1915年、東京市芝区生まれ。駿河台や永田町や一番町に育つ。暁星中学校で学び、中学時代から登山を始めた。1932年、旧制東京高等学校文科丙類に入学し、1935年に卒業[1]。東京帝国大学文学部哲学科で学び、1938年に卒業した。同1938年には、処女短編集『白椿』(初見靖一名義)を刊行した。
卒業後は、上智大学で教鞭をとる。戦後、1946年に『永遠の沈黙 パスカル小論』を上梓し、『歴程』同人となる。旧制東京高等学校で教鞭をとり、1955年、最初の山の本『若き日の山』を上梓、1958年、尾崎喜八らと山の文芸誌『アルプ』を創刊、1983年に終刊するまで責任編集者を務めた。また矢内原伊作や宇佐見英治らが創刊した文芸誌『同時代』にも同人として参加。東京外国語大学教授を務めたが、1965年に退官。1965年から1994年まで、FMラジオ番組「音楽の絵本」でパーソナリティを務めた。
2005年7月8日に老衰のため東京都小金井市の自宅で89歳で死去[2]。戒名は豊徳院孫誉文岳哲道居士[3]。
著作は山岳文学、画集、小説、人生論、哲学書、翻訳など多岐にわたる。詩集『羊飼の時計』(1953)、『山のパンセ』などが主著。
共編著
- 『近代精神』山崎正一共編 第三書房 近代哲学叢書 1949
- 『ヒュームとルッソー 裏切者と悪魔』山崎正一共著 創元社 1949/「悪魔と裏切者 ルソーとヒューム」ちくま学芸文庫 2014
- 『世界の哲学思想』吉村博次共著 実業之日本社 1951
- 『美しき生の歩み』原文子共著 泰光堂 1952
- 『愛情にわれ悩みて 若き人々の愛と人生の記録』編 信友社 1954
- 『哲学事典』編 河出文庫 1955
- 『忘れえぬ山』全3巻 筑摩書房 1959/旺文社文庫 1978/ちくま文庫 1999
- 『青春の自画像』島崎敏樹共著 学生社 1961
- 『山の組曲』畦地梅太郎・内田耕作共編 創文社 1961
- 『雲花雨街樹鳥海夜』編 人文書院 1964
- 『カラー歳時記 虫』浜野栄次共著 保育社 カラーブックス 1967
- 『山の詩集 友へ贈る』鳥見迅彦共編著 社会思想社 現代教養文庫 1967
- 『日本の美と自然 国立公園』大仏次郎共著、緑川洋一写真 淡交社 1969
- 『山と文学』山口耀久共編 創文社 1973
- 『新潮美術文庫 43 ブラック』解説 新潮社 1975
- 『音楽の魅力 随筆60人集』編 共同通信社 1976
- 『花の肖像 画文集』太田洋愛共著 講談社 1979、講談社文庫 1983
- 『東京の散歩道』茨田茂平共著 自由現代社 1981
- 『日本の名随筆 35 虫』編 作品社 1985
- 『音楽の森 名随筆選1 音楽との出会い』編 音楽之友社 1989
- 『孤独の生き方』編 筑摩書房 こころの本 1989
- 『中勘助全集』全17巻 赤羽淑、稲森道三郎共編 岩波書店 1989‐91
- 『自然からの答え』編 筑摩書房 こころの本 1990
- 『野生の花 ボタニカルアート画文集』荒谷由美子絵 アトリエ風信 1990
- 『山の詩集』田中清光共編 筑摩書房 1991
- 『花の詩集』田中清光共編 筑摩書房 1995
- 『渡辺一夫敗戦日記』二宮敬共編 博文館新社 1995
- 『日本の名山』全20巻 今井通子・今福龍太共編 博品社 1997‐98
翻訳
- ベルグソン『夢』平岡昇共編 白水社 1941
- アラン『家族の感情』風間書房 1946
- 『モンテェニュ旅日記』第1,2 十字屋書店 1949
- アラン『マルス 裁かれた戦争』加藤昇一郎共訳 思索社 1950
- ピエール・デュカセ『世界哲学史』渡辺秀共訳 白水社 文庫クセジュ 1953
- ロジエ・ダヴァル『フランス社会思想史』中村雄二郎共訳 白水社 文庫クセジュ 1954
- 『アラン著作集 第2 幸福論』中村雄二郎共訳 白水社 1960 のち白水Uブックス
- レイモン・ペイネ『<ふたり>のウィークエンド』みすず書房 1960
- レイモン・ペイネ『<ふたり>のポケット・ブック』みすず書房 1960
- レイモン・ペイネ『<ふたり>のおくりもの』みすず書房 1961
- レイモン・ペイネ『<ふたり>のベッドサイド・ブック』みすず書房 1961
- リュシアン・ギヨー, ピエール・ジバシエ『花の歴史』白水社 文庫クセジュ 1965
- 『世界の名著 29 ヴォルテール,ディドロ,ダランベール』責任編集 中央公論社 1970
- 『ペイネ・愛の本』みすず書房 1974
- ジャンークロード・ブリスビル文 ダニエル・ブール絵『雪国の豹オレッグ』ルイ・ブール構成 集英社 1980
- デボラ・キング作・絵『カラスの四季』佑学社 ヨーロッパ創作絵本シリーズ 1981