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『氾濫』は、伊藤整の長編小説である。1956年~1958年にかけて『新潮』に連載、58年10月に新潮社より単行本として刊行[1]。のち、新潮文庫でも刊行された。
主人公・真田佐平は、戦前から三立化学という小さなメーカーに勤務しながら長く研究データの蓄積に励み、1948年についにサンダイトという高分子化合物を発明し、1955年ころには接着剤における世界的権威となり、また三立化学の重役のポストを手にしていた。ところが、つましい技師の生活に慣れ切っていた真田は、自らを取り囲む新たな生活、ことに妻の文子とたか子の贅沢な暮らしぶりに安楽を見出せない。研究に協力してくれた旧知の仲の官立大学教授・久我象吉との関係も、博士論文と大学院講師のポストをめぐり、微妙なものになりつつある。そんななか、空襲のなか出会い、妻子が疎開するなか、しばらく同棲していた西山幸子が未亡人となって現れる。西山幸子に徐々に惹かれていく真田。いっぽうの久我の側でも、ヒステリーの妻の影響もあり、酒場のマダムである愛人のたみ子との関係に徐々に亀裂が生じていた。そんななかで、私立大学の助手として薄給に甘んじる種村恭助は、上司の羽根木教授を通して真田佐平に紹介された──
平野謙は、この小説の「激情ともいうべき自己告白のモチーフ」[2]を指摘する。また、渡部昇一はこの小説を愛読し、真田佐平の用いた、情報整理のためのカード式分類法を推奨している[3]。
本作は1959年に映画化された。
本作を原作としたテレビドラマが、1961年と1974年の2度にわたり放映された。
1961年3月1日から同年6月2日まで、TBS系列の毎週水曜日22:00 - 22:30(JST)の枠「フジサワドラマシリーズ」で放映。全17話[4]。
1974年3月11日から同年4月29日まで、NETテレビ(現・テレビ朝日)の毎週月曜日22:00 - 22:55(JST)の枠「ポーラ名作劇場」で放映。全8話[6]。
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