『げんしけん』は、木尾士目による日本の漫画作品。『月刊アフタヌーン』(講談社)誌上で2002年6月号から2006年7月号まで連載されたのち、2010年12月号より『げんしけん 二代目』と題して再開され[注 1]、2016年10月号をもって完結した。表題の「げんしけん」とは物語の舞台となる大学のサークル「現代視覚文化研究会(現視研、The Society for the Study of Modern Visual Culture)[1]」のこと。本作は「げんしけん」に所属するオタク達のリアルな日常を描いたコメディであり、各種のサブカルチャーが登場する。
2004年10月から12月までアニメ『げんしけん(以下第1期)』が、2007年10月から12月まで同『げんしけん2』が独立UHF局各局で放送され(UHFアニメ)、2013年7月から9月まで『げんしけん二代目』がTBS系列および一部独立局で放送された。その他にソフト、単行本の購入特典としてドラマCD、OVAが制作されている。作中作からのスピンオフ作品として『くじびきアンバランス(以下くじアン)』、並びに架空のアダルトゲーム『ラーメン天使プリティメンマ』がメディアミックス化されている。
本作は2005年に講談社漫画賞並び文化庁メディア芸術祭にノミネートされた[2]。2017年5月時点で累計発行部数は500万部を突破している[3]。
舞台となる大学は作中の描写に拠れば、立地場所は「新宿から20分」「都内の山中」「秋葉原まで快速で1時間未満」「市内」とされる。『げんしけん OFFICIAL BOOK』では「都心から電車で1時間、東京の端」「新宿から電車で30分、丘の上」とされている。
サークル棟は4階建てで、中庭を囲む回廊状の形式を成す。
取材協力に「中央大学広報課」とあり、中央大学がキャンパスのモデルとなっている。
※人名の呼称(カタカナ)は作中の表記に沿い、「*」付きはアニメの作中、およびクレジット表記のものを示す。担当声優は『第1期(OVA版を含む)』『げんしけん2』 / 『二代目』の順とし、特に明記のない場合は『げんしけん2』までの担当を示す。
現代視覚文化研究会
通称「現視研」。オタク文化の一環である漫画、アニメ、ゲームを総合して発足。20年近い歴史の中で歴代会長は僅か5名。部室はオタク系グッズ(以下オタグッズ)の山で、サークル自治委員会(以下自治会)などからの評価は低い。ロッカーには大量の同人誌が保管されており貸出自由。主な活動内容はゲーム、ビデオ鑑賞(アニメ)、読書(漫画)。『二代目』ではコスプレ、漫画制作。学園祭での催しは使い回しの展示会で、後にコスプレ企画に変わる。新会員(主に男子)を対象にした恒例のドッキリイベント有り。年々男女比が推移し、『二代目』では女子が多数派となる。会誌名は『メバエタメ』。コミフェス参加時のサークル名は『げんしけん』。アニメ版では「律子・キューベル・ケッテンクラート(以下「会長」)」のポスターが表扉を飾る。
- 笹原 完士(ササハラ カンジ)
- 声 - 大山鎬則 / 小橋達也
- 第9巻までの主人公的存在。三代目会長。2歳下の妹・恵子がいる。高坂、春日部と同期。同人誌サークル「げんしけん」代表。1984年1月13日生まれのB型。服装はフリースジャケット系。会誌や同人誌におけるペンネームは「ベンジャミン武世」。
- 2年次年明けに会長就任。同時にコミフェス参加を宣言し、サークル本「いろはごっこ」を発表する。卒業後は編集プロダクション「鷲田社」に就職。編集者、先輩、そして恋人として荻上を支えてゆく。
- 恵子以外には物腰が低く優しい性格。会員の着メロを聴き当てるなどそれなりの知識人。「なるべくしてなるタイプ」を自認し、雑務を担当することが多い。
- 特技は無く創作活動が苦手だが、後に趣味と経験を活かし編集者となる。モットーは「作者のやる気を損なわないこと」。
- 【アニメ版】
- 八王子市に在住。猟奇系ゲームが苦手。
- 高坂 真琴(コーサカ マコト)
- 声 - 斎賀みつき / 大原桃子
- 笹原と同期で春日部と幼馴染。1984年2月2日生まれのB型。髪型は金髪セミショートで分け目なし、六四分け等。小学生時代は坊主頭。現在はペンネームは「トシゾー」。
- 現視研の呑気な空気に惹かれ入会。1年次の学園祭ではアニ研主催のゲーム大会で優勝。3年次のサークル参加の際は、即売会にてコスプレ姿で販促に従事。4年次にはプログラミングを独習し、アダルトゲームメーカー「プシュケ」に就職。在学中から激務に見舞われ出席率が激減する。『二代目』では夏コミの自社ブースで男の娘に扮したコスプレで販促活動を行った。
- 豊富な知識と別次元のテクニックを誇るゲームオタク。格闘ゲームの腕前は全国レベルで、自室はゲームソフトとハード機で埋め尽くされている。
- 端麗な容姿の美少年で、ボディーケアを要さない脚線美を持つ。女子系コスプレもノリノリでこなし、仲間や波戸を困惑させた。
- 性格は温厚かつ冷静。気さくな社交派で対立描写はないが、大野の「斑目のほうが春日部を幸せにできそう」の発言には流石に不快感を露わにした。
- 春日部との再会直後はアプローチに気づかず、見かねた斑目の後押しで告白する。その後も半同棲状態の中でハードな趣味を押し通すが、これは「彼女を大事にしてる」彼なりの愛情表現であり、趣味以外では誠実。
- 「政治家の愛人の息子」という設定案があったがボツになった[4]。
- 春日部 咲(カスカベ サキ)
- 声 - 雪野五月 / 佐藤利奈
- 笹原と同期で高坂と幼馴染。1983年7月19日生まれのAB型。茶のミディアムヘアーに洒落た服装の美女。(一部を除き)先輩に対してもタメ口調。高坂、大野から名前で、恵子から「ねーさん」と呼ばれる。名付け親は祖母で「おばあちゃん子」。ヘビースモーカーであったが、下記のボヤ騒ぎが原因で火恐怖症となってしまい、結果的に禁煙することになった。
- 廃部騒動後に正式入会。2年次にはボヤ騒ぎの罰と大野への償いとして、学園祭のコスプレ大会に出場し優勝。3年次には朽木と荻上の移籍を取り持ち、頓挫寸前だった同人誌制作を指揮する。卒業後の服飾系の起業に向け、4年次は準備に奔走。卒業前に大野との約束通り、非公開のコスプレ撮影会を開催する。『二代目』の学園祭では斑目と二人きりの部室で不器用な告白を受ける。
- 惚れた男がオタクであったことから関わりを持つが[5]本人は非オタク系一般人。オタクに悪意を抱いており、同類扱いされると激怒する。また高坂が現視研に入り浸っていることや、弱みを握られ否応なしに入会する羽目に陥った反動などから、現視研を潰そうと息巻いていた時期があった。高坂をオタクから脱却させるべく奮闘するも悉く失敗に終わり、周囲から痛々しくも健気な姿勢に同情されている。
- 毒舌家で暴力的だが面倒見がよく、斑目から「よく泣く」と指摘されるほど涙もろい。
- 話術が得意で英会話に堪能。「整形を見抜ける」と語り、厚化粧の恵子が兄と瓜二つなことや、波戸の女装を看破している。
- コスプレについては「思い出したくない体験」としながらも、一定の理解を示している。
- 【アニメ版】
- 『第1期』『げんしけん2』では金髪。
- 斑目 晴信(マダラメ ハルノブ)
- 声 - 檜山修之 / 興津和幸
- 二代目会長。田中、久我山と同期。1982年10月25日生まれのO型。長身で痩身。ショートヘアに刈り上げのおかっぱ。丸眼鏡と口元から覗く八重歯が特徴。恵子などから故意に「ワタナベ」と呼ばれる。ペンネームは「マムシ72歳」。「前世は蛇」らしい。
- 3年次に会長に就くも成果の無いまま活動停止となり、年明けに就活を理由に引退する。卒業間際にようやく学校付近の会社に就職先が決定。入社後も昼食がてらに出張する。『二代目』では学園祭にて春日部への長年の片想いに決着をつけ退職。
- 容姿、趣味、話し方と三拍子揃った典型的二次元オタク。論理的な考察や分析を好み、適当なテーマを掲げては作品の評論を始めたがる。また自身のオタク歴から恋愛に関しては諦観の域に達しており、積極的な行動をとることはない。得意分野に関しては強気で春日部とよく口論したが、それ以外では弱気。現在では会員達の間で「総受け」と認識されている。14巻描き下ろしにおける田中、久我山を交えた飲み会での会話によると昔から恋話や猥談にはノッテこないところがあったとのことで普段の行動もほとんどは本音を隠すポーズだった面も多い。
- 災難に見舞われることが多く、冬コミで二度右手を大怪我している他、度々春日部に殴られている。
- 『二代目』では料理ができるという事実が判明。コミフェスなどに対しては往年の情熱を失い戸惑い気味。突如として発生した「斑目ハーレム」に関しては混乱の極みに至っている。その後、春日部の計らいでスーと付き合うこととなる。
- 【アニメ版】
- 八王子市に在住[6]。経済学部[7]。失言が原因でクラスの女子から総スカンに合った苦い過去を持つ。
- 田中 総市郎(タナカ ソウイチロウ)
- 声 - 関智一 / 近藤孝行
- 斑目と同期。1982年12月22日生まれのAB型。後髪を束ね、無精髭で小太り。線のような細目が特徴で、「両目」を見開くことは稀[8]。ペンネーム、コスプレネーム、ハンドルネームは「梟」あるいは「FUKUROU」。
- 田中の守備範囲である模型製作、コスプレ衣装制作のためのサークル予算の事情でアニ研から移籍。2年次までサークルの実務を担当した。学園祭では大野とコスプレ企画で活躍。趣味をライフワークとすべく、卒業後は上野の服飾専門学校に入学。学業の傍らコスプレ活動の支援を続ける。将来は衣装のオーダーメイド店を開きたいらしく、同様の夢を持つ春日部と相談していた。
- 衣装制作とコスプレが趣味で、撮影者としても活動。大野の入会以降は制作熱に拍車がかかり、会員の衣装まで無断作成。現視研の貴重な作り手で、目測で寸法を測るなど、その数々の技巧は会員から畏怖されるほど。職人気質ゆえにストイックな一面を持つ。
- 模型製作とフィギュアも趣味。会員に熱心に製作指導に当たり、コスプレで厳しい予算の中ストフェスに出向く。後に(大野が下着モデルの)原型制作も開始。これらのオブジェを雑に扱う春日部に恐々とし、恫喝で威圧することもあった。
- 男子会員で唯一ショルダーバッグを愛用。コミフェスではコスプレイベント(と大野の荷物持ち)優先のため、買い出しでは別行動が多い。
- 常識人の部類に入り性格は優しく温厚。だが、趣味絡みでは饒舌、激情へと変わる。
- 大野との交際に1年以上も要した奥手だが、『二代目』にてようやく遠回しのプロポーズを告げる。
- 【アニメ版】
- 頼み事を断れない性分で、大野の嫉妬を他所に知人やアンジェラの衣装も作成。男としての自信の無さから交際を躊躇するも、大野の熱意に負け告白。その後は荻上から「雰囲気が変わった」と評される。
- 『二代目』のCVを担当している近藤は『第1期』にて数回出演歴がある。
- 久我山 光紀(クガヤマ ミツノリ)
- 声 - 乃村健次 / 安元洋貴
- 斑目と同期。1982年6月29日生まれのA型。短髪に太った巨体。春日部からの呼び名は「クガピー」。ペンネームは「KODAMA」。
- 部室では主に落書きをして活動。4年次のサークル参加では就活で多忙な中、荻上と共にメイン原稿を執筆した。卒業後は医療器具メーカーの営業勤務で外回りの日々。
- 荻上の入会まで唯一絵の描ける会員で、自室では内密にエロイラストを執筆。画力はそれなりに評価されるレベルだが漫画制作の経験が無く、そのことが同人誌制作で仇となる。
- 性格は温厚で控え目。田中から恋愛相談を受けるなど陰の支え役でもある。
- どもりがちで人ごみでは声が通らないほど小声だが、文句だけは大声。『くじアン』の「山田薫子」のファン。フォトショップやスキャナを所有しコラージュも制作[9]。自動車免許を持ち、海水浴には運転手役を務めた他、『二代目』でも運搬係として仕事の合間に駆り出される。他の初期メンバー全員に彼女ができた中、自身の恋愛には「たぶん一生童貞」と悲観的。そのためかキャバクラに入れ込んだり、風俗に行くことも考えている様子。
- 【アニメ版】
- 大野との関係に悩む田中を諭し、就活で落ち込む笹原を励ます等、相談役として活躍。
- 大野 加奈子(オオノ カナコ)
- 声 - 川澄綾子 / ゆかな
- 四代目会長。原作6話より登場。ボストンからの帰国子女で後期入学生。1983年7月14日生まれのO型。長身。長髪で普段はストレート、他にポニーテール、三つ編等。左目と口元にほくろがある。講義や即売会では眼鏡を着用。主に丁寧口調で話す。アンジェラからの呼び名は「カナコ」。ペンネームおよびコスプレネームは「神無月 曜湖(かんなづき ようこ)」。
- 同じ趣味の田中と意気投合し入会。2年次の学園祭では撮影会が中止、およびコスプレ大会の病欠と不遇が続いた。年明けから田中と交際。サークル参加の際はコスプレで販促を担当。3年次の学園祭にて撮影会を主催。春には「こすけん(コスプレ研究会)」化を目論見つつ会長就任。『二代目』ではスーとコスプレに明け暮れ、泥酔状態で撮影会を開催。卒論未完、内定未定で留年した。
- 在米時から活動を続けるコスプレイヤーで、大学内外のイベントで活動。「楽しいコスプレ」を目指しつつ内面までキャラ作りに拘る真摯ぶりで、愚弄的言動を嫌う。強引な勧誘ぶりに春日部、荻上から呆れられているが、自己表現を臆さない姿勢は逆の状態にある荻上を動かす一因となる。また扮装という点から波戸の女装癖にも即理解を示している。他の趣味に田中の影響で始めたガンプラ製作がある。
- 「ハゲ」「ヒゲ」「オヤジ」フェチの腐女子。マイナーさ故に秘匿していたが、春日部から理解を得られカミングアウトした。美少年には無関心だがフェチとコスプレは「全然別」と語り、美形の女装や男装には興味を示す。
- 春日部から「サッカーの(ボール)[注 3]」と揶揄される巨乳で、サークルの色仕掛け担当でもある。
- 好きなものは酒で一升瓶を開けないと酔わないザル。苦手なものは水着。
- ボヤ騒ぎの際、春日部の放った汚水を浴び原因不明のアレルギーを発症。一時期マスクを常用していた。不遇続きでやさぐれていた時期でもあったため、その後も腹に一物ある時はマスクを着用している。
- 田中との進展は遅かったものの、今では何でもOKの関係。『二代目』では「田中待ち」と称して学業が疎かになり、プロポーズに際し「留年して待ってます」とダメ人間発言をしてしまう。実際かなり面倒な性格なので、朽木からも大野を受け止められるのは田中くらいだと言われる。
- 【アニメ版】
- 田中には「頼れる優しい男性」として惹かれ、アダルトゲームの同伴プレイで結ばれる。
- 朽木 学(クチキ マナブ)
- 声 - 石田彰 / 福山潤
- 原作12話より登場。笹原の1年後輩。千葉県成田市出身。1985年3月21日生まれのB型。細型の体躯と顔、「3」状の口が特徴。自称および春日部からの呼び名は「クッチー」。『二代目』では(波戸が女装の時は)唯一の男子会員。
- 仮入会後次第に遠のき、移籍したアニ研も追い出される。翌年春日部の許しを得て復帰し、度重なる制裁にもめげず居座る。
- 2年次の夏コミにて「開場前行列」という汚れ役を担当。3年次の新歓祭では誤解と失敗を招くも、学園祭では自ら発案したコスプレ体験会を運営し、成功させる。『二代目』では波戸の加入に歓喜し、腐女子だらけの現視研に順応する。親のコネで地元の銀行への就職が決定。卒業前に部室に収蔵されていた同人誌を「持ちこんでいた私物」と称して借りパクしようとして荻上に突っ込まれた[注 4]。送別会にて念願だった大野への胸モミが叶う直前、新会長の矢島に阻止される。
- 現視研の問題児。仲間外れが嫌で、自重しない放言やツッコミの度に余計に疎まれる。セクハラも旺盛で特に女子からの印象が悪い。『二代目』でも突如出没しては緊迫した場を混乱させ、結果的に波戸の窮地を救うこともあった。前述のとおり、自爆ネタの所為で尚更ぞんざいに扱われ続けていたので卒業式で後輩会員からの寄せ書きと花束の贈呈という「ごく普通の対応」をされた際には感激でマジ泣きしており、その際には一人称は「俺」だった。
- 【アニメ版】
- 登場シーンと自爆率が増えた分、扱いもさらに不遇化。大野、高坂からも仕置きを受け新歓、追い出しコンパでも放置される。『げんしけん2』エンディングにも未登場。
- 荻上 千佳(オギウエ チカ)
- 声 - 水橋かおり / 山本希望
- 笹原の2年後輩。五代目会長。原作24話より登場。1986年3月28日生まれのA型。山形県出身。朽木からは「オギチン」、恵子からは「お姉ちゃん」、スーからは「チカ」と呼ばれる。
- 小柄で大きなジト目で近眼。高校までは眼鏡だが、大学からはコンタクトレンズを使用。セミショートで中学ではおさげ、高校では後髪を束ね、大学ではもみ上げと頭上を束ね立てた「筆あたま」、『二代目』以降は執筆時を除きストレート。
- 無愛想で生真面目なツンデレ。普段はやや雑な丁寧口調だが、時折東北訛りが出ることもある。強気に見えて押しに弱い「待ち」体質。「眼鏡受け」属性を持つ腐女子。
- 当初は漫研に所属していたが他の部員とトラブルとなり、高柳が現視研に頼み込む形で入部する。オタク(特に女オタク)嫌いを公言し、入部当初は攻撃的な言動が多く周囲と軋轢を生むこともあったが、次第に態度が軟化する。合宿にて笹原から告白を受け、間もなく交際。3年次より大野から指名を受け会長に就任し、自分を受け入れてくれた現視研を守るべく個性的な面々をまとめてゆく。笹原との交際以降は心境の変化に伴い瞳に光が宿り、『二代目』以降は顔つきが柔らぎ落ち着きが表れる。
- 小さいころから漫画を描いており、画力と速さを備え、作品への自負も強い。1年次のサークル参加ではイラストの寄稿と久我山のアシストを担当。2年次より同人誌サークル「雪見庵」として同人活動を開始し、夏コミにて『あなたのとなりに』を発表。学園祭にて個展を開催し、直後の新歓祭では、ホワイトボードに即興でイラストを描くアートパフォーマンスを披露した。自身の妄想を具現化することに躊躇した時期もあったが、やがて作品の反響に対する重責を担い、部室で過激な原稿を執筆するまでに成長。在学中に『アフタヌーン』誌にて商業誌デビューを飾る。『二代目』では一時期スランプに陥るも、即売会ではファンが訪れる程に人気が出始めている。ペンネームは「於木野 鳴雪(おぎの なるゆき)」。
- 中学時代、腐女子仲間だった中島に唆され、当時交際していた巻田を題材とした過激なイラストを作成したところ、そのイラストのコピー本が学内に流出し問題となる。その顛末は学校中に知れ渡り、アダ名が「ホモ上」となる。巻田は不登校となりその後一度も顔を見ることなく転校してしまい、彼を傷つけたことを後悔し、自身を含むオタクを嫌悪するようになる。現視研に入部するまでは自暴自棄で攻撃的になり孤立していた。トラウマとしてしばしば悪夢に苛まれるようになる。現在でも騒動の当事者である旧友と出会うと動揺を隠せない。
- 窮地に陥ると衝動的に逃走する癖があり、サークル棟二階から飛び降りている。また同三階の他、中学時代には校舎屋上から投身未遂を起こしている。肝心な所で笹原を避けてしまう一因でもある。
- 【アニメ版】
- 八王子市に在住[10]。視力は0.1程度。性格は原作よりソフトで、会員を気遣う仕草も見せる。オタク同志の恋愛を悲観視しながらも次第に笹原に好意を寄せ、編集社への内定が決まった彼に作品を託すことを決める。
- 『第1期』には最終話エンディングにのみ登場。水橋演じる荻上は『OVA版』に先駆け『くじびき♥アンバランス』の予告ナレーション(声のみ)にて初登場。
- 会長
- 声 - うえだゆうじ
- 初代会長。姓名不詳で会員から「会長」「初代」と呼ばれる。つぶらな瞳と丸眼鏡が特徴。ポーカーフェイスと飄々とした態度で掴みどころの無い人物。サークルが危機に瀕する度に忽然と登場。
- 16年以上在籍の可能性を持つ。廃部騒動にて暗躍後、ソフトな脅迫で春日部を入会をさせた。翌年春に卒論制作に伴い(ようやく)引退。活動停止の中、春日部に廃部の回避を伝え慰める。その後は『二代目』に至るまで未登場。
- 「人間行動学に関するデータ」と称し、長年にわたり情報を収集。そのストーキング能力は警戒心の強い春日部ですら察知不可。学生のプライバシーや情事から自治会の未公開事項に至るまで、様々な情報を網羅する。基本的に漏洩はしないが、事態を丸く収めるための手段として利用することもある。
- 素性は一切不明で実務も田中に一任。部室外で見かけることは稀だが携帯での連絡は可能。一瞬の内に現れては消え、無言時の存在感が薄い。
- 【アニメ版】
- 『げんしけん2』では回想シーン中に1カットのみ登場(7話)。
- 原口
- ※原口を参照
- 元会員。後に漫研に移籍(?)。
- 笹原 恵子
- ※笹原恵子を参照
- 正式会員では無いが、大野の会長時には他校からの参加扱いとなる。
げんしけん 二代目からの会員
荻上の3年次に入会した会員で、『二代目』における中心的人物。腐女子属性という共通点があり、荻上の漫画アシスタントも兼ねる。
- スザンナ・ホプキンス
- 声 - 後藤邑子 / 大空直美
- 原作40話より登場。細身で幼児体型。長い金髪でスタイルは多彩。水色のジト目で無愛想。通称は「スー」で吉武からの別称は「チーフ」。大野のアメリカ人の友人である。当初の下宿先は留学生寮らしき所だったが、後に偶然だが波戸の隣室である202号室に引っ越す。
- 荻上の2年次にアンジェラと来日。直後の夏コミにて荻上のファンになる。年末には彼女の許でホームステイを体験。翌年の留学早々入会する。忠実かつ優秀なアシスタントを務める傍ら、看板娘としてコスプレで活動中。
- 日本の作品を好む二次元オタク。留学生活の順応に伴いサブカル全般にわたり知識を吸収。そのため昔の娯楽作品などのマニアックなネタが増え、周囲が追いつけない状況にある。大野の在米時から同人誌を愛読し、そのチョイスには定評がある。
- 初来日時の語学力はアニメや漫画のセリフ程度だったが、ホームステイの際は片言で会話が交わせるまでに上達。日常会話にも不自由しないようになり、プロフィールも漢字混じりで概ね正しく書いている。
- 無口で心中が読みづらい。ネタ発言も多く冗談と本気の判別が困難。会員にはそれなりに心を許しており、口数や表情は以前に比べ豊富である。
- 指示の際はよくジェスチャーを使う。アイデア豊富で頭脳明晰、目配りも気配りも利くが、その方向がズレたり裏目に出ることも。大野同様、悪巧みの際はマスク姿。素早い身のこなしの格闘術を見せ、朽木への高速の掌底打ちの他、柔道経験者の波戸にも勝利している。
- スキンシップに乏しく人に懐くことは稀。そのため友人にアンジェラや大野がいるものの母国では浮きがちで、寄宿寮でも交流がなかった。
- 当初は斑目と波戸の間を取り持つ素振りを見せ、その様子まで観察。後に自らも斑目に迫るが、行動に一貫性が無く困惑気味だったが、朽木主催の卒業旅行にて斑目が「怖くない男性だから特別」だったことを明かし「好き」と気持ちを伝えた。その後、斑目と付き合うことになる。
- 吉武 莉華(ヨシタケ リカ)
- 声 - 上坂すみれ(二代目)
- 1986年4月2日生まれ(荻上とは6日違い)[11]。2歳下の妹・莉紗がいる。小柄で童顔。長いポニーテール。外見は高校ではオタク風だったが、作中ではアンダーリムの眼鏡をかけた垢抜けた格好になっている。同期に「っち」を付けて呼び「ッス」を多用するなど、くだけた口調で話す。
- 一浪後に入学し、荻上のパフォーマンスに惹かれ入会。アシスタントや会報への小説寄稿といった創作活動を開始する。
- 「歴女系腐女子」で好みのジャンルは戦国武将。明るく物怖じしない性格。年長で弁が立つことから同期を引っ張る役回りを担う。面白そうと思えば即行動に移し、度々騒動を起こす。
- 現実的見解から波戸と斑目の展開には悲観的。一方で、矢島と波戸を交際させようと考えている節がある。
- 矢島 美怜(ヤジマ ミレイ)
- 声 - 内山夕実(二代目)
- 栃木県出身。11月7日生まれ[12]。リムレスの眼鏡を着用。短めのボサ頭にノーメイク。平凡なシャツとジーンズ姿が基本。周囲からは大概名字呼びされているが、美作からは「みれぇ」、朽木からは「ヤジさん」と呼ばれている。
- 荻上のパフォーマンスに惹かれ入会。画力は未熟ながら、臆さぬチャレンジ精神は吉武から尊敬されている。また、話作りの方はうまい。
- 外見も言動も女性らしからぬ典型的腐女子で、承知の上でそのスタイルを貫く。現実の美男子に興味が無く「アイドル嫌い」を自称するが、莉紗の男装や平時の波戸には動揺を見せる。
- 性格は生真面目でやや頑固。自室を宴会場に提供し、恥を覚悟でコスプレに付き合うなど人当りは良好。同期の中では最も常識人でツッコミやフォローも多い。時折暴走状態や挙動不審に陥ることがある。朽木の卒業式に荻上から六代目会長に指名される。
- 波戸の女子力の高さに衝撃を受けつつ、あくまで男子として好意を抱いてゆく。波戸が自分の話作りの下手さに気付いて相談してきたときは、「ようやく自分に目が向いた」と内心思っていた。
- 太めの体型だが、送別会で朽木に腹を揉まれ、ダイエットを決意した模様[注 5]。
- 波戸 賢二郎(ハト ケンジロウ)
- 声 - 加隈亜衣(女声)、山本和臣(男声)(二代目)
- 『二代目』における主人公的存在。新潟県出身。9月18日生まれ[12]。3歳上の兄・雄一郎がいる。中学では柔道部、高校では美術部(漫研)に所属。茶系のショートヘアで女装時は数種類のウィッグを使用。女装時は声色が異なり[注 6]、平時は同期にタメ口、女装時は丁寧口調。自治会には他校からの参加者「竹谷 実可子(たけや みかこ)」を名乗る[13]。第2人格・810を抱えている。
- 「腐女子に拒絶されずに一緒にBL話がしたい」と、女装姿で現視研を見学。アクシデントで露呈するも、大野の提案でそのまま入会する。以降大学にて「放課後に現れる謎の美少女」と噂されるが、その正体は会員と関係者のみの秘密。
- 高校のころから女装にのめり込む。活動時は基本的に「男の娘」で、その姿は荻上から「正当派美人」と評される。振る舞いや思考も女性的で、女子との相部屋でも平然と眠り、寝姿や寝言も完璧。自己催眠や同性愛まで疑われるが、「BL作品が好きなだけ」と、あくまで腐男子であることを主張している。
- ファッションセンスが高く、露出の多い服装でも体格的違和感が無い。当初は大学の女子トイレで着替えていたが、後に斑目の下宿先が更衣室として宛がわれる。髭や体毛を嫌い女性らしさを維持するため、ボディーケアと化粧道具は欠かせない。
- デッサンの基礎を備えており、画力は荻上を凌ぐものがある。担当の背景も完璧な上、画風を初見で会得するなど潜在能力も未知数。しかし心理面で難があり、平時では特異キャラしか描けず、女装時でもコマ割り無視の過激なBL調になる。ただし、自身が描いた漫画を矢島の作品と一緒に批評された際は画力しか褒められず、漫画としての話作りは下手だったことが発覚。自身とは正反対で話の作り方は上手い矢島にアドバイスを乞う。
- 柔道初段の実力者で朽木のツッコミを担当。料理は苦手だが斑目の腕前を知ってからは鋭意練習中。
- 性格は真面目で控え目。情緒不安定な様子で、特に平時では暴走気味に場をかき回すことが多い。
- 気さくな斑目と馴染むにつれ好意を自覚。810の扇動に混乱しつつも「斑目受け」から「ハト×マダ」「マダ×ハト」に至るまで、その妄想は止まる所を知らない。好意を自覚する以前から斑目に好意的な女性に敏感で、嫉妬や動揺を露わにする。また、仕方ないことだが他のライバルが胸を強調すると荒れたりもする。
- 兄の恋人である神永は女装モデルの一人で憧れの存在でもある。難なく「男の娘」に扮し斑目とも親しい高坂に、羨望と敗北感を抱く。
- 当初は私物を隠す目的から広い部屋に下宿。大学から遠く着替えに難儀していたが、開き直った後は近場の新築アパートに引っ越した。
- 中学では後輩部員から色目を使われ、高校では神永の描いたBLイラストを見たことが周知となり孤立した。これらの経緯が男であることに引け目を感じ、やがて女装にはしる原因となった。
- ※810を参照
漫画研究会
通称「漫研」。学園際での催し物は喫茶店。サークル参加の際は高柳らが協力。春日部、大野に対する女子会員の嫌悪(と嫉妬)が激しい。加えて荻上がサークル内の火種を炸裂させて以降、女子の間で派閥化が進み分裂、牽制状態にあるため、現視研への風当たりはさらに強くなった。
アニメ版では、全盛期の会員数は50人程で、笹原の入学時は4、5人程度。学園際での催し物は似顔絵描き。『げんしけん2』では男女間で分裂状態にあり女子が活発。漫研名義での発行は2年に1回程度。
加藤、藪崎、麻田は単行本の描き下ろしからの登場。『二代目』では藪崎と麻田が活躍。
- 高柳(タカヤナギ)
- 声 - 柳沢栄治
- 笹原の1年上。小太りな体型に、波打つ口元が特徴。時折語尾の「な」を「にゃ」に変えて喋る。斑目からの呼び名は「ヤナ」。コミフェス参加に助言し、荻上を(半ば押し付ける形で)紹介するなど現視研との関わりが深い。原口の横暴や女子会員の派閥抗争に頭を悩ます苦労人。
- 【アニメ版】
- 作中における解説的存在。荻上の移籍後も様子を気にかけ、作品も評価していた。
- 加藤(カトウ)
- 声 - 中尾衣里 / 笹本菜津枝
- 藪崎の1年上。「貞子ヘアー」とソバカスが特徴で、前髪で隠れた素顔はお約束通りの美形。話し方は普段はぶっきらぼうだが素顔の時は優雅。
- 面倒見が良く、荻上と藪崎の間を取り持ちつつ、複雑な事情を抱える漫研の均衡を保つ。大野と仲が良く、趣味嗜好も共通点がある。『二代目』では多忙な就活で出席率が減少。
- 荻上 千佳
- ※荻上千佳を参照
- 元会員。後に現視研に移籍。
- 藪崎 久美子
- ※藪崎久美子を参照
- 元会員。
- 麻田 直子
- ※麻田直子を参照
- 元会員。
アニメ研究会
通称「アニ研」。学園祭で主催したゲーム大会では、現視研から景品用にソフトの提供を受けた。別の年には漫研との合同企画で短編アニメを製作、上映。現視研の存在を「不要」と見なし、合同企画でも無視を決め込む。
- 田中 総市郎
- ※田中総市郎を参照
- 元会員。後に現視研に移籍。
- 朽木 学
- ※朽木学を参照
- 元会員。後に現視研に移籍。
サークル自治委員会
通称「自治会」。各サークルの動向に目を光らせ、新歓祭、学園祭でもチェックを怠らない。
- 北川(キタガワ)
- 声 - 小林沙苗
- 笹原の1年上。ショートカットで眼鏡を着用。女気に乏しい身なりとイタい態度が特徴。水虫持ちで内密に治療中。
- 2年次にて副委員長を務める。学園祭後に現視研の無許可撮影会を厳重注意。廃部騒動では春日部から抗議および水虫をネタに脅迫を受けた。3年次のボヤ騒ぎでは被害者と延焼を出すこと無く迅速に対応。学園祭のコスプレ大会にて即座にトラブルを収束した後、春日部に嫌がらせの仕返しをした。
- 風紀に厳格なだけでなく指揮能力に優れ、デスクワークでも辣腕を振るう。そのイメージから将来はキャリアウーマンかと思われたが、専業主婦となった模様。
- 委員長に想いを寄せる中、春日部の脅迫がきっかけで結ばれる。そのため一応は現視研に感謝しており、監視を強化しつつも強硬な姿勢は見せなくなる。
- 春日部とは廃部騒動から続く犬猿の仲だが、涙目で反省する彼女を気遣う一面も見せる。卒業式では水虫の完治に近々結婚と、幸せぶりを春日部に見せつけていた。
- 【アニメ版】
- 『げんしけん2』では茶髪。春日部とは互いに「水虫カップル」「オタップル(オタク同士のカップル)」といがみ合う一方で、活動再開に尽力した彼女を「(現視研が)お似合いだよ」と労っている。
- 委員長
- 声 - 小野大輔
- 姓名不詳。北川の1年上で、3年次に委員長を務める。北川とは対照的に温厚で、激高する彼女をなだめ制する。北川とは両想いで水虫を承知の上で告白する。
- 三上(ミカミ)
- 声 - 田丸裕臣(二代目)
- 荻上と同学年の委員長。北川仕込みの厳格な人物。3年次に内定済で、まともに就活をしない大野に厳しい態度で迫る。
- 播磨(ハリマ)
- 声 - 斎藤寛仁(二代目)
- 三上の後輩。竹谷(女装した波戸)に興味を持ち、接触を試みる度に三上や後輩(声 - 古川慎)に嗜められる。その一連のやりとりは現視研の腐れガールズトークの餌食となっている。
大学関係者
- 原口(ハラグチ)
- 声 - 石井康嗣
- 笹原の2年上で現視研の幽霊会員。大柄な肥満体。笑みを浮かべ嫌味な言い回しで話す。陰口での呼び名は「ハラグーロ」。
- 3年次には既に漫研に会費未納で居座り、廃部騒動のどさくさに高坂、大野を勧誘した。サークル参加の際には、勝手に他の作家との共作を進めた。
- 大手同人サークルに幅広いコネを持つ「同人ゴロ」。編集者を自称し横暴な仕切りとピンハネで私腹を肥やす。また非常に厚顔で、笹原相手に現視研の面々を聞こえよがしに酷評した挙句、「プライベート発言」と釘を刺す。多くのサークル、同人作家達から疎まれており、笹原にとっても反面教師的存在。
- 利に聡く現実的な一面を持ち、実行力自体は一部で評価を受けている[注 7]。普段は辛辣な現視研にも、利用価値があると見れば懐柔に出る。笹原の制作方針も「オナニー」と一蹴し、商業主義の否定を嘲笑った。
- 【アニメ版】
- 現視研の新歓コンパに参加せず、同刻同場所で催された漫研のコンパに参加。後に大手同人サークルとトラブルを起こし、行方をくらました模様。
- 沢崎(サワザキ)
- 声 - 伊藤健太郎
- 朽木と同期の仮会員。格闘ゲームの腕前に自信を持っていたが、春日部の姦計に嵌り高坂と対戦。ゲーマーと男の両方のプライドを潰され姿を消す。
- 【アニメ版】
- 垢抜けていることをアピールするも、その図々しさが春日部の不興を買う。テストでの惨敗後、高坂と春日部を見かけた途端に退散した。
- 藪崎 久美子(ヤブサキ クミコ)
- 声 - 高木礼子 / 米澤円
- 原作49話より登場。荻上と同期の元漫研会員。同人誌サークル「やぶへび」主催。ふくよかな体形に三つ編みのおさげが特徴。関西出身で関西弁で話す。荻上と同じ「メガネ男子受け」属性を持つ。スーからの呼び名は「ヤブー」。荻上が現視研に転がり込むと共に、やがて漫画家を志す一因ともなった人物。
- 加藤から「漫研で最も絵が上手い」と評される実力者で、自分を担ごうとするサークルの風潮に嫌気が差している。我が強いが姉御肌の一面を持ち、悪態をつきつつ現視研の面々を気にかける。
- 入会間もなく漫研全体を巻き込み荻上と対立。2年次の学園祭にて再び荻上と対峙。経緯を謝罪する彼女を一旦は突き放すものの、「友達になりたい」という内心を見抜いた加藤の仲裁で和解。『二代目』で荻上のサークルに参加したことが原因で漫研女子から反感を買い、麻田共々追放される。とは言え当人は「せいせいした」と語っており、麻田共々気にしている様子はない。
- 荻上をライバル視し才能にも早くから着目。時折嫉妬めいた愚痴をこぼすが「彼氏持ち」という点が特に気に入らない模様であるが、荻上の良き理解者でもあり、彼女の負い目と漫研からの反発を承知の上で友人関係を続ける。また当初はスーを苦手としていたがのちにいいコンビとなる。
- 【アニメ版】
- 口調がやや横暴なせいか漫研では孤立気味。荻上とは同人誌における好みのジャンルやサークルまで共通する。
- 麻田 直子(アサダ ナオコ)
- 声 - 斎藤桃子 / 多田このみ
- 藪崎の1年下の元漫研会員。ツインテールでどんぐり目の猫顔。語尾に「ニャ」をつけるなどキャラ作りを意識した口調だが、対照的に発言はキツめでツッコミ役。漫研追放後も薮崎と行動を共にする。薮崎からは現視研への移籍を進められるが、笑ってごまかしている。
- 苗字は『げんしけん2』クレジットにて「麻田(にゃーこ)」と表記。『二代目』にて姓名が明らかになった。
会員個別の知人・縁者
会員の家族
- 笹原 恵子(ササハラ ケイコ)
- 声 - 清水香里 / 葉山いくみ
- 原作11話より登場。1986年6月10日生まれのA型。笹原の妹。茶のミディアムヘアー。高坂以外にはタメ口調。主に名前で呼ばれるが、直接外では「笹原妹」「笹妹(ささいも)」。キャバクラでの源氏名は「今日子」。トラブルメーカー的な脇役だったが、『二代目』ではキーパーソンとなる。
- 高1の時に高坂に一目惚れして以来、オタクと疎遠な生活から一転。現視研との長い関係が始まる。
- 高2の夏にコミフェスを初体験し、冬コミにも春日部に騙され同伴。高3では勢いで椎応大学を受験するも、勉強不足が祟り不合格。卒業後は会計専門学校に進学し、会員と称して出入り。夏には就活中の兄にお構いなく、ゴリ押しで合宿旅行を実現させた。『二代目』ではキャバ嬢に転身。学園祭では会員と共謀し、斑目の告白を計画した。
- いわゆる「ギャル系女子」で、ネタにされるほど化粧が濃い。すっぴんの顔は兄とほぼ同じ。『二代目』では化粧に加え、名刺の写真に別人レベルの修正を施している。
- 放任主義で育ったため学生時代は滅多に帰らず、現視研に顔を出す際も兄のアパートを利用。受験期間中は実家に戻り真面目に勉強していた模様。『二代目』では、自立してひとり暮らしをしている。
- 性格は短絡的で、思いつきからの実行だけは早い。感情表現も時と場所を選ばずストレート。兄にバカ呼ばわりされるほど勉強嫌いで、アニメに限らず「物語」という物に対する読解力が低い。
- 男を顔で選び、惚れた相手には努力を惜しまない。幾多の恋愛とキャバクラ勤めにより、人生経験豊かな大人の一面を持つ。男女関係に鋭く、兄と荻上の間柄を些細な仕草から察知している。
- 現視研と関わる内に「これからはオタク」と語るまでに感化。『二代目』でもキャバクラでプラグスーツのコスプレを企み、ゲームの話題にも触れている(コスプレは店から不許可とされ、ゲームに関しては客とのコミュニケーションツールとして覚えた)。
- 兄とは互いに見下し合う間柄。大野とは同人誌を借り受ける仲で、恋敵の春日部にも従順な姿勢に変わる。生真面目な荻上とは折り合いが悪く、度々兄に気苦労をかける。
- 高坂に接近を試みるも、悉く春日部に阻止される。さらに高坂が4年次から多忙となり、せっかくのサークル参加も殆ど会わず仕舞いに終わる。『二代目』以降のアプローチは鳴りを潜める一方、斑目に対し故意的な誤称や店への勧誘の他、アンジェラや波戸への対抗意識といった意味深な態度をとり始める。
- とある機会に斑目に急接近するも、実は彼氏持ちだったことが発覚。その時点では斑目にトラウマを刻んだだけで終了するが、後にげんしけんメンバーの卒業旅行で再会した際はその彼氏とは別れている。斑目を「ヒモ」呼ばわりして自身が面倒をみるプランを提示するも即答を避けられたことでプライドが傷ついたのか、矢島の波戸によせる気持ちを明らかにしてさらなる混乱をもたらす。
- 【アニメ版】
- アニメ嫌いだが克服すべく兄の下宿先で『くじアン』を視聴。『OVA版』『げんしけん2』には未登場。
- 吉武 莉紗(ヨシタケ リサ)
- 声 - 早乙女翔(二代目)
- 吉武の妹。ショタ属性を持つ腐女子。ショートカットでスレンダーな長身。高3の時に現視研を訪れた際は、姉の企みで1歳上の兄・理人(リヒト)を名乗る。
- 小学校からのバスケットボール歴を持つ。推薦入学可能な実力者だが、大学では憧れだった腐女子ライフを希望。バスケのしがらみから進学先に迷う中で諸事情で下の毛が全て抜けた波戸の全裸を目撃。これが決め手となり椎応大学を志願する。受験日に寝過ごすという大ポカをするが、急な大雪で交通がマヒ、試験時間が緩和されことなきを得る。
- 平素はボーイッシュで、大野が男装を切望したイケメン風。両親同様に姉妹も身長差が著しいが、胸は共につるぺたでコンプレックス気味。昔から姉に従順で、一緒だと自然にエスコートの態勢をとる。
- 波戸 雄一郎(ハト ユウイチロウ)
- 声 - 浜田賢二(二代目)
- 波戸の兄。母親似の弟とは対照的に男らしい顔立ちと外見。高校時代は柔道部で主将を務め、弟の才能は自分より上と予想。弟の想い人・神永と婚約する。
大野のアメリカ時代からの友達
- アンジェラ・バートン
- 声 - 甲斐田ゆき / 小林未沙
- 原作40話より登場。年齢不詳。金髪のショートカット。大柄で(大野に劣るものの)グラマーな体格が特徴。ネタくらいならともかく、会話レベルの日本語が全くできないため、通訳である大野がいないと会話が成立しない。
- 笹原の4年次の夏コミ直前にスーと来日し、大野とコスプレ共演。『二代目』での再来日の際、失恋した斑目に気兼ねなくアタックを仕掛けるも、瀬戸際で波戸とスーに阻止される。
- 男性向けも嗜む腐女子。大野の話を真に受け、斑目を会う前から「Sou-Uke」と認識。「眼鏡フェチ」らしく荻上の「メガネ受け」同人誌と斑目を気に入った模様。ちなみに斑目の好きなポイントに「指が綺麗」とも発言している。
- テニスや水泳をこなすスポーツウーマン。炎天下、長時間のコスプレでも涼しげに振る舞うタフな人物。
- 明るく奔放な性格で、突然来日したかと思えば勝手気ままに大野を振り回す。開放的な恋愛観を持ち、波戸とスーの嫉妬心を察知した上で「斑目を好きな者は全員一緒に彼を愛すればいい」と語る。度々斑目に恥ずかしいことを言い出しては大野に通訳を拒否される。ボディスタイルを含め自身のアピールポイントも積極的に活用するが、「手を繋ぐ」などといった基本的なスキンシップも行い、日本語を話せないというハンデも相手に自分を注視させるという作戦に利用している。
- 【アニメ版】
- 自己紹介程度の語学力を大胆なスキンシップでカバー。初対面の斑目にいきなり抱きつきアプローチを図るも、春日部への片想いを察知し身を引いた(『二代目』ではこれらのエピソードを継承)。田中にも色仕掛けで衣装制作を迫り、大野に張り倒される。
- スザンナ・ホプキンス
- ※スザンナ・ホプキンスを参照
荻上の中学時代の同級生
- 中島 裕子(ナカジマ ユウコ)
- 声 - 遠藤綾 / 日野まり
- 中学では文芸部に所属。荻上とは腐女子仲間で同人小説の挿絵を依頼。
- 中3の時、無断使用による荻上のイラスト本を作成。それを利用して巻田と荻上の仲を裂いた上、仲間と共謀し彼女一人に濡れ衣を着せた。5年後の夏コミにて売り子の荻上と再会し、同人活動および彼氏と思しき存在(笹原)を知る。翌年の夏コミにて荻上不在の『雪見庵』の面々に中学の一件を暴露。だが藪崎らの友情は覆らず、「二度と荻上とは会わない」と告げて去った。
- 悪用については当時の荻上との間柄から、巻田の排除が目的だった可能性もある。
- 腐女子嫌いの荻上に「同類」と呼ばれるほど遺恨は根深いが、どこか彼女のトラウマからの救済を望んでいる節がある。
- 重田 三奈(シゲタ ミナ)
- 声 - 井口裕香 / 小笠原早紀
- 荻上とは腐女子仲間で、中学では文芸部に所属。中島に付き添い荻上への態度を諫めようとする。荻上、中島の二人と比べて胸が豊か。
- 巻田(マキタ)
- 荻上の元恋人。眼鏡姿のせいか荻上から「受け」と評された。荻上に告白し内密に交際を開始。だが彼女が描いた自分のイラストが原因で不登校を続けた末、再会することなく転校した。その後の詳細は不明だが、中島の発言から何かしら荻上の救いになる状況ではあるらしい。
波戸の高校時代の知人
- 神永 みちる(カミナガ-)
- 声 - 能登麻美子(二代目)
- 波戸の憧れの先輩で、雄一郎の恋人にあたる美女。波戸の女装モデルの一人でもあり、彼と比べ目元に隈があり若干細目。後ろ姿は瓜二つだったが、後に髪を切り黒く染め直した。やや男性口調で喋る。
- 高校時代はBLイラストを描いては美術部で公開。学園祭にて波戸と再会し、近々義姉となることを伝える。
- 筋金入りの腐女子で、波戸の女装癖に驚くどころか兄弟のカップリングを妄想。さらに「ハト×マダ」の予感に歓喜し後押しまでする。
- 波戸から810の存在と神永化についての事情説明を受け、「彼女(?)は自分の一部」と評価した。
- 今野(コンノ)
- 声 - 山岡ゆり(二代目)
- 波戸の同級生で当時は美術部に所属。大きな三白眼が特徴。自分の誤解で波戸が高校で孤立したと思い込んでいる(本当は別の部員の仕業)。学園祭で再会した波戸の女装姿に罪悪感がこみ上げ号泣した。
- 腐女子だが神永の上級者ぶりには付いていけない模様。波戸への好意を神永に見透かされている。
- 藤(フジ)
- 声 - 種田梨沙(二代目)
- 波戸の同級生で当時は美術部に所属。目が小さく背が高い。
吉武の高校時代の知人
- 沢渡(サワタリ)
- 声 - 優木かな(二代目)
- 吉武の歴女仲間で当時は史学部に所属。ウェーブを掛けた毛染めのセミロングで、セルフレームの眼鏡を着用。高校ではハーフアップの髪型。吉武達と腐女子論争および歴史トリビア問答を繰り広げていた。
- 福田(フクダ)
- 吉武の歴女仲間で当時は史学部に所属。ショートボブにハーフリムの眼鏡が特徴。史学部3人の間ではツッコミ役。
矢島の高校時代の知人
- 美作(ミマサカ)
- 声 - 阿久津加菜(二代目)
- 矢島の同級生。一部を束ねたセミショートで太い眉毛とソバカス、丸眼鏡が特徴。気弱な腐女子で矢島の後ろが定位置。彼女の実家にも溶け込んでおり「嫁」状態。本人も矢島と恋愛する気があるような発言をするが、基本的にスルーされている。矢島が言うところによると、高校時代の成績は矢島より上だが、家庭の事情により卒業後就職した。
- 一見ぽっちゃり系だが、20巻描き下ろしの入浴シーンではむしろ標準体型。矢島に合わせてわざと身体の線が出ない服を選んでいる。
その他
- 元彼
- 声 - 野島裕史
- 姓名不詳。春日部の「とっくの昔に別れた」旧知の男性。春日部と会うべく学園祭を訪れた際、猫耳姿の彼女への誤解から未練が消失。会員はその存在を高坂に漏らさぬよう春日部から固く口止めされている。
- 岡田
- 声 - 日笠山亜美
- アニメ版オリジナルキャラ。高校(又は中学)時代の斑目と同じクラスの女子。落ち込む級友を侮辱した斑目に平手打ちを見舞う。
- タカシ
- 声 - 千葉進歩
- 恵子が高2の時の彼氏。海水浴場にて高坂に付きまとう恵子と遭遇し激怒するが、高坂と春日部に往なされ退散。この件を最後に恵子とは縁が切れた模様。
- 水鳥ツトム(ミズドリ ツトム)
- 声 - 遠藤純一
- アニメ『くじアン』前期の監督。下品でズレた演出が制作側と原作ファン双方から叩かれ降板。コスプレ大会では審査員として参加していた。
- 伊鳩 コージ(イハト コージ)
- 声 - 大原崇
- 大手同人誌サークル『サイボーズ』代表。サークル名が示す通りの坊主頭。原口の同人誌合作企画に名を連ねる1人。原口を「貴重な存在」と称しつつもそのやり口に辟易しており、後始末に奔走する笹原にエールを送る。
- 草野(クサノ)
- 声 - 浅沼晋太郎
- 大手同人誌サークル『風祭ねこ』代表。原口の同人誌合作企画に名を連ねる1人。
- 【アニメ版】
- サークルの原稿を勝手に売却した原口に対し賠償金を請求中。
- 金子 悟(カネコ サトル)
- 「鷲田社」代表取締役社長。一次面接にて笹原を無言で威圧するが、小野寺からは冗談交じりに「お飾り」と揶揄される。
- 小野寺 竜二(オノデラ リュウジ)
- 声 - 千葉進歩
- 「鷲田社」社員。派遣先はマガヅン編集部で『くじアン』の担当者。クセのある人物で笹原の二次面接官を務める。編集者として相反するポリシーを持ちながらも、笹原の真摯な姿勢を前向きに評価した。
- 810(ハト)
- 声 - 加隈亜衣(二代目)
- 波戸のドッペルゲンガーで、容姿や声は(胸囲を除き)女装時と同じ。波戸が女装を始めて以来、平時に出現。宙を漂い俯瞰視する。
- 「斑目萌え」の波戸を誘惑し、女装の封印を考えるまで食い下がる。最終的に好意を正直に認めさせ、妄想の現実化を推進。その後は女装姿で暴走する際も神永状態で現れるようになる。
- 妄想豊かな腐女子(?)。波戸の自己顕示を具現化させた女装とは対照的に、潜在意識が具現化した存在。そのため彼の願望を代弁し言い包めることが多い。
コミック未収録作品。全2話。スーらしき少女の登場や荻上の髪形、斑目の退職、大野の留年等、大まかな設定は後の『二代目』に受け継がれている。
『少年マガヅン』連載中の「黒木優」原作の漫画。アニメやゲーム化される程の人気作品で、多くの同人誌や同人ゲームまで存在する。作中でも数々のエピソードに登場。斑目達の卒業回にて「第一部完」と銘打たれ、共に一つの節目を迎えた。単行本の書下ろしにて名場面集やゲーム紹介、設定資料等が会員のレヴュー[要曖昧さ回避]形式で解説。アニメ版では深夜アニメとして放送。部室や会員の下宿先にもポスターが飾られている。
作中にて各キャラが以下のコスプレに扮する場面がある。
- 春日部:律子・キューベル・ケッテンクラート
- 大野:如月香澄(他に「くじびき♥げんしけん」で山田薫子)
- 高坂:橘いづみ(『げんしけん2』では秋山時乃(第2期版)に変更)
- 荻上:上石神井蓮子
- 波戸:山田薫子
原作17話に登場したアダルトゲーム。56話では、朽木がキャラのコスプレに扮している。作中での詳細は以下の通り。
- いわゆる「魔法少女もの」で、つるぺた属性が高い。
- 1クール、13話構成で1話完結形式。
- コミカルながらも毒のあるキャラ造詣で人間描写が深い。
- Hシーンが中々登場しない(「開始5分でエロシーンが見たい」と要望した笹原に対する斑目の罠)。
『第1期』では第12話にてパッケージのみ登場(スピンオフ作品とは異なる)。『げんしけん2』では続編『ラーメン天使プリティメンマ2』が登場し、『くじびき♥アンバランス』と並んでフィーチャーされた。またDVD特典としてセル画やピクチャードラマが同梱されている。
作中作における登場キャラクター
- 鳥柄 薫(トリガラ カオル)
- 声 - 金野潤
- プリティメンマ
- 声 - 北原美和
- キューティトンコ
- 声 - 原田ひとみ
スピンオフ作品
- ラーメン天使プリティメンマ(コミック)
- TVアニメ「げんしけん2」スピンオフ作品「ラーメン天使プリティメンマ」ドラマアルバム
『第1期』に合わせ2004年7月から12月までラジオ大阪で『桃井はるこの現代視覚文化研究会・略してラジオげんしけん』を放送。番組内では『くじびきアンバランス』のラジオドラマを放送。ネット配信ではスタッフを中心とした『うらけん』を配信。また『げんしけん2』に合わせ2007年10月9日より檜山修之と水橋かおりによる『げんちょけん おたくならぢを』をネット配信。