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知能検査(ちのうけんさ)とは、知能を測定するための心理検査である。類似に発達検査、性格検査などがある。
検査結果の表示の仕方のうち代表的なものが知能指数(IQ)(偏差知能指数(DIQ)含む)である。また知能偏差値(ISS)や精神年齢(MA)で表す方法や、大まかに「優」「中」などの5〜7段階に分けて知能段階点で表す方法や、最下位から何パーセントの位置にあるかをパーセンタイル(知能百分段階点)で表す方法がある。
実施目的は学習指導や就学指導や障害者認定や就職活動などがある。
知能検査の入手に関しては、日本心理検査協会倫理要綱で心理検査の散逸が規制されているため(心理検査#入手を参照)、一般的な知能検査の本体(用紙・部品など)は、医療・教育関係者や、企業の人事担当者などの特定の相手のみに販売している。なお検査実施法(マニュアル)も同様である場合が多いが、田中ビネー知能検査など一部の製品の検査実施法は、一般書籍扱いで書店でも販売されている。(ただし、一般向けでない書籍でも、古書店で販売されている例も見かける。)
検査内容で分類すると、言語能力が大きく関係する「A式」と、言語能力があまり関係しない「B式」、その中間の「AB混合式(C式)」に分けることが可能である。
実施方法で分類すると、精密な「個別式検査」と大量測定に向く「集団式検査」に分けることが可能である。
結果の表示方法で分類すると、「一般知能検査」と「診断性知能検査」に分類できる。一般知能検査は、結果が1つのIQで表示され、全体的な知能を表示するものである。診断性知能検査は、結果が複数の領域別IQで表示され、個人の長所・短所が良く分かる。ただし、代表的な一般知能検査とされてきたビネー式は、最新の田中ビネーVによって領域別IQが表示できるようになったため、診断性知能検査となった。
知能検査には1世紀の歴史がある。当初は知的障害児を見分けるためのものであったが、集団式検査の開発により、さまざまな分野に用途が拡大していった。日本では、1960年代ごろから知能検査に対する厳しい批判のために発展が妨げられたという意見もある(#外部リンク1の16ページを参照)。
知能検査には1世紀の歴史がある。過度な優生政策、人種政策などに悪用された歴史もあるが、学校や企業など多くの場で活用されてきた歴史もあり、学習指導や障害者福祉に貢献した側面も大きい。しかし、人間の内的な部分を直接測るというデリケートなものであるため、欠点を非難されたことも多い。
知能検査に対しては、以下のような批判がなされることがある。
知能検査を用いる場合は、こういった問題点や限界をよく認識した上でなければならない。
検査名 | 著者 | 出版社 | 所要時間 | 適用年齢 |
---|---|---|---|---|
田中A-2式知能検査 | 田中教育研究所編 | 日本文化科学社 | 40分 | 15歳〜18歳 |
最も多く用いられている。校外採点。 | ||||
TK式田中B式知能検査 | 田中寛一 | 田研出版 | 40分 | 8歳〜成人 |
言語をあまり使わずにテストできるため、外国人や言語障害者に使える。田中B式と名が付く検査は、これ以外にも数社から数多く出版されている。 | ||||
新田中B式知能検査 低B 中B 高B 1・2B 3B |
田中寛一、岡本奎六、田中英彦 | 金子書房 | 低B・中B・高Bは40分 1・2B・3Bは45分 | 低Bは小学校1年・2年 中Bは小学校3年・4年 高Bは小学校5年・6年 1・2Bは中学校1年・2年 3Bは中学校3年・高校生・成人 |
言語をあまり使わずにテストできるため、外国人や言語障害者に使える。用紙は横型である。田中B式と名が付く検査は、これ以外にも数社から数多く出版されている。校内・校外採点。 | ||||
TK式学年別田中S式知能検査 中1 中2 中3 |
間宮武、加賀秀夫 | 田研出版 | 50分 | 中学生(学年別) |
A式とB式の混合であり、S式(総合知能、思考、推理の頭文字であり、Synthetical(総合的)の頭文字である)と名づけられた。G指数(学習、頑張りの頭文字である)という、やる気持続指数を導入している。これは最初の問題を解く際の勢いがどれくらい最後の問題まで続いたかということを表すものである。校内・校外採点。 | ||||
東大A-S知能検査 L版 H版 H版2型 H版高校用 S版 |
東京大学教育心理学研究会編 | 東京心理 | 45分 | L版は小学2年〜4年 H版は小学4年〜中学3年 H版2型は小学4年〜中学3年 H版高校用は高校1年〜3年 S版は中学1年〜高校3年 |
得点は学力との相関が高い。2つの類似質問を組み合わせ、両方に正解しないと得点にしないという「対得点法」が採用されているため、ランダム回答による過大評価の可能性が非採用時の25分の1になっている。校内・校外採点(S版は校外のみ)。 | ||||
京大NX知能検査 NX5-8 NX7-9 NX8-12 NX9-15 NX15- |
倉石精一、苧阪(おさか)良二、梅本堯夫、他 | 大成出版牧野書房 | 45分 | 検査名の数字が適用年齢をあらわしている |
NX15-の初版は1955年発行、新訂第2版は1984年発行。校内・校外採点。 | ||||
京大SX15-知能検査 | 倉石精一(京都大学)監修、苧阪良二、梅本堯夫、奥野茂夫、住田幸次郎、藤本正信 | 大成出版牧野書房 | 70分〜80分 | 15歳以上 |
高能力適性発見用。現行である第2版は1972年発行とやや古い。校外採点。 なお京大NXの手引によると、京大知能検査は、現行の正常知能者用のNXシリーズ、高知能者用のSX15-のほかにも、低知能者用のIX5-15、知的障害者用のFX、発達検査DX0-5、創造性検査GX、およびSX9-15を作成するつもりだった様だが、現時点では発行されていないと思われる。 |
上記の検査は代表的な現行の検査であるが、これ以外にも以下のように多くの検査が発行された。
検査名 | 著者 | 出版社 | 所要時間 | 適用年齢 | |
---|---|---|---|---|---|
ビ ネ | 式 |
田中ビネー | 田中教育研究所編 | 田研出版 | 2歳〜成人(1歳以下も発達チェック可能) | |
田中寛一(たなかかんいち)がビネーの製作した検査を輸入したものであり、1987年発行の第4版(全訂版田中ビネー)は日本で最も多く使われている個別式知能検査である。2003年に第5版の「田中ビネーV」が発行された。1歳以下を対象とした「発達チェック」も可能である。#外部リンク4、5、6、7も参照。 | |||||
鈴木ビネー(実際的個別的智能測定法) | 鈴木治太郎(すずきはるたろう) | 古市出版 | 約60分 | ||
簡便性があり、1956年の出版以来改訂されていなかったが、2007年3月に『改訂版 鈴木ビネー知能検査』が古市出版より出版された。#外部リンク8も参照。 | |||||
幼少研式辰見ビネー | 辰見敏夫 | 日本文化科学社 | 3歳〜8歳 | ||
1980年発行。 | |||||
武政ビネー | 武政太郎、辰野千寿(たつのちとし)、岡本奎六 | 世界社 | |||
用具は白黒のカードのみ。1952年発行。 | |||||
村山ビネー | |||||
ウ ェ ク ス ラ | 式 |
WPPSI(ウイプシイ) | 日本心理適性研究所、小田信夫、茂木茂八、安富利光、松原達哉 | 日本文化科学社 | 約45分 | 3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月 |
「Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence」の略。公式の表記は「ウイプシイ」だが「ウィプシ」や「ウィプシー」と読まれる場合もある。現在は第3版のWPPSI-IIIであるが、日本語版は1969年12月に発行された初版の「WPPSI知能診断検査」までである。#外部リンク9も参照。 | |||||
WISC(ウィスク) | 東洋(あずまひろし)、上野一彦、藤田和弘、前川久男、石隈利紀、佐野秀樹 | 日本文化科学社 | 約60分〜70分 | 5歳〜16歳11ヶ月 | |
「Wechsler Intelligence Scale for Children」の略。現在は第4版のWISC-IVであるが、日本語版は2011年1月に発行された。#外部リンク10も参照。 | |||||
WAIS(ウェイス) | 上野 一彦、石隈 利紀、大六 一志、山中 克夫、松田 修 | 日本文化科学社 | 約60分〜90分 | 16歳〜90歳11ヶ月 | |
「Wechsler Adult Intelligence Scale」の略。第4版のWAIS-IVの日本語版は2018年8月に発行された。 | |||||
K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー | カウフマン夫妻 | 約30分〜60分 | 2歳6ヶ月〜12歳11ヶ月 | ||
「Kaufman Assessment Battery for Children」の略。 | |||||
ノンバーバル検査 | 田中教育研究所編 | ||||
PTONIプライマリー非言語式知能検査 | ロニー・マギー、デイビット・エイラー | Pro Ed Inc | 約10分〜15分 | 3歳〜9歳11ヶ月 | |
日本語を含む7ヶ国語での検査が可能。言語障害、聴覚障害がある児童にも適用しやすい。自閉症、ダウン症等、発達障害のある児童に広く使われている。「Primary Test Of Nonverbal Intelligence」の略。 | |||||
ノンバーバル検査 | 田中教育研究所編 | ||||
非言語式の検査である。 | |||||
グッドイナフ人物画知能検査(DAM) | 三京房 | 約10分 | 知能年齢3歳〜9歳 | ||
フローレンス・グッドイナフによって考案され、日本では小林重雄によって1977年に再標準化された。人の絵を書かせ、どの程度細かく描かれているかによって知能を測定する。言語障害がある児童にも適用しやすく、検査結果は動作性知能を現しているとされている。 | |||||
大脇式精薄児用知能検査器 | 大脇義一 | 30分 | 1歳1ヶ月〜6歳 | ||
上記の検査は代表的な現行の検査であるが、これ以外にも以下のように多くの検査が発行された。
以下は品切れで入手困難なもの。
以下は心理関係者のみ入手可能なもの。
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