犬吠埼
千葉県銚子市の太平洋に突出する岬 ウィキペディアから
千葉県銚子市の太平洋に突出する岬 ウィキペディアから
犬吠埼(いぬぼうさき)は、関東平野最東端に位置する千葉県銚子市の太平洋に突出する岬。水郷筑波国定公園に含まれる景勝地。岬には犬吠埼灯台が屹立する。岬一帯の町名にも犬吠埼が使用されている。郵便番号は288-0012[3]。
本項では、犬吠埼を名称に冠した周辺施設についても解説する。
日本三大河川の一つである利根川(一級河川)の河口付近にあり、付近一帯は水郷筑波国定公園に含まれる銚子半島の景勝地である。
犬吠埼の「磯めぐり」は江戸時代には行われていた[5]。風光明媚な海岸線には数々の文人、墨客が訪れ、文豪の地として親しまれ、海岸線沿いは歌碑や詩碑も多い。
日本一早い初日の出スポットとして有名である[注釈 1]。岬周辺の白亜紀の地層は国の天然記念物に指定され、日本の地質百選にも選定されている。
沿岸には遊歩道が設けられており、北側には古くから「関東舞子」と呼び親しまれ、日本の渚百選にも選ばれた君ヶ浜(君ヶ浜しおさい公園)があり、国土地理院では君ヶ浜(東経140度52分21秒)を関東および千葉県の最東端としている。
海の難所として知られ、幕末には榎本武揚の率いる幕府の軍艦美加保丸が、付近の黒生(くろはえ)の岩礁に乗り上げて乗組員13名が亡くなった[6]。
犬吠埼の岬には犬吠埼灯台が太平洋に向かって立つ。日本を代表する灯台の一つで、「世界灯台100選」「日本の灯台50選」にも選ばれている。歴史的文化財的価値が高く、国の登録有形文化財に登録され、海上保安庁により「Aランク保存灯台」ともなっている。2020年度には国の重要文化財に指定された[7][8][9]。灯台の出入口横に灯台の色に合わせた白く塗られた郵便ポスト・丸型1号ポスト(郵便差出箱1号)が設置されていて投函した郵便物には全て犬吠埼をデザインした銚子郵便局の風景印が押される。
犬吠埼という地名には諸説があるが、周辺には源義経の伝説が多く残り、地名も義経の愛犬「若丸」が岬に置き去りにされ、主人を慕う余り、7日7晩鳴き続けたことから名付けられたという説がある[5]。その愛犬はついに岩となったという伝承があるのが外川地区の「犬岩」である[5]。他にはかつて一帯にはアシカ(ニホンアシカ)が繁殖しており(近隣には海鹿島があり、明治時代には200 - 300頭のアシカが生息していたと伝えられる)、その鳴き声が犬に似ていたことから、犬吠埼と名付けられたという説もある。他に、アイヌ語のエンボウ(突出した岬)が変化したものとの説もある。
日本では一般的に岬等の地名の「さき」には「崎」、灯台の名前には「埼」が使われることが多いが、犬吠埼では全国的にも珍しく地名も灯台名も「埼」が使用されている[10]。
太平洋に突出した銚子半島には、中生代(白亜紀)から現代までの様々な地層が姿を見せている。海岸の植物や磯の動植物なども種類は豊かで、分布上も注目されるものが多い。
かつて一帯にはアシカ(ニホンアシカ)が繁殖しており、明治時代には200 - 300頭のアシカが生息していたと伝えられる。
犬吠埼や海鹿島、犬若など古い地層の崖地や岩場では、スカシユリ(ユリ科)やハマヒルガオ(ヒルガオ科)など海岸沿いにしか生息しない特有な崖地植物が集っている日本有数の海岸である[11]。絶滅危惧Ⅱ類 (VU) であるハマサワヒヨドリなど非常に希少価値の高い植物も生息する[12]。犬吠埼灯台下遊歩道、犬吠埼園地周辺に多く生息する。
犬吠埼灯台下遊歩道には崖地植物についての生態展示(名札板設置)がされている。
銚子半島の東海岸の黒生から長崎鼻にかけて、1億3000万年前から1億年前の恐竜時代の地層を見ることができる。
犬吠埼は1億2000万年前の地層であり、海底痕跡を数多くみることができる学術的に貴重な地層となっている。そのため「犬吠埼の白亜紀浅海堆積物」として2002年に国の天然記念物に指定された。また2007年には「日本の地質百選」にも選定されている。一部は遊歩道上から間近に観察することが可能。砂岩泥岩互層の地層が見られる。
風光明媚な海岸線はかつて数々の文人墨客が訪れ、景勝地は「文豪の地」として親しまれた[13]。
日本の俳人、詩人、小説家として有名である、高浜虚子、佐藤春夫、尾張穂草など、海岸沿いには数多くの歌碑、詩碑が立つ。
「犬吠の 今宵の朧 待つとせん」—高浜虚子
「ここに来て をみなにならひ 名も知らぬ草花をつむ みづからの影踏むわれは 仰がねば 燈台の高さを 知らず 波のうねうね ふる里のそれには如かず ただ思ふ 荒磯に生ひて 松のいろ 錆びて 黝きを わが心 錆びて黝きを」—佐藤春夫
「わかれても 故郷の海の あゐいろが 目にあり秋よ さびしくあるかな」—尾張穂草
富士山のような高地や離島を除く日本国内で、元旦の初日の出が一番早く(午前6時46分)拝める場所として知られている。その為、各テレビ局での元旦早朝の初日の出中継では、犬吠埼から生中継を行うことも多い。
国立天文台が「国内の初日の出時刻のランキング」を公開している[14]。高地や離島を除く日本国内中、北海道・本州・四国・九州の平地で一番早いとなっている。
以下初日の出時刻参考。
犬吠埼は水郷筑波国定公園の区域内にあり、地域の自然探勝のため犬吠埼園地が整備されている[15]。周辺にはホテルなどの宿泊施設や土産店などの民間施設がある[15]。また文学散歩(佐藤春夫詩碑、高浜虚子の句碑など)なども楽しめる。
犬吠埼灯台下遊歩道は灯台を一周する磯づたいの遊歩道で、白亜の灯台を中心に砂浜、岩礁、希少な崖地植物、漁港風景を鑑賞できる。
自然公園名 | 水郷筑波国定公園 |
---|---|
施設の種類 | 園地、道路(歩道) |
所在地 | 銚子市犬吠埼 |
面積 | 園地0.39ha、遊歩道延長1.37km |
施設 | 園地、公衆トイレ、遊歩道 |
管理 | 銚子市 |
交通 | 銚子電鉄「犬吠駅」下車徒歩約10分 |
東映の映画のオープニング映像「荒磯に波」は、灯台南側下の岩場にて撮影されたものである。撮影地点は立入禁止であるが、灯台施設外周を周回する遊歩道より撮影された岩を、上方からではあるが安全に眺めることが出来る。
番地 | 小学校 | 中学校 |
---|---|---|
全域 | 銚子市立高神小学校 | 銚子市立第二中学校 |
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.