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自動車や鉄道車両、船舶や航空機等の乗り物のガラス外側表面に付着した雨滴・雪を払拭することで、視界を確保する装置 ウィキペディアから
輸送機器に装備されるワイパー(Wiper)は、降雨・降雪時および時化た海、泥濘地などでの運行において、主にフロントガラスに付着した水・氷、海水や泥水などを払拭し運行者の視界を確保する装置である。
日本での法令用語は「窓ふき器」と称され、アメリカではWindshield wiper、イギリスではWindscreen wiper と称される。プジョーが世界で初めて自動車にワイパーを装備している。
日本ワイパーブレード連合会は、自動車用ワイパー交換の啓蒙のため、毎年6月6日を「ワイパーの日」と定めている[1]。
安全上重要な装置で、メアリー・アンダーソン(1866-1953) の発明である。類似の考案は従前から存在するも、彼女の考案によるゴムブレードとバネ式アームを使用した装置は曲面のガラスにも密着して効果的に払拭できることが画期的で、1903年11月に特許が成立した。1920年の特許切れ以降、大半の自動車に標準装備されている。
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電動機の連続回転運動をリンクにより往復回転運動に変換し、ガラス表面に長い嶺を当てたゴムで一定領域を扇状に払拭する。カウルトップ内に内蔵された電動機とリンク、それらにより往復回転させられるピボット、カウルトップ外に露出したピボットの頭に嵌合するアームと、その先端に取り付けられたブレードで構成されている。ブレードは払拭ゴムをガラス曲面に隙間なく追従させるため複雑なリンクを成している。これら基本構造は発明されて以来100年以上ほとんど変わっていない。
なおワイパーの駆動には、電動機のほか、1950年代以前にはエンジン吸気管側の負圧(バキューム)を動力に用いるものが広く使われていた。バキューム式はエンジンから配管を引けば使用でき、信頼性が高まる以前の電動式に比べ低コストで故障が少ないメリットがあり、1940年代までは広く用いられた。しかし、エンジン負荷が大きい高速域では負圧が落ちるため安定して作動しない欠点があり、1950年代後期以降は電動式に置き換えられて廃れていった。まれな例ではシトロエン・2CVのように機械式速度計を駆動するワイヤーケーブルから動力を取り出すものもあったが、停止中は作動せず、速度に比例した単純な動きしかできないため、一般的な方式にはならなかった。
ウインドウウォッシャーと呼ばれる洗浄剤噴射装置も装備され、ワイパーと共に使用して付着した砂塵や軽い水垢などの汚れ、軽度の霜などを溶かして除去することができる。レシプロエンジンを操縦席の前に装備する航空機には、フロントガラスに付着したオイル飛沫やグリースをガソリンで溶解洗浄するウインドウォッシャーのみ備えるものもある。
洗浄剤は一般的にはウォッシャー液と称され、主にアルコール類と界面活性剤で構成される。付加価値的に撥水機能や解氷機能をもたせたものも存在する。業務用の自動車では水のみを補充する場合もあるが、気温によっては凍結したり、ウォッシャー液のタンクや配管、ウォッシャーノズル等の腐食や劣化をまねく可能性がある。
フロントガラス等の払拭面に直接接触するのはワイパーブレードに取り付けられたゴムで、完全に水を拭き取るものではなく、定期的な動作によりガラス面に付着した水滴を拭いながらガラス表面に薄く均一な水の膜を作り、水滴による屈折を抑えて車内からの視界を確保[3]している。
払拭ゴムは消耗や経年劣化により払拭機能が低下するため定期的に交換する必要がある。ブレード本体も度重なるガラス面との往復によりリンクがガタつき払拭機能が低下するので、アームから外して交換することができるようになっている。
フロントガラスのワイパーは、ボディの形状によっては高速走行時の気流がガラス面と払拭ゴムの間に入り込んでブレードが浮き上がり、払拭能力が不十分になることがある。この対策として、ブレードまたはアームにへら状のスポイラーを設け、気流を利用してブレードをガラス面に押し付ける作用を持たせたものもある。
現代の電動化された自動車のワイパーは、ハンドル直近の位置にすべての機能を集中したスイッチを配し、運転中でも支障なく操作できるようになっているが[4]、1980年代に生産された自動車の一部車種においては、ダイヤル式の採用例も存在した。[5]
発明当初は電動ではなく、フロントガラスあるいはその付近の車体を貫通したワイパーピボットに取っ手がついており、車内から手動でワイパーを操作していた。
ワイパーの形状は時代背景や技術の向上そして試験的要素もあいまって、いくつかの種類が見られる。
リアウインドーワイパーはリアガラスに装備され運行者の後方視界を確保するワイパーである。ステーションワゴンやミニバン、2ボックスハッチバック車に装備される場合が多い。これらの車種は後部にトランクがなく、ガラスがエンドパネルと同一面の上部にあるため、リアタイヤからはね上げられた汚れた水滴が付着[7]しやすいためである。一般的には1本だが、クラウンステーションワゴンやマークⅡバン・ワゴン、セプターワゴンなど2本装着したモデルもある。
前照灯に装備されるワイパーである。降雪時には特に効果が高く、過去にボルボ、メルセデス・ベンツ、サーブ、日産・サファリなどに装備されていたが、レンズがガラスから合成樹脂に主流が遷移するのに従い、払拭がレンズ表面を傷めることから、洗浄液の高圧噴射で付着物を取り除くヘッドランプウォッシャーに代替されていった。 なお世界で初めて搭載されたボルボのヘッドランプワイパーは、丸形ヘッドライト中央部を軸に回転するものであった。
欧州諸国を中心に、日本、韓国、オーストラリアなども加盟する国際連合欧州経済委員会 (UNECE) による自動車基準調和世界フォーラムでは、2000ルーメン以上の光束を持つヘッドランプに洗浄装置の装備を義務付けている。
ワイパーシステムの構成部位であるブレードに降雪対策を施した特殊部品である。
降雪の程度によってはブレードの複雑なリンク部が雪詰まりによる凍結で払拭ゴムを正しくガラス面に当てられなくなり、ワイパー機能を十分に発揮しなくなる。これを防ぐためリンク部全体が薄い合成ゴムで袋状に被覆され雪付しないようにされている。また払拭ゴムは通常型の2倍程度に高さを持たせており、流動性のない雪を払い落としやすくされている。 高速走行時において、構造上風抜けが悪いためフロントガラスではモーターの負担が大きいことや、ブレードが長い場合は高さのある払拭ゴムの端が風下へ捲れやすくなる。このためウインターブレードは標準装備の通常型ブレードより1サイズ短いものを選択するのが一般的である。
フロントガラスおよびリアガラスの通常型ブレードを環境に応じ適宜付け替えて使用する。
ワイパーのゴムは使用年月と共に劣化するので、1、2年毎にワイパーを取り換える必要があり、普通乗用車では自分でも替えられる。アメリカでは、大型スーパーやハードウェアストアにITW、ボッシュなどのワイパー・ブレードが低価格品約$5、中程度品約$10、高価格品約$20が売っていて、取り付けも「J-Hook」(U字フック)[8]などで取り付けやすいものになっているので、自分で取り替える人が多い。日本では、ワイパーのゴムのみを取り換える人も多い。[9] 左右のワイパーの長さが違う場合があるので、要注意。
日本の降雪地では、ワイパー本体が積雪の匍行圧で歪まないよう、またゴムが凍結によりフロントガラスに張り付き損傷しないよう、冬場は駐車時にワイパーを立てておく光景が良く見られる。これは雪質が重い日本独特の対策であるため、海外ではあまり見られない。欧州車にはワイパーを立てられない車種も存在する[10]。
特に不織布製などのシート(クロス)状の使い捨て化学ぞうきんを装着して用いる、柄の付いたモップ型の道具を指す。
など
工業製品の製造機器の汚れや不純物の混入を防ぐ機構(シール)をワイパー、または長音を抜いたワイパと呼称する場合がある。
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