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日本の雑誌 ウィキペディアから
『宝島』(たからじま)は、宝島社から発行されていた看板雑誌。
1973年7月10日に晶文社より『WonderLand(ワンダーランド)』として創刊。1970年代のサブカル文化の一翼を担った。休刊に至るまでに何度もの雑誌自体のコンセプトの変更(リニューアル)を経た。創刊時の誌名『WonderLand』は、休刊に至るまで同誌の英題として使われていた。休刊時点では「タブーに斬り込む知的探求マガジン」というキャッチコピーの下、アングラ情報を含む情報誌となっていた。休刊時編集長は富樫生。
10年ごとにコンセプトを変え、アンダーグラウンド→サブカルチャー→アダルト→ビジネス誌→アングラ情報誌と、これまで全く異なるジャンルを横断し、それまでの読者を切り捨ててでもエポックメイキングな誌面を作り出してきた。
1973年、晶文社より『ワンダーランド』が、音楽&カルチャー雑誌という形で植草甚一らの手によって世に出された(創刊号の特集はキャロルであった)。これは企画当初、アメリカの雑誌『ローリング・ストーン』の日本版を創刊する予定で準備してきたものが、版権取得が不調に終わったため、別雑誌として内容・誌名を新たにして発行されるに至った、というもの[注釈 1]。
創刊号からすでに通信コーナーとして「VOW」は存在していた。3号目で誌名を『宝島』と変更し(これも権利上の問題による変更)、翌年の6号をもって一旦休刊するが、その後版権はJICC出版局に移って1974年6月に復刊を遂げる。グラフ誌大だった判型は以後B6判のポケットサイズに、翌年1月号からは紙質も、オイルショックによる折からの紙不足を反映して、ザラ紙となる(1977年5月号まで。以後はA5判。紙質も回復)。復刊時の発行部数は7000部。カリスマ的な編集者によって先鋭化され、『宝島』はマイナー志向の超カルト的サブカルチャー雑誌として確立されてゆくが、ドラッグや精神文化特集など、そのマニアックさ故に部数は伸び悩んだ。発行部数が5000部程度のこともあった[注釈 2]。
落ち込んだ部数を回復させ、危機を切り抜けるため、『宝島』は関川誠を編集としてそれまでの編集方針を替え、YMO、忌野清志郎などのミュージシャンを好んで取り上げるようになり、1980年代的なパンク・ニューウェーブのファッションや音楽や文化の特集を組むようになった。1985年には全ページにカラーグラビアを採用し、誌面は1980年代のポップカルチャーで埋め尽くされた。1980年代後半になるとその傾向は顕著になり、ストリートファッションの特集やロックバンド特集など、当時の若者のバイブルとしてもてはやされた。1987年1月号から誌面がA5判から変形B5判に大型化、モノクロページが復活する。同時に反戦反核路線も明確となった。
また、1985年にはインディーズ・レーベル「キャプテン・レコード」を発足させ、THE WILLARD、有頂天、THE POGOなどの作品をリリースした。もはや1970年代『宝島』のむさ苦しさは消滅していたが、名物コーナーの「VOW」は不動の人気を保った。
折からのバンドブームで売り上げも上昇し、発行ペースを月刊から月2回刊に増やす。バンドブームも終わりの時を迎えたころ、『宝島』は再び大幅に方針を変更し、アダルト雑誌へと舵を切った。1992年11月9日には一般雑誌で初めてヘアヌードを掲載し、世間を驚かせた[1]。誌面は風俗情報やセックス関連の記事であふれ、それまでとはまったく違った読者を獲得、『宝島』は確信犯的にアダルト記事を飛ばしていった。この頃、発行部数は20万部に達した。この方針変更は、編集者はもとより従前の読者から少なからぬ批判を惹起し、一部編集者の離反を招いたほか、当時連載を持っていた清水ミチコでさえ『宝島』の名を表に出すことが恥ずかしかった旨の文章を同誌のコラムに寄せている。なお、「VOW」はこの頃でも健在であった。
2000年3月15日号からの週刊化をきっかけに、『宝島』はアダルト記事を捨て、みたび誌面を大幅に変更した。それまでの売りだった風俗関連の記事やヘアヌードは姉妹誌として新たに創刊された『宝島ファイヤー』[注釈 3]に移り、代わりにビジネス関連の記事や新製品情報が拡充された。2001年頃にはビジネス誌というフォーマットがほぼ確立され、1990年代『宝島』とはまったくの別の雑誌として新生『宝島』は再スタートを切ったが、ライバル誌の多いビジネス誌業界では苦戦し、2003年に再び月刊に戻されている。「VOW」は2001年に一旦『宝島』誌上での連載を終了したが、2010年に再開している。その後、ビジネス誌色は徐々に消え、アングラ情報誌としての色が強くなっている。
2010年頃を境に経済誌的側面を徐々に薄め、いわゆる裏社会に切り込む記事を前面に打ち出したアンダーグラウンド雑誌としての色を濃くしていった。
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