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日本の任意団体 ウィキペディアから
と学会(とがっかい)は、「世間のトンデモ本やトンデモ物件を品評することを目的としている」と謳っている、日本の任意団体。
なお、名称に「学会」とあり、さらに公式HPにもTHE ACADEMY OF OUTRAGEOUS BOOKSなどと表記しているが、学会やそれに類する学術団体ではない[1][2]。あくまで非アカデミックな私的団体である。
『トンデモ本の世界』をはじめとする著作群で知られる。 1992年に設立。SF作家山本弘が元会長を務めていた“読書集団”であり、「著者の知識の欠如や妄想により、著者の意図とは異なる楽しみ方ができる」トンデモ本を「バード・ウォッチングのように楽しむ」探求・愛好団体、と当人たちは語っている。「と学会」の目的は「あくまでもトンデモ本を楽しむことにある」と当人たちは謳っている。だが、実際には出版物は、元会長を中心として執筆者らが、超常現象、オカルト、陰謀論、疑似科学を否定的に扱ったりひやかしたりする文章が多いために、しばしば“オカルト否定団体”だと認識されている。だがそうした認識に対して、元副会長の藤倉珊は、「単にそうした分野にトンデモが多いだけで、とくにオカルトを標的にしているわけではない」としている[3]。なお、元運営委員の唐沢俊一によれば、会の結成以前からの流れとしてトンデモ本に対する論破・ツッコミを中心にする山本弘と、トンデモ本が存在する現状の観察に重きをおく藤倉珊という二派が存在しているという[4]。また、志水一夫のように超常現象は実在しているとする人、さらには稗田おんまゆらのような占師・オカルティストも会員に含まれている。
「と学会」自体は、オカルト系のみならず「著者の執念・妄想で奇怪な内容になった実用書、マーケティングをした形跡のない出版意図の不明な本、ブーム便乗本、設定やストーリーが支離滅裂な小説、間違った内容の多すぎるベストセラーなどもトンデモ本として“楽しむ”対象である」としており、また「作り手の意図どおりで厳密には後述の定義から外れるが意外な世界を体感できる“亜トンデモ”も扱っている」とも述べている。更には、書籍以外にもあらゆるおかしなものを扱っている[5]。
「と学会」が正式名称であり、「トンデモ本学会」の略ではない[6]。「と学会」で取り上げられた者(近年では副島隆彦など)、「と学会」に否定的な立場で語るものだけではなく、一般のメディアや、かつては会員の一部でもこの点を間違えていた(いる)事がある。
第1回トンデモ本大賞終了後に会の設立を決定後、打ち上げの席での山本弘と藤倉珊の会話から名称が決定した。自分たちはトンデモないものを「と」と総称していると藤倉から聞き、語感が間抜けでいいとして山本が「と学会」と名付けた[7]。
当初はパソコン通信ニフティサーブの仲間内の掲示板であるパティオで情報交換していたが、インターネット上での情報交換に移行すると、年に4回程度の会員による例会(非公開)が開かれ、その成果を書籍あるいは同人誌、日本トンデモ本大賞の公開講義の形で発表している。商業出版された書籍の印税に関しては、執筆者の担当したページ数に比例して支払額が振り分けられている[8]。
1992年に日本SF大会の企画の一つとして行なわれた日本トンデモ本大賞を引き継ぐ形で発足[7]。以後雑誌『宝島30』の「今月のトンデモ本大賞」を皮切りに様々な媒体を通じて活動を行なっている。雑誌『宝島30』では創刊号の1993年6月号から休刊号になる1996年6月号まで連載。途中で「今月のトンデモ本」にタイトルを変更。執筆は山本弘と藤倉珊が交代で担当した。『宝島30』の連載の好評を受けて、この連載を基に同人誌の一部の内容を加えて大幅加筆して、1995年に出版した初の単行本『トンデモ本の世界』は、その数か月前に起こったオウム真理教事件で疑似科学やカルト宗教の異様さに関心が集まった中での発売となり、10万部を超えるベストセラーとなって「と学会」の名を一躍世間に知らしめた[9]。2003年には、日本トンデモ本大賞の発表を初めてSF大会から独立したイベントとして開催した。2017年9月に目黒雅叙園にて25周年記念イベントを行った。
会員数は2008年に約100名[10]、2010年に約120名[11]で微増傾向にあるという[12]。現在、一般からの入会の申請は受け付けず、会員2名の推薦があった場合のみ入会が認められている[13]。会の規約はこの入会の規定と会費を納めることだけであり[8]、会員の思想や信条は問わない。そのため、会員は必ずしも超常現象否定派や疑似科学批判者だけというわけではなく、作家や落語家、大学の教員はもちろん、宗教家や占い師、ヒーラーや新しい歴史教科書をつくる会会員などもおり、幅広い。
もっとも、疑似科学と見られがちな分野の者がと学会会員として活動するのはやはり精神的に辛く、それゆえと学会会員としての活動を控える事もある[14]。
男女比率は男性が圧倒的に多く、女性会員の割合は2004年時点で2割に満たない[15]。 2007年の時点で、と学会には若い会員があまり入会せず、年代は40歳代が中心になっている。若い会員があまり入会しない理由について、元会員で作家の岡田斗司夫は、「と学会での発表のために本を読んで面白いものを見つけることを継続して行なうのが若い年代には難しいからではないか」と解釈した[16]。
(以下五十音順)
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会員にはそれぞれ会員番号が割り振られているが、現在用いているものは入会時期や役職とは関係なしにある年の会費の支払いが早かった順で決めたもの(それ以降の参加者は入会が早い順)であり、そのため元会長の山本弘が会員番号68である一方最年長ではあるものの創設メンバーではない江藤巌が会員番号4となっている。なお、それぞれ原子番号が同じ元素名が当てはめられており一般会員の中には会誌や例会本での筆名に「イットリウム39」「らじうむ素山」のように該当する元素を用いている例もある。
と学会の紋章は、「と」のマークが随所に(当初は7個、現在8個)ちりばめられた双頭の鳥を図像化したものであるが、これは山中峯太郎の『敵中横断三百里』に登場する紋章のパロディである。
1997年3月時点で、『トンデモ本の世界』『トンデモ本の逆襲』の2冊の売上は30万部[26]。
この他に「と学会」主催のイベントやコミックマーケット(「と学会」あるいは会員の個人サークル)、まんだらけの通信販売などにおいて「と学会誌」と呼ばれる同人誌(2015年夏までに35号)が販売されており、最新の例会の発表内容を公表している。また過去の雑誌掲載分をまとめた「と学会アーカイブス」も販売されている。
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