多磨霊園
東京都の霊園 ウィキペディアから
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多磨霊園(たまれいえん)は、東京都府中市多磨町および小金井市前原町に所在する都立霊園である。日本初の公園墓地であり、以後の日本の墓地のありかたのひな型となった。面積は都立霊園としては最大の128ha[1]で、東京ドーム27個分[2]に相当する。
明治時代から大正時代にかけて東京市では墓地不足が進行していたため、1919年(大正8年)に墓地の新設計画が立てられ、1923年(大正12年)4月に当園が開設された[3]。当初は多磨墓地といい、1935年(昭和10年)に多磨霊園と改称された[3]。
長い歴史を持つ緑の多い公園墓地であり、著名人の墓も多数所在する[4]。
1900年(明治33年)頃の東京市には、元々5つの公営墓地(青山墓地・谷中墓地・染井墓地・雑司ヶ谷墓地・亀戸墓地)があった[注釈 1]。しかし、東京市の市街地化と人口増加に伴って墓地不足となり、東京市外での墓地の造営が必要になった。
東京市公園課長井下清[注釈 2]による欧米諸国都市における墓地研究の結果、1919年(大正8年)に東京郊外の東・西・北に新たに広い公園墓地を整備する計画が提出された。そして、この計画を基にして1920年(大正9年)に東京市の西に当たる多磨村が選ばれ、その2年後には多磨墓地の造営が開始された。この場所が選ばれた理由としては、同地はほぼ未開地であったことや、郊外としては甲州街道や京王電気軌道・多摩鉄道・中央線などの交通網が揃っていたことが挙げられる。
造営開始から1年後の1923年(大正12年)に開園。開園当時の敷地面積は約100haであった[5]。なお、当初の計画における残りの北と東の墓地は、それぞれ小平霊園と八柱霊園として完成した。
東京市街から離れていたこともあり、供用開始からしばらくは使用する者はあまり多くなかった。しかし、1934年(昭和9年)に東郷平八郎元帥海軍大将が名誉霊域(7区 特種 1側 1番)に埋葬された[注釈 3]ことにより多磨墓地の名前が広まり、これ以降利用者が大幅に増え、現在のような人気の霊園の一つになった。後の1939年(昭和14年)には西側の28haが新たに開園し、現在の形となる[5]。
近くに調布飛行場があることなどから、太平洋戦争後期は三式戦闘機の隠蔽や修理をするためにも使われた。今も一部の施設に機銃掃射の弾痕が残っている。
利用者の増加にともなって1963年(昭和38年)以降は新規区画がなくなり、現在では改葬整理などで空いた場所のみが使用募集されている。また、1962年(昭和37年)の芝生墓地や1993年(平成5年)の壁型墓地(13区)、ロッカー式納骨堂であるみたま堂・合葬式墓地などの土地を有効利用できる都市型の墓地も導入されている。
府中市の北東端に位置し、敷地の北側は市境を越えて小金井市に跨がる。管理事務所および正門は、敷地の南東端にある。北側で都道14号(東八道路)と接しており、南側は正門から南に向かって多磨霊園南参道(市道)が伸び、都道110号(人見街道)および国道20号(甲州街道)と連絡する。また、敷地北側は東八道路を挟んで府中運転免許試験場および武蔵野公園に面し、南西に浅間山通り(市道)を挟んで浅間山公園に面する。
園内の各墓標は「区」「種」「側」「番」により特定される。墓域は1区から26区までの「区」に分けられており、正門付近を1区、その西隣を2区として、千鳥式坪並で番号が振られている。ただし、1939年に拡張された区域(22区以降)については、北から順番に付番されている。各区内には「種」があり、概ね園内道路に面した部分が1種、それ以外が2種となるほか、7区にのみ特種が存在する(名誉霊域)。更に墓標の並びをそれぞれ「側」とし、墓標のひとつを「番」として区別する。
門は正門、東門、小金井門(敷地北西側)、北門、西門があるほか、後述するバス通りやその他歩行者用出入口からも出入可能である。園内路は基本的に開園時間であれば車両通行可能で、来園の際も園内の任意の場所に駐車できる。ただし、園外から自動車の出入が可能なのは、正門と小金井門、およびバス通りと大廻りの交差点に限られる。
園内の道路名称は、以下の通り。公道はバス通りのみである。
埋葬者の絶対数が多いため、先述のとおり著名人の埋葬者も多い。東郷平八郎・山本五十六・古賀峯一の3名(共に元帥海軍大将・連合艦隊司令長官)は名誉霊域(7区 特種)に埋葬されている。
以下の「区・種・側・番[7]」は、墓所の詳細な位置を示している。
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