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不動産の表示に関する登記の専門家・国家資格 ウィキペディアから
土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)とは、不動産の表示に関する登記の専門家のことであり、他人の依頼を受けて、土地や建物の所在・形状・利用状況などを調査・測量して、図面の作成や不動産の表示に関する登記の申請手続などを行う。職務上請求を行うことができる八士業の一つである[2]。
土地家屋調査士 | |
---|---|
英名 | Land and House Investigator |
略称 | 調査士 |
実施国 | 日本 |
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 法律 |
試験形式 | 筆記試験、口述試験 |
認定団体 | 法務省 |
等級・称号 | 土地家屋調査士 |
根拠法令 | 土地家屋調査士法 |
公式サイト |
日本土地家屋調査士会連合会 土地家屋調査士試験 |
ウィキプロジェクト 資格 ウィキポータル 資格 |
土地家屋調査士法を根拠とし、監督官庁は法務省である。土地家屋調査士となる資格を得るには、法務省の職員として登記事務に関わった経験を基に法務大臣の認定を受けるか、法務省が実施する土地家屋調査士試験に合格する必要がある。土地家屋調査士となる資格を有する者が土地家屋調査士となるには、事務所を設けようとする地を管轄する都道府県内に設立された「土地家屋調査士会」へ入会して、日本土地家屋調査士会連合会に備える土地家屋調査士名簿に登録を受けなければならない。なお、日本土地家屋調査士会連合会の登録会員数は16,141名、339法人(令和3年4月1日現在)[3]。
土地家屋調査士は業務独占資格の1つであり、土地家屋調査士会に入会していない土地家屋調査士または土地家屋調査士法人でない者(公共嘱託登記土地家屋調査士協会を除く)が土地家屋調査士の業務を行った場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に、土地家屋調査士または土地家屋調査士法人の名称またはこれと紛らわしい名称を用いた場合、100万円以下の罰金に処せられる。土地家屋調査士の資格を有さない者が、図面(地積測量図、建物図面等)のみ申請適格者から依頼を受け作成をした場合であっても土地家屋調査士法第68条の違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる。これに加え、非資格者は依頼者に対し民事責任をも負うことになる。
表示に関する登記手続は、権利に関する登記手続の前提として、権利の客体を適格に登記簿上に公示することによって国民がもつ権利の明確化に寄与することを目的とした制度であり、これに関与する土地家屋調査士の業務はきわめて公共性の高く、倫理規程にあるとおり公平性、中立性が求められている。
土地家屋調査士法第3条の規定によれば、土地家屋調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする[4]。
通常の土地家屋調査士の業務の他に、民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した土地家屋調査士に限り、弁護士との共同受任を条件として、行うことができる。
「土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争」において、土地家屋調査士が「民間紛争解決手続(ADR)の代理関係業務を行うには、従来の業務以上に高度な倫理意識、専門知識、素養が求められ、「信頼性の高い能力担保」を講じることが代理権付与の条件であり、この点は、全ての土地家屋調査士に認められている筆界特定の代理権と大きく相違するところである。
筆界特定制度(ひっかいとくていせいど)とは、土地の一筆ごとの境界(筆界:ひっかい)を決定するための行政制度のことである。
筆界特定登記官が土地の所有権の登記名義人等の申請により、申請人・関係人等に意見および資料を提出する機会を与えた上、外部専門家である筆界調査委員(法務局長から任命された土地家屋調査士・弁護士・司法書士で構成される。業務期間中は非常勤の国家公務員)の意見を踏まえ、筆界の現地における位置を筆界特定登記官が特定する不動産登記法上の制度である。
土地家屋調査士の業務について「登記申請書に添付を必要とする書類もしくは上記書類の交付請求書(例えば租税、公課等の証明願、戸籍および住民票の謄抄本交付請求書等)の作成も当然土地家屋調査士の業務の範囲に属する」(昭和51年4月7日法務省民三第2492号法務省民事局長回答)との行政先例があり、土地家屋調査士は各種の業務を行うことができる。戸籍法においては、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる、と規定している(戸籍法第10条の2)。住民基本台帳法にも、職務上の請求を認める規定が置かれている(住民基本台帳法第12条の3)。
土地家屋調査士法人は、土地家屋調査士法によって定められた、土地家屋調査士のみを社員とする法人をいう(同法28条)[4]。
土地家屋調査士法第26条によれば、土地家屋調査士法人は、土地家屋調査士の業務を行うことを目的として、土地家屋調査士が共同して設立した法人のことを指す[4]。また、同法第27条によれば、土地家屋調査士法人は、その名称中に土地家屋調査士法人という文字を使用しなければならない[4]。
土地家屋調査士の資格を得るための主な方法は、法務省が実施する土地家屋調査士試験に合格することである。
筆記試験は10月第3週目の日曜日、口述試験は翌年1月第3週目に筆記試験(午前試験、午後試験)の合格者に対して各法務局管轄の受験地で行われる。
筆記試験には通常の電卓だけではなく、文字入力やプログラム機能がないなどの条件を満たせば関数電卓の持ち込みも可能である[6]。また作図があるため、1/250や1/500の目盛りがある三角定規や三角スケール、全円分度器、コンパスなどの持ち込みも許可されている[7]。
制限なし。筆記試験(午前試験と午後試験)と口述試験からなる。ただし、午前試験は測量士・測量士補、一級建築士・二級建築士の有資格者は免除される。
口述試験は、筆記試験合格者のみに実施される。
不動産の表示に関する登記につき必要と認められる事項
午前の部は、多肢択一式10問、記述式1問を2時間で解答する。
午後の部は、多肢択一式20問、記述式2問を2時間30分で解答する。
実施年度 | 出願者数(A) | 受験者数(B) | 合格者数(C) | 合格率(C/A) | 合格率(C/B) |
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1989年(平成元年) | 14,300人 | 非公表 | 457人 | 3.20% | - |
1990年(平成2年) | 13,459人 | 非公表 | 451人 | 3.35% | - |
1991年(平成3年) | 12,536人 | 非公表 | 440人 | 3.51% | - |
1992年(平成4年) | 11,958人 | 非公表 | 430人 | 3.60% | - |
1993年(平成5年) | 11,892人 | 非公表 | 442人 | 3.72% | - |
1994年(平成6年) | 12,194人 | 非公表 | 499人 | 4.09% | - |
1995年(平成7年) | 11,478人 | 非公表 | 554人 | 4.83% | - |
1996年(平成8年) | 10,606人 | 非公表 | 583人 | 5.50% | - |
1997年(平成9年) | 10,703人 | 非公表 | 600人 | 5.61% | - |
1998年(平成10年) | 11,103人 | 非公表 | 616人 | 5.55% | - |
1999年(平成11年) | 10,804人 | 非公表 | 611人 | 5.66% | - |
2000年(平成12年) | 10,665人 | 非公表 | 604人 | 5.66% | - |
2001年(平成13年) | 9,719人 | 非公表 | 618人 | 6.36% | - |
2002年(平成14年) | 9,641人 | 非公表 | 610人 | 6.33% | - |
2003年(平成15年) | 9,354人 | 非公表 | 591人 | 6.32% | - |
2004年(平成16年) | 8,875人 | 非公表 | 566人 | 6.38% | - |
2005年(平成17年) | 8,307人 | 非公表 | 527人 | 6.34% | - |
2006年(平成18年) | 7,932人 | 6,523人 | 520人 | - | 7.97% |
2007年(平成19年) | 7,540人 | 6,250人 | 503人 | - | 8.05% |
2008年(平成20年) | 7,270人 | 6,074人 | 488人 | - | 8.03% |
2009年(平成21年) | 7,234人 | 6,026人 | 486人 | - | 8.07% |
2010年(平成22年) | 6,739人 | 5,643人 | 471人 | - | 8.35% |
2011年(平成23年) | 6,310人 | 5,056人 | 390人 | - | 7.71% |
2012年(平成24年) | 6,136人 | 4,986人 | 418人 | - | 8.38% |
2013年(平成25年) | 6,017人 | 4,700人 | 412人 | - | 8.76% |
2014年(平成26年) | 5,754人 | 4,617人 | 407人 | - | 8.81% |
2015年(平成27年) | 5,659人 | 4,568人 | 403人 | - | 8.82% |
2016年(平成28年) | 5,658人 | 4,506人 | 402人 | - | 8.92% |
2017年(平成29年) | 5,837人 | 4,600人 | 400人 | - | 8.69% |
2018年(平成30年) | 5,411人 | 4,380人 | 418人 | - | 9.54% |
2019年(令和元年) | 5,270人 | 4,190人 | 406人 | - | 9.68% |
2020年(令和2年) | 4,646人 | 3,785人 | 392人 | 10.35% | |
2021年(令和3年) | 4,733人 | 3,859人 | 404人 | - | 10.46% |
2022年(令和4年) | 5,400人 | 4,404人 | 424人 | - | 9.62% |
2023年(令和5年) | 5,417人 | 4,429人 | 428人 | - | 9.66%[8] |
1998年(平成10年)度以降、出願者数は年々減少しているが、合格率についてはほぼ一定水準が保たれている。2005年(平成17年)度までは受験者数が公表されていなかったため、2005年(平成17年)度以前の合格率は(合格者数 / 出願者数)で表される。なお、この表において受験者数とは、午前の部の試験を免除された者で午後の部を受験した者、又は午前の部及び午後の部の双方を受験した者の数である。
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
多忙と称し、自身が受任した境界立ち会い等に補助者を派遣して自身は臨検しない調査士が散見され、しばしば懲戒処分の対象となっている[9][10]。
日本土地家屋調査士会連合会は、2011年(平成23年)6月22日に、7月31日を土地家屋調査士の日と制定した。これは土地家屋調査士法が、1950年(昭和25年)7月31日、第8回臨時国会において可決成立し、同日付けで施行されたことによる。
以前は各法務局長にあったが、令和2年8月1日より法務大臣に改正された[11]。
連合会は2年に1度のペースで「土地家屋調査士白書」を刊行している[12]。
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