エディオンピースウイング広島
広島市中区にあるサッカースタジアム ウィキペディアから
広島市中区にあるサッカースタジアム ウィキペディアから
エディオンピースウイング広島(英: EDION PEACE WING HIROSHIMA、略称「Eピース」)は、広島県広島市中区基町の広島市中央公園内にある球技場。広島市が事業主体となって整備し、Jリーグ・サンフレッチェ広島の運営会社である株式会社サンフレッチェ広島が指定管理者として施設運営を行う。
広島サッカースタジアム[1] Hiroshima Soccer Stadium エディオンピースウイング広島[2] EDION PEACE WING HIROSHIMA | |
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スタジアム外観(空鞘橋から) フィールド(バックスタンド席から) | |
施設情報 | |
所在地 | 広島県広島市中区基町15番2-1[1] |
位置 | 北緯34度24分06秒 東経132度27分14秒 |
起工 | 2022年 |
開場 | 2024年2月1日 |
所有者 | 広島市 |
運用者 | 株式会社サンフレッチェ広島(指定管理者) |
グラウンド | 天然芝 |
ピッチサイズ | 105m×68m |
大型映像装置 | あり |
建設費 | 256億9,600万円(本体詳細設計含む) |
設計者 |
東畑・大成・EDI・復建設計JV(設計) PwC・昭和設計・福山コンサルタントJV(基本計画策定支援) |
建設者 | 大成・フジタ・広成・東畑・EDI・復建・あい・シーケィJV |
使用チーム、大会 | |
サンフレッチェ広島 サンフレッチェ広島レジーナ | |
収容人員 | |
28,520席 | |
アクセス | |
当該項参照 |
2024年(令和6年)2月1日に開業した[3]。広島市条例上の名称は「広島サッカースタジアム」だが[1]、開場時から家電量販店のエディオンが命名権を取得し「エディオンピースウイング広島」の名称を用いている(後述)。
サンフレッチェ広島(以下「サンフレ」)は広島市安佐南区の広島広域公園陸上競技場(広島ビッグアーチ、2013年から2024年までの名称は命名権により「エディオンスタジアム広島」)を本拠地としていたが、陸上競技場兼球技場であることから臨場感に欠けるほか、広島市中心部からバスで都市高速経由で20〜25分かかる立地の不便さもあって、2000年代前半から広島市中心部におけるサッカースタジアム建設構想が持ち上がっていた。しかし建設予定地を巡って市・県・サンフレ、さらには広島の財界を巻き込んで紆余曲折を重ね、最終的に広島市中央公園に建設する方針が固まり、2019年に中央公園自由・芝生広場をサッカースタジアムの建設地とする「サッカースタジアム建設の基本方針」がとりまとめられた[4]。
基本方針の策定を受け、広島市は市民アンケートや、学識経験者らで構成される「サッカースタジアムについて意見を聴く会」[注釈 1]、2020年3月30日にサッカースタジアム建設推進会において基本計画を公表した[6]。
基本計画では、以下の内容を想定した。
建設及び管理運営の主体は広島市とした上で、スタジアムの設計・施工一体型発注(DB方式)により建設することを想定。管理運営に指定管理者制度を念頭に置いており、設計・施工・運営一括(DBOO方式)による発注も視野に入れるとしている。今後は2020年(令和2年)度に設計・施工の発注準備、事業者選定を行い、2020年(令和2年)度 - 2023年(令和5年)度に基本・実施設計、建設工事、開業準備を行うとのスケジュールとしている。概算事業費は当初の想定より膨らみ、約230億から270億円(ペデストリアンデッキの整備及び埋蔵文化財発掘調査費を含む)と想定されている。
2020年10月22日、広島市が「サッカースタジアム等整備事業」としてDB方式による公募型プロポーザル(WTO調達案件)を公示[7]。事業期間を2024年(令和6年)7月末まで(ただしペデストリアンデッキについては同年3月末までに市に引き渡し)に設定し、参加者はスタジアム本体施工担当を代表企業とする2社以上の共同企業体を対象とする。
4グループから参加があり、2021年3月30日に最終プレゼンテーションが行われ、翌日に行われた選定審議会(古谷誠章会長)による技術提案書等の評価の結果、大成建設を代表企業とする共同企業体(構成員:大成建設、フジタ、広成建設、東畑建築事務所・環境デザイン研究所、復建調査設計、あい設計、シーケィ・テック)を優先交渉権者として選定した[8]。 (次点:みんなの街なかスタジアム創造企業体=竹中工務店・竹中土木・三和鉄構建設・大旗連合建築設計・MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO・亀山ランドスケープデザイン事務所・オオバ・安井建築設計事務所)。
2021年6月29日に、広島市と大成JVとの間で、256億9600万円で設計施工(DB)の事業契約が締結された[9]。 設計者は上羽一輝(東畑)+伊藤真樹(大成建設)。
2022年1月26日に、白神社(広島市中区)において安全祈願祭を終え、同年2月1日から建設工事を開始した。
2022年4月7日に、スタジアムに隣接する「広場エリア」の整備・管理運営事業(Park-PFI事業)の事業予定者についても公募が行われ、NTT都市開発を代表企業とする共同企業体(構成員:NTT都市開発、RCC文化センター、エディオン、NTTアーバンバリューサポート、NTTファシリティーズ、大成建設、中国新聞社、日本工営、広島電鉄、UID)が選ばれた[10] (次点:大和リース・共立・第一ビルサービス共同企業体)。
2023年2月8日、広島市都市整備局指定管理者指定審議会・サッカースタジアム審査会において、当スタジアムの指定管理者候補として、公募期間内(2022年10月7日-12月15日)に唯一応募した株式会社サンフレッチェ広島が選定された[11]。指定管理期間はスタジアム完成時の2023年12月28日から2033年3月末までの9年3か月で、通常利用収入は指定管理者に入るが、維持管理費が賄いきれないという理由で、広島市に対して指定管理期間中の管理費4億9900万円をサンフレ側に払い、逆にサンフレはサッカー以外の目的の収入12億5800万円を広島市に納付するとしている[12]。
2023年11月14日より、3日間をかけて、ピッチに天然芝を設置する工事が行われた。芝は鳥取県北栄町の圃場で3年間育生され切り出されたおよそ800個のロールが敷き詰められた。品種選定に当たっては、広島市内の試験圃場にて3品種を栽培し、耐陰性やプレーへの影響などの試験が行われた。その結果、日陰に強く維持管理や調達もしやすいことから「ティフトン419」という品種が採用された。なお、この品種は旧エディオンスタジアムで使用されていたものと同種である。また芝の下に敷かれる土は、粒径が均一で排水性に優れた「島根4.5号」が採用された。
2024年1月31日のオープン前日には完成式が開かれた[3]。2024年2月10日に行われたガンバ大阪とのプレシーズンマッチが杮落としとなり26,418人の入場者を集めた。ファーストゴールはピエロス・ソティリウ。試合は2-1でG大阪が勝利した[13]。2月23日に初の公式戦(浦和レッズ戦)が開催され、27,545人の入場者を集めた。試合は2-0でサンフレが勝利。公式戦ファーストゴールは大橋祐紀[14]。
敷地面積は約49,900㎡、建築面積は約26,700㎡で、スタジアムの建物は高さ約42メートルの地上7階(鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造)[15]。
「大きくまちに開かれたスタジアム」のコンセプトに合わせ、南東側と南西側に大きく開口しているのがデザイン上の特徴となっている[15]。この開口部は内部の賑わいを伝え、ピッチの天然芝育成にも寄与する。スタンドを覆う大屋根は国際平和都市広島を象徴する「希望の翼」をイメージしたもの。東西方向から見た屋根のラインが航空機や鳥の前縁(リーディングエッジ)から後縁(トレーリングエッジ)に至る翼形の断面にように見える。
南北に配置されたフィールド(121m×84m、うち天然芝エリア110m×71m、ピッチサイズは105m×68m[16])を囲むように、西側にメインスタンド、東側にバックスタンド、南側にホーム側サイドスタンド、北側にアウェイ側サイドスタンドが配置され[15]、その四隅にコーナースタンドが設置される。メインスタンド・バックスタンドは2層構造となっており、両サイドスタンドは1層構造。コンコースは2階・3階・4階の3層に分かれ、スタジアム2階の「パークコンコース」は中央公園広場等とつながっており、スタジアム3階の「メインコンコース」は試合時に各スタンドをつなぐ機能をもつ[15]。スタジアム4階はテラス席のみでコンコースは南側が無く、南側サイドスタンドは4階付近まで上に伸ばして広さを確保している。スタンド最前列とピッチとスタンドの距離は8m[16]。
観客席の座席はアイリスオーヤマが納入したもの[17]で、席種がJリーグで最多クラスの42種類用意されているのも特色[18][19]。このうち13種類は「バラエティシート」と称して下記のような特別な構造となっている[20](いずれもアウェーチームの応援並びにグッズ着用・使用不可)。
なお、42種のシートのうち6種(プレミアムVIPシートなど)はスポンサー企業向けの座席で一般販売されない[19]。アウェイサポーターが入場可能な観客席は北サイドスタンド1層目の西側とメインスタンド1層目の北側、北西側のサイドスタンドに設定される[18]。また、2・3階の吹き抜けにネット遊具などを備えた「キッズスペース」(30分入れ替え制、試合日以外も開放)、音に敏感な子供向けの「センサリールーム」も用意されている[19]。 大型映像装置は南北のサイドスタンド上に設けられており、北側は国立競技場と同じサイズの9m×32mの大型ビジョン、南側は9m×16mで時計と計時装置が設けられている。また、4階テラス席前方には長さ約380mのリボンビジョンが設置されている[16]。
東側バックスタンド下には広島のサッカー史を見学できる「広島サッカーミュージアム」(有料施設)、ファナティクスの日本法人であるファナティクス・ジャパンと共同運営するスタジアムショップが設けられ、試合日以外も開放されるほか[21]、『キャプテン翼』原作者の高橋陽一描き下ろしによる横8.62m×高さ2mの壁画「Peace Wall」が設置されている[22]。
浸水対策のためにスタジアム自体を地盤から1mほど嵩上げしており、災害時には被災者や帰宅困難者を受け入れる緊急避難場所として活用するために1階に備蓄倉庫を備えており、広場内にかまどベンチ5基とマンホールトイレ20基が整備される[15][16]。
施設名称については、広島市が2023年3月24日から5月8日までの間に「広島県内に本社若しくは支店又はこれに準ずる事業所を有すること」「5年以上、年1億円以上」の条件で命名権者の募集を行い[23]、唯一応募した家電量販店のエディオンが取得したことが2023年6月6日に明らかにされた[24]。2023年6月12日に命名権締結式が実施され、命名権による名称が「EDION PEACE WING HIROSHIMA」(エディオンピースウイング広島、略称「Eピース」)となったことが公表された[2]。契約期間は2024年2月1日から10年間で、契約額は年額1億円(消費税及び地方消費税を含む)。
なお、AFCチャンピオンズリーグ2など、クリーンスタジアム規定により命名権の使用が認められない大会を行う場合は、条例上の名称である「広島サッカースタジアム」(Hiroshima Soccer Stadium)を使用することになっている[25][26]。
特記なきものは公式サイトの記述[27]に基づく。
なお、スタジアム開場に併せて、広島バスが21号線(宇品線)(洋光台団地 - マツダスタジアム前 - 広島駅 - 紙屋町)を紙屋町(県庁前)から延伸し、新設の「エディオンピースウイング広島」バス停発着としている(通常はスタジアム南側に発着、試合日は北側の基町小学校側から発着)[28]
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