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企業を経営して行く上での労務管理や社会保険・国民年金・厚生年金保険についての相談・指導を行う為の国家資格 ウィキペディアから
社会保険労務士(しゃかいほけんろうむし)は、労働・社会保険の問題の専門家として、労働保険・社会保険諸法令に基づいて、行政機関に提出する提出書類や申請書等を依頼者に代わって作成すること、個別労働関係紛争の解決手続(調停、あっせん等)の代理を行うこと、また企業を経営していくうえでの労務管理や社会保険、障害年金、国民年金、厚生年金保険についての相談・指導を行うこと[1][2][3]を業とする国家資格であり、職務上請求を行うことができる八士業の一つである。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
社会保険労務士 | |
---|---|
英名 | Labor and Social Security Attorney |
略称 | 社労士 |
実施国 | 日本 |
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 法律 |
認定団体 | 厚生労働省 |
等級・称号 | 社会保険労務士 |
根拠法令 | 社会保険労務士法 |
公式サイト | shakaihokenroumushi.jp |
ウィキプロジェクト 資格 ウィキポータル 資格 |
略称として「社労士(しゃろうし)」や「労務士」とも呼ばれる。ローマ字で社会保険(Syakaihoken)労務士(Roumushi)の各頭文字を取って「SR」とも置き換えられる。社会保険労務士の徽章は、菊の花弁の中央にSRの文字が付されている。素材は、純銀の台座に純金貼りが施されており、中央SR部はプラチナ製。主務官庁は厚生労働省で、もともと旧厚生省と旧労働省の共管とされていた。
戦後、いわゆる労働三法が制定され、労働者の権利が法的権利となった。さらに経済成長と相まって、急速に労使間の対立やストライキが頻発した。また、特に1960年代における日本経済の急激な成長により、税収や企業からの社会保険料が増加し、厚生年金・健康保険・労災保険・雇用保険も発展した。しかし、補償額の高度化・制度の複雑化に伴い、煩雑な社会保険の仕組みと申請・給付に係る事務手続により中小企業等では対応が困難となった。これらに対応する専門家の必要性から、人事・労務・総務部門の業務を行う職業が発生した。
当初、これらの請負業務を合法的に行いうる有資格者は行政書士であったが、狭義の総務を除く人事・労務分野のより専門的な知識を持った人材が必要とされた。そこで1968年、社会保険労務士法が議員立法により制定された。制度発足時の経過措置として、引き続き6ヵ月以上行政書士会に入会している行政書士は試験なく特認として社会保険労務士資格を取得し、およそ9,000名が社会保険労務士となった。 2007年4月の司法制度改革で、裁判外紛争解決手続制度の代理権が認められた。
社会保険労務士は、次の事務を行うことを業とする[注釈 1](第2条1項、第2条の2第1項)。
ただし、これらの事務を行うことが他の法律において制限されている事務ならびに労働社会保険諸法令に基づく療養の給付およびこれに相当する給付の費用(家族療養費等)についてこれらの給付を担当する者のなす請求に関する事務(レセプトの作成等)は含まれない(第2条4項)。
1.~7.の業務は、社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者が原則として[注釈 10]他人の求めに応じて報酬を得て行ってはならない(第27条)。さらに、3.~5.の業務(紛争解決手続代理業務[注釈 11])については、特定社会保険労務士でなければ行うことができない(第2条2項)。なお8.の業務は業務制限の対象外であるので、社会保険労務士でない者であっても、他人の求めに応じ報酬を得て業として行うことができる。
1980年(昭和55年)8月末日の時点で行政書士であった者は、社会保険労務士の独占業務に関わる書類の作成を行うことが認められるが、提出代行および事務代理は認められておらず(昭和55年8月29日庁保発第23号)、使者(行政契約の場合は代理もあり)として提出できるのみに留まる。また、特定社会保険労務士に認められる裁判外紛争解決手続業務に伴うあっせん代理も認められていない。税理士の行う付随業務(租税債務の確定に必要な社会保険労務士事務)についても、提出代行、事務代理並びあっせん代理は認められていない。
社会保険労務士の業務は、主として企業との顧問契約にある。企業の人事・労務諸問題に関する相談、社会保険・労働保険諸手続の事務代理・提出代行、給与計算などが主軸となる。
ファイナンシャル・プランナー資格やDCプランナー、DCアドバイザー資格、モーゲージプランナー資格を併せて取得し、年金・資産運用に関するコンサルタント業を主とする社労士や、税理士、中小企業診断士、行政書士といった他士業資格を保有した上で多角的な活動を行う社労士もいる。
もっとも、労務手続きの電子申請が可能なクラウド型労務管理ソフトの普及により、企業の人事担当者が社会保険労務士に頼まずとも労務手続きを申請できるようになり、社会保険労務士の独占業務に依存するビジネスモデルは転換期を迎えている。今後の社会保険労務士に求められる能力としては、デジタル化への対応やハラスメント対応・組合問題等、人の感情が絡むややこしい労務問題の解決能力を専門分野とし、他にはない強みを持つことなどが挙げられている[5]。
社会保険労務士は、各人の状況に応じて下記のとおり区分けされ、それに応じた登録を行う。
個人で事務所を開き(社会保険労務士法人所属者を含む)、多企業からの依頼に応え、人事・労務管理の専門家として、従業員の採用から退職に至るまでの労働・社会保険に関する諸問題を処理し、更には個人的な年金等の相談に業として応じることができる。主に多くの中小企業、零細企業を対象として多角的に人事・労務管理業務を行う。
開業社会保険労務士は、厚生労働大臣の許可を受けた場合でなければ、2以上の事務所を設けてはならない(第18条)。業務の性質上、社会保険労務士本人が事務処理を行わなければならないためである。また業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所および氏名または名称その他厚生労働大臣が定める事項を記載しなければならず、この帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から2年間保存しなければならない(第19条)。正当な理由がなければ依頼(紛争解決手続代理業務に関するものを除く)を拒んではならない(第20条)。
企業もしくは団体または社会保険労務士事務所もしくは社会保険労務士法人に属して業務を行う。企業等への勤務登録に基づき社会保険労務士業務を行う者は、所属企業等以外からの依頼に基づき社会保険労務士業務を行うことはできない。また、社会保険労務士事務所等に勤務登録をする者は、勤務先の事務所または法人から独立して顧客の依頼を受任することはできない[6]。また、勤務社会保険労務士が、特定社会保険労務士として付記を受けた場合も、所属する企業等に関連した裁判外紛争解決手続業務を行うに留まる。
企業に所属しているものの営業、経理、専門職等、社会保険労務士業務と直接関わらない職種に従事している者や、専業主婦、何れの企業・団体にも所属しないフリーランスを対象としたものが「その他登録」である。なお、全国社会保険労務士会連合会においては、「勤務」と「その他」を合わせて「勤務等」という表記方法を用いている。
業務を組織的に行うため、社会保険労務士が共同し、社会保険労務士法人を設立できる(第25条の6以下)。平成15年4月の改正法施行により新設された規定である。社会保険労務士法人は、その多くの規定を旧商法・会社法の合名会社を見本とし、社員(出資者である無限責任社員のこと)たる社会保険労務士すべてが無限責任を負い、定款に特段の定めがない限り全社員が代表権・業務執行権を有する。社員は、個人で別に社会保険労務士の事務所を開設できない。また社会保険労務士でない者は社員となることはできない。2016年(平成28年)1月1日より、社員一名のいわゆる一人法人の設立が可能となった[注釈 14][注釈 15]。社会保険労務士法人は、その名称中に「社会保険労務士法人」という文字を入れなければならない。
社会保険労務士であっても、以下のものは社会保険労務士法人の社員となることはできない(第25条の8)。
社会保険労務士法人は、社会保険労務士としての職務に加え、定款で定めるところにより、以下の業務を行うことができる(第25条の9)。
社会保険労務士法人を設立するには、その社員になろうとする社会保険労務士が、共同して定款を定めなければならず、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する(第25条の10~第25条の12)。成立したときは、成立の日から2週間以内にその旨を主たる事務所の所在地の社会保険労務士会を経由して全国社会保険労務士会連合会に届出なければならない。定款には、少なくとも以下に掲げる事項を記載しなければならない。
社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならない(第25条の16)。
2021年版「社会保険労務士白書」[7]によれば、1990年3月31日時点での登録者数は17,433人であったが、登録者数は毎年増加していて、2021年3月31日現在の社会保険労務士登録者数は、43,474人で、そのうち特定社会保険労務士登録者数は、13,683人である。登録者数の過半が「開業」登録である。また、同日現在の社会保険労務士法人数は2,120(うち、社員が1人の社労士法人は895)となっている。2029年には登録者数は5万人になると見込まれている[8]。
同日現在の登録者の年齢別構成は、20歳代(0.4%)、30歳代(7.6%)、40歳代(28.8%)、50歳代(27.3%)、60歳代(21.0%)、70歳代(11.2%)、80歳代(3.3%)、90歳代以上(0.4%)となっており、40歳代の割合が最も多く、50歳代、60歳代と続いている。平均年齢は55.6 歳、最年少は23歳、最年長が100歳となっている。また、男女別構成は、男性が68.3%、女性が31.7%となっている。
例年、8月の第4日曜日に実施される。試験はかつて国が直接実施していたが、第32回(平成12年度)以降は厚生労働大臣の委託を受けて全国社会保険労務士会連合会(連合会)が実施し(第10条の2)、社会保険労務士試験センターが試験事務(合格の決定に関する事務を除く)を行っている。
回 | 年 | 試験日 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|---|
第1回 | 昭和44年 | 11月9日 | 23,705人 | 18,611人 | 2,045人 | 11.0% |
第2回 | 昭和45年 | 8月1日 | 12,709人 | 8,144人 | 1,027人 | 12.6% |
第3回 | 昭和46年 | 8月6日 | 13,699人 | 8,641人 | 1,015人 | 11.7% |
第4回 | 昭和47年 | 8月2日 | 13,097人 | 8,530人 | 1,081人 | 12.7% |
第5回 | 昭和48年 | 8月2日 | 12,089人 | 7,486人 | 842人 | 11.2% |
第6回 | 昭和49年 | 8月2日 | 13,440人 | 8,297人 | 961人 | 11.6% |
第7回 | 昭和50年 | 8月2日 | 14,866人 | 9,143人 | 1,328人 | 14.5% |
第8回 | 昭和51年 | 8月3日 | 13,956人 | 8,973人 | 1,012人 | 11.3% |
第9回 | 昭和52年 | 8月2日 | 14,092人 | 8,810人 | 1,235人 | 14.0% |
第10回 | 昭和53年 | 8月1日 | 14,515人 | 9,251人 | 1,189人 | 12.9% |
第11回 | 昭和54年 | 8月2日 | 14,708人 | 9,348人 | 1,012人 | 10.8% |
第12回 | 昭和55年 | 7月31日 | 14,074人 | 9,406人 | 888人 | 9.4% |
第13回 | 昭和56年 | 7月28日 | 13,923人 | 9,692人 | 1,380人 | 14.2% |
第14回 | 昭和57年 | 7月27日 | 13,918人 | 9,818人 | 1,040人 | 10.6% |
第15回 | 昭和58年 | 7月26日 | 13,302人 | 9,309人 | 1,354人 | 14.4% |
第16回 | 昭和59年 | 7月24日 | 13,581人 | 9,646人 | 992人 | 10.3% |
第17回 | 昭和60年 | 7月30日 | 13,580人 | 9,450人 | 1,078人 | 11.4% |
第18回 | 昭和61年 | 7月29日 | 13,391人 | 9,474人 | 875人 | 9.2% |
第19回 | 昭和62年 | 7月28日 | 13,157人 | 9,173人 | 1,022人 | 11.1% |
第20回 | 昭和63年 | 7月26日 | 13,232人 | 9,354人 | 870人 | 9.3% |
第21回 | 平成元年 | 7月25日 | 14,081人 | 9,918人 | 1,237人 | 12.5% |
第22回 | 平成2年 | 7月31日 | 15,758人 | 11,063人 | 1,176人 | 10.6% |
第23回 | 平成3年 | 7月30日 | 18,760人 | 13,490人 | 1,298人 | 9.6% |
第24回 | 平成4年 | 7月28日 | 21,587人 | 15,984人 | 1,567人 | 9.8% |
第25回 | 平成5年 | 7月27日 | 25,672人 | 19,088人 | 1,867人 | 9.8% |
第26回 | 平成6年 | 7月26日 | 29,817人 | 22,693人 | 1,532人 | 6.8% |
第27回 | 平成7年 | 7月25日 | 31,989人 | 24,430人 | 1,754人 | 7.2% |
第28回 | 平成8年 | 7月30日 | 34,687人 | 26,513人 | 1,941人 | 7.3% |
第29回 | 平成9年 | 7月29日 | 35,978人 | 28,124人 | 1,991人 | 7.1% |
第30回 | 平成10年 | 7月28日 | 39,415人 | 30,816人 | 2,327人 | 7.6% |
第31回 | 平成11年 | 7月27日 | 45,455人 | 35,894人 | 2,827人 | 7.9% |
第32回 | 平成12年 | 8月27日 | 50,689人 | 40,703人 | 3,483人 | 8.6% |
第33回 | 平成13年 | 8月26日 | 54,203人 | 43,301人 | 3,774人 | 8.7% |
第34回 | 平成14年 | 8月25日 | 58,322人 | 46,713人 | 4,337人 | 9.3% |
第35回 | 平成15年 | 8月24日 | 64,122人 | 51,689人 | 4,770人 | 9.2% |
第36回 | 平成16年 | 8月22日 | 65,215人 | 51,493人 | 4,850人 | 9.4% |
第37回 | 平成17年 | 8月28日 | 61,251人 | 48,120人 | 4,286人 | 8.9% |
第38回 | 平成18年 | 8月27日 | 59,839人 | 46,016人 | 3,925人 | 8.5% |
第39回 | 平成19年 | 8月26日 | 58,542人 | 45,221人 | 4,801人 | 10.6% |
第40回 | 平成20年 | 8月24日 | 61,910人 | 47,568人 | 3,574人 | 7.5% |
第41回 | 平成21年 | 8月23日 | 67,745人 | 52,983人 | 4,019人 | 7.6% |
第42回 | 平成22年 | 8月22日 | 70,648人 | 55,445人 | 4,790人 | 8.6% |
第43回 | 平成23年 | 8月28日 | 67,662人 | 53,392人 | 3,855人 | 7.2% |
第44回 | 平成24年 | 8月26日 | 66,782人 | 51,960人 | 3,650人 | 7.0% |
第45回 | 平成25年 | 8月25日 | 63,640人 | 49,292人 | 2,666人 | 5.4% |
第46回 | 平成26年 | 8月24日 | 57,199人 | 44,546人 | 4,156人 | 9.3% |
第47回 | 平成27年 | 8月23日 | 52,612人 | 40,712人 | 1,051人 | 2.6% |
第48回 | 平成28年 | 8月28日 | 51,953人 | 39,972人 | 1,770人 | 4.4% |
第49回 | 平成29年 | 8月27日 | 49,902人 | 38,685人 | 2,613人 | 6.8% |
第50回 | 平成30年 | 8月26日 | 49,582人 | 38,427人 | 2,413人 | 6.3% |
第51回 | 令和元年 | 8月25日 | 49,570人 | 38,428人 | 2,525人 | 6.6% |
第52回 | 令和2年 | 8月23日 | 49,250人 | 34,845人 | 2,237人 | 6.4% |
第53回 | 令和3年 | 8月22日 | 50,433人 | 37,306人 | 2,937人 | 7.9% |
第54回 | 令和4年 | 8月28日 | 52,251人 | 40,633人 | 2,134人 | 5.3% |
第55回 | 令和5年 | 8月27日 | 53,292人 | 42,741人 | 2,720人 | 6.4% |
第56回 | 令和6年 | 8月25日 | 53,707人 | 43,174人 | 2,974人 | 6.9% |
以下のいずれかに該当する者は、連合会への登録を経て、社会保険労務士と名乗ることが認められる(第3条1項、2項)。連合会が備える社会保険労務士名簿に社会保険労務士として登録しなければ、社会保険労務士またはこれに類似する名称を用いる事はできない(第14条の2、第14条の3、第26条)。
登録を受けようとする者は、所定の事項を記載した登録申請書を、社会保険労務士となる資格を有することを証する書類を添付の上、都道府県社会保険労務士会を経由して、連合会に提出しなければならない(第14条の5)。連合会は登録の申請を受けた場合においては、当該申請者が社会保険労務士となる資格を有し、かつ、登録拒否事由に該当しない者であると認めたときは、遅滞なく、社会保険労務士名簿に登録し、当該申請者が社会保険労務士となる資格を有せず、または登録拒否事由のいずれかに該当する者であると認めたときは登録を拒否しなければならない(第14条の6)。登録を受けた者は当然に当該都道府県社会保険労務士会の会員となる(第25条の29)。
連合会が登録を拒否しようとする場合・登録を取消そうとする場合においては、資格審査会の議決に基づいてしなければならない。連合会は、登録を拒否しようとするときは、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知して、相当の期間内に自らまたはその代理人を通じて弁明する機会を与えなければならない(第14条の6)。登録を拒否された者・取消された者は、当該処分に不服があるときは、厚生労働大臣に対して審査請求をすることができる。また登録の申請を行った日から3月を経過してもなんらの処分がなされない場合には、当該登録を拒否されたものとして、厚生労働大臣に対して審査請求をすることができる。この場合においては、審査請求のあった日に、連合会が当該登録を拒否したものとみなす(第14条の8)。
社会保険労務士試験合格実績は、たとえ失格処分を受けたとしても終身有効である。ただし、社会保険労務士はあくまでライセンスを付与されている(つまり登録している)者に限るのであり、試験に合格しただけの者は社会保険労務士ではなく、また、試験にも合格していない者が社会保険労務士を名乗り法解釈を開陳することもあるので、(特定)社会保険労務士証票・都道府県社会保険労務士会会員証の提示を求めるなど、注意の喚起が必要である(いわゆる「ニセ社会保険労務士」問題)。
次のいずれかに該当する者は、当然に社会保険労務士となる資格を有しない(第5条)。
成年被後見人または被保佐人を欠格条項とする規定については、令和元年6月14日に公布された「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」によって削除され、心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、必要な能力の有無を判断することとなった。
次の1~4に該当する者は、社会保険労務士の登録を受けることができない(第14条の7)。また、登録したものの次の4~6に該当するに至った場合は、連合会は当該登録を取消すことができる(第14条の9)。
社会保険労務士に対する懲戒処分は、「戒告」「1年以内の業務停止」「失格処分」の3種類である(第25条)。
厚生労働大臣は、社会保険労務士が、故意に、真正の事実に反して申請書等の作成、事務代理もしくは紛争解決手続代理業務を行ったとき、または不正行為の指示等を行ったときは、1年以内の業務停止または失格処分をすることができる。社会保険労務士が、相当の注意を怠り、これらの行為をしたときは、戒告または1年以内の業務停止の処分をすることができる(第25条の2)。
厚生労働大臣は、社会保険労務士が、申請書等の添付書面もしくは付記に虚偽の記載をしたとき、社会保険労務士法およびこれに基づく命令もしくは労働社会保険諸法令の規定に違反したとき、または社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったときには、いずれかの懲戒処分をすることができる(第25条の3)。
社会保険労務士会または連合会は、社会保険労務士会の会員について懲戒事由に該当する行為または事実があると認めたときは、厚生労働大臣に対し、当該会員の氏名および事業所の所在地ならびにその行為または事実を通知しなければならない。また、何人も、社会保険労務士について懲戒事由に該当する行為または事実があると認めたときは、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名およびその行為または事実を通知し、適切な措置を取るべきことを求めることができる(第25条の3の2)。
厚生労働大臣は、いずれかの懲戒処分をしようとするときは、公開の審理による聴聞を行わなければならない(第25条の4)。懲戒処分をしたときは、遅滞なく、その旨を、その理由を付記した書面により当該社会保険労務士に通知するとともに、官報をもって公告しなければならない(第25条の5)。
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