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『化石の荒野』(かせきのこうや)は、1975年に発表された西村寿行による日本のミステリー・アクション小説、およびこれを原作として1982年に製作された日本映画。
1982年4月17日、全国東映洋画系公開。ドルビーステレオ、ビスタサイズ、カラー123分。角川春樹事務所と東映との提携作品。宣伝費に2億3000万円をかけたが、結果は角川映画始まって以来の不入りとなった[2][3]。
「西村寿行原作の映画はヒットしない」というジンクスが存在し、過去の西村寿行原作映画の興行成績は『君よ憤怒の河を渉れ』が配収2.4億円、『犬笛』が4.3億円、『黄金の犬』が2.8億円となっていた[4]。このため配給を担当した東映は、映画化に随分と反対したとされるが、当時、角川文庫での「西村寿行フェア」で累計販売部数1000万部を超えた売り上げを出していたため[5]、角川映画がこのジンクスを払拭できるかが注目されていた[4]。製作した角川春樹は、「(菅原)文太や鶴田(浩二)で当たらなくても俺が渡瀬(恒彦)で当ててやる」と意気込んだが、周囲のブレーンに薦められて起用した監督の長谷部安春が全くの期待外れで、試写を見て、映画の出来栄えに愕然としたという。後年、角川は「無残な思いをしても、プロデューサーとしては面白いと言わなければならない」と複雑な胸中を吐露している[6]。
6大都市(東京・川崎・横浜・大阪・京都・神戸)では1本立て公開されたが、地方では2本立てで公開された[4]。A級作品同士の組合せでなければ、2本立てにしても相乗効果は出ないと言う角川春樹が、2本立ての相手に選んだのが富士映画『窓からローマが見える』(池田満寿夫監督)だった[4]。池田監督の前作は『エーゲ海に捧ぐ』で配給収入は8.5億円(『レガシー』とのセットで10.5億円)[4]。今回が角川映画と富士映画の初の配給提携となった[4]。地方での2本立ての配給収入の按分は、都市部での1本立ての配給収入の比率で分けることになっていた[4]。
しかし、キネマ旬報は『エマニエル夫人』の観客層と重なる官能映画である『窓からローマが見える』と男性向けアクション映画である本作の組合せには公開前から疑問視していた[4]。製作サイドは配給収入20億円を目標としていたが、キネマ旬報は配収10億円を超えればヒットと予想していた[4]。
警視庁捜査一課の敏腕部長刑事・仁科草介はとある深夜、自宅マンションで三人組の男の襲撃を受け、外国人貿易商殺害の濡れ衣を着せられた。仁科は友人の新聞記者・峰島の協力を得て独自捜査を開始する。そんな中、仁科の元に山沢と名乗る男から奇妙な依頼が舞い込む。大物政治家・中臣晴義の長男で元警察官僚、現在はゲームハンターとして各地の山岳地帯を渡り歩いている中臣克明の動向を調査し、報酬として5000万円を支払うという内容だった。山沢は仁科を計画に引き入れるため、意図的に今回の冤罪事件を仕組んだことも明かした。仁科は真相究明のためにこのオファーを承諾し、手配の網を掻い潜りながら克明を追うが、やがてその背後に蠢くオホーツクに消えた5トンの金塊を巡る巨大な陰謀、そして仁科自身の出生の秘密も明らかになっていく。
映画の公開に先立つ1982年4月11日、東京地区を対象として「暗号を解いて金塊(実際には1枚10万円相当の金貨10枚を10人分)を探そう」という宣伝イベントが実施された。このイベントは当日朝のラジオCMで最初のメッセージを流し、それを解いて国電に乗ると車内に次の場所(大井競馬場)を示すメッセージの広告が掲示されているというものであった[8]。角川書店はこの前年に「宝探し」の暗号を記したイギリスの絵本『仮面舞踏会』を翻訳刊行して話題を集めていた。当時の報道によると大井競馬場に来た参加者は1万8千人[8]。チェックポイントは7つ用意され、最終的な「金塊」の隠し場所は町田市に角川書店の系列会社が所有する「多摩文庫」であったが、そこに向かう専用バス(6台)を用意した最終チェックポイントの小田急小田原線鶴川駅には、主催者側が想定した500人を大きく上回る3000人の参加者が集まり、バスに乗りきれない事態になった[8]。一部の参加者は最後のバスを取り囲んだり前に座り込んだりして町田警察署から警察官50人が出動する騒ぎとなり、最終的に午後8時過ぎに主催者側が「別の日に違うルートで再度金塊探しを実施する」と釈明したことで収束した[8]。この騒ぎが起きる前に多摩文庫に到着した参加者(400人以上)によって8人分の金貨は回収されており、残る2人分を再実行用とした[8]。警察には事前にバスチャーターに関わる交通整理の依頼しか寄せられておらず、「金塊探し」の企画は伝えられていなかった[8]。
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