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合資会社東京漫画出版社(とうきょうまんがしゅっぱんしゃ)は、かつて存在した日本の出版社である [1]。貸本漫画からスタートし、1950年代には貸本の有力出版社であった[3]。
偕成社に1941年(昭和16年)に入社した編集者・矢沢信行[4]が独立し、1948年(昭和23年)6月28日、合資会社として設立した、漫画に特化した出版社である[1][5]。アンソロジー『合作漫画集 漫画トランク』が、設立の前年である1947年(昭和22年)12月20日付で発行されている記録があり、会社設立に先行して、「東京漫画出版社」の屋号で出版活動を開始している[6]。杉浦茂の回想によれば、1947年秋、田河水泡邸に集まり、田河門下の杉浦茂、倉金良行(のちの倉金章介)、沢井一三郎らで貸本漫画を、ということで始まったという[7]。1948年6月30日付で発行された『合作漫画集 漫画玉手箱』は、田河水泡、井上一雄、原やすお、野呂新平(旧称・田内正男)といった、戦前から活動する漫画家たちによるアンソロジーであり、同作は同社が合資会社として設立後、初めての出版物である[8]。当初1951年(昭和26年)ころまでは、都築敏三(ツヅキ敏)、伊藤隆夫、中国から復員した原一司、シベリアから復員した石田英助ら、田河門下の人材に漫画を描かせるところから始まった[9]。
1952年(昭和27年)には、鵜飼まもるが良寛を描いた伝記『良寛さま』を「1」とする「伝記漫画文庫」、山路行夫がロビン・フッド伝説を基に描いた『ロビンフッドの冒険』を「1」とする「名作漫画文庫」という文庫シリーズの刊行を開始する[9]。1954年(昭和29年)には、日吉まるおが大石内蔵助こと大石良雄を描いた『大石内蔵助』を「1」とする「忠臣蔵文庫」の刊行を開始し、貸本漫画版「立川文庫」的なラインナップになる[9]。1955年(昭和30年)には、遠藤まさおの『腰ぬけ五十三次』を「1」とする「東京漫画文庫」の刊行を開始し、1958年(昭和33年)には、中島けんきちの『白鳥の死』を「1」とする「少女シリーズ」、保谷よしぞうの『人形の呪い』を「1」とする「スリラー劇場」の刊行を開始している[9]。
うしおそうじの回想によれば、同社社長の矢沢は、手塚治虫に単行本の執筆を打診しているが、うしおがパーティ会場を間違えて手塚に伝えたり、手塚が矢沢邸にたどり着けなかったりといった経緯で、ついに同社は、手塚の書籍を出すことができなかったという[10]。
同社社長の矢沢は、「子どもに見せられないようなマンガは出版できない」というポリシーを抱き、若木書房同様、少女マンガに注力した[11]。同社は、ヒロインと実母の葛藤を描く「母探し」のドラマツルギーを得意とした[3]。
1959年(昭和34年)2月1日、同社社長矢沢信行は、曙出版社長の土屋弘一らとともに中心となって、「漫画の向上」等を目的に任意団体「全国漫画出版協会」を設立、土屋を理事長に、矢沢は副理事長に就任する[12]。本部は東京都千代田区神田三崎町に当時所在した曙出版内に置いた[12]。1960年(昭和35年)ころは目黒区中目黒に本社を置いていたが、1968年(昭和43年)ころには品川区小山に移転している[1][2]。
同社は、その社史を通じて、金田君子(上原きみ子)、滝田ゆう、望月あきら、小山葉子ほか、多くの戦後の漫画家をデビューさせている。1960年代には、講談社・小学館等の漫画雑誌での少女マンガで知られる木村光久が、京さゆり、木村光志の筆名で描いている[13]。
1960年代後半には「東京ロマン社」レーベルで、劇画を出版している記録がある[14]。この時期、「東京漫画出版社」が社名を「東京ロマン社」と変えたとする説があるが[14]、その形跡はみられない[2]。1970年代以降の同社の活動は不明である。
21世紀に入って、唐沢俊一らの東京文化研究所が復刻シリーズ「UA!ライブラリー」を開始、2003年(平成15年)には、岡部多美の『愛すべき猫と兄貴』が「UA!ライブラリー2」として復刻され、同年、木村光志(木村光久)の『踏まれても』が、アンソロジー『踏まれても 全日本少女不幸選手権』(UA!ライブラリー13)に収録されている[15]。
2012年(平成24年)9月現在、国立国会図書館は、1947年の『漫画トランク』を始めとして1959年までの間に発行された、200冊を超える同社の出版物を所蔵しており[9]、大阪府立国際児童文学館は、1949年8月10日に発行された『元気のげんちゃん』(沢井一三郎)を始めとして、12冊を所蔵している[16]。
以下は、国立国会図書館蔵書にみられるものを中心とした一覧である[9]。
東京ロマン社(とうきょうロマンしゃ)は、かつて存在した日本の出版社「合資会社東京漫画出版社」が1960年代後半に使用したレーベル名である[2][14]。詳細は不明である。
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