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2020年に発売されたゲームソフト ウィキペディアから
『サイバーパンク2077』(ポーランド語・英語: Cyberpunk 2077)は、2020年12月10日より発売されたCD Projekt RED開発によるポーランドのコンピューターゲーム。サイエンス・フィクション・サイバーパンクの設定、すなわちサイボーグ手術などの身体改造が一般化した未来世界を舞台とする、オープンワールド型のアクションロールプレイングゲームである。
サイバーパンク2077 Cyberpunk 2077 | |
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ジャンル | サイエンス・フィクション、サイバーパンク、アクション |
ゲーム | |
ゲームジャンル | アクションロールプレイングゲーム、オープンワールド |
対応機種 | PlayStation 4 PlayStation 5 Xbox One Xbox Series X/S Windows Google Stadia(サービス終了) |
開発元 | CD Projekt RED |
発売元 | CD Projekt スパイク・チュンソフト(PS4、Xbox One) |
発売日 | PS4・Xbox One・Windows・Google Stadia 2020年12月10日[1] PS5・Xbox Series X/S 2022年2月16日(DL版)[2][3] アルティメットエディション(PS5・Xbox Series X/S・Windows) 2023年12月5日 2024年2月15日(日本国内PS5パッケージ版)[4] 拡張コンテンツ「仮初めの自由」 2023年9月26日[5] |
売上本数 | 2500万本以上[6] |
レイティング | CERO:Z(18才以上のみ対象) ESRB:M(17歳以上) PEGI:18 USK:18(18歳未満提供禁止) |
その他 | 開発費:12億ポーランド・ズウォティ(約413億円)[7]
ダウンロードコンテンツ:あり[8] |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | ゲーム |
ポータル | ゲーム |
1980年代にアメリカ合衆国で初版がリリースされたテーブルトークRPG『Cyberpunk』シリーズを原作とし、1993年に日本語版もリリースされたシリーズ第2版『サイバーパンク2.0.2.0.』(原題: Cyberpunk2020)の舞台設定も引き継がれている[9]。初版の『Cyberpunk2013』では2013年、第2版の『サイバーパンク2.0.2.0.』が2020年が舞台という時代設定であったのに対し、本作では舞台となる時代を2077年へと変更した[9][10]。開発コードネーム「Orion」として本作の続編の制作が発表されている[11]。
2012年10月にタイトルが正式発表された後[9]、2013年1月にティザートレーラーが公開された[12]。それ以降はしばらく情報がなかったが、北米時間2018年6月10日に開催された「Xbox E3 2018 Briefing」で続報となるトレーラーが公開された[13]。翌年、北米時間2019年6月9日に開催された同イベント内で、俳優のキアヌ・リーブスがジョニー・シルヴァーハンド役として初登場する新作トレーラーを公開。リーブス本人もサプライズでステージに登壇し、本作が2020年4月16日に発売することを発表した[14]。
2020年1月17日、「舞台となるナイトシティが巨大であるため、テストやフィックス・改善に時間がかかる」として、発売日を2020年9月17日に延期することを発表した[15]。しかし、その後も新型コロナウイルスの影響で一部音声収録に遅れが生じるなど[16]、開発するにあたって芳しくない状況が続き、6月19日には2度目の延期を発表。新たな発売日は2020年11月19日とした[17]。
2020年9月30日、スタジオ側が「クランチ」と呼ばれるリリース直前の長時間労働や残業を従業員に求めていたことをブルームバーグが報じ、騒動となった。ブルームバーグによると、スタジオヘッドのアダム・バドウスキは従業員に対して、「この決定への反発は、すべて私が一身に引き受けます」「クランチは決して問題への答えではないが、現状を乗り越えるための他の選択肢は尽きてしまった」といった内容のメールを送信していた。バドウスキは2019年のインタビューでクランチを強制しないという趣旨の発言をしており、事実上これを撤回する形となったため批判を浴びた。この報道に対し、バドウスキは「これまででもっとも厳しい決断のひとつだった」「追加分の賃金の支払い以外に、2020年のスタジオ収益の10%をスタッフに還元する取り組みを行う」と発言した[18][19]。
2020年10月5日、公式Twitterで本作のマスターアップ(リリース用のバージョンが完成したこと)を報告した[20]。
2020年10月28日、次世代機版を含めた9つのプラットフォームでの展開に向けてクオリティアップが必要なことや、前述した新型コロナウイルスの影響で在宅勤務をしながら作業を行っていることを理由に、3度目の発売延期を発表した。マスターアップ後の発売延期は異例であり、業界の常識を覆すような事態となった。新たな発売日は2020年12月10日とした[21]。
2020年12月10日、PS4・Xbox One・Windows・Stadia版が発売された[1]。予約販売のみで800万本を売り上げ[22][注 1]、Steamの同時接続プレイヤー数では、当時のシングルプレイ作品における記録を更新する105万4388人を記録するなど[24]、セールス面では好調な滑り出しを見せた一方で、全プラットフォームで発生している多数のバグや、PS4・Xbox Oneでプレイした際のグラフィックの質の低さなど、パフォーマンス面の問題を指摘する声が多く上がった [25]。
2020年12月14日、公式Twitterで前述した問題に対する声明文を発表。PS4・Xbox One版でのゲームプレイを「発売前にきちんとお見せしなかったこと、そしてそれにより、十分な事前知識なしに本作をご購入させてしまったこと」について謝罪を行った上で、今後配信されるアップデートで問題を修正すること、両機種でのパフォーマンスに満足していないユーザーに向けて返金対応を行うことを発表した[26]。
2020年12月18日、ソニー・インタラクティブエンタテインメントからPlayStation Storeで本作を購入したユーザーに対し、希望者には全額返金を行うことが正式に発表された。また、これに伴いPlayStation Storeで販売されていた本作のダウンロード版が暫定的に販売中止となった[27][28]。
2020年12月19日、Microsoftも一部のプレーヤーが本作のパフォーマンスに満足していないことを認め、Microsoft Storeで本作を購入した希望者に対して返金を行うと発表した[29]。
2020年12月24日、ニューヨークに本拠地を置くローゼン法律事務所が、連邦証券法違反を理由にCD Projekt REDに対して集団訴訟を提起した。ローゼン法律事務所は、「2020年1月16日から12月17日までの期間にCD Projekt REDの証券を購入した投資家に代わって訴訟を起こした」と発言した[30]。集団訴訟の理由として、「CD Projekt REDが虚偽あるいは誤解を招く声明を出したため」と説明した上で、「サイバーパンク2077にはバグが多く、特にPlayStation 4やXbox Oneでは『実質ほとんどプレイできない』という情報が十分に開示されていなかった」として、スタジオの情報開示に対する姿勢を批判した[30]。
2021年年1月には、同様の理由でカリフォルニア州でも集団訴訟が提起され、本作に関連してアメリカ国内で2件の集団訴訟が提起される事態となった。訴訟に対し、CD Projekt REDは、「このような請求から身を守るために積極的な行動を取る」と発言した[31]。
2021年1月14日、公式サイト内で「クオリティに関する取り組み」と題した記事をCD Projekt RED共同設立者マーチン・イウィンスキのコメント映像と共に公開した。イウィンスキは動画内で旧世代機版についての見解を説明。「我々が望んでいた品質基準を満たすものではなかった」とした上で「私個人と役員の全員が本件について深く反省しています」と謝罪した。また、本作で多くの問題が発生した理由として「最初にPC上で素晴らしいと思えるゲームを作り上げてから、家庭用ゲームに落とし込む」という当初の方針や、各ハードウェア間の差を過小評価した結果、データ読み込みの調整に手こずっていたことなどを上げた。最終的な目標を「プレイヤーが直面している不具合やクラッシュを全プラットフォームで修正すること」とし、今後も定期的にパッチを配信していくと発表した[32][33]。
2021年1月16日、一連の問題が発生した理由について、ブルームバーグが開発者ら20人以上へのインタビューを実施した結果を公開。問題が発生した主な原因として、「ゲームとゲームエンジンを同時開発していた」こと、「同スタジオが長年にわたり「そのうち解決する」の精神で成功を収めてきた影響で、開発の見通しが甘かった」こと、「開発スタッフ同士の対立があり、トップレベルの開発スタッフの大量離反が起きた」こと、「人事が非効率的で、500人以上の人員[注 2]を投入したにもかかわらず、慢性的なリソース不足に悩まされた」こと、新型コロナウイルスの影響などを上げた[34]。また、本作の開発が本格的にスタートしたのは2016年後半になってからであり、多くの開発スタッフが完成時期を「2022年」と想定していた結果、開発期間が想定から2年近く短くなってしまい、2018年に公開されたデモムービーについては「ほぼ完全なハリボテ」であったとしている[34]。
2021年2月9日、CD Projekt REDは「ランサムウェアによる大規模なサイバー攻撃を受けた」と発表した。この攻撃によって、本作や『ウィッチャー3 ワイルドハント』など複数のタイトルのソースコードや社内文書が盗まれ、一部の社内データが暗号化されるなどの被害を受けた。これに対し、CD Projekt REDは「ランサムウェアによってシステムの一部が使用不能になりましたが、データはバックアップから復元可能です。私たちが要求に応じなければデータを公開されることは認識していますが、攻撃者と交渉する気はありません」と発表した。その後、盗まれたデータの一部がインターネット上に流出していることが確認された[35][36]。
2021年2月25日、前述したサイバー攻撃の影響で、最新パッチの配信を延期すると発表[37]。
2021年3月31日、「CD PROJEKT Group: Strategy Update」内で、追加予定だったマルチプレイについて言及し、方針の変更を発表した。CD PROJEKTの共同CEOであるアダム・キチンスキは、本作のマルチプレイについて、「『サイバーパンク2077』がマルチプレイのAAAタイトルになると示唆していましたが、この計画を再考することにしました」と発言した[38]。
2021年4月23日、2020会計年度の決算報告内で、本作が2020年に約1370万本を売り上げたと発表した。その一方で、CD Projekt REDに直接返金が申請された本数は約3万本、返金に費された額は約2億4000万円に上った[39]。
2021年6月21日、PlayStation Storeでダウンロード版の販売が再開された。販売再開についてCD Projekt REDは「全プラットフォームで安定性を向上させるため、今も継続的にゲームの修正・改善に取り組んでいる」とした上で「PS4においては引き続きパフォーマンスの問題が発生する可能性がある」とし、PS4 ProまたはPS5でのプレイを推奨する内容の声明を発表した[40]。
2021年12月16日、前述した集団訴訟について声明を発表。2つの集団訴訟のうち1件について、原告側に和解金185万ドル(約2億1000万円)を支払うことで和解すると発表した[41]。
2022年2月16日、PS5・Xbox Series X|Sへの正式な対応や不具合の修正、複数の新要素追加など多くの変更点が含まれたパッチ1.5が全プラットフォームで配信。このアップデートでは前述した大きな変更点以外にも、水面の物理演算やエフェクト・NPCの挙動と反応など、細かな面も含めて膨大な数の変更や改善が行われた[2][42]。
2022年3月3日、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシア・ベラルーシ向けのCD Projektグループ製品のダウンロード販売、パッケージ版の配送、すべてのゲームのGOG.comでの流通を停止すると発表した。CD Projekt REDは、「ウクライナへの侵略に関係のない現地ゲーマーにはご迷惑をおかけすることになりますが、我々企業が力を合わせることで、いま欧州で起こっている問題により多くの注目を集められればと考えています」と発言した[43]。
2022年3月8日、本作がSteamにて、大量に低評価レビューを投稿する荒らし行為、「レビュー爆撃」を受けたことが確認された。前述したロシア・ベラルーシ向け製品の販売停止発表直後から突如として不評レビューの数が急増し、普段の倍以上となる一日当たり567件もの低評価レビューが寄せられ、翌日には2000件を超えた。投じられた不評レビューの内容は、「ゲームに政治を持ち込むな」「ロシア人に対する差別である」といった、CD Projektグループを批判するものや、中傷が多くを占めており、そのうちの多くがロシア語や中国語で書かれたものであった[44]。
2022年4月14日、CD Projekt REDは決算説明会を開催し、本作の拡張コンテンツを2023年にリリースする予定であることを発表。また、本作の販売数が1,800万本を突破したことも併せて発表した[45]。
2022年9月7日、CD Projekt REDは本作の情報番組「Night City Wire エッジランナーズ特別編」にて、拡張コンテンツの新情報とパッチ1.6の情報を公開。拡張コンテンツのタイトルが「PHANTOM LIBERTY(邦題:仮初めの自由)」で、対象プラットフォームはPS5・Windows・Xbox Series X|S・Stadiaだと発表した上で、PS4・Xbox One版はパッチ1.6以降の大型アップデートや「仮初めの自由」には対応せず、不具合の修正のみ継続すると説明した。同日、「エッジランナーズアップデート」と題したパッチ1.6をリリース。ゲームプレイに関する様々な修正や改善に加え、後述するWebアニメ「サイバーパンク:エッジランナーズ」にインスパイアされた新コンテンツが追加された[46]。
2022年9月13日、本作を原作とするWebアニメ『サイバーパンク:エッジランナーズ』がNetflixで配信開始。『エッジランナーズ』はレビュー集積サイトRotten Tomatoesで高評価を記録するなど、高いクオリティで話題の作品となった[47][48]。パッチ1.6と「エッジランナーズ」の配信後、Steamにおける本作の同時接続プレイヤー数は右肩上がりに増加し、9月19日までの間にピーク時で、パッチ1.6の配信以前と比較して約7倍となる8万5000人以上を記録した[49](#サイバーパンク:エッジランナーズも参照)。
2022年9月22日、公式Twitterにて、「今週はなんと毎日、新規・復帰を問わず100万人のプレイヤーがナイトシティを訪れています」と発表した[50]。
2022年9月26日、その後もプレイヤー数は伸び続け、Steamにおける24時間以内の最高同時接続プレイヤー数が、同スタジオが開発した『ウィッチャー3 ワイルドハント』が記録した数を超える、13万6724人を記録するなど、発売から約2年経過したシングルプレイ作品としては驚異的な盛り上がりを見せた[51]。
2022年9月29日、本作の売り上げが2000万本を突破したと発表した[52]。
2022年10月5日、開発コードネーム「Orion」として本作の続編の制作を発表した[11]。
2022年12月7日、Eurogamerが行ったインタビューの中で、本作のシニア・クエストデザイナーを務めたフィリップ・ウェバーが、当初から追加予定だったマルチプレイについて言及した。ウェバーはこのインタビューの中で、「ゲームのメインとなるコンテンツが問題なく動作する、それが最優先事項でした」「そして何かを優先するということは、研究開発におけるほかのプロジェクトをあきらめざるを得ないということです」と発言し、マルチプレイの追加が見送られた理由を説明した[53]。
2022年12月9日、「The Game Awards 2022」にて、「仮初めの自由」の新トレーラーが公開。俳優のイドリス・エルバが出演することが明らかになった[54]。
2023年1月7日、前述した集団訴訟について、1件目と同額の185万ドルを支払うことで2件目の訴訟が和解に至ったと発表した[55]。
2023年6月12日、「Xbox Games Showcase」で公開された映像内で、俳優のキアヌ・リーブスが再び登場し、「仮初めの自由」の内容を紹介。その後トレーラーも公開され、「仮初めの自由」が2023年9月26日に発売すると発表した[56]。
2023年7月14日、開発スタッフのTwitterにて、本作のSteamの全体レビューが「非常に好評」に到達したと発表した。約54万件のレビューのうち80%以上が好評となった。また、この数字は前述した荒らし行為によるレビューを除外して計算されたものである[57]。
2023年9月22日、多岐にわたる変更・要素の追加が行われるパッチ2.0が配信された。このアップデートでは、パークやスキルツリーの刷新、警察システムの刷新、車両での戦闘の追加、「エッジランナーズ」のイースターエッグなど、多くの新要素が追加された。また、キアヌ・リーブスが演じるジョニー・シルヴァーハンドの3Dモデルがよりハイクオリティになったことでも話題となった[58][59][60]。
2023年9月26日、「仮初めの自由」が予定通り発売された。また、翌日にはSteamにおけるピーク時の同時接続プレイヤー数が、24万6754人を記録した[5]。
2023年10月5日、投資家向け説明会にて、「仮初めの自由」の開発費は2億7500万ポーランド・ズウォティ(約94億円)、宣伝などの販売費はおよそ9500万ポーランド・ズウォティ(約32億円)、本作を現世代機の基準に引き上げるために行ったパッチ2.0などの開発には推定1億7800万ポーランド・ズウォティ(約61億円)かかったと発言した。なお、本編の開発費は12億ポーランド・ズウォティ(約413億円)である[7]。
2023年10月6日、本作の累計売上が2500万本を突破し、「仮初めの自由」の売上が発売から10日間で300万本を突破したことを発表した。また、「仮初めの自由」はSteamユーザーレビューにて約6800件中88%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得するなど、好調な滑り出しとなった[6]。
2023年11月21日、本編と「仮初めの自由」がセットになった「サイバーパンク2077 アルティメットエディション」のデジタル版を2023年12月5日に、日本国内向けのPS5パッケージ版を2024年2月15日に発売すると発表した[4]。
2023年11月29日、「仮初めの自由」の売上が430万本を突破。本編を所有するプレイヤーのうち、約20%が購入した計算になると発表した[61]。
2023年12月5日、本編および「仮初めの自由」に適用されるパッチ2.1が配信された。このアップデートでは、ゲーム内や「エッジランナーズ」に登場する電車、「NCARTメトロ」への乗車が可能になった他、多数の新要素が追加された[62]。
2023年12月8日、「The Game Awards 2023」にて、継続的にプレイヤー体験を進化させる優れた開発を行ったゲームを表彰する「Best Ongoing Game」部門を受賞した[63][64]。
2024年2月29日、複数のバグ修正やバランスの調整を行うパッチ2.12が配信された[66]。
2024年5月29日、CD Projekt REDは2024年第1四半期の決算報告を行った。決算報告書によると、2024年2月29日の時点では17人のスタッフが本作を担当していたが、4月30日の時点では0人となっていた。本作の開発チームは「仮初めの自由」発売後から段階的に縮小されていたが、今回の発表で遂に担当スタッフが0人となったことで、パッチ2.12の配信を最後に本作が開発完了となる可能性を複数のメディアが報じた[67][66]。
2024年9月13日、PC版のみを対象とするパッチ2.13が配信された。このアップデートでは、「AMD FidelityFX Super Resolution 3」および「Frame Generation」への対応、「Intel Xe Super Sampling 1.3」への対応といった新オプションの追加の他、一部オプションの変更や安定性の向上・ビジュアル関連の修正が行われた[68]。
原作であるテーブルトークRPG『サイバーパンク2.0.2.0.』の世界設定を詳細に読み込み、原作者であるマイク・ポンスミスによる監修も行われるなど、原作の各種設定を忠実に反映したものとなっている[69]。日本語版においては、1993年に日本で発売された『サイバーパンク2.0.2.0.』の日本語訳表現も参考にされており、固有名詞などには従来の表記が踏襲されている[70]。
本作で描かれる2077年の世界は、本作が発売される現実の2020年ではなく、原作であるテーブルトークRPGのシリーズが展開された1980年代 - 1990年代の想像力で描かれた未来の2020年代の延長線上にある世界として設定されており、人体改造の技術が発展しつつもインターネットもスマートフォンもワイヤレス接続も一般的な技術にはならず、現実とは異なる歴史を歩んだ、レトロフューチャー的な未来世界を描いている[71]。
原作シリーズが展開された1980年代は、日本のバブル景気による日米貿易摩擦を背景とした日本脅威論や反日感情(ジャパンバッシング)の高まりにより、ディストピア化した未来世界の権益を巡って日本の巨大企業が悪事を働くイメージがリアリティをもって受け入れられていた時期であった[72][73][74]。本作にもその要素は反映されており、『サイバーパンク2.0.2.0.』における主要な悪役組織として登場した日本企業「アラサカ」など、過去の作品に登場していた架空の日本企業が数多く登場する[72][73][74]。
原作『サイバーパンク2.0.2.0.』から半世紀が経過したものの、2077年のナイト・シティはいまだに巨大企業によって支配されたディストピアのままとなっている[75][76][77]。
ゲームはキャラクター作成、すなわち主人公であるVの設定をプレイヤーが決定するところから始まる。キャラクター作成時に設定したVのライフパス(出自)によって、物語開始時のストーリーの内容や経緯、他の登場人物との関係性は変化するものの[76][77][10]、いずれにせよジャッキーという人物とコンビを組んだことをきっかけに、Vは大きな物語の渦中へと巻き込まれていくことになる[76][77]。ある時、Vとジャッキーは「Relic」と呼ばれる不老不死をもたらす鍵とされるインプラントに関わることになるが[10]、思いがけない事件でジャッキーは死亡し、瀕死となったVは取引の品物に記録されていた人格データがVの意識の中にデジタルゴーストとして居座るようになる[75]。品物に記録されていたのは、半世紀前の抗争で死んだはずのテロリストジョニー・シルヴァーハンドの人格データであった[75]。
導入部以降の流れはいったん共通のメインストーリーに収束し[77]、不死をもたらすバイオチップの謎を巡る物語が展開されていくものの[75]、物語は本編であるメインクエストと無数のサブクエストに枝分かれしていく[76]。さらに立ちはだかる問題を解決するための手段やその結果は無数に用意されており[76]、キャラクター作成時に設定した得手不得手に応じてその選択肢が増減する[10]。例えば会話による駆け引きか、金品による取引か、暴力による強行手段か[10]。駆け引きをするなら無数の選択肢の中からどの選択肢を選ぶか、あるいは何も選ばないで沈黙するのか[77]、戦闘で解決するならどのような能力を用いてどのような作戦を立てて戦うのか[77][10]、そして目の前の問題が解決した後にどのような幕引きを図るか[77]、といった具合である。Vは様々な裏家業を請け負いながら、ナイト・シティの中で成り上がっていくこととなる[75]。
この節の加筆が望まれています。 |
『サイバーパンク:エッジランナーズ』(ポーランド語・英語: Cyberpunk: Edgerunners)は、バルトシュ・シュティボーがスクリーンストーリーを務め、アメリカ合衆国の定額制動画配信サービス「Netflix」にて2022年9月13日より全世界で配信されたポーランドと日本のWebアニメーション作品である[84][85]。
オープンワールド型アクションロールプレイングゲーム『サイバーパンク2077』のスピンオフ作品であり、ゲーム本編より前のナイト・シティを舞台とする前日譚。暴力表現や性描写があり、年齢制限は16歳以上となっている。作中の表記はゲーム同様に英語で、オリジナルの音声は日本語[86]。
ストーリーやキャラクター造形は大まかにはCD Projekt REDが提案し、話し合いを重ねてTRIGGERが詳細を考えた[87]。女性キャラクターの外見については意見が割れることが多く、可愛らしく幼い少女のような外見をしたレベッカについては「こんなかわいらしいキャラクターを出したら『サイバーパンク2077』の世界が壊れてしまう! キャラクターデザインを変更して欲しい」とCD Projekt REDは難色を示したが、「可愛らしいキャラこそ激しいアクションが映えて制作者のモチベーションも上がる」とTRIGGERが説得して採用された[87]。また、ルーシーの服飾はCD Projekt RED案ではより過激なものだったが、TRIGGERが控えめなものに変えた[87]。
本作ではゲームのメインキャラクターは端役として数秒映る程度でストーリーもアニメオリジナルだが、舞台となる世界はゲームと同一であり、街並み・武器・インターフェイスなども再現され、一部のBGMやSEはゲーム内のものがそのまま流用されている[87]。ロケーションの再現度は高く、主人公が歩く何気ない通学路もゲーム内で辿ることができるようになっている。アニメを見た後でゲームをプレイして聖地巡礼したくなるようにとの意図が込められている[87]。
日系企業アラサカなどの巨大企業に支配されたディストピア都市ナイト・シティ。そこに暮らす少年デイビッドは、富裕層向けのアカデミーで浮いた存在だった。「あんたにはエリートになって、アラサカタワーの最上階に勤めるくらいになってほしい」と母グロリアは彼を学校に入れたが、高額の学費を払うには庶民が女手一つで懸命に働いても稼ぎが足りず、アパートの家賃や設備費は滞納が続いていた。
アカデミーでのトラブルの謝罪の帰り道に二人で車に乗っていたところ、ギャングの争いに巻き込まれて車が横転。医療部隊が駆けつけ救われると思いきや、高額な契約金を払っている金持ちだけを運搬し去っていった。車から投げ出されたまま長時間放置されたグロリアは当初は一命を取り留めるも様態が急変して死亡、医者は以前からの過労働で衰弱していたせいもあると指摘した。搬送、治療、葬儀にいたるまで無慈悲に費用を請求され、粗末なボトルに入った母の遺灰と共に家賃自宅に帰宅する。
デイビッドは母の遺品からサイバーウェア「サンデヴィスタン」の軍用品を発見した。救急救命士の母は、死者から剥ぎ取った物を売り捌くという違法行為によって学費を捻出していたのだ。その軍用サンデヴィスタンは、強力な戦闘能力を得られるが副作用で装着者を発狂させサイバーサイコにしてしまったという曰く付きだ。デイビッドは危険を承知でサンデヴィスタンを装着し、様々な仕事を請け負うエッジランナー(傭兵)として成り上がる道を歩む。
偶然の出会いからデイビッドに傭兵稼業を教えるようになった少女ルーシーは、いつか足を洗って遠くへ行きたいと望み、テラフォーミングされ富裕層のみが移り住んでいる月面都市に行きたいと夢見ていた。彼女に惹かれるデイビッドは「俺が君を月に連れて行くよ」と約束する。
話数 | サブタイトル | ストーリー | 脚本 | 追加脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
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1 | Let You Down/期待を背に | バルトシュ・シュティボー ヤン・バートコヴィッチ ウーカシュ・ルドゥコフスキ |
宇佐義大 | バルトシュ・シュティボー ヤン・バートコヴィッチ |
金子祥之 | 竹田直樹 芳垣祐介 | |
2 | Like A Boy/少年は何を思う | 宇佐義大 大塚雅彦 |
バルトシュ・シュティボー ウーカシュ・ルドゥコフスキ |
金子祥之 | 下平佑一 | 長谷川哲也 坂本勝 | |
3 | Smooth Criminal/裏稼業 | バルトシュ・シュティボー | 雨宮哲 | 大和田麗衣 | 田村瑛美 金子雄人 | ||
4 | Lucky You/ツキが回って | バルトシュ・シュティボー | 金子祥之 | 古川晟 | 波賀野義文 土肥志文 | ||
5 | All Eyez On Me/刺さる目線 | 中野広大 | 荒井洋紀 宇田早輝子 | ||||
6 | Girl on Fire/炎に包まれて | バルトシュ・シュティボー ヤン・バートコヴィッチ ウーカシュ・ルドゥコフスキ |
バルトシュ・シュティボー ウーカシュ・ルドゥコフスキ |
五十嵐海 | 金子祥之 | 五十嵐海 菅野一期 | |
7 | Stronger/もっと強く | 大塚雅彦 | バルトシュ・シュティボー | 宮島善博 | 宗廣智行 | 芳垣祐介 竹田直樹 | |
8 | Stay/いかないで | 下平佑一 | 田村瑛美 長谷川哲也 荒井洋紀 竹田直樹 芳垣祐介 | ||||
9 | Humanity/人間らしさ | 金子祥之 | 古川晟 | 波賀野義文 土肥志文 | |||
10 | My Moon My Man/私の月、私の恋 | 今石洋之 すしお 吉成曜 |
中野広大 | すしお 芳垣祐介 長谷川哲也 荒井洋紀 土肥志文 波賀野義文 吉成曜 |
本作は批評家と観客の双方から高い評価を受けた。Rotten Tomatoesには、2023年6月27日時点で15件の評論家レビューがあり、肯定的評価が100%、観客スコアは1000件超あり、肯定的評価は95%である[47]。
「The Game Awards 2022」では「Best Adaptation」にノミネートされ[90]、「第50回アニー賞(en:50th_Annie_Awards)」には、第1話の『Let You Down』が「Best Storyboarding – TV/Media」にノミネートされた[91]。「9th Anime Trending Awards」においては「Sci-Fi or Mecha Anime of the Year」と「Best in Original Screenplay」を受賞した[92]。
2023年3月に開催された「クランチロール・アニメアワード 2023(en:7th Crunchyroll Anime Awards)」では、13部門にノミネートされ、英語版でデイビットを演じたザック・アギラーが「最優秀声優賞(英語)」を受賞[93]、作品自体もアワードの大賞である「アニメ・オブ・ザ・イヤー」を受賞した[94]。
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