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火山からマグマや火山灰などが比較的急速に地表や水中に噴き出すこと ウィキペディアから
噴火(ふんか、英: eruption)とは、火山からマグマや火山灰などが比較的急速[1]に地表や水中に噴き出すことである。
火山活動(かざんかつどう、英: volcanic activity)の一つで、マグマの性質によって、規模や様式に様々なものがある。
気象庁では、火口から固形物が水平あるいは垂直距離でおよそ100 - 300mの範囲を越したものを「噴火」として記録することになっている[2]。
噴火は、様々な条件下で種々の様式をとる。
火山学者は、これを、代表的なタイプに分類し、命名している。
様式名 | 英名 | イメージ | 激しさ | 噴煙頂部の高さ | 時間スケール | 主な噴出物 | 主な形成される地形[注 1] | 主な岩石[注 2] | 備考 |
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水蒸気噴火 | phreatic eruption | 爆発的 | 10km以下程度 | 数時間~1日 | 水蒸気・水・火口周辺の固形物 | マール | - | 火山活動によって熱せられた地下水や水蒸気が、地表の固形物を吹き飛ばして急激に放出され、本質物を含まないイベントを水蒸気噴火・或いは水蒸気爆発という。しばしば火口噴出型のラハールを伴う。 | |
マグマ水蒸気噴火 | phreatomagmatic eruption | 爆発的 | 数km~10km以上 | 数時間~数日 | 水蒸気・火口周辺の固形物・火山豆石・ベースサージ | マール・タフリング | 玄武岩~流紋岩 | 火山活動によって熱せられた地下水や水蒸気が、地表の固形物を吹き飛ばして急激に放出され、本質物をある程度含むイベントをマグマ水蒸気噴火・或いはマグマ水蒸気爆発という。ウルトラブルカノ式噴火(英: Ultravulcanian)、スルツェイ式噴火(英: a Surtseyan)とも呼ばれ、特に大規模なものは水蒸気プリニー式噴火(英: Phreatoplinian)と呼ばれる。 | |
ハワイ式噴火 | a Hawaiian | 非爆発的 | - | ~数十年 | 溶岩流 | スパター丘・溶岩流 | 玄武岩 | 苦鉄質マグマで堆積物が溶岩流主体のものを指す。火口が点状ではなく、線状なものは割れ目噴火(英: fissure eruption)と呼ばれる。複成火山の場合は楯状火山を形成する。噴出量・噴出率が極めて大きいイベントは洪水玄武岩と言われる。 | |
溶岩ドーム | lava dome | 非爆発的 | - | ~数年 | 溶岩ドーム・火砕流 | 溶岩ドーム | 流紋岩・デイサイト | 珪長質マグマがゆっくりと噴出・火口上に蓄積しドーム状に成長したもの。しばしば一部或いは全部が崩壊してblock-and-ash flowタイプの火砕流が発生する。頂部が平坦なものは溶岩平頂丘と言われる。 | |
ストロンボリ式噴火 | a Strombolian | 爆発的 非爆発的 | 数十~数百m 数千m以下 | 数秒 断続的 | スパター スコリア・溶岩流 | スコリア丘 | 玄武岩 安山岩 | 狭義では、苦鉄質マグマの火山で赤熱溶岩片が火口から瞬間的かつ周期的に放出にされ、火山灰はほとんど伴わない噴火を指す。広義では、噴煙の高さが1000m程度以下でスコリアや溶岩流を主体としてスコリア丘を形成するような噴火を指す。 | |
ブルカノ式噴火 | a Vulcanian | 爆発的 | 10km以下 | 数秒~数分 | 火山砕屑物 | 火砕丘・降下火砕物 | 安山岩 | 噴煙を形成するよう爆発的な噴火が瞬間的に、一定の間隔で発生する。 | |
準プリニー式噴火 | Subplinian | 爆発的 | 10km以下 | 数時間~数日 | 火山砕屑物 | 火砕丘・降下火砕物 | 安山岩・デイサイト | 連続的で爆発的な噴火が数時間~数日継続する噴火。噴煙は成層圏には達せず、プリニー式噴火と比べると噴出率は低い。ベスビオ式火山(英: a Vesuvian)とも呼ばれる。 | |
プリニー式噴火 | Plinian | 爆発的 | 10km以上 | 数時間~数日 | 火山砕屑物 | 降下火砕物・火砕流台地 | 流紋岩・デイサイト | 連続的で噴煙が成層圏に到達するような爆発的な噴火が数時間~数日継続する噴火。しばしば噴煙柱崩壊型の火砕流が発生する。プリニー式の中でも特に大規模(噴出率が高い)なものは、超プリニー式噴火(英: ultraplinian)、破局噴火(英: super-eruption)などともいわれる。 |
マグマ(本質物質)が地表に噴出しない噴火。
マグマと大量の水蒸気が地表に噴出する噴火。
火山の噴火の様式は、マグマの流動性と噴火時の揮発性成分の量とに依存して、大きく異なるものとなる。特に、揮発性成分の量はマグマの爆発性を左右し、揮発性成分が多いほど、火山灰や溶岩を高く吹き上げる大きな爆発となる。
なお、1回の噴火は、短時間で終わる場合もあれば、数か月以上続く場合もある。特に、長期間の噴火においては、噴火様式が時間の経過につれて変化することがある。例えば、始めのうちは揮発性成分が多く、溶岩や火山灰を高く吹き上げていても、途中から揮発性成分が減り、火山灰を吹き上げることができなくなることがある。そして、噴火の後半には、揮発性成分が抜けてしまい、溶岩を流出させて噴火が終了する。このような時系列での変化の事例として、浅間山の天明の大噴火の例を示す。
成分の影響以外に、噴出物の量や噴出速度などによって、噴火様式や被害の大きさが激しく異なる。噴出量が大きい極端なものを2例挙げる。
火山は噴出する場所、特に水の存在によって噴火の様式が大きく変わる。
爆発の規模を表す指標として、火山爆発指数(VEI)が国際的に使用されている。大規模な火山噴火を指して大噴火(だいふんか)と呼ぶことがあるが、火山学においては「東京ドーム約250杯分以上(約3億m3以上)の噴出物を出す噴火(概ねVEI2以上)」が大噴火であると定義されている[8]。
火山爆発指数は噴出物の量に基づいて区分され、エネルギー量を表していないため、日本の火山学者である早川由紀夫(1993)[9]は、噴火マグニチュードを提案している。
但し、「m=噴出物の質量 (kg)」とし、水蒸気爆発の場合は既存岩体を含んだ噴出物量とする。また、岩屑なだれ等の崩壊堆積物の体積は含まない。
客観性を保つ為の条件として、
噴火によってもたらされる噴出堆積物には、元のマグマのもの(本質物質)と噴火で破壊された火山の山体や基岩由来のもの(類質物質)があるが、それぞれの厳密な量を求めることは難しい。
そのため、マグマ由来の本質物質で構成されているものと近似して換算算出したものを「マグマ噴出量」と呼んでいる。単位には km3 に DRE : Dense Rock Equivalent が付加表記される。つまり、全ての噴出物を溶岩と同じ比重にした場合の相当体積を表す指標である。
本質物質においても、火砕流や火山灰(降下火砕物)などのイベントの違いで、噴出堆積物は比重が異なり、マグマがおよそ2.5g/cm3であるのに対し、火砕流や火山灰での堆積物はおよそ1.0g/cm3とされている[10]。つまり、DREで表された噴出量よりも、火砕流や火山灰での堆積物はさらに多くなる[注 3]。
この節のほとんどまたは全てが唯一の出典にのみ基づいています。 (2016年1月) |
火山灰とは、噴火に伴って生じる火山岩が直径2mm以下に砕けたものを指す[11]。
火山灰の主な発生原因としては
などがある。
火山灰の色・大きさなどの外見は火山および噴火の種類で異なり、色は明るい灰色から黒色まで、大きさも小石サイズから化粧用パウダーなどの細かい粒子までと千差万別である[11]。
空中を浮遊する火山灰は太陽光を遮り視界を悪化させるほか、細かい粒子同士の衝突・摩擦により電気を帯び、雷や稲妻を発生させる原因ともなる[11]。また、微粒子サイズの火山灰は大規模な噴煙と共に風の影響を受けて風下へ流される場合もある[11]。生成直後の火山灰は酸性皮膜に覆われており、これは人体が吸引するなどすると肺や目に対して刺激的な弊害を与え、健康被害の原因となるほか、降り積もれば周辺地域の水質に悪影響を与える場合があり、同時に植物への悪影響、農作物不作の原因ともなる[11]。この皮膜は降雨によってすぐに取り除かれる[11]。
大量に降り積もった火山灰は火山地域でそれまでの土壌と混じり合い、肥沃な表土層となる[11]。多くの火山地域周辺に肥沃な土壌が多いのは、古い火山灰堆積物の地層が存在することが要因となっている[11]。
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