けいでんしゃ)は、1993年(平成5年)から導入された相模鉄道の通勤形電車。
相鉄9000系電車 | |
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相鉄9000系リニューアル車 (2020年10月20日、緑園都市駅付近) | |
基本情報 | |
運用者 | 相模鉄道 |
製造所 | 東急車輛製造 |
製造年 | 1993年 - 2001年 |
製造数 | 7編成70両 |
運用開始 | 1993年3月14日 |
投入先 | 相模鉄道の各線 |
主要諸元 | |
編成 | 10両編成(6M4T) |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 100 km/h |
設計最高速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 3.0 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.5 km/h/s |
編成定員 | 1,510人 |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2,970 mm(側灯幅) |
車体幅 | 2,900 mm |
全高 |
4,055 mm(空調) 4,169 mm(パンタ折畳,シングルも同一) |
車体高 | 3,645 mm |
床面高さ | 1,190 mm |
台車 |
ロールゴム式空気ばね台車 電動台車:TS-907 付随台車:TS-908 |
主電動機 |
かご形三相誘導電動機 東洋電機製造TDK-6140A |
主電動機出力 | 180 kW |
駆動方式 | 直角カルダン駆動 |
歯車比 | 49:9 (5.44) |
編成出力 | 4,320 kW (6M4T) |
制御方式 |
GTO-VVVF(製造時) IGBT-VVVF(更新後) |
制御装置 |
東洋電機製造製(製造時) 日立製作所製(更新後) |
制動装置 | 遅れ込め制御付き回生ブレーキ併用電気指令式電磁直通空気ブレーキ・保安ブレーキ |
保安装置 |
ATS-P EB装置 デッドマン装置 TASC装置 |
2016年度 グッドデザイン賞受賞車両 ※リニューアル時に受賞 |
本項で個別の編成を示す場合は、相模鉄道での公式表記に基づき、「横浜方先頭車の車号×編成輌数」(例:9701×10)と記す。
老朽化した6000系を置き換えるため、1993年(平成5年)から2001年(平成13年)にかけて10両編成7本(70両)が製造された。同時期には同様の目的として8000系も並行して増備が行われていた。
製造は東急車輛製造が担当しており、それまで新造車を日立製作所のみに発注してきた相鉄としては異例であった。また、後の新型式である10000系および11000系はJR東日本の車両を全面的にベースにしており、次に導入される自社開発車両は20000系となる。
この節では主に製造当初の状態を示す。
8000系と同じくアルミニウム合金製の拡幅車体が採用された。従来、アルミ車にはクリアラッカー塗装が施されていたが、金属肌の冷たさを避けるため[1]に本系列ではカラー塗装となっている[1]。
配色は白色[注 1]をベースとし、各部に赤色のアクセントを入れている。前面は、左側にオフセットされた貫通扉が7000系などのように赤色に塗られている。右側は運転台下に赤帯が入り、そのまま側面へ回っている。側面では二分割された帯が腰板部に入り、車体中央には下側の帯と一体のデザインになっている車番プレートが入れられた。側面の先頭部では、非常扉側が大きく「S」字を描く特徴的なデザインとなっている。「S」については、相模鉄道・安全・スピードを表すものとしている[1]。白色の塗装には寿命の長いフッ素樹脂系塗料を使用することで塗装回帰を2倍に延伸している[2]。汚れなどの観点から、増備途上より若干グレーがかった色調へ変更され、帯の白部分との差が目立つようになった。初期の編成もこれに揃えられている。
前面は縦方向に大きな曲面を設け[1]、両サイドをカットした面構成として、シンプルかつソフトでスピード感のある形状とした[1]。陳腐化しないデザインとしている[2]。前照灯や貫通扉の配置は8000系とほぼ同一で、非常扉は左側にオフセットされている点は変わらないが、こちらは外開き式のスイングドア[2]とされた。スカートも車体と連続するデザインとなっている。また相鉄では初となる大型の連結器カバーを取付け、今までにないイメージとした[2]。中央下部に角形のシールドビーム前照灯を二つ並べ、左右の上部には標識灯が2色セットで配される。
また屋根上の冷房装置は集約分散式を初めて採用した[3]。東芝製RPU-2218(冷房能力 10,000 kcal/h)を1両に4台搭載し[3]、一部を除き連続カバーが取り付けられた[3]。
床材については相鉄で初めて通路部の色分けが施され、こちらは大理石模様となった。
座席はロングシートを基本に、5号車と8号車をセミクロスシートとしている[3]。ロングシートは一人当たり450 mm幅[2]で、相鉄としては初めて3人掛け + 4人掛けとに分割される構造とした[2]。クロスシートとその脇の2人掛けロングシートは430 mm幅[1]で、クロスシート部には当初吊り手が設置されていなかったが、後の改造で設置された[3]。また、相鉄初の車椅子スペースを両先頭車に設置している[2]。
座席のモケットは一般部はオレンジ色[2]、優先席部は灰色の無地となる。なお優先席部は増備途上より青色へ変更され、初期の編成もそれに揃えられた。また7人掛けのロングシート部分は中央の一人分が淡色で色分けされており、着席区分を明確にするアクセントとした[2]。
側窓は従来車と同じく電気指令油圧式自動窓とした。隣接されるボタンで簡単に開閉ができ[2]、また乗務員室からの一斉操作も可能となっている[2]。なお、車椅子スペース部は固定窓となる[2]。
妻引戸はモハ9100形の海老名方にのみ設置されている[1]。
電動車は2両を1組とするユニット方式[1]とされた。モハ9100形には2両分8台のモーターを制御する主制御器を、モハ9200形には車内照明や冷房装置に用いる補助電源装置とブレーキやドアの開閉に用いる空気圧縮機を搭載する。また両形式とも海老名方に集電装置を備える。
主制御器は東洋電機製造製のGTO-VVVFインバータ装置(ATR-H8180-RG638-A-M[4])を採用した[1]。1つのインバータで8台の主電動機を制御する1C8M制御[1]とし、回生ブレーキを装備する[1]。GTO素子の定格は 4,000 A, 4,500 Vである[1]。なお、機器更新により現在は全車両が日立製VFI-HR2820Qへと改装されている[3]。詳細は後述。
補助電源装置は東洋電機製造製のブラシレス電動発電機 (BLMG) とした[3]。容量 180 kVAで、出力は三相AC 200 V / 60 Hz・サイリスタ式[2]で、6000系で使用していたものを起動装置改造の上で再利用している[1]。形式はTDK-3341AまたはTDK-3349Aで[3]、現在は後者に統一された[3]。
空気圧縮機はナブテスコ製[3]の電動空気圧縮機(A1520B-HS20-2[1])、容量は2,100 L/minで低騒音タイプ、また除湿装置を備える[3]。
集電装置は菱形で、形式上は東洋電機製造製のPT1600-B[1]となるが、従来車からの流用品も使用されており、9702×10編成はPS13を搭載していたことで有名である。現在はシングルアーム式(PT-7103系[3])に統一されている。
台車は東急車輛製造製のロールゴム式[3]空気ばね台車[1]となる。電動台車がTS-907、付随台車がTS-908で、保守性の良い外付式ディスクブレーキ装置を装備する[1]相鉄独自仕様である。軸間距離は付随台車では2,100 mmだが、電動台車は直角カルダンを搭載するために2,450 mmと長めにとられ[3]、走行時には不均一なジョイント音を聴くことができる[3]。
駆動方式は従来より実績のある直角カルダン方式で、歯車比は49 : 9 = 5.44とした[1]。
主電動機は東洋電機製造製の三相交流かご形誘導電動機(TDK-6140-A1)を搭載する[3]、定格出力は3000系、5000系VVVF車と同一の180 kW / 1600 rpm[1]である。冷却方式は自己通風式[1]。直角カルダン駆動のため、4つの取付脚で台車枠に吊り下げられる[1]。10両編成では主制御器の都合で6両が動力車となるため、編成出力は4,320 kWとなり相鉄最大となる。
運転台はマスコンとブレーキ設定器を備える、いわゆる2ハンドル構成である。またデッドマン装置を搭載する[3]。保安装置は相鉄形ATS[1][注 2]、列車選別装置[2]、列車無線(誘導無線)[3]を搭載していた。車両情報処理装置(日立製作所製のATI)を装備しており、車両機器の動作状況の確認、扉の開閉状況、検査時の保守支援システムなどを備えている[5][6]。
1次車(9701×10・9702×10/1993年入籍)[3]
2次車(9703×10/1995年入籍)[3]
3次車(9704×10・9705×10/1996年入籍)[3]
4次車(9706×10/1999年入籍)・5次車(9707×10/2001年入籍)[3]
これらの変更は、並行して増備された8000系でも実施されている。
この節ではリニューアル前、また非リニューアル車において実施されたものを記載する。
前述のように神奈川東部方面線計画が進んでいることにより、2008年にJR型列車無線、ATS-P、EB装置の設置が行われた[3]。また同時に簡易モニタ装置の取付準備も行われている[3]。ATS-Pは2014年3月30日、JR型列車無線は2015年10月3日[3]より使用開始された。7人掛け部へのスタンションポール設置も同時に行われた。
主な変化は以下の通り。
2007年から、相鉄グループの新CI導入に合わせて青とオレンジを用いたグループカラーへの変更が進められた[3]。
新しい塗り分けは当時最新型であった10000系に準じるもので[3]、本系列の特徴であった左右非対称のデザインは目立たないものになっている[3]。車両番号表記も、9701×10以降では10000系に準じて同じフォントのステッカー式へ変更されている。
塗装変更は並行して新7000系、8000系にも実施され、形式ごとに異なっていた塗装が一元化されていった[3]。9707×10は相鉄車両で初めての新塗装車で、2007年4月22日にいずみ野駅で開催された展示会(撮影会)にて披露されている。
編成ごとの実施日は以下の通り[3]。
塗装変更は順次実施され、2014年度末には本系列の新塗装化が完了する予定であった。しかしながら、新たに本系列において外装を含めたリニューアルが決定し[8](詳細は後節参照)、これにより9705×10のみ新塗装化が見送られた。同編成はその後、旧塗装から直接YNB塗装に変更された唯一の例となっている。
2013年から2014年にかけて主回路機器の更新が実施された。制御装置は日立製作所製のIGBT-VVVF(VFI-HR2820Q)へ変更。IGBT素子の容量は3300V,1500Aである。2レベル速度センサレスベクトル制御となる。また停止時まで回生ブレーキが動作する全電気ブレーキを搭載した。
これについては、神奈川東部方面線計画に伴う保安装置の変更に際して、従来の装置では誘導障害対策が必要であることが判明したことが理由の一つに上げられている。また当時は車両ごとにメーカーや形式が異なり予備品対応で苦慮していたために、後に機器更新が実施された8000系との共通化が図られている[9]。
また、9701×10のみ一部の床材変更が同時に実施されている。詳細は後節参照。
2014年4月27日のダイヤ改正より特急が新設され、これに先立ち種別表示の内容が更新されている。幕車ではこれと同時に既存種別にも変化があり、快速が緑→青、各停が黒(いずみ野線行きは青)→灰色にそれぞれ変更された。
2019年11月30日のダイヤ改正より通勤特急と通勤急行が新設、また相鉄新横浜線西谷駅 - 羽沢横浜国大駅の開業があり、これに先立って通勤特急・通勤急行の種別と羽沢横浜国大の行先が追加されている。
2015年から2019年にかけて、相鉄創立100年に向けての「デザインブランドアッププロジェクト」に基づき内外装のリニューアルが実施された[17][18]。変更部分が多いため、形式番号の末尾に「R」を付けて区別しているが、車両番号に変化はない。このリニューアルが評価され、2016年にはグッドデザイン賞を受賞した[19][20]。
編成ごとの施工日は以下の通り[21][22][23][24][25]。
9701×10はリニューアル工事の対象外とされ、2020年12月11日付で廃車となっている[26]。
2016年4月9日には相模大塚留置線において『9000系リニューアル車両デビュー記念撮影会 in 相模大塚』と題した撮影会が行われ、9000系最初のリニューアル編成である9703×10と従来の新旧二つの塗装車(9706×10と9705×10)の3編成が並んだ[27]。この際、旧塗装の9705×10は表示器が一時的に幕式へ変更されている。
翌日の4月10日には、いずみ野駅にてリニューアル車の出発式を開催[28]、終了後はいずみ野から二俣川までいずみ野線40周年記念特別列車として運転された[注 5]。さらにその後、湘南台駅10:36発の各駅停車横浜行きより一般の営業運転を開始した。なお、出発開始直後に自動放送装置およびLCDに不具合が発生したため、途中の海老名駅において運転が打ち切られ、車両交換が行われた。同車両はその2日後には営業運転に復帰している。
主な変更点を以下に記す。
グレーをキーカラーに、上質で清潔感のあるものとした[30]。
保安装置変更や操作性向上を目的に、機器配置の変更やモニタ装置の統合が行われた[3]。
※非リニューアルも含めて実施されたものについては#改造工事なども参照。
他系列の10両編成と共通運用で、特急、通勤急行、快速、各停の全種別に使用される。また、都合によっては、8両編成の運用や相鉄新横浜線の運用[注 9]を代走することがある。
← 横浜
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備考 | |||||||||||
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号車 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | ||
形式 | 製造時 | クハ9700 | モハ9100 | モハ9200 | サハ9600 | モハ9100 | モハ9200 | サハ9600 | モハ9100 | モハ9200 | クハ9500 | |
リニューアル | クハ9700R-1A | モハ9100R-1A | モハ9200R-1A | サハ9600R-2A | モハ9100R-2A | モハ9200R-1A | サハ9600R-1A | モハ9100R-3A | モハ9200R-1A | クハ9500R-1A | ||
車種[3] | Tc2 | M1 | M2 | T2 | Ms1 | M2 | T1 | Ms1 | M2 | Tc1 | ||
搭載機器 | VVVF,PT | MG,CP,PT | VVVF,PT | MG,CP,PT | VVVF,PT | MG,CP,PT | ||||||
車内設備 | ♿︎ | 貫通扉 | セミクロス 貫通扉 |
セミクロス 貫通扉 |
弱冷房車 | ♿︎ 女性専用車 | ||||||
車両番号 | 9701×10 | 9701 | 9101 | 9201 | 9601 | 9102 | 9202 | 9602 | 9103 | 9203 | 9501 | 2020.12.11廃車[26] |
9702×10 | 9702 | 9104 | 9204 | 9603 | 9105 | 9205 | 9604 | 9106 | 9206 | 9502 | ||
9703×10 | 9703 | 9107 | 9207 | 9605 | 9108 | 9208 | 9606 | 9109 | 9209 | 9503 | ||
9704×10 | 9704 | 9110 | 9210 | 9607 | 9111 | 9211 | 9608 | 9112 | 9212 | 9504 | ||
9705×10 | 9705 | 9113 | 9213 | 9609 | 9114 | 9214 | 9610 | 9115 | 9215 | 9505 | ||
9706×10 | 9706 | 9116 | 9216 | 9611 | 9117 | 9217 | 9612 | 9118 | 9218 | 9506 | ||
9707×10 | 9707 | 9119 | 9219 | 9613 | 9120 | 9220 | 9614 | 9121 | 9221 | 9507 |
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