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1984年のアメリカ映画 ウィキペディアから
『アマデウス』(Amadeus)は、1984年に製作された映画。ブロードウェイの舞台『アマデウス』の映画化である。F・マーリー・エイブラハム演じるアントニオ・サリエリを中心として、トム・ハルス演じるヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの物語を描く。
アマデウス | |
---|---|
Amadeus | |
監督 | ミロス・フォアマン |
脚本 | ピーター・シェーファー |
原作 | ピーター・シェーファー |
製作 | ソウル・ゼインツ |
製作総指揮 |
マイケル・ハウスマン ベルティル・オルソン |
出演者 |
F・マーリー・エイブラハム トム・ハルス |
音楽 | ジョン・ストラウス |
撮影 | ミロスラフ・オンドリチェク |
編集 |
マイケル・チャンドラー ネーナ・デーンヴィック |
配給 |
オライオン・ピクチャーズ 松竹富士 |
公開 |
1984年9月19日 1985年2月2日 |
上映時間 |
158分 180分(ディレクターズ・カット版) |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $18,000,000 |
興行収入 | $51,973,029[1] |
配給収入 | 8億200万円[2] |
映画版『アマデウス』は、アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、美術賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ賞、音響賞の8部門を受賞した[3]。ほかにも英国アカデミー賞4部門、ゴールデングローブ賞4部門、ロサンゼルス映画批評家協会賞4部門、日本アカデミー賞外国作品賞などを受賞している。2019年には、「文化的、歴史的、美術に重要」としてアメリカ国立フィルム登録簿に選ばれた。
日本での公開は1985年2月。2002年に20分のカット場面を復元し、デジタル音声の付いた「ディレクターズ・カット」も公開されている。
1823年11月のある夜、ウィーンの街で自殺をはかった老人・アントニオ・サリエリが、精神病院に運ばれた。彼は病床で「許してくれ、モーツァルト!君を殺したのは私だ」と言い続けていた。
後日、病状が安定したサリエリを神父フォーグラーが訪問し、話を聞こうとする。当初は神父を蔑み拒否していたサリエリだが次第に軟化する。そして、にわかには信じ難い驚愕すべき内容の告白を始める。
サリエリは、若い頃は音楽への愛と敬虔な信仰心に生きており、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世に仕える作曲家として、人々から尊敬されていた。しかし、彼の前に天才作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが現れたことが、サリエリの人生のすべてを変えてしまう。その類い稀なる音楽の才能は大衆から称賛され、天真爛漫かつ下品で礼儀知らずな人間性は他の作曲家から軽蔑を受ける。しかし、ただ一人サリエリだけは、「モーツァルトの才能が神の寵愛を受ける唯一最高のものであること」を理解してしまい、自分はモーツァルトの真価が分かる才能しかない凡庸な人間だと思い知らされる。そしてモーツァルトへの激しい嫉妬に苛まれるサリエリの苦悩が、大きな悲劇を生んでいく。
舞台版では再現不可能なプラハでのロケシーンや、オペラ『後宮からの誘拐』『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』のハイライト・シーンが挿入されるなど、映画版ならではの見どころも多い。劇中、本来ドイツ語によるオペラ『後宮からの誘拐』と『魔笛』は、脚本のピーター・シェーファー自身が訳した英語の訳詞によって歌われた。オペラの上演シーンの撮影に使われたプラハのスタヴォフスケー劇場(別名:エステート劇場、あるいはティル劇場。当時はノスティッツ劇場と呼ばれていた/英語版)は、実際にモーツァルト自身の指揮で『ドン・ジョヴァンニ』の初演が行われた劇場である。
モーツァルト役のトム・ハルスはピアノを猛特訓し、劇中の多くの場面で代役や吹替え無しでピアノを弾いている。指揮法についても、本作の音楽を担当したネヴィル・マリナー(指揮者)のトレーニングを受け、マリナーをして「たぶん彼が音楽映画の中で最もちゃんとした指揮をしていると思う」とまで言わしめた。なお、劇中の時代にはまだ現在のような指揮棒が無かった史実を反映して、指揮を行う場面は全て素手を振るう形で行われている。
サリエリ役のF・マーリー・エイブラハムは当初は小さな役でキャスティングされた。台本読みの段階で監督にたまたまサリエリの代役を任されたところ、その演技力の高さを示し主役に抜擢された。
モーツァルトの第一人者という事で参加を依頼されたマリナーは、「モーツァルトの原曲を変更しない事」を条件に音楽監修を引き受けた。しかし実際には『グラン・パルティータ』が抜粋で演奏され、ドイツ語のオペラは英訳され、仮面舞踏会の場面でモーツァルト作の軍歌「我は皇帝たらんもの」が歌詞無しで演奏されるなどの改変が行われている。なお、モーツァルトが皇帝に対して「ドイツの心はドイツ語で表現すべきです」「ドイツの心とは何か?」「それは愛です」と対話を交わしてドイツ語オペラ制作を実現するくだり(イタリア語オペラ全盛時代にあって強烈なドイツ民族主義から自国語オペラにこだわった史実は書簡に残されている)もあり、ここでオペラが突然ドイツ語で歌われると台詞が英語であることの矛盾が目立つため、いわばこの映画の中の世界では英語がドイツ語として扱われる体という舞台劇風な割り切りであるとも言える。
また、当時の演奏様式や史実に反する考証も見られる。『フィガロの結婚』の上演でステージに上がった登場人物の人数、オーケストラの第1ヴァイオリンの向かいに第2ヴァイオリンではなくチェロが来る現代的配置、トリルの付け方や音楽用語などである。ディレクターズカット版で復元された場面の一つ、サリエリの声楽レッスンの場面でジョルダーニの「カロ・ミオ・ベン」が歌われている。曲自体は1782年頃の成立とされ、バロック的な装飾を付けて歌われてもいるが、弾かれている編曲は19世紀末に出版されたものである。またレクイエムで、モーツァルトの死後つけられたはずの音符をベッド際で作曲しているシーンがある。加えて古来のモーツァルトの人間像を一変させるような性格付けがされているので、モーツァルト愛好家の多くがマリナーに抗議文を送り付けるという事態になった。
ヨーゼフ2世への初めての謁見で、アントニオ・サリエリがモーツァルトのために作曲したと「マーチ」を差し出すが、この挿話は架空。マーチも存在しないし(作風がサリエリとまったく異なる)、それをコントルダンスへ変奏したという話も全くのフィクションである。
屋内撮影の数シーンに蝋燭の照明がメインに使われている。撮影監督のオンドリチェクは当初この撮影のため、『バリー・リンドン』での蝋燭照明のみによる撮影に用いられたツァイス製の衛星写真用レンズをスタンリー・キューブリックから借りようとしたが、断られた。そこで、蝋燭自体の光量を増すため芯が複数本有る蝋燭を特注して、撮影に臨んだ。余談だが『バリー・リンドン』を監督したキューブリックは、同年公開の『カッコーの巣の上で』で本作品の監督であるフォアマンにアカデミー監督賞を奪われている。
屋外ロケはほとんどが、中世以来の古い町並みが現存するチェコの首都プラハで行われており、屋内撮影もプラハの歴史的建造物が多く使われている。例として、完全版DVDに収録されている音声解説によると、劇中序盤で運ばれる途中のサリエリが目を向けた、舞踏会が行われている建物はフランスの大使館であり、サリエリが運び込まれた精神病院は、当時機密文書の保管庫として用いられていた古い建物で、実際に機密文書が収められていた2階は常にカーテンがかかって中の様子を伺うことが出来ないのが映像からも確認できる。
役名 | 俳優 | 日本語吹替 |
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テレビ朝日版 (DC版追加録音部分) | ||
アントニオ・サリエリ | F・マーリー・エイブラハム | 日下武史 (水野龍司) |
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト | トム・ハルス | 三ツ矢雄二 |
コンスタンツェ・モーツァルト | エリザベス・ベリッジ | 宮崎美子 |
皇帝ヨーゼフ2世 | ジェフリー・ジョーンズ | 金内吉男 (木下浩之) |
国立劇場監督オルシーニ=ローゼンベルク伯爵(de) | チャールズ・ケイ | 羽佐間道夫 |
ボンノ宮廷楽長 | パトリック・ハインズ | 富田耕生 |
宮内長官フォン・ストラック伯爵 | ロデリック・クック | 嶋俊介 |
ファン・スヴィーテン男爵 | ジョナサン・ムーア | 阪脩 |
レオポルト・モーツァルト | ロイ・ドートリス | 小林修 (浦山迅) |
フォーグラー神父 | リチャード・フランク | 神谷和夫 |
エマヌエル・シカネーダー | サイモン・キャロウ | 池田勝 |
コロレード大司教 | ニコラス・ケブロス | 大木民夫 |
カテリナ・カヴァリエリ(en) | クリスティーン・エバーソール | 小宮和枝 |
ウェーバー夫人(en) | バーバラ・ブリン | 京田尚子 |
ロール | シンシア・ニクソン | 玉川紗己子 |
サリエリの召使 | ヴィンセント・スキャヴェリ | |
パロディーオペラ中での騎士長 | ケニー・ベイカー | |
ミハエル・シュルンベルグ[4] | ケネス・マクミラン | |
その他 | 西村知道 小関一 小島敏彦 北村弘一 田口昂 近藤高子 | |
制作スタッフ | ||
演出 | 佐藤敏夫 | |
翻訳 | 額田やえ子 (小寺陽子) | |
効果 | 遠藤堯雄 桜井俊哉 | |
調整 | 丹波晴道 | |
担当 | 圓井一夫 | |
制作 | 東北新社 | |
解説 | 淀川長治 | |
初回放送 | 1986年10月12日 『日曜洋画劇場』 21:02-24:09 20周年特別企画 劇場公開版ノーカット放送 |
この節の加筆が望まれています。 |
受賞 | 人物 | |
作品賞 | ソウル・ゼインツ | |
監督賞 | ミロス・フォアマン | |
主演男優賞 | F・マーリー・エイブラハム | |
脚色賞 | ピーター・シェーファー | |
美術賞 | カレル・サーニー パトリシア・フォン・ブランデンスタイン | |
衣装デザイン賞 | テオドール・ピステック | |
メイクアップ賞 | ディック・スミス ポール・ルブランク | |
録音賞 | トム・スコット クリス・ニューマン マーク・バーガー トッド・ボークルヘイド | |
ノミネート | ||
主演男優賞 | トム・ハルス | |
撮影賞 | ミロスラフ・オンドリチェク | |
編集賞 | マイケル・チャンドラー ネーナ・デーンヴィック | |
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