ビクター・ウェンバンヤマ

フランスのバスケットボール選手 (2004 - ) ウィキペディアから

ビクター・ウェンバンヤマ

ビクター・ウェンバンヤマVictor Wembanyama, 2004年1月4日 - )は、フランスル・シェネ出身のプロバスケットボール選手。NBAサンアントニオ・スパーズに所属している。ポジションはセンター。愛称は「ウェンビー」、「エイリアン」。

概要 サンアントニオ・スパーズ No.1, ポジション ...
ビクター・ウェンバンヤマ
Victor Wembanyama
メトロポリタンズ92英語版でのウェンバンヤマ
(2022年)
サンアントニオ・スパーズ  No.1
ポジション C
所属リーグ NBA
基本情報
愛称 Wemby
Alien
国籍 フランス
生年月日 (2004-01-04) 2004年1月4日(21歳)
出身地 イル=ド=フランス地域圏
イヴリーヌ県ル・シェネ
身長 221cm (7 ft 3 in)
体重 107kg (236 lb)
シューズ ナイキ[1]
キャリア情報
NBAドラフト 2023年 / 1巡目 / 全体1位
プロ選手期間 2019年–現在
経歴
2019–2021ナンテール92英語版
2021–2022アスヴェル・バスケット
2022–2023メトロポリタンズ92英語版
2023サンアントニオ・スパーズ
受賞歴
Stats  Basketball-Reference.com
Stats  NBA.com 選手情報 NBA.Rakuten
代表歴
キャップ フランス
獲得メダル
フランス
男子バスケットボール
オリンピック
2024 パリ
FIBA U19ワールドカップ
2021 ラトビア
FIBA U16ヨーロッパ選手権
2019 イタリア
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経歴

要約
視点

生い立ち・ユース

フランスで生まれ育つ。父のフェリックスはコンゴ民主共和国出身の陸上選手で、走高跳走幅跳三段跳で活躍していた[2]。母のエロディは元プロバスケットボール選手で、現在は指導者。姉のエブはプロバスケットボール選手で、弟のオスカーはハンドボール選手である[3][4]。祖父のミシェルも元プロバスケットボール選手である[5]

本格的にバスケを始める前はサッカー柔道も行っていた[6]。7歳の頃から地元のユースチームでプレーし、コーチである母から指導を受けた[5]

2013年に地元のユースチームでプレーしていた際、当時9歳にして約180cmという並外れた身長を誇っていた。これがLNBに所属するナンテール92英語版のコーチの目に留まり、10歳でナンテールのユースチームと契約した[7]。2018年2月にはFCバルセロナのユースチームに派遣され、スペインで開催されたU-14トーナメントで3位だった。大会後にバルセロナのトップチームからオファーを受けたが、本人の意向もあり断った[8][9]

ナンテール92

2019-20シーズンからナンテールのトップチームに配属され、プロデビューを果たした[10]。このシーズンは出場時間を制限され、2試合の出場に留まった。その後はフランスのU-21リーグでもプレーした。2020年2月にリトアニアカウナスで行われたアディダス・ネクストジェネレーション・トーナメント英語版にナンテールのU-18チームで出場[11]。大会平均15.8得点、12リバウンド、2.8スティール、6ブロックを記録して大会ブロック王を受賞し、オールトーナメントチームに選出された[12]

2020-21シーズンはセントレ・フェデラル英語版でもプレーした。2020年10月には、ピックアップゲームでフランス代表のルディ・ゴベアビンセント・ポイエーと対戦する動画が拡散され、話題となった[13]。12月12日の試合で腓骨疲労骨折し、約2ヶ月半欠場した[14]。2021年5月25日のオーリンズ・ロワレ英語版戦ではシーズンハイとなる14得点、10リバウンドを記録した[15]。最終的にLNBでは18試合に出場して平均6.8得点、4.7リバウンドを記録し、リーグの最優秀若手選手賞を受賞した[16]。また、U-21のチームであるエスポアでは5試合に出場して平均13.4得点、8.6リバウンド、セントレ・フェデラルでは4試合に出場して平均11.8得点、6.8リバウンド、3ブロックを記録した[17]。このシーズン終了後、ナンテールを退団した[18]

アスヴェル・バスケット

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アスヴェル・バスケットでのウェンバンヤマ
(2021年)

2021年6月29日にLNBおよびユーロリーグに所属するアスヴェル・バスケットと3年契約を結んだ[19]

2021-22シーズンは病気のため開幕後最初の1ヶ月を欠場した[20]。2021年10月1日のBCジャルギリス戦で3分間出場し、ユーロリーグでの初出場を果たした[21]。11月1日に指を骨折して離脱し、12月2日に復帰するも、同月20日に右肩を打撲して再び離脱した[22]。LNBのオールスターゲームに選出されたが、故障のため出場できなかった[23]。2022年2月11日に復帰。4月3日のESSM ル・ポルテル英語版戦にて、シーズンハイとなる25得点、7リバウンド、3ブロックを記録した[24]。6月3日に行われたプレーオフのセミファイナルにて大腰筋を痛め、残りの試合を欠場した[25]。最終的にLNBでは平均9.4得点、5.1リバウンドを記録し、2年連続で最優秀若手選手賞を受賞した[26]。ユーロリーグでは平均6.5得点、3.8リバウンドを記録し、ライジングスター賞の投票では2位だった[27]。球団社長のトニー・パーカーからはウェンバンヤマを中心にチームを構築することを約束されていたが、シーズン終了後に残りの契約を破棄し、アスヴェルを退団した[28]

メトロポリタンズ92

2022年7月4日にLNBのメトロポリタンズ92英語版と2年契約を結んだ[29]。ヘッドコーチのビンセント・コレット英語版が若手の育成に定評があることが決め手となった[30]。シーズン開幕前の10月にはアメリカ合衆国NBAGリーグ・イグナイトとのエキシビションマッチが行われ、NBAのスカウトやエグゼクティブが200人以上視察に訪れた[31]。エキシビションマッチでは1試合目で37得点、5ブロック、2試合目は36得点、11リバウンドを記録した[32]また、NBAはメトロポリタンズ92の試合を中継することを発表した。[要出典]

2022-23シーズン、2022年11月4日のリモージュCSP英語版戦でキャリアハイの33得点、12リバウンド、4アシスト、3ブロックを記録[33]。2年連続で選出されたオールスターゲームでは27得点、12リバウンド、4アシストを記録してMVPを受賞した[34]。2023年4月21日に同年のNBAドラフトにエントリーした[35]。このシーズンは最終的に平均21.6得点、10.4リバウンド、3.1ブロックを記録し、LNB史上最年少でシーズンMVPを受賞した[36]。プレーオフではASモナコ相手にスイープされ、優勝を逃している[37]

NBA

サンアントニオ・スパーズ

2023年のNBAドラフトにて1巡目全体1位サンアントニオ・スパーズから指名され[38]、7月1日にスパーズとのルーキー契約に合意した[39]

2023-24シーズン、10月25日のダラス・マーベリックス戦でNBAデビューし、15得点、5リバウンド、2アシスト、2スティール、1ブロックを記録したが、チームは119-126で惜敗した。この試合でスパーズのルーキーのデビュー戦最多記録を更新する3本の3ポイントシュートを成功させた[40]。11月2日のフェニックス・サンズ戦で38得点、10リバウンド、2ブロックを記録し、チームは132-121で勝利した[41]。なお、ティーンエイジャーの選手が1試合で35得点・10リバウンド・2ブロック以上を記録したのは、レブロン・ジェームズケビン・デュラントに次いでNBA史上3人目だった[42]。同月5日のトロント・ラプターズ戦で20得点、9リバウンド、5ブロックを記録。スパーズのルーキーが1試合で20得点、5ブロック以上を記録したのはティム・ダンカン以来だった[43]。18日のメンフィス・グリズリーズ戦では19得点、13リバウンド、4アシスト、8ブロックを記録した。12月8日のシカゴ・ブルズ戦で21得点、20リバウンドを記録。ドワイト・ハワードを抜きNBA史上最年少で20得点・20リバウンド以上を記録した選手となった[44]。17日のニューオーリンズ・ペリカンズ戦で17得点、13リバウンドを記録し、ハワードを抜いてティーンエイジャー記録となる8試合連続でのダブル・ダブルとなった[45]

2024年1月10日のデトロイト・ピストンズ戦で16得点、12リバウンド、10アシストを記録し、自身初となるトリプル・ダブルを達成した[46]。2月12日のトロント・ラプターズ戦で27得点、14リバウンド、10ブロック、5アシストを記録し、自身2度目のトリプル・ダブルを達成した。ブロックを含むトリプル・ダブルは、2021年1月のクリント・カペラ以来約3年ぶりであり、1試合で25得点・10リバウンド・10ブロック・5アシスト以上を達成したのは、アキーム・オラジュワンカリーム・アブドゥル=ジャバーデビッド・ロビンソンラルフ・サンプソンに次いで史上5人目だった。なお、新人選手がブロックを含むトリプル・ダブルを記録したのは、デビッド・ロビンソン、マーク・イートン、ラルフ・サンプソンに次いで史上4人目であった[47]

2月22日のサクラメント・キングス戦では19得点、13リバウンド、4アシスト、5スティール、5ブロックを記録し、あと1アシストがあればファイブ・ファイブズを達成するところだった。ところが、翌日のロサンゼルス・レイカーズ戦で出場時間31分で27得点、10リバウンド、8アシスト、5スティール、5ブロックを記録し、史上15人目となるファイブ・ファイブズであるとともに、史上最年少かつ史上最短出場時間でのファイブ・ファイブズを達成した[48]。なお、2試合連続で5スティール・5ブロックを記録したのはマイケル・ジョーダンに次いで史上2人目であった。3月30日のニューヨーク・ニックス戦でシーズンハイとなる40得点、20リバウンドを記録し、チームは延長戦の末に130-126で辛勝した。なお、NBAの新人選手が40得点・20リバウンド以上を記録したのは、1993年のシャキール・オニール以来約30年ぶりであった[49]

4月13日にスパーズはウェンバンヤマが翌14日のシーズン最終戦であるデトロイト・ピストンズ戦に右足首の負傷のため出場しないことを発表した。このシーズン、ウェンバンヤマは1シーズンに1500得点・250アシスト・250ブロックを記録した史上初の新人選手となり、歴代ではカリーム・アブドゥル=ジャバー、アキーム・オラジュワン、デビッド・ロビンソンに次いで史上4人目の選手となった。そして、シーズン通算1500得点・250ブロック・3ポイントシュート100本成功を記録した史上初の選手となった[50]。また、このシーズンにウェンバンヤマは平均3.6ブロックを記録し、NBA史上最年少でブロック王を受賞(新人選手ながらブロック王を受賞したのは1985-86シーズンマヌート・ボル以来)し[51]、史上6人目となる満場一致で新人王を受賞した[52]。さらに、ウェンバンヤマはNBAオールディフェンシブファーストチームに選出され、NBA史上最年少かつオールディフェンシブファーストチーム入りした史上初の新人選手となった[53]

2024-25シーズン、10月31日のユタ・ジャズ戦で自身2度目のファイブ・ファイブズとなる25得点、9リバウンド、7アシスト、5スティール、5ブロックを記録し、チームは106-88で勝利した。なお、NBAで複数回のファイブ・ファイブズを達成したのは、アキーム・オラジュワン、アンドレイ・キリレンコに次いで史上3人目であった[54]。11月4日のロサンゼルス・クリッパーズ戦で24得点、13リバウンド、9ブロックを記録したが、チームは104-113で敗れた[55]。同月13日のワシントン・ウィザーズ戦でキャリアハイとなる50得点を記録し、史上4番目の若さ(20歳314日)で50得点以上を記録した選手となった。また、直近3試合で合計3ポイントシュート20本成功・13ブロック以上を記録したNBA史上初の選手となった[56]

12月21日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦でキャリアハイに並ぶ10ブロックを含む30得点(内3ポイントシュート4本)を記録し、20歳以下で複数の試合で10ブロック以上を記録したNBA史上初の選手となり、チームは114-94で勝利した。なお、1試合で30得点・10ブロック以上のダブル・ダブルを達成したのは、アキーム・オラジュワン、デビッド・ロビンソン、アーティス・ギルモア、カリーム・アブドゥル=ジャバー、ドワイト・ハワードに次いでNBA史上6人目であり、1試合で3ポイントシュート4本成功・10ブロックを記録したNBA史上初の選手となった。さらに、ウェンバンヤマはこの試合で62試合連続で1ブロック以上を記録しており、デビッド・ロビンソンが保持していたフランチャイズ記録を更新した[57]。同月25日のクリスマスゲームとなるニューヨーク・ニックス戦で42得点、18リバウンド、4アシスト、4ブロックを記録したが、チームは114-117で惜敗した。なお、クリスマスゲームで40得点・15リバウンド以上を記録したのは、ウィルト・チェンバレンニコラ・ヨキッチに次いでNBA史上3人目であった。また、クリスマスゲームデビュー戦における得点数は、ウィルト・チェンバレン(45得点)、トレイシー・マグレディ(43得点)に次いで史上3番目の得点数であった[58]

2025年1月30日に自身初となるオールスターに控えとして選出された[59]。しかし、オールスター出場後の2月20日に右肩深部静脈血栓症と診断され、残りのシーズンを全休することが発表された[60]。このシーズン、ウェンバンヤマは46試合に出場し、リーグ1位となる平均3.8ブロックを含む平均24.3得点、11.0リバウンド、3.7アシストを記録した[61][62]

代表歴

2024年のパリオリンピックフランス代表で出場した。

選手としての特徴

裸足の身長が約220cm、ウィングスパンは約244cmと規格外のサイズを誇り、俊敏性も備える。ウェンバンヤマの試合を間近で観戦したレブロン・ジェームズは彼を「エイリアン」と評し、「彼ほど大きく、それでいてスムーズに動ける選手を見たことがない」と称賛している[63]。また、NBAアナリストのエイドリアン・ウォジュナロウスキー英語版はウェンバンヤマを「NBA史上最高にして、唯一無二の逸材」と評している[64]

オフェンスではビッグマンながら3ポイントシュートを高精度で決めることができ、ガードのようなボールハンドリングスキルを備えている[65]。ディフェンスではそのサイズを活かし、ショットブロッカーとして活躍する[65]

一方で、身長と比べると体重が軽く体格も細いため、将来大きな怪我をしてしまう可能性が懸念されている[65]

個人成績

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略称説明
  GP 出場試合数   GS  先発出場試合数  MPG  平均出場時間
 FG%  フィールドゴール成功率  3P%  スリーポイント成功率  FT%  フリースロー成功率
 RPG  平均リバウンド  APG  平均アシスト  SPG  平均スティール
 BPG  平均ブロック  PPG  平均得点  太字  キャリアハイ
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NBA

レギュラーシーズン

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シーズン チーム GP GS MPG FG% 3P% FT% RPG APG SPG BPG PPG
2023–24 SAS 717129.7.465.325.79610.63.91.23.621.4
2024–25 464633.2.476.352.83611.03.71.13.824.3
通算 11711731.1.469.339.80910.83.81.23.722.5
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ユーロリーグ

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シーズン チーム GP GS MPG FG% 3P% FT% RPG APG SPG BPG PPG
2021–22 アスヴェル 131017.3.373.303.6673.8.5.41.96.5
通算 131017.3.373.303.6673.8.5.41.96.5
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脚注

外部リンク

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