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日本ファルコムのアクションRPG ウィキペディアから
『ザナドゥ』 (XANADU -Dragon Slayer II-) は、1985年に日本ファルコムが発売したアクションロールプレイングゲーム。木屋善夫プロデュース『ドラゴンスレイヤーシリーズ』の第2作目であり、8ビットパソコン向けに数多く発売された。
ジャンル | アクションロールプレイングゲーム |
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対応機種 |
X1 PC-8801 PC-8801mkIISR以降 PC-8001mkIISR PC-9801 FM-7/77 MSX2 MSX Windows KDDI・BREWアプリ携帯 |
開発元 |
日本ファルコム アンバランス(Windows:1998年版) ボーステック(BREW携帯:2006年版) |
発売元 |
日本ファルコム ソニー(MSX2) |
プロデューサー | 加藤正幸 |
プログラマー | 木屋善夫 |
音楽 | 高橋俊弥 |
美術 | 山根ともお |
人数 | 1人 |
メディア |
[X1] 5'FD/TAPE |
発売日 |
[X1] 1985年11月3日 [PC-8001] 1985年11月21日 [PC-8801] 1985年11月21日 [PC-9801] 1985年11月21日 [FM-7/77] 1986年1月7日 [MSX2] 1987年2月21日 [MSX] 1987年11月6日 [Win(アンバランス)]1998年12月4日 [Win] 2002年8月30日 |
対象年齢 | 全年齢 |
売上本数 | 約40万本(流通出荷調べ) |
日本国内のパソコンゲームとして約40万本の売り上げ本数を記録し、発売から30年が経過した2015年時点でもこれを超える記録は国内PCゲームでは無いとされる。[2][3][4]
翌年の1986年に本作品とシステムを共用する直接の続編(もしくは追加シナリオ)としてザナドゥ・シナリオIIがリリースされた。本項ではシナリオII、その後発売された移植版、リメイク版、派生作品についても解説する。
自由落下が表現されたサイドビューマップ上での、ブロック単位移動を基調とする。敵キャラクターとのシンボルエンカウントによって戦闘画面に切り替わり、トップビューのドット単位移動によるアクションゲームを行なう。戦闘を繰り返すことによる経験値の蓄積によって主人公がレベルアップし、入手する多数の武具・防具およびアイテムを活用しつつ、最終ボスのキングドラゴン「ガルシス」の討伐を目指す。
プレイヤーキャラクターのステータスは、画面右側に表示される。通常の移動・戦闘画面では以下が表示される。
ステータス詳細表示では、以下が表示される。
ゲーム空間であり通常の移動領域のことを、キャラクターレベルと同じく「レベル(LEVEL)」と呼ぶ。各レベルには独立したダンジョンである塔が複数存在する。塔の内部は正方形の小部屋が連結された構造で、小部屋毎に固定画面の切り替えで移動が行われる。塔内部の広さは数部屋しかない狭いものから、マッピングなしでは迷うほどに広いものまで様々である。サイドビュー移動時の外観で広さの見当が付く場合もある。
通常の塔は個別に完結した構造としてデザインされているが、ひとつのレベル内の塔はプログラム的に連結構造として処理されている。このため、ある塔に入って別の塔から外に出ることも可能である。これは通常の徒歩移動以外にも、アイテム利用によって壁を通過するなどして意図的に行うことも可能である。1つのレベルにおいて最大で16×4の連結構造であることが、複数の資料で確認されている。
塔の中には「どの部屋ともつながっていない隠し部屋」が存在する場合があり、これを発見するためには塔の内部をマッピングする必要がある。このような隠し部屋には強力な武器・防具などが置かれていることがあるほか、重要なアイテムを守るデカキャラがいる場合もあり、隠し部屋の発見はゲームの進行上の重要な要素となっている。
武具・防具・アイテムには、個別に熟練度というパラメータが設定されている。例えば武器であれば、高価な武器でも熟練度が低いと、安物だが熟練度の高い武器より弱いということになり、敵に与えるダメージが小さくなる。
熟練度は以下の方法で増加させることが可能であり、一度増加すれば減少しない。
熟練度が上昇すると、以下の効果が得られる。
本作における敵およびアイテムの数は有限であり、戦闘などにおける乱数要素も極力排されている。プレイヤーはアイテムの利用方法を常に取捨選択しなければならず、ゲームデザイン用語としてのリソース管理やトレードオフの概念が、必然的にプレイヤーにも適用される。
このように多数の要素の管理能力がゲームクリアの瞬間まで問われる。一般的なコンピュータRPGの解法としての繰り返し型攻略や、アイテム蓄積によるパワープレイが強く制限されるため、詰将棋やパズルゲームと似た難易さが生じている。反面、要素を数理的に捉え管理することで、ザナドゥをシミュレーションゲームとして遊ぶ方法論も提示されている(「ザナドゥ・データブック」)。
続編であるシナリオIIでは、これらの有限要素が緩和されたものの、後述の新たな制限が導入されている。
ザナドゥ独特の概念としてカルマがある。カルマが1以上あると寺院に入ることができずキャラクターのレベルアップが不可能になるほか、最終面の塔にも入れなくなるためゲームクリアが困難あるいは不可能となる。
カルマは「本来倒すべきではない敵」を倒してしまった場合に増加する。また、本作ではセーブ時にGoldを消費するが、十分な金額を持っていない時にセーブしても増加する。ただし、レベル間の移動時やボスキャラ挑戦時などで行われる自動セーブはGold消費・カルマ増加の対象外となるため、多くのプレイヤーが事実上のセーブポイントとして利用した。また、セーブしてすぐにリセットして再起動すると、Goldを減らさずにセーブができる裏技も存在した。
カルマはブラックポーション(HPを半減させる毒)を取ることで5ずつ下げることができるが、ブラックポーションの数にも限りがあるため、カルマが極端に高くなると0に戻すことが困難になる。
モンスターのうち、塔の深部に配置されたボスキャラクターは通常のモンスター3×3体分の大きさで描画され、視覚的に巨大な印象を受ける。「デカキャラ」などと称されたこれらは当時においては斬新な表現であり、セールスポイントのひとつとして広く喧伝された。
ザナドゥのタイトル・ロゴ案のひとつに『ゼビウス』のタイトル・ロゴ風のものが存在しており、こちらの「アンドアジェネシス」は巨大キャラクターの表現として先駆的なものである。
こうしたシステマティックな構造がもたらす特異な難易度を兼ね備えた「硬派な」本作品が商業的に成功した一方で、日本ファルコムはゲームはやさしさの時代へをキャッチコピーとした『イースシリーズ』に着手。以降も硬軟のバランスを模索した作品を多数リリースし、国内コンピュータゲーム市場における主導的な地位を確立した。
発売日は最も早い。ザナドゥの開発はX1turbo上で行われ[5]、これをオリジナルとして各機種への移植が行われた。既にフロッピーディスクドライブ(FDD)が普及しており、ザナドゥの媒体はフロッピーディスク(FD)2枚組であった。BGMはシナリオ1,2ともPSG。
ショップのグラフィックは初期がウルティマIIIの説明書のものに酷似していたので、各機種で後期発売分からより写実的なものに差し替えられている。
要望が多かったため、X1版にはFD媒体の他にカセットテープ媒体も用意された。X1のデータレコーダは他機種に比べ読み取り速度性能が2 - 3倍で、コンピュータ側からデータレコーダの動作を制御して擬似ランダムアクセスが可能だった。しかしそれでもFDと比較した読み書き速度は非常に遅く、ユーザーテープ(FD版で言うユーザーディスク)の作成・ロード・セーブに各約40分を要した。また、装備を変えるだけでもキャラクターグラフィックを読みに行くなど、プレイには相当の忍耐力を要した。しかし、グラフィックがやや簡略化されている以外はディスク版と完全に同じ内容であり、カセットテープ媒体のソフトウェアとしては最高峰の作品であった。テープ版は全機種共通のマニュアルの他にテープ版用の補足説明書が付属する。
シナリオ1,2ともソフトベンダーTAKERUで最後まで販売されていた。
PC-8801版(以下88無印版)とPC-8801mkII SR以降版(以下88SR版)が別パッケージで発売された。両者の違いは主にサウンドであり、88無印版ではBEEP音のみでBGMが演奏され、FM音源を増設していても対応しない。88SR版ではFM音源でBGMが演奏される。
エンブレムのデザインと7面は、当時の社長の加藤正幸による[6]。
雑誌の記事などはほとんどが88版をベースに紹介していた。CPUクロック4MHzのみ対応。DS ][-MASTER など裏ネームは88版しか使えなかった。
88SR版はソフトベンダーTAKERUで最後まで販売されていた。
後述するザナドゥ30周年記念版「ザナドゥ コンプリートコレクション」には、88SR版が収録されている。
88SR版をベースに作成されている。80SRと88SRはハード的な違いがほとんど無いため移植と言うよりはコンバートに近く、木屋が休日に出社して1日で移植したという逸話が残っている[7]。終了認定証も88版と同じ扱いで番号が発行された。
BGMはFM音源ボードに対応しているが、PSGはマシン内蔵のほうのみを使用している。カリスマがある値以上だと隠しショップの売買で儲けることが可能で、ゲーム内で貴重なアイテムを序盤から揃えることができた。またハードウェア上の制約から、移動キーを押すと離してもその方向に進み続けるが、他の機種では難易度の高い2段ジャンプが容易にできるという利点もあった。
FM-7版は他の機種とCPUが異なり開発環境が整っていないという理由で移植が後回しにされた経緯がある[8]。
ゲーム内のウェイトを変えることができるコマンド(CTRL+W。他機種でも存在)があったが、CPUクロックに応じたウェイト調節が無くCPU速度が速いほど動作や音楽のテンポが速くなり、プログラム技術的に未熟な作りだった。FM音源にも未対応で、BGMはBEEP音で演奏される。
シナリオIIではFM音源に対応しクロック周波数に応じてウェイトもかかるようになった。ただし戦闘時はウェイトが外れてしまうので、普段は問題無くとも事実上のCPUモードLow専用になる。
シナリオIの2DD版のみソフトベンダーTAKERUで最後まで販売されていたが、末期の値下げから外されていたので割高だった。
ソニーよりMSX用外付けFDDユニットHBD-20Wの発売に合わせてリリースされた。グラフィックを含め他機種版に忠実な移植であるが、ハードウェア性能差により横の解像度が半減され、タイリングによる中間色表示がアナログパレットに置き換えられた。一画面に表示できる情報量が減ったことから画面レイアウトも変更され、武器・防具・アイテムの名称がほぼ全て簡略化されているなどの相違点がある。タイルマップのプレイ画面はSCREEN 4が使用されキャラクターはスプライトで描画される。ショップなどのグラフィック表示中はSCREEN 5に切り替わる。全機種共通のマニュアルに加えてMSX2版用の補足説明書が付属する。
1ドライブのMSX2でプレイする場合はCtrlキーを押しながら起動すると1ドライブモードになる。この場合はセーブポイント毎にユーザーディスクとの入れ替えが発生する。ディスクアクセスの遅さや、音楽が負荷に応じて遅くなるなどの技術的な問題も存在した。
MSX・FAN 1994年12月号のスーパー付録ディスクに付録として収録された。創刊当時に作られた詳細なダンジョンのマップも縮小されて同誌に掲載されていた。
最後発の移植であり、媒体はROMカートリッジ (2Mbit-ROM)。ROMカートリッジ内の内蔵SRAMの他に、データレコーダへのセーブが可能。
MSXの全機種で動作し、全体的に処理速度が速く動作も安定している。システム面も武器・防具・アイテムの所持数・経験値が他機種版(MSX2版を含む)と比較して容易に確認できるようになり、戦闘シーン・対ボス戦を含め操作性が飛躍的に改良されている。また、パッケージはイラスト(後述)が描かれた物となっている。
単一BGMのみの他機種版とは異なり、複数のBGMがPSGで奏でられる。この曲は「ファルコム・スペシャルBOX'91」のDISC3にも収録された。なお、作曲は石川三恵子による。
その他、下記の追加要素・変更点がある。
正式タイトルは『ザナドゥ シナリオII The Resurrection of Dragon』(ドラゴンの復活)。シナリオIの翌年、1986年10月1日に発売された(発売されなかった機種もある)。拡張シナリオという形での提供だが、ザナドゥの事実上の続編であり、アイテムやショップ、地形構成に至るまでゲーム内容の大幅な改修が行なわれている。なお『ザナドゥ』の続編ではあるが、ドラゴンスレイヤーシリーズの本編3作目という扱いではなく、その立ち位置は同時期の『ロマンシア』が受け継いでいる。
前作で勇者に倒されたはずのキングドラゴン・ガルシスであったが、地下迷宮ではふたたびモンスターたちが勢力を盛り返してきており、ガルシスが復活したとの噂が立ち始めた。王は勇者達にその調査と、魔物達の殲滅を命じた…といったストーリーである[11]。
キャラクターの作成はオリジナルの「ザナドゥ」のディスクを用いて、トレーニンググラウンドで行なわれる。[12]。これにより、事前にザナドゥを持っていないとシナリオIIはプレイできないということになる。
ゲーム開始直後にダメージを受ける地形がある[13]、ケイブをくぐっても従来通り+1 / -1のレベルに移動するとは限らない[14]、さらにマップや謎解きも複雑であるなど難易度は向上している[15]。
モンスターの多くが入れ替えられ、アイテムも一部入れ替えが行なわれている[16]。そのほか、塔内のマップ構造が、レベルごとに前作の16×4部屋から8×8部屋に変更されている[17]、HPを低下させる代わりにカルマを下げる効果のある「ブラックポーション」にカルマを下げないものが混ざっている[18]など、仕様についても細かい変更がみられる。当時のゲーム雑誌では「カルマを下げるブラックポーションの見分け方」が定番として取り上げられていた。なお、カルマの下がるブラックポーションは白い表面ハイライトが5ドットで描かれているのに対し、カルマの下がらないものは4ドットで描かれている。
店によって品揃えや価格が異なり、転売でGoldを稼ぐ「行商」が可能になっている[19]。これによってアイテム数の制限が緩和され、リソース管理に関しては難易度が若干低下している。但し、上に乗るとアイテムや装備品の数量に応じてダメージを受ける「逆さつらら」の登場により、管理要素は更に多元化している。
ザナドゥ・シナリオIIの音楽は阿部隆人、古代祐三らが担当[9]。古代祐三のデビュー作でもある。BGMの評価は高いものの、オリジナルFM音源は今に至るまでごく一部の曲を除きCD化されていない。
シナリオIIを扱った攻略本は電波新聞社などに限られ、公式のデータブックVol.2はダンジョンのマップが掲載されていなかった。
各雑誌では88版を基に攻略記事が作られた。88版と他機種では、オープニングの曲やボスキャラの配置に違いがある。
ザナドゥ30周年記念版「ザナドゥ コンプリートコレクション」には、PC-8801mkII SR版が収録されている。
当時ファルコム社員であった都築和彦によって描かれ、全1巻の単行本が1987年に角川ドラゴンコミックスより刊行された(ISBN 4-04-926002-6)。書名は『ザナドゥ ドラゴンスレイヤー伝説 1』であり第1巻であることを示しているが、2巻以降は刊行されていない。1995年の『リバイバルザナドゥ』発売時に再版された。上述のMSX ROMカートリッジ版ザナドゥのパッケージイラストには本作の表紙イラストが使用されている。
都築によると当作品は勤務時間内に描いたものであるため、規定の給与以外の報酬は受け取っておらず、著者が印税・著作権等の一切を保持していないことが途絶の背景にあるという[25]。
近未来SF世界の兵士が突如ファンタジー世界に飛ばされ、記憶を失いながらも国を巡る邪悪な魔法使いとの戦いに巻き込まれる内容である。ゲーム本編との関連性は希薄だが、「ドラゴンスレイヤー」という剣、「ディグ・サンダー」などの魔法、「マリボー」などのモンスター、「アデプト」という称号などゲームに由来する要素が登場する。最終ページには「ドラゴンスレイヤー伝説は始まったばかり…」と記載され、打ち切りのような形で終結している。
漫画版を原作として1988年にOVA化された[26][27]。角川書店・毎日放送提携作品。東映動画制作、梅澤淳稔監督、50分[28]。
声の出演:
主題歌:
共に後に(初代)J.D.K.BANDの前身となるジャパニーズ・メタルバンド、エモーションによる曲。キングレコード販売、7インチ、レコード番号 K07S10241。
書籍
音楽作品
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