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立体的に表示される映画 ウィキペディアから
立体映画(りったいえいが、英: 3-D film)あるいは3D映画(スリーディーえいが)とは、3D的に(立体的に)表示される映画である。現在は3D映画の呼称が一般的である。
左眼用と右眼用の映像を同時に撮影したものなどを、スクリーンに映写機で投影し、観客は専用の眼鏡を用いるなどして、左眼に左眼用、右眼に右眼用、それぞれの映像のみを投影して立体視を実現する。立体映画の方式には様々なものが存在する。
専用眼鏡 Stereoscopy などを用いた立体写真は、19世紀前半にはすでにあった。このため、19世紀末に発明された映画においても、映画史のごく初期から立体映画が撮影・上映されてきた[1][2]。1922年にはThe Power of Loveが作られた。
1952年から1954年が「黄金時代」と呼ばれ、実験的な『ブワナの悪魔』や『フェザー河の襲撃』、『ホンドー』、『大アマゾンの半魚人』などが製作された。本格的な劇映画として3Dになったものに1954年のアルフレッド・ヒッチコック監督の『ダイヤルMを廻せ!』がある。「1953年は1953Dの年として記憶されるであろう」というアメリカの宣伝文句があった[3]。1953年に日本で東宝が東宝トートビジョンを使用した立体映画を製作し、アナグリフ方式を用いた2巻10分の作品『私は狙われている』と『飛び出した日曜日』が日本初の作品として公開された[4][5][6]。
東映は1969年から1974年に、東映まんがまつりの作品の一部でアナグリフ方式を用いた作品を複数公開した。これらは作品の一部が立体映像で、登場人物の合図や字幕カットで観客は立体眼鏡をかけ外した。これらの作品は第一次石油危機に伴う物価高騰で製作が中止される1974年まで製作された。
1985年のつくば科学万博の富士通館で公開された『ザ・ユニバース』の立体映像に感激したテレビ朝日編成局編成部副部長の高橋浩は、子供にドラえもんを立体映画で観せることを企図し、藤子・F・不二雄の快諾を得て[7]東宝に配給を相談したが、偏光メガネ方式は映写機に高額なレンズを要して費用が嵩み、立体映画が上映可能な劇場は全国100館程度で、採算が不明と断られた[7]。制作会社のシンエイ動画からアドバイスを得て、アナグリフ方式で映画制作を決定する。映画に必要な1個18円の赤と青の立体メガネに、原作出版社の小学館が児童雑誌の広告を入れた。この時点では『ドラえもん』の立体映画は実現せず、1986年3月15日公開『ドラえもん のび太と鉄人兵団』に併映された、短編映画『オバケのQ太郎 とびだせ! バケバケ大作戦』を立体映画とした[7]。『ドラえもん』の立体映画は2014年に『STAND BY ME ドラえもん』として実現した。
2005年に『チキン・リトル』でデジタル上映による3D映画が初登場し、2009年のジェームズ・キャメロン監督の『アバター』が世界興行収入歴代1位となる26億4000万ドル(約2385億円)を記録し、以降ハリウッドや日本で多数の立体映画が製作される。ヒットシリーズの最新作、リメイク、過去ヒット作品の3D変換版など、3D作品も増加し、立体映画に適するDLPなどデジタルシネマの普及が期待される。
「日経トレンディ」「2010ヒット商品ベスト30」で「3D映画」が2位に選出された。
日本映画の3D作品は、2011年公開作品の殆どで上映スクリーン・興行収入共に2D版が3D版を上回った。ハリウッド作品も3D版は縮小傾向で、2016年11月の『スター・トレック BEYOND』を境に、3D版はIMAX、4D、ドルビーシネマなどのスクリーンに集約して多くは通常スクリーンの2D版である。
現在、映画館で普及している規格は以下の通り。
2009年の『アバター』以降、おもに北米映画市場の商業的成功から、家電メーカーも立体映画の放送・パッケージソフト収録フォーマットの国際規格化を検討する。2009年12月にBlu-ray Disc Association (BDA) は3次元ディスプレイなど立体映像(国際規格)対応のAV機器を商品化するため、ブルーレイディスクに立体映像を収録規格「Blu-ray 3D」を発表する。2010年以降に対応機器やソフトなどが発売されたが普及せずに各社撤退した。
のちにVRグラスなどが注目される。
有害症状に眼精疲労、頭痛、吐き気、試聴後の2重視などが挙げられ、年齢などの個人差、視聴時間、3次元ディスプレイの方式、および立体視ソフトの内容に依存する。日本では電子情報技術産業協会、産業技術総合研究所、3Dコンソーシアムが共同で「3DC安全ガイドライン」と「3D文献抄録集」を作成し、快適3D基盤研究推進委員会がISO(国際標準化機構)へ国際標準として提案を予定する[10]。
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