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東京臨海高速鉄道の通勤形電車 ウィキペディアから
東京臨海高速鉄道70-000形電車(とうきょうりんかいこうそくてつどう70-000がたでんしゃ)は、東京臨海高速鉄道の直流通勤形電車。
東京臨海高速鉄道70-000形電車 | |
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りんかい線内を走行する70-000形 (2022年6月29日 東雲駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 東京臨海高速鉄道 |
製造所 | 川崎重工業 |
製造年 | 1996年 - 2004年 |
製造数 | 10編成86両 |
運用開始 | 1996年3月30日 |
投入先 | りんかい線 |
主要諸元 | |
編成 | 10両編成(6M4T) |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 |
直流1,500V 架空電車線方式 |
最高運転速度 | りんかい線・埼京線内 100 km/h |
設計最高速度 | 110 km/h |
起動加速度 | 2.5 km/h/s[1] |
減速度(常用) | 3.6 km/h/s[2] |
減速度(非常) | 3.6 km/h/s[2] |
編成定員 | 1540人 |
車両定員 |
先頭車 146人(座席45人) 中間車 156人(座席54人) |
全長 |
先頭車 20,420 mm 中間車 20,000 mm |
全幅 | 2,800 mm |
全高 |
4,067 mm パンタグラフ付き4,092 mm |
床面高さ | 1,180 mm |
車体 | ステンレス鋼 |
台車 |
軸梁式ボルスタレス台車 KW151形・KW152形 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 MB-5068-A形・B形・C形 |
主電動機出力 | 95kW |
駆動方式 | TD平行カルダン駆動方式 |
歯車比 | 14:99(7.07) |
制御方式 |
VVVFインバータ制御 (製造時:GTO素子、更新後:IGBT素子) |
制御装置 |
三菱電機製 (製造時:MAP-108-15V57、更新後:MAP-108-15V218) |
制動装置 |
回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ 直通予備ブレーキ・耐雪ブレーキ |
保安装置 | ATS-P・ATC-6型・ATACS |
東京臨海高速鉄道での公式呼称は「ななまんがた」で[1]、東京臨海副都心が東京都策定で7番目の副都心にあたることに由来する[3]。
臨海副都心線用の車両として開業前の1995年に登場し、2004年までに86両が川崎重工業で製造された。但し6両はJR東日本に譲渡されたため(後述)、全車が同時に在籍した実績はない。
本形式は車体・車内設備・運転台・主要機器・台車など基本的な設計はJR東日本209系電車に準じた仕様で製造された[1]。これは定期検査をJR東日本東京総合車両センター(旧・大井工場)に委託しており、互換性のあるJR東日本の車両をベースにすることで、新造・保守費用の節減を狙ったためである。なお、大崎開通前は新木場駅から京葉線との連絡線を通り、新木場駅 - (京葉線) - 蘇我駅 - (外房線・総武快速線) - 錦糸町駅 - (中央・総武緩行線) - 御茶ノ水駅 - (中央快速線) - 新宿駅 - (山手貨物線・現在の湘南新宿ライン) - 大崎駅のルートで回送されていた。
なお、本形式はJR東日本209系電車同様、現在は新保全体系(月検査・年検査に該当する機能保全・重要部検査に該当する指定保全・装置保全・全般検査に該当する車体保全)によって定期検査が実施されている。
本項では、特記のない限り落成時の仕様について述べる。
車体は軽量ステンレスを採用し、前頭部は丸みを帯びたFRP製カバーで覆う構造を採用し、モダンで暖かみのあるデザインをめざした[1]。新造にあたり「臨海副都心にふさわしい外観と室内デザイン」「乗客サービスの充実を図る」「保守の低減を図る」点を主要方針とした[1]。車体構造は209系に準じた構造であるが、外板の厚さが209系のt=1.2mmに比べて0.3mm厚いt=1.5mmを確保した。
外板仕上げは209系の全面つや消し(ダルフィニッシュ)仕上げに対し、本形式では幕板外板(上部)と腰板外板(下部)には光沢(ベルトグラインド)仕上げを採用している(それ以外はつや消し仕上げ)。車体側面には臨海副都心の海と緑地を表現した「マリンブルー」と「ターコイズグリーン」のラインカラーを配しているほか、車両の前面と側面には「TWR」のロゴマークを配置した[1]。
客室内は川崎重工業製の209系をベースとしたもので、FRP製の内装材を主体に製作されている[1]。内装はクリーム色の内装材に、妻面と袖仕切にはベージュ系の木目柄と209系とは異なる色調でまとめられた[1]。座席モケットは碧緑色とし、座席端の袖仕切りの形状やドア間の座席に配置される握り棒の本数にも差異がある。車椅子スペースは先頭車の連結面側に設置している[1]。
209系ではステンレス無塗装仕上げであった客用側扉部分は化粧板仕上げとされ、ドアガラスは初期車では金属支持の押さえ金方式だが、2002年以降の増備車はJR標準タイプの接着式・ボンディング式に変更することでコストダウンと室内側のドアとガラス部の段差を解消させた。ドアエンジンは後の増備車も含めて209系1・2次車と同じ空気式が採用されている。また、車両間の貫通扉は電動車ユニット両端ではなく電動車ユニットの中間に設置されている[1]。
側窓は可視光透過率41%のグレーに着色された熱線吸収ガラスを使用しており、カーテンの設置を省略している[1]。各客用ドア間の大窓は1枚の固定窓となっていた[1]。209系の車両故障の際、室内換気に問題があったことから、2006年8月より大型窓の開閉ができるように順次改造された[4]。冷房装置は集中式の能力48.8 kW(42,000kcal/h)装置を搭載している[5]。車端部の小窓は開閉可能な下降窓構造となっている。
2006年(平成18年)7月頃より、これまで車端部の3人掛け座席の一部にあった優先席を全車両に拡大するとともに、付近のつり革は「りんかい線」をイメージさせるスカイブルーのものに交換した(後にJR車と同様の黄色タイプに再交換されている)。さらに「携帯電話のマナー」についての注意書きステッカー(JRと同仕様)も貼り付けした。
また、痴漢被害対策として、2009年頃からJR所属車に防犯カメラが設置されたのを受け、本系列でも1号車に設置が行われた。
乗務員室・運転台の配置は209系とほぼ同様である。マスコンハンドルは左手操作式を採用している[5]。乗務員室背面仕切壁は運転席背後は非常救出口、中央に大窓、助手席側に仕切扉窓を配置する構造を採る。
落成当初の行先表示器は字幕式であった。表示内容は京浜東北線・根岸線で運用されていた209系のように前面右上には路線名が表示されている。かつてはりんかい線内のみでの運用は「りんかい線」、埼京線直通および埼京線内での運用は「りんかい線⇔埼京線」と表示されていたが、その後りんかい線内のみでの運用でも「りんかい線⇔埼京線」と表示されている。
また、前面右上に表示自体がないか路線表示をしない205系と行先表示器の表示内容を合わせるため、後にLED式に変更された行先表示器にも「埼京線」「りんかい線」「埼京線直通」「りんかい線直通」などと表示されている。なお、かつて幕式だった編成は側面行先表示器の地色が青色で、また駅名表記は「天王洲アイル」で異なる書体を使用していたほかは、JR東日本と同一の国鉄書体を使用していた。
案内機器として客用ドア上部には案内表示器とドアチャイムを装備している[5]。
2009年3月からは全編成の客用ドア上部のLED案内表示器に以下の機能が付加された。
2017年2月から、順次LCDが設置されたほか、2019年6月、Z8編成を皮切りに順次自動放送装置を新設しており、LCDの表示内容の更新も行われた。
走行機器類は209系と基本的に同一構造で、起動加速度はMT比に関係なく4両・6両・10両編成とも2.5km/h/sに統一されている[6]。なお、6両・10両編成ではVVVFインバータ装置内に編成設定切り換えスイッチを設置しており、どの編成でも同一の起動加速度になるようにしている[7]。
制御装置は、三菱電機製GTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御(1C4M2群制御)を採用した[5]。編成中の電動車(M)と付随車(T)の構成(MT比)は初期の4両編成で2M2T、現行の10両編成で6M4Tとしている。これは、りんかい線の勾配区間での故障編成の押し上げや電動車1ユニットカット時の運転継続を考慮しているため[7]。
主電動機は三菱電機製の95kW出力かご形三相誘導電動機で[5]、初期車はMB-5068-A形またはB形(MT68形と同一品)を、2002年に増備された車両では騒音低減と保守低減を目的に一部構造を変更したMB-5068-C形(MT73形と同一品)が使用されている[7]。
ブレーキ装置は回生ブレーキ併用の電気指令式空気ブレーキで、T車遅れ込め制御を行い、直通予備ブレーキと耐雪ブレーキを有する[1]。力行・常用ブレーキ指令ともに制御伝送装置を用いたデジタル指令による制御伝送を行っている[5]。各機器は制御伝送装置によって管理されており、ソフトウェアはJR東日本の新系列車両と同じMON8形が使用されている[7]。
パンタグラフは4両編成時代のM1車は2基を搭載していたが、6両編成化または10両編成化後は1基が撤去されている。補助電源装置は東洋電機製造製の210kVA出力静止形インバータ(SIV)を採用している[8][5]。空気圧縮機はクノールブレムゼ社製のスクリュー式CPを搭載している。
台車は川崎重工業製の軸梁式ボルスタレス台車を使用しており、動力台車はKW151形、付随台車はKW152形と称する[5][9]。
保安装置はATS-PとATC-6型を搭載している[7]。1996年(平成8年)の開業当初は可搬型のATS-SNも使用できるようになっていたが、八潮車両基地の竣工と埼京線乗り入れに合わせて撤去され、ATCに置き換えられた[7]。また、2015年度より埼京線に導入されたATACSの取り付けが開始され、2016年度中に全編成が終えている。なお、ATS-PとATACSの切り替えは自動で行われるが、運転台右下の押しボタンにより手動で切り替えることもできる。
車両番号のうち、ハイフン前の「70」は系列を、ハイフン以降の3桁のうち上2桁で編成番号、下1桁で編成内の順位を表す。同様の付番方式は東京都交通局10-000形電車などにも見られる。
編成は下表の通り。
← 新木場 大崎 →
| ||||||
号車 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
---|---|---|---|---|---|---|
車両番号 | 70-xx0 | 70-xx1 | 70-xx2 | 70-xx7 | 70-xx8 | 70-xx9 |
車種 | Tc2A | M1A | M2A | M1A | M2A | Tc2B |
← 新木場 大崎 →
| ||||
号車 | 4 | 3 | 2 | 1 |
---|---|---|---|---|
車両番号 | 70-xx0 | 70-xx1 | 70-xx2 | 70-xx9 |
車種 | Tc2A | M1A | M2A | Tc2B |
編成 | 70-000(Tc) | 70-001(M) | 70-002(M) | 70-009(Tc) | 新製 |
---|---|---|---|---|---|
Z1 | 010 | 011 | 012 | 019 | 1995年11月22日 |
Z2 | 020 | 021 | 022 | 029 | 1995年12月6日 |
Z3 | 030 | 031 | 032 | 039 | 1996年3月15日 |
Z4 | 040 | 041 | 042 | 049 | 1996年3月17日 |
編成 | 70-000(Tc) | 70-001(M) | 70-002(M) | 70-009(Tc) | 新製 |
---|---|---|---|---|---|
Z5 | 050 | 051 | 052 | 059 | 1999年2月18日 |
編成 | 70-000(Tc) | 70-001(M) | 70-002(M) | 70-009(Tc) | 新製 |
---|---|---|---|---|---|
Z6 | 060 | 061 | 062 | 069 | 2001年1月26日 |
編成 | 70-000(Tc) | 70-001(M) | 70-002(M) | 70-003(T) | 70-004(M) | 70-005(M) | 70-006(T) | 70-007(M) | 70-008(M) | 70-009(Tc) | 新製 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Z7 | 070 | 071 | 072 | 073 | 074 | 075 | 076 | 077 | 078 | 079 | 2002年8月30日 |
Z8 | 080 | 081 | 082 | 083 | 084 | 085 | 086 | 087 | 088 | 089 | 2002年9月13日 |
Z9 | 090 | 091 | 092 | 093 | 094 | 095 | 096 | 097 | 098 | 099 | 2002年10月11日 |
Z10 | 100 | 101 | 102 | 103 | 104 | 105 | 106 | 107 | 108 | 109 | 2002年11月1日 |
- | 063 | 064 | 065 | 066 | 067 | 068 | 2002年11月21日 | ||||
- | 017 | 018 | 2002年9月19日 | ||||||||
- | 027 | 028 | 2002年10月4日 | ||||||||
- | 037 | 038 | 2002年10月16日 | ||||||||
- | 047 | 048 | 2002年10月25日 | ||||||||
- | 057 | 058 | 2002年11月6日 |
編成 | 70-003(T) | 70-006(T) | 新製 |
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- | 013 | 016 | 2004年10月13日 |
- | 023 | 026 | 2004年10月6日 |
- | 033 | 036 | 2004年10月2日 |
(りんかい線内基準) ← 新木場
| |||||||||||
新01編成 | 旧番号 | 70-021 | 70-022 | ||||||||
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新番号 | 70-014 | 70-015 | |||||||||
新02編成 | 旧番号 | 70-040 | 70-041 | 70-042 | 70-031 | 70-032 | 70-047 | 70-048 | 70-049 | ||
新番号 | ※70-020 | ※70-021 | ※70-022 | 70-024 | 70-025 | ※70-027 | ※70-028 | ※70-029 | |||
新03編成 | 旧番号 | 70-050 | 70-057 | 70-058 | 70-051 | 70-052 | 70-059 | ||||
新番号 | ※70-030 | ※70-031 | ※70-032 | 70-034 | 70-035 | ※70-039 | |||||
← 川越 高麗川・八王子 →
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ハエ71編成 | 旧番号 | 70-020 | 70-029 | ||||||||
新番号 | クハ209-3101 | クハ208-3101 | |||||||||
ハエ72編成 | 旧番号 | 70-030 | 70-027 | 70-028 | 70-039 | ||||||
新番号 | クハ209-3102 | モハ209-3102 | モハ208-3102 | クハ208-3102 | |||||||
本系列も1996年の製造から約14年が経過し、機器の更新時期に達したことから2011年度より定期検査の車体保全の施工にあわせて順次、機器更新工事を実施し[16]、2018年度に完了した。更新対象機器は故障により列車運行に重大な支障が発生する可能性のある機器について更新を実施している[16]。以下のスケジュールで実施された。
施工内容は以下の通り。
全編成東臨運輸区所属で、開業時は東京テレポート駅下り方の未開業部分を留置線として使用し、列車検査と車両清掃以外の車両基地業務(月検査と重要部・全般検査)をJR東日本に委託していた。2002年(平成14年)の八潮車両基地(東臨運輸区)竣工によってこのトンネル内留置は解消された。
りんかい線と乗り入れ先の埼京線・川越線大宮 - 川越間で運用されている。原則、運行番号が80・90番台の列車が70-000形充当列車だが、ダイヤ乱れ等で70-000形がJR車の代走をすることもある(その逆もあり)。
運用の関係でりんかい線に直通しない埼京線・川越線のみ運行する列車にも使用されている。なお、2022年3月12日現在、83運行で川越車両センターに入区して夜間滞泊し、平日土休日かかわらず翌日の91運行で出区する。
なお、りんかい線と同じく埼京・川越線と相互直通運転を行う相鉄線直通列車には充当されないため、大崎から西大井・相鉄線方面へは入線しない。
本系列は、製造から約30年が経過し、老朽化が進んでいることから、2025年度後半に新型車両である71-000形の導入が予定され、2027年度中に全編成が置き換えられる計画となっている[17]。
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