高松宮記念(たかまつのみやきねん)は、日本中央競馬会(JRA)が中京競馬場で施行する中央競馬重賞競走GI)である。

概要 高松宮記念 Takamatsunomiya Kinen, 開催国 ...
高松宮記念
Takamatsunomiya Kinen
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第52回高松宮記念(2022年3月27日)
優勝馬:ナランフレグ、鞍上:丸田恭介
(画像右手奥)
開催国 日本の旗 日本
主催者 日本中央競馬会
競馬場 中京競馬場
創設 1971年6月27日
2024年の情報
距離 芝1200m
格付け GI
賞金 1着賞金1億7000万円
出走条件 サラ系4歳以上(国際)(指定)
負担重量 定量(57kg、牝馬2kg減)
出典 [1][2]
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正賞は名古屋市長賞、名古屋競馬株式会社賞、日本馬主協会連合会会長賞[1][2]

概要

春の古馬スプリントチャンピオン決定戦であるとともに、春のGI競走シリーズの始まりを告げるレースともなっている[3]。またスプリンターズステークス同様に「電撃の6ハロン」と呼称される。

4歳(現3歳)以上の馬による重賞として1967年昭和42年)に創設された「中京大賞典(ちゅうきょうだいしょうてん)」が、本競走の前身[4][5]。1970年に高松宮宣仁親王から優勝杯が下賜された[5]のを機に、1971年より「高松宮杯(たかまつのみやはい)」に改称[4]のうえ新設[5]。同年より中京競馬場に新設された芝コース[5]の2000mで、夏の中京開催を飾る中距離の名物競走として施行していた[4]。この間、1984年にグレード制が導入された際、GII[注 1]に格付けされている[5]

1996年に中央競馬の短距離競走体系が改善・整備され、本競走は距離を芝1200mに短縮のうえ施行時期も5月に変更し、GI[注 1]に格上げ[4][5]。これにより、中央競馬のいわゆる「中央場所(中山東京京都阪神)」以外の競馬場で初めて行われる常設のGI競走[4][5]として、春の短距離王決定戦に位置づけられた[4]

その後、1998年には現名称に改称[4][5]され、2000年には施行時期を3月に変更[4][5]。競走条件も「5歳(現4歳)以上」に改められた[4]

2005年に創設された国際スプリントシリーズ戦「グローバル・スプリント・チャレンジ」に2011年から構成レースのひとつとして加わり、2013年まで第2戦(2014年から2017年までは第3戦)として行われていた(2017年を最後に休止)[4]

外国産馬は1989年から、地方競馬所属馬は1996年から出走可能になり[6]、2001年からは国際競走となって外国馬も出走可能になった[6][5]。2007年より国際GIに格付けされている[5]

競走条件

以下の内容は、2024年現在[1][2]のもの。

出走資格:サラ系4歳以上(出走可能頭数:最大18頭)

  • JRA所属馬
  • 地方競馬所属馬(出走資格のある馬のみ)
  • 外国調教馬(優先出走)

負担重量:定量(58kg、牝馬2kg減)

JRA所属馬の出走権

JRA所属馬は同年に行われる下表の競走で1着となった馬に、優先出走権が付与される[7]

さらに見る 競走名, 格 ...
競走名競馬場距離
阪急杯GIII日本の旗阪神競馬場芝1400m
オーシャンステークスGIII日本の旗中山競馬場芝1200m
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上記のほか、レーティング順位の上位5頭にも優先出走権が付与される[4]

その他のJRA所属馬は、以下の条件で出走馬を決定する。

  • 「通算収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI(JpnI)競走の収得賞金」の総計が多い順

地方競馬所属馬の出走資格

地方競馬所属馬は同年に行われる下表の競走で2着以内となった馬に、優先出走権が付与される[8][7]

さらに見る 競走名, 格 ...
競走名競馬場距離
阪急杯GIII日本の旗阪神競馬場芝1400m
オーシャンステークスGIII日本の旗中山競馬場芝1200m
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上記のほか、外国で行われるグローバル・スプリント・チャレンジ対象競走のいずれかで2着以内となった地方競馬所属馬も本競走に優先出走できる(2017年まで)[4]

賞金

2024年の1着賞金は1億7000万円で、以下2着6800万円、3着4300万円、4着2600万円、5着1700万円[1][2]

コース

中京競馬場の芝コース、1200mを使用。

向正面のやや第2コーナーよりの地点からスタート[9]し、スタート直後は緩やかな上り勾配。その後第4コーナーを過ぎるまで、高低差3.5mを一気に下る[9]。ゴールまでの直線は412m[9]あり、残り約350m地点から高低差約2mの上り勾配が待ち構える[9]

歴史

年表

  • 1971年 - 4歳(現3歳)以上の馬による重賞競走「高松宮杯」の名称で創設、中京競馬場の芝2000mで施行[4]
  • 1984年 - グレード制施行によりGII[注 1]に格付け[4]
  • 1989年 - 混合競走に指定され、外国産馬が出走可能になる[4]
  • 1996年
    • GI[注 1]に格上げ[4]
    • 施行距離を芝1200mに変更[4]
    • 指定交流競走に指定され、地方競馬所属馬が出走可能になる[6]
  • 1998年 - 名称を「高松宮記念」に変更[4]
  • 2000年 - 出走資格を「5歳(現4歳)以上」に変更[4]
  • 2001年
    • 馬齢表記を国際基準へ変更したのに伴い、出走資格を「4歳以上」に変更[6]
    • 国際競走に指定され、外国調教馬が5頭まで出走可能となる[6]
  • 2007年
    • 国際GIに格付け[4]
    • 日本のパートI国昇格に伴い、外国調教馬の出走枠が9頭に拡大[10]
  • 2011年
    • グローバル・スプリント・チャレンジに参加、第2戦に組み込まれる[4]
    • 「東北関東大震災被災地支援競馬」となり、この年のみ中京競馬場の改修工事のため阪神競馬場で施行。このため、フルゲートは16頭に縮小。
  • 2012年 - レーティング上位の5頭に優先出走を認める。
  • 2014年 - トライアル制を確立し、指定された競走の1着馬に優先出走を認める。
  • 2015年 - エアロヴェロシティが香港馬として初の優勝。
  • 2018年 - グローバル・スプリント・チャレンジが休止される。
  • 2020年 - COVID-19の流行により「無観客競馬」として開催。

歴代優勝馬

距離はすべて芝コース。

優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。

競走名は第27回まで「高松宮杯」、第28回以降は「高松宮記念」[4]

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回数施行日競馬場距離優勝馬性齢所属タイム優勝騎手管理調教師馬主単勝オッズ単勝人気1着本賞金
第1回1971年6月27日中京2000mシュンサクオー牡5JRA2:00.1飯田明弘小林稔岩佐俊策13.9[11]31500万円
第2回1972年6月25日中京2000mジョセツ牝5JRA2:01.8岡部幸雄鈴木清中村勝五郎7.942000万円
第3回1973年6月24日中京2000mタケデンバード牡4JRA2:01.0蓑田早人稲葉秀男武市伝一40.88
第4回1974年6月23日中京2000mハイセイコー牡4JRA2:00.4増沢末夫鈴木勝太郎(株)ホースマンクラブ1.612300万円
第5回1975年6月22日中京2000mイットー牝4JRA2:00.2簗田善則田中好雄(有)荻伏牧場4.932500万円
第6回1976年6月27日中京2000mフジノパーシア牡5JRA2:01.3大崎昭一柴田寛真田繁次6.132800万円
第7回1977年6月26日中京2000mトウショウボーイ牡4JRA2:03.8武邦彦保田隆芳トウショウ産業(株)1.212900万円
第8回1978年6月25日中京2000mヤマニンゴロー牡4JRA2:03.2古川隆文諏訪佐市土井宏二6.323000万円
第9回1979年6月24日阪神2000mネーハイジェット牡3JRA1:59.8松本善登布施正内海都一23.25
第10回1980年6月22日中京2000mリンドプルバン牡4JRA2:01.1田原成貴見上恒芳(株)デルマークラブ6.533300万円
第11回1981年6月28日中京2000mハギノトップレディ牝4JRA2:01.8伊藤清章伊藤修司日隈広吉2.413600万円
第12回1982年6月27日中京2000mカズシゲ牡5JRA2:00.5田原成貴須貝彦三萩英男7.833900万円
第13回1983年6月26日中京2000mハギノカムイオー牡4JRA2:01.1伊藤清章伊藤修司日隈広吉
中村和夫
1.314000万円
第14回1984年6月24日中京2000mキョウエイレア牡5JRA2:03.9田島信行久保田金造松岡正雄16.434300万円
第15回1985年6月23日中京2000mメジロモンスニー牡5JRA2:03.5清水英次大久保正陽メジロ商事(株)16.74
第16回1986年6月22日中京2000mラグビーボール牡3JRA2:01.3河内洋田中良平小田切有一2.614500万円
第17回1987年7月12日中京2000mランドヒリュウ牡5JRA1:59.8村本善之小林稔木村善一2.814800万円
第18回1988年7月10日中京2000mオグリキャップ牡3JRA1:59.0河内洋瀬戸口勉佐橋五十雄1.21
第19回1989年7月9日中京2000mメジロアルダン牡4JRA1:58.9河内洋奥平真治(有)メジロ牧場1.615700万円
第20回1990年7月8日中京2000mバンブーメモリー牡5JRA1:59.4武豊武邦彦竹田辰一2.116000万円
第21回1991年7月7日中京2000mダイタクヘリオス牡4JRA1:59.4加用正梅田康雄中村雅一11.756500万円
第22回1992年7月12日中京2000mミスタースペイン牡4JRA2:00.6石橋守橋口弘次郎架谷外茂次2.416900万円
第23回1993年7月11日京都2000mロンシャンボーイ牡4JRA1:59.0清山宏明小原伊佐美清岡政徳49.47
第24回1994年7月10日中京2000mナイスネイチャ牡6JRA2:00.7松永昌博松永善晴豊嶌泰三8.55
第25回1995年7月9日中京2000mマチカネタンホイザ牡6JRA2:02.6柴田善臣伊藤雄二細川益男8.33
第26回1996年5月19日中京1200mフラワーパーク牝4JRA1:07.4田原成貴松元省一吉田勝己5.639400万円
第27回1997年5月18日中京1200mシンコウキング牡6JRA1:08.0岡部幸雄藤沢和雄安田修14.76
第28回1998年5月24日中京1200mシンコウフォレスト牡5JRA1:09.1四位洋文栗田博憲安田修4.92
第29回1999年5月23日中京1200mマサラッキ牡6JRA1:08.0藤田伸二増本豊丸井正貴18.68
第30回2000年3月26日中京1200mキングヘイロー牡5JRA1:08.6柴田善臣坂口正大浅川吉男12.74
第31回2001年3月25日中京1200mトロットスター牡5JRA1:08.4蛯名正義中野栄治高野稔2.91
第32回2002年3月24日中京1200mショウナンカンプ牡4JRA1:08.4藤田伸二大久保洋吉国本哲秀6.63
第33回2003年3月30日中京1200mビリーヴ牝5JRA1:08.1安藤勝己松元茂樹前田幸治10.13
第34回2004年3月28日中京1200mサニングデール牡5JRA1:07.9福永祐一瀬戸口勉後藤繁樹4.32
第35回2005年3月27日中京1200mアドマイヤマックス牡6JRA1:08.4武豊橋田満近藤利一11.84
第36回2006年3月26日中京1200mオレハマッテルゼ牡6JRA1:08.0柴田善臣音無秀孝小田切有一9.349500万円
第37回2007年3月25日中京1200mスズカフェニックス牡5JRA1:08.9武豊橋田満永井啓弍4.51
第38回2008年3月30日中京1200mファイングレイン牡5JRA1:07.1幸英明長浜博之(有)社台レースホース7.14
第39回2009年3月29日中京1200mローレルゲレイロ牡5JRA1:08.0藤田伸二昆貢(株)ローレルレーシング7.63
第40回2010年3月28日中京1200mキンシャサノキセキ牡7JRA1:08.6四位洋文堀宣行吉田和美3.71
第41回2011年3月27日阪神1200mキンシャサノキセキ牡8JRA1:07.9U.リスポリ堀宣行吉田和美4.53
第42回2012年3月25日中京1200mカレンチャン牝5JRA1:10.3池添謙一安田隆行鈴木隆司3.92
第43回2013年3月24日中京1200mロードカナロア牡5JRA1:08.1岩田康誠安田隆行(株)ロードホースクラブ1.31
第44回2014年3月30日中京1200mコパノリチャード牡4JRA1:12.2M.デムーロ宮徹小林祥晃7.73
第45回2015年3月29日中京1200mエアロヴェロシティ騸7香港1:08.5Z.パートンP.オサリバンN.D.ヨン[12]6.54
第46回2016年3月27日中京1200mビッグアーサー牡5JRA1:06.7福永祐一藤岡健一中辻明3.919800万円
第47回2017年3月26日中京1200mセイウンコウセイ牡4JRA1:08.7幸英明上原博之西山茂行8.75
第48回2018年3月25日中京1200mファインニードル牡5JRA1:08.5川田将雅高橋義忠ゴドルフィン5.521億1000万円
第49回2019年3月24日中京1200mミスターメロディ牡4JRA1:07.3福永祐一藤原英昭グリーンフィールズ(株)7.83
第50回2020年3月29日中京1200mモズスーパーフレア[注 2]牝5JRA1:08.7松若風馬音無秀孝(株)キャピタル・システム32.391億3000万円
第51回2021年3月28日中京1200mダノンスマッシュ牡6JRA1:09.2川田将雅安田隆行(株)ダノックス6.02
第52回2022年3月27日中京1200mナランフレグ牡6JRA1:08.3丸田恭介宗像義忠村木克成27.881億7000万円
第53回2023年3月26日中京1200mファストフォース牡7JRA1:11.5団野大成西村真幸安原浩司32.312
第54回2024年3月24日中京1200mマッドクール牡5JRA1:08.9坂井瑠星池添学(有)サンデーレーシング9.66
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高松宮記念の記録

  • レースレコード - 1:06.7(第46回優勝馬ビッグアーサー[13]
    • 優勝タイム最遅記録 - 1:12.2(第44回優勝馬コパノリチャード)
  • 最年長優勝馬 - 8歳(第41回優勝馬キンシャサノキセキ)
  • 最多優勝馬 - 2勝(第40回・第41回優勝馬キンシャサノキセキ)
  • 最多優勝騎手 - 3勝
    • 河内洋(第16回・第18回・第19回)、田原成貴(第10回・第12回・第26回)、柴田善臣(第25回・第30回・第36回)、武豊(第20回・第35回・第37回)、藤田伸二(第29回・第32回・第39回)、福永祐一(第34回・第46回・第49回)
  • 最多優勝調教師 - 3勝
    • 安田隆行(第42回・第43回・第51回)[14]
  • 最多優勝種牡馬 - 4勝
    • サンデーサイレンス(第33回・第35回・第36回・第37回)
  • 親子制覇
    • イットー - ハギノトップレディ・ハギノカムイオー
    • キングヘイロー - ローレルゲレイロ
    • ロードカナロア - ダノンスマッシュ・ファストフォース
  • 姉弟制覇
    • ハギノトップレディ・ハギノカムイオー(イットー産駒)
  • 騎手・調教師の両方で優勝
    • 武邦彦(第7回、第20回)

外国調教馬の成績

参考文献

  • 「高松宮記念」『中央競馬全重賞競走成績集 【GI編】』日本中央競馬会、2006年、1271-1331頁。

脚注・出典

外部リンク

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