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二酸化ケイ素が結晶してできた鉱物 ウィキペディアから
石英(せきえい、独: Quarz、英: quartz、クォーツ、クオーツ)は、二酸化ケイ素 (SiO2) が結晶してできた鉱物。六角柱状のきれいな自形結晶をなすことが多い。中でも特に無色透明なものを水晶(すいしょう、独: Bergkristall、英: rock crystal、ロッククリスタル)と呼び、古くは
石英 | |
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石英の結晶(ブラジル産、18×15×13 cm) | |
分類 | 酸化鉱物 |
シュツルンツ分類 | 4.DA.05 |
Dana Classification | 75.1.3.1 |
化学式 | SiO2 |
結晶系 | |
単位格子 |
a = 4.9133Å c = 5.4053Å |
モル質量 | 60.08 gm |
へき開 | 不明瞭 |
断口 | 貝殻状 |
モース硬度 | 7 |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | 無色(紫色、黄色、黒色などもある) |
条痕 | 白色 |
比重 | 2.7 |
光学性 | 一軸性 (+) |
屈折率 |
nω = 1.543 - 1.545 nε = 1.552 - 1.554 |
複屈折 | δ = 0.009 |
蛍光 | なし |
文献 | [1][2][3] |
主な変種 | |
玉髄 | 微粒石英の集合体 |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
石英を成分とする砂は珪砂(けいしゃ・けいさ、独: Quarzsand、英: quartz sand)と呼ばれ、石英を主体とした珪化物からなる鉱石は珪石と呼ぶ。この珪石のうち、チャートや珪質砂岩が熱による変成(接触変成作用)を受けた変成岩を珪岩(クォーツァイト)と呼ぶが、この珪岩の中にフクサイト(クロム白雲母)の微細な粒子を含み鮮やかな緑色を呈色し、砂金のようなキラキラした輝きを発するものは特に砂金石(アベンチュリン)と呼ばれている。
二酸化ケイ素 (SiO2) が、低温で水分を含みゆっくり固まったために原子配列が規則正しくない非晶質のものがオパール(蛋白石)である。
二酸化ケイ素 (SiO2) に富んだ流紋岩質の溶岩が急激に冷やされることで生じるのが、非晶質の天然ガラスである黒曜石(オブシディアン)である。
火成岩ができるとき石英の結晶は、他の鉱物の結晶ができた後でその隙間に成長するため本来の結晶の形になれず(他形結晶)、特有の結晶面が発達していないため塊状に見えるものを石英、肉眼で確認できる大きさで六角柱状の結晶(自形結晶)のものを水晶と呼んでいるが、昔はそれとは逆に塊状のものを水晶、六角柱状の結晶のものを石英と呼んでいたのが、いつしか今日のような逆の呼び方に変わってしまいそれが定着してしまったといわれている。それは、江戸時代中期の貝原益軒が書いた大和本草で、水晶と石英の定義を取り違えたからだともいわれていて、その誤りを平賀源内は自著の物類品隲で指摘していた[5]。
ただ正倉院の目録では、自然のままの無加工のものを白石英、加工品を水精という使い分けをしており[6]、江戸時代以前の様々な文献等でも、石英、水晶、水精の区別は明確ではなく、その使い分けの基準は様々で且つあいまいでもあり、必ずしも江戸時代中期以降にその呼び方が逆になって定着してしまったとまではいいきれないようである。
石英は地殻を構成する非常に一般的な造岩鉱物で、長石に次いでもっともよく見られるもので、火成岩・変成岩・堆積岩のいずれにもしばしば含まれる。水晶としては、花崗岩質ペグマタイト・熱水鉱脈などに産出する。
砂は岩石が風化することにより生じるが、石英は風化に強く、砂は石英主体となることが多い。一般的に、砂漠・砂丘の砂は石英が主成分となる。
どこにでもあるため、砂埃(すなぼこり)にも石英が含まれている。石英はモース硬度7なので、プラスチック・金属・車の塗装などは砂埃で容易に傷ついてしまう。そのため、宝石は石英より硬度の高いものが選ばれていることが多い。これは砂埃などで簡単に傷ついたりしては困るからである(ただし生体起源の宝石である真珠や珊瑚、琥珀などは例外)。
日本国内においても各地で産出するが、そのなかでも山梨県甲府市、岐阜県中津川市、愛知県春日井市などで産出されたものが有名である。
以下は水晶を目的に採掘している鉱山である。
石英は二酸化ケイ素結晶の多形の一つで、1気圧、573℃で三方晶系の低温型石英(α-石英、アルファクォーツ)から六方晶系の高温型石英(β-石英、ベータクォーツ)に転移する。高温型石英は六角柱面を持たない。さらに高温では、鱗珪石やクリストバライトに、また超高圧下でコーサイトやスティショバイトに相転移する。常温下における高温型石英の外観は仮晶による。
水晶(低温型石英)は、代表的な圧電体であり、圧力が加わると電気が発生する。このために初期のレコードプレーヤーのピックアップに使われた。今日、水晶の圧電性は、水晶発振器として最も活用されており、時計が単に「クォーツ」(水晶の英名)としばしば呼ばれるのは、水晶発振器を利用したクォーツ時計が最も多いからである。この原理を利用して、水晶振動子マイクロバランス (QCM) と呼ばれる微量質量を正確に測定するための装置の研究が行われている。
石英の非常に細かい結晶が緻密に固まっていて、直交ニコル顕微鏡下でのみ結晶粒が確認できるもの(潜晶質、隠微晶質)を玉髄(カルセドニー)という。不純物によっていろいろな色となり、紅玉髄(カーネリアン)、緑玉髄(クリソプレーズ)、瑪瑙(アゲート)、碧玉(ジャスパー)などと呼んで飾り石とする。
水晶に不純物が混じり色のついたものを色つき水晶という。色つき水晶は準貴石として扱われる。
水晶の発色原因は、主に不純物の混入と放射線による結晶格子欠陥によるもので、主要構成元素によるものではない。紫水晶、黄水晶、煙水晶、黒水晶の発色原因はいずれも、不純物欠陥に電子(または正孔)が捕獲され特定のエネルギー準位をもつもの(色中心、カラーセンターという)で、紫水晶、黄水晶は鉄イオン、煙水晶、黒水晶はアルミニウムイオンが関連している。
また色つき水晶には、水晶の表面が他の鉱物でコーティングされていることによるものもあり、鉄分やマグネシウム等の薄い膜が表面をコーティングすることによって黄色く見えているもので、特にリモナイト等が付着してより鮮やかな黄色~金色になっているものはゴールデンヒーラー との呼び名で流通している。これ以外にも表面にヘマタイト等が付着して鮮やかなオレンジ色になっているものはタンジェリーナクォーツ(タンジェリンクォーツ)と呼ばれており、インドのマニカラン産の水晶には、土壌に含まれる赤褐色をした酸化鉄の影響によりその鉄分が表面に付着して、ピンク色になっているピンククォーツと呼ばれているものもある[19]。
インクルージョン(内包物または包有物)を含んだり、結晶の形が変わって見えるものを変わり水晶という。変わり水晶はコレクターに人気がある。
大別して、水晶の抱有物によるものと、形態によるものがある。
上記以外にも愛好家によりさまざまな名称が使われている。特に連晶は形状がユニークであることから珍重されており、形状によってエレスチャル・スケルタル(骸晶)・カセドラル・ジャカレーなどとさまざまな名称が使われるが、名称の分類は必ずしも愛好家の中で一致したものでない。
パワーストーン愛好家は石英をパワーストーンの中でも強力な鉱物として珍重しているため、それに関係した名称を使っている。細長く先細りの単結晶をレーザーと称してとりわけ大きな力があるとしたり、あるいは、バーコード状の成長線が浮き出たレーザー石英をレムリアンシードと称し、古代レムリア大陸の叡智を伝えるものだと主張している。
また、表面に金属を蒸着することにより人工的に着色した石英が製造され、オーラクリスタルなどとニューエイジ好みの名称で販売されている。色合いによりコスモオーラ・アクアオーラ・ゴールデンオーラ・オーロラオーラという名称も使われている。
粉末は水晶末と呼ばれ、顔料として使用される。 珪砂は砂型鋳造の型材に利用される。 また、火打石として最低硬度を持つ石でもある。
電子工学向けの用途では、オートクレーブを使った水熱合成法によって天然水晶を種結晶として製造される人工水晶が通常用いられる。工業的に利用される石英ガラスは、通常、天然に産出される珪砂、珪石などを溶融した後冷却し、ガラス化させたものである。
石英は、装飾品(宝石)、 ボタンとして用いられたり、水晶玉としてスクライング(水晶占い)の道具としても利用される。ジュエリーや数珠に使われることも一般的である。また、パワーストーンの世界では、単結晶が集合した群晶(クラスター)や、細かい結晶片であるさざれ石(チップ)は、他のパワーストーンを浄化する儀式に使われている。[要出典]
中国医学では白色の石英を白石英、紫水晶を紫石英と呼び、鎮静作用のある薬剤として使用されるが、地方によっては紫色の蛍石と混同される。
古代エジプトでは王朝時代成立前の紀元前4500年頃にはファイアンスと呼ばれる石英粉主体の焼き物でネックレスに用いられる様々なビーズが作られるようになった[21]。
マヤ文明およびその地域の原住部族においては、透明水晶を「ザストゥン」と呼び、まじない石として大切に扱う。 水晶を加工して作った人間の頭蓋骨を模った細工物が大英博物館に展示されている。その伝説は「クリスタル・スカル」として知られている。
オーストラリア先住民の神話の中では、最も一般的な神の思し召しの物質、「マバン」として分類されている。
水晶は、永久的に凍ったままの氷だと古代ローマの博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスによって信じられた。 水晶は、神が創造した氷であると信じられていた。中世以降、よく磨かれた水晶玉は未来を透視するための道具としても使われた[22]。
日本では、山梨県での産出が有名である。加えて甲州水晶貴石細工として昭和51年6月に経済産業大臣指定伝統的工芸品にもなっている[23]。県北部、甲府市近郊の金峰山一帯にはかつて、古くは武田氏の治世の金山に端を発するという幾つもの水晶鉱山が存在し、明治に入り近代化が行われた後には工学ガラスや珪石資源として盛んに採掘された。今日稼動している水晶鉱山は皆無であるものの、牧丘町に位置する乙女鉱山等では、産業遺産としての保存、活用への道が検討されている。
また、甲府市では昇仙峡等の観光地で水晶の土産物が盛んに売られている。市内に日本で唯一の宝石博物館があり、国内最大級の白水晶を始めとした宝石が展示されている他、水晶の即売も行なわれている(ただし、国産は稀)。また、全国唯一の宝石専門学校(山梨県立宝石美術専門学校)がある。
鉱山や採石場などでの粉体吸引により珪肺や肺癌になる危険性がある。 石英の粉体はIARCにより「ヒトに対する発癌性が認められる」グループ1に分類されている。
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