五味 文彦(ごみ ふみひこ、1946年(昭和21年)1月30日 - )は、日本の歴史学者。学位は、博士(文学)(東京大学・1992年)。東京大学名誉教授、放送大学名誉教授。山梨県甲府市出身。
文学や絵画まで含む多様な史料と考古学の成果を利用しつつ、日本の中世を芸能・文化をふくむ広い視野で捉える研究をつづけている。
単著
- 『院政期社会の研究』(山川出版社、1984年)
- 『平家物語、史と説話』(平凡社選書、1987年/平凡社ライブラリー、2011年)
- 『大系日本の歴史〈5〉:鎌倉と京』(小学館、1988年/小学館ライブラリー、1992年)
- 『吾妻鏡の方法:事実と神話にみる中世』(吉川弘文館、1990年、増補版2000年、新訂版2018年)ISBN 9784642083393
- 『中世のことばと絵:絵巻は訴える』(中公新書、1990年)
- 『藤原定家の時代:中世文化の空間』(岩波新書、1991年)
- 『武士と文士の中世史』(東京大学出版会、1992年)
- 『都市の中世』(吉川弘文館、1992年)
- 『絵巻で読む中世』(ちくま新書 1994年/ちくま学芸文庫、2005年)
- 『大仏再建:中世民衆の熱狂』(講談社選書メチエ、1995年)
- 『殺生と信仰:武士を探る』(角川書店[角川選書]、1997年)
- 『「徒然草」の歴史学』(朝日新聞社[朝日選書]、1997年/角川ソフィア文庫(増補版)、2014年)
- 『日記に中世を読む』(吉川弘文館、1998年)
- 『「春日験記絵」と中世:絵巻を読む歩く』(淡交社、1998年)
- 『平清盛』(吉川弘文館〈人物叢書〉、1999年)ISBN 9784642052122
- 『日本の歴史〈4〉:武士の時代』(岩波書店、2000年)
- 『明月記の史料学』(青史出版、2000年)
- 『日本の中世〈7〉:中世文化の美と力』(中央公論新社、2002年)
- 『梁塵秘抄のうたと絵』(文藝春秋〈文春新書〉、2002年)
- 『書物の中世史』(みすず書房、2003年)
- 『中世社会と現代』(山川出版社[日本史リブレット]、2004年)
- 『源義経』(岩波新書、2004年)
- 『物語の舞台を歩く-義経記』(山川出版社、2005年)
- 『中世の身体』(角川学芸出版[角川叢書]、2006年)
- 『中世社会史料論』(校倉書房、2006年)
- 『王の記憶』(新人物往来社、2007年)
- 『躍動する中世』(小学館、2007年)
- 『日本の中世を歩く』(岩波新書、2009年)
- 『後白河院:王の歌』(山川出版社、2011年)
- 『西行と清盛:時代を拓いた二人』(新潮社[新潮選書]、2011年)
- 『後鳥羽上皇:新古今集はなにを語るか』(角川学芸出版[角川選書]、2012年)
- 『日本史の新たな見方、捉え方:中世史からの提言』(敬文舎、2012年)
- 『鴨長明伝』(山川出版社、2013年)
- 『藤原定家:芸術家の誕生』(山川出版社〈日本史リブレット・人〉、2014年)
- 『「枕草子」の歴史学:春は曙の謎を解く』(朝日新聞出版[朝日選書]、2014年)
- 『人物史の手法:歴史の見え方が変わる』(左右社、2014年)
- 『文学で読む日本の歴史:古典文学篇』(山川出版社、2015年)。全5巻
- 『日本史のなかの横浜』(有隣堂[有隣新書]、2015年)
- 『源実朝:歌と身体からの歴史学』(角川学芸出版[角川選書]、2015年)
- 『シリーズ日本中世史①:中世社会のはじまり』(岩波新書、2016年)
- 『文学で読む日本の歴史:中世社会篇』(山川出版社、2016年)
- 『文学で読む日本の歴史:戦国社会篇』(山川出版社、2017年)
- 『日本の歴史を旅する』(岩波新書、2017年)
- 『文学で読む日本の歴史:近世社会篇』(山川出版社、2019年)
- 『伝統文化』(山川出版社「日本の伝統文化1」、2019年)。全6巻
- 『鎌倉時代論』(吉川弘文館、2020年)ISBN 9784642083720
- 『文学で読む日本の歴史:近代的世界篇』(山川出版社、2020年)
- 『武士論:古代中世史から見直す』(講談社選書メチエ、2021年)
- 『『一遍聖絵』の世界』(吉川弘文館、2021年)ISBN 9784642083966
- 『絵巻で歩む宮廷世界の歴史』(山川出版社、2021年)
- 『学校史に見る日本 足利学校・寺子屋・私塾から現代まで』(みすず書房、2021年)
- 『疫病の社会史』(KADOKAWA、2022年)
- 『島津氏と薩摩藩の歴史』(吉川弘文館、2024年)ISBN 9784642084543
著作『院政期社会の研究』の中に「院政期政治史断章」という論文が収録されている。院政期の政治上の事件には、必ずといっていいほど男色関係が絡むことを強調したこの論文は、日本史を学ぶ学生の間で、画期的な「男色論文」として有名となっている。ただし藤原頼長の男色について触れたのは、東野治之「日記にみる藤原頼長の男色関係-王朝貴族のウィタ・セクスアリス」(『ヒストリア』1979)が先である。また五味は本書あとがきで、このことを知ったため院政期社会に興味を失った時期もあると記し、棚橋光男らの批判を受けている(『後白河法皇』)。[要出典]