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中に小さな玉が入っており、全体を振り動かすことで音を出す道具 ウィキペディアから
鈴(すず)とは、音を出す道具のひとつ。
土器や金属、陶器などでできた中空の外身の中に小さな玉が入っており、全体を振り動かすことで音を出すもの。
似たものに鐘があるが、鐘は人間が舌や撞木を動かして音を生じさせるものである。鐘の場合、舌や撞木は人間が触れることができ、紐やワイヤーで鐘の外身あるいは鐘の置かれた建造物と繋がれている。
鈴の場合は鐘とは異なり、中の玉は外身にくるまれており人間が触れることはできず外身ともどことも繋がれてはいない。
英語では鐘も鈴も「bell」と呼ぶ。
鈴は、縄文時代にクルミなどの木の実やマメを振ると外殻や莢の中で種子が動いて鳴ることに着想を得て作られた道具ともいわれる。マメや木の実の種子が殻や莢とはくっついておらず何処にもつながれていないのに外殻とともに成長するというのは、人間にとって、この上なく神秘的であった[要出典]。
人類がいつから鈴を用いているかははっきりしない。鈴や鐘、太鼓、笛といった音の出る器物は、人類の歴史の古くから人間の暮らしや精神活動に深くかかわってきた。音は、人間にまつろわぬ獣や魔物を追い払って己の生命を守る楯であり、同時に己の仲間である獣や神を引き寄せる合図でもあった。
日本でも縄文時代には既に土鈴(どれい)と呼ばれる音を出す用途を意図して作られた器物が存在し、弥生時代には鐘の類である銅鐸が存在した。古墳時代中期の5世紀ごろになると金属製の丸い鈴が出現した[1](『古事記』で、雄略天皇の時代に、犬に鈴を付けていた記述と合致する)。
実例として、千葉県木更津市長須賀の金鈴塚古墳からは、1950年(昭和25年)7月の発掘調査で石棺から純金製の鈴5個が検出されている[2]。なおこの鈴は、木更津市の歴史博物館に展示され、館名(木更津市郷土博物館金のすず)の由来ともなっている[3]。
古墳時代に製作された形象埴輪の人物、馬、犬、大刀の護拳などには鈴を身に着けたものがある。埴輪に限らず、古墳後期には鏡に付属させた鈴鏡が見られる。『日本書紀』の顕宗紀には、即位元年の2月に「繩端懸鐸 無勞謁者 入則鳴之 朕知汝到 於是 老嫗奉詔 嗚鐸而進 天皇遙聞鐸聲」とあり、置目という名の老婆が顕宗天皇のもとに亡父の骨の所在を示したため、天皇は礼として置目を宮殿の近くに住まわしめ、自分のもとに参る時は「縄の端に鐸を掛けて鳴らし、取次の者に到着を知らせよ」と詔したという記述がある。農耕が始まってからは農作物を荒らす動物を追い払うため鳴子を田畑に設置したり、現在でも山菜採りなどで山に入るときには熊除けなどのために鈴を腰につけていく。土鈴については郷土玩具や縁起ものとして江戸時代以降に作られている素焼きに絵付けをしたものもある。
文字を持たない共同体においても人々が神を呼んだり共同体の結束を確認する祭りに楽器と音楽は欠かせず、日本の祭りでも神や仏を呼ぶのに楽器と音楽を用いる(人間を楽器と考えるならば歌謡と舞踊を用いると表現してもよい)。神社で鈴を鳴らして神に拝むのもそうであるし、仏壇で鈴を鳴らして先祖を拝むことも、除夜の鐘や教会の鐘、さまざまな合図としての鐘も、根源的には人間が音に対して抱いている観念、すなわち超常的な力を持つものに通じる畏怖と人間が操り制御することのできる親しみとが根底にある。
神道において「鈴」は、参拝時に神社の拝殿で振り鳴らして用いられる。神社の拝殿には、鈴緒とよばれる縄の上のほうに大型の鈴(本坪鈴など)が取り付けられており、人間は鈴緒の下のほうを手で振り動かして鈴を鳴らし、神へ呼びかける。ただし、神社で鈴を鳴らして拝むのは戦後に広く行われるようになったもので、出雲大社などでは昔も現在も拝殿に鈴はなく、地域の社や祠などにももともと鈴はさげられていなかった。柏手を打って拝むのが本来である。
神楽舞(かぐらまい)を舞うときに巫女が手に持って鳴らす「巫女鈴」(神楽鈴)というものもある。中心となる棒に取っ手とその上部に3段に分けて、小さな鈴を15(=3+5+7)個付けた「七五三鈴」等が使われる[4]。これは「鈴なり」の言葉の語源ともなった。
出雲大社では「瑞鈴」という鈴を用いる。これは毎年8月に行う「みたまむすびの霊行」にて、氏子や教信徒らが本殿瑞垣内神域を「おにわふみ」を行う時に抱く神聖な鈴である[5]。
キリスト教の一教派である正教会では、振り香炉に鈴が取り付けられ、その音により祈る者の心を神の国へと向ける働きを持たせている[6]。
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