子(訓: こ、呉音・漢音: し、唐音: す、普通話: ツー・ツ)
以下、読み方によって節を分ける。
こ
- 親に対する子。
- 本人の直系卑属、すなわち実子もしくは養子のこと。主に息子のこと。娘は、子の他に女(おんな)と呼び分けられることも。
- 比喩的な用法。多くは文脈中で「親」の語も併用し、たがいに対置的な概念を表現する。接頭辞的な用例が多い。「子機」・「子プロセス」・「子集合」など。トランプや麻雀などで親以外のプレイヤー。
- 子ども(大人に対する)。やや文語的な表現で、「見知らぬ子」・「子らの遊ぶ声」など。また接尾辞的に「いじめっ子」・「鍵っ子」・「はみだしっ子」など。人間以外の動物では「仔」とも書く。「すずめの子」・「虎の子(比喩表現)」・「鳥の子(卵の意)」・「竹の子(筍)」など。 また接頭辞として、「子猫」・「子牛」・「子だぬき」・「子象」など。
- 卵、または蚕の繭。
- 子 (人名)。主に女性名の末尾に使う。
- 方言または方言的表現で、名詞の後ろにつける接尾辞。「花こ」(はな)・「茶碗こ」(茶碗)・「石こ」(石)など。
ね
- 十二支の子。漢語・漢文等以外では「ね」と読むことが多い。いわゆる生まれ年のほか、方角や時刻にも使われる。本来「ネズミ」の意であることから、日本語では「ね」の音をあてた。
- その後「子」を「ね」と読むことが一般的になり、近代まで、「子」は一種の変体がなとして「ね」・「ネ」と同じように使われた。
- 日本船舶信号法による手旗信号では、ほかの多くの文字形象がカタカナを模して表現されるのに対し、「ネ」に関しては「子」を模した形象で表現される。
通常は漢音で「し」と読む。漢字の部首として子部(部首の第39)。
人物を表す称
- 子 (姓)(中国語版)
- 中国人の字(あざな)に使う文字。「子〜」という形で使う。「子貢」など。
- 「〜子」の形で使うもの
- 子爵 - 五等爵(公侯伯子男)の第4。もとは殷の王子の意味だったが周代に士大夫の号になった。
- 先生(中国では男性に対する尊称:例えば、「子曰わく~」は『論語』で多い文章の始め。)。特に思想家に付けることが多い。老子、孟子、朱子など。
- 一人称に用い、同時に謙譲の意味を[要出典]添える接尾辞。「編集子」など。
名詞接尾辞
中国語では元来ほとんどの語彙が単音節語だったのが、のちに接尾辞・接頭辞が発達した。「子」はもっとも多用される接尾辞のひとつである。日本語に入った経路・時期が複数あったため読み方は多様である。
- シと読むもの…骨子、冊子、獅子、種子、女子、男子、帽子、など
- ス(ズ)と読むもの…杏子、椅子、扇子、様子、柚子、など
- ザと読むもの…餃子
- ツと読むもの…面子
- ジと読むもの…王子
- ゼと読むもの…竹子
- ビと読むもの…茄子
- ベと読むもの…郁子