セパン・インターナショナル・サーキット
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セパン・インターナショナル・サーキット (Sepang International Circuit, SIC) は、マレーシアの首都クアラルンプールの郊外セランゴール州セパンにあるサーキット。
2023年より国営企業ペトロナスと3年間のネーミングライツ契約を交わし、正式名称は「ペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキット」となった[1]。
概要
マレーシアの首相であったマハティール・ビン・モハマドによる近代化政策の一環として建設された。設計はヘルマン・ティルケが担当した。ロードレース世界選手権マレーシアGPが行われている。1999年から2017年までF1世界選手権マレーシアGPが開催されていた。F1マレーシアGPは、当初シーズン終盤に行われていたが、2001年以降はシーズン序盤のフライアウェイで開催されることが定着していた。2016年は再び秋開催となったが、2017年シーズン限りでF1レースの開催は終了した。
全日本GT選手権(2005年以降はSUPER GT)も2000年から2013年まで開催されていた[注 1]が、2014年からは開催日程から外れ、[2]SUPER GTとしてのマレーシア開催は一旦終了した。
2019年12月、FIM世界耐久選手権(セパン8時間耐久)とWTCR(FIA世界ツーリングカー・カップ)最終戦が併催イベントとして行われる。プロモーターによるとFIAとFIMのタイトルイベントを一度に開催するのは史上初である[3][4]。
またGTAは、2018年SUPER GT最終戦での会見にて2020年からマレーシア・セパン大会を復帰開催することで現地プロモーターと合意・調印した。契約は3年間、SUPER GT初のナイトレースで行われる予定[5]だったが、新型コロナウイルスの影響で、この間の開催は全て中止。2024年も開催日程から外れた。2024年に改めて調印し、2025年のSUPER GTより本コースの使用が再開される予定。
特徴
ほぼ赤道に直下に位置するサーキットであるため年間を通じて高温多湿であり、選手は体力的に厳しいレースを強いられる。また、熱帯特有の雨、スコールがレースに影響することも多い。2009年のF1ではレインタイヤ(荒天用タイヤ)を履いていてもセーフティカーのペースについて行けずにスピンするマシンが続出するほどのスコールに見舞われ、赤旗中断後にレースキャンセル。レース周回数の75%未満であったため、F1史上5回目、1991年オーストラリアGP以来18年ぶりとなるハーフポイントレースとなった。
SUPER GTは毎年6月開催ということで特に暑さにドライバーが苦しみ、毎年のようにクールスーツが故障し熱中症等の症状に陥るドライバーが現れる。そのため2009年には日産・GT-Rが、暑さ対策としてレーシングカーとしては極めて異例のエアコン搭載でレースに参戦したほどである。
ホームストレートとバックストレートの間に挟まれたグランドスタンドは、「バナナの葉」をイメージした屋根で覆われている。最終コーナー(ヘアピン)のスタンドは、マレーシアの国花である「ハイビスカスの花」をイメージした巨大な傘で覆われている。
コースレイアウト
最終コーナーは左ターン、1コーナーは右ターンのため、ストレートエンドでイン側からアウト側へライン変更が行われる。そのため、イン側の偶数グリッド上にタイヤのラバーが乗りやすい。さらにコントロールラインから1コーナーまでの距離も非常に長いため、偶数グリッドの方がスタンディングスタートでは有利であると言われる。2011年のF1ではこの事も考慮され、イン側が奇数グリッドとなっていた。
1コーナーのパンクーラウトシケインは右に大きく回り込んで左に切り返すコーナー。1コーナーでインに飛び込んでも次の切り返しでアウトに変わるため、激しいバトルが行われる。高速の3コーナーを抜けて右の4コーナーもオーバーテイクポイントである。
高速S字を通過し、鈴鹿サーキットのデグナーのような直線付き複合コーナーを抜けて短い直線へ。ヘアピンの先は中速コーナーが連続し、13・14コーナーはアウト側に荷重を残しながら旋回するため、アンダーステアが生じやすい。
14コーナーの脱出でスピードを乗せると、バックストレートでオーバーテイクのチャンスがある。最終コーナーのヘアピンは2016年の改修工事でイン側が1m高い逆バンク形状となり、ライン取りが難しくなった[6] 。ブレーキングで無理をするとラインが外へ膨らんでしまい、立ち上がりでクロスラインで抜き返されることがある。
データ
- 最低幅員:16m
- 最長ストレート:927.543m(ホームストレート)
- F1初開催:1999年第15戦マレーシアGP(優勝:エディ・アーバイン、フェラーリ)
- サーキット公認ラップレコード(F1): 1:34.080(セバスチャン・ベッテル、フェラーリ、2017年)[7]
- サーキット公認ラップレコード(MotoGP): 2:02.108(ケーシー・ストーナー、ドゥカティ、2009年)[7]
F1GPの結果
年 | 決勝日 | ラウンド | 勝者 | 所属チーム | 結果 |
---|---|---|---|---|---|
1999 | 10月17日 | 15 | エディ・アーバイン | フェラーリ | 詳細 |
2000 | 10月22日 | 17 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 詳細 |
2001 | 3月18日 | 2 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 詳細 |
2002 | 3月17日 | 2 | ラルフ・シューマッハ | ウィリアムズ | 詳細 |
2003 | 3月23日 | 2 | キミ・ライコネン | マクラーレン | 詳細 |
2004 | 3月21日 | 2 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 詳細 |
2005 | 3月20日 | 2 | フェルナンド・アロンソ | ルノー | 詳細 |
2006 | 3月19日 | 2 | ジャンカルロ・フィジケラ | ルノー | 詳細 |
2007 | 4月8日 | 2 | フェルナンド・アロンソ | マクラーレン | 詳細 |
2008 | 3月23日 | 2 | キミ・ライコネン | フェラーリ | 詳細 |
2009 | 4月5日 | 2 | ジェンソン・バトン | ブラウン | 詳細 |
2010 | 4月4日 | 3 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル | 詳細 |
2011 | 4月10日 | 2 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル | 詳細 |
2012 | 3月25日 | 2 | フェルナンド・アロンソ | フェラーリ | 詳細 |
2013 | 3月24日 | 2 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル | 詳細 |
2014 | 3月30日 | 2 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 詳細 |
2015 | 3月29日 | 2 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 詳細 |
2016 | 10月2日 | 16 | ダニエル・リカルド | レッドブル | 詳細 |
2017 | 10月1日 | 15 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | 詳細 |
その他
- マレーシアの国産車プロトンの歴史、マレーシアにおけるモータースポーツの歴史などを展示・紹介した自動車博物館を併設している。
- メインサーキットの周辺にゴーカートサーキットと、モトクロスサーキットを併設している。
- サーキット敷地内に、レーシングチーム用の事務所付きメンテナンスエリアと資材置き場、駐車場などが完備されている。
- マレーシア国籍のF1チームであるケータハムが、サーキット周辺にファクトリーを建設して移転する構想があったが[8]、同チームの経営破綻により計画は白紙となった。
- ロードレース世界選手権 (MotoGP) のセパン・レーシング・チーム (SRT) を所有し、ヤマハのサテライトチーム「ペトロナス・ヤマハSRT」としてMotoGPクラスに参戦。2020年にはシーズン6勝を挙げ、チームランキング2位を獲得した。しかし、ペトロナスのスポンサー終了により2021年限りで撤退し、後継のRNFレーシングに活動が引き継がれた。
アクセス
飛行機
- クアラルンプール国際空港(KLIA)からタクシーで約15分
鉄道
- KLIAエクスプレスのクアラルンプール国際空港(KLIA)駅からタクシーで約15分
- マレー鉄道(KTMコミューター)のニライ駅などからバス、タクシーを利用
自動車
- クアラルンプール市内中心部より自動車、タクシーで約45分-60分
F1マレーシアGP開催中は、KLセントラル、ブキッ・ビンタン、KLCCなどからサーキット行きのバス便(SKY BUS)も運行されていた。
関連項目
脚注
外部リンク
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