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『愛にイナズマ』(あいにイナズマ)は、2023年10月27日に公開された日本映画[1]。監督・脚本は石井裕也、主演は松岡茉優と窪田正孝。松岡と窪田は石井監督作品初参加となる[2][3]。 母はなぜ失踪したのか。父や兄たちはなぜ真実を語らないのか。映画監督になった末っ子の妹が自分の中のモヤモヤを晴らすために、家族の映画「消えた女」を撮ろうと決心する。
ある映画製作会社で「消えた女」というプロジェクトが進行していた。監督は若手の折村花子。20年以上前に失踪した彼女の母親をテーマにした彼女自身の家族の物語。助監督の荒川は経験は長いが花子の考え、やり方が理解できない。「理由はなんだ、意味不明」と頭から否定し、業界の常識・しきたりを押しつけ、さらにセクハラしてくることに花子は悩んでいた。
バーで花子は舘正夫と出会う。空気が読めないが、正直で正義感が強い。花子が兄役としてスカウトした落合という俳優は、実は正夫の親友・ルームメイトであること、正夫もかつて俳優志望であったことがわかる。おたがい似たところがあると感じたふたりは思わずキスをし、記憶をなくすまで飲んだ。
花子と荒川の対立を問題視したプロデューサーの原は監督を荒川にかえた。花子の降板によって落合は仕事を失い、自分には才能がないと思い込んで首を吊ってしまった。葬式帰りの夜、正夫は花子に、夢のために使ってくださいと全財産の70万円を差し出す。花子は金に困っていたが、自分の夢はどうなったんだ!受け取れない!と断った。
「消えた女」をあきらめきれない花子は正夫とともに久しぶりに実家に帰った。父の治にカメラを向け、お母さんはなぜいなくなったの?と問い詰めるがうまくいかない。実は治は胃癌で余命1年と宣告されていた。大事な話があると呼び出された長男(誠一、ホテルの社長秘書)、次男(雄二、カトリックの神父)が帰ってきて久しぶりに家族四人がそろった。
父と誠一は真実を知っているらしい。幼かった雄二と花子はお母さんはガンになって外国に行った、としか聞いていない。父がついに、お母さんに電話してみようか、と言い出す。スマホのキーパッドを叩くと、美樹、という表示が出て着信音がきこえ、男性が出る。美樹は3年前に死にました。遺骨はフェリーから海に散骨しましたという。
母はガンになったとき交際している男性がおり、彼の元へ去ったらしい。次の日、父の先輩の則夫が経営する海鮮料理屋へみんなで行った。則夫の娘を自殺に追いやった男に父が制裁を加え傷害罪でつかまったこと、自暴自棄になって飲んで暴れる父に母が愛想をつかして家を出たこと、多額の損害賠償金を払ったことなどをはじめて知る。父を誇りに思う気持ち、家族を思いやる気持ちが生まれた。
1年後、誠一は社長にはじめて反抗する。映画監督である花子のことを侮辱したから。雄二は教会で、子どもたちを素直にもっとハグしたかったなーと語る父の幻覚を見る。誠一、雄二、花子は父の遺骨を海にまくためにフェリーに乗る。映画はまだ完成しないのか、とたずねる誠一に花子が、タイトル変えようかな「消えた女」じゃなくて「消えない男」に。消そうとしても消えないでしょあの人は、と答え、三人は号泣する。
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