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植物 ウィキペディアから
ゴンズイ(権萃[3]、学名: Euscaphis japonica) は、ミツバウツギ科ミツバウツギ属[注 1]に属する落葉小高木。山地に生える。秋に実る果実が真っ赤でよく目立ち、熟すと裂けて中から黒い種子を出す。
和名「ゴンズイ」の由来には諸説あり、判然としない。植物学者の清水建美 (1997) は以下の4説を挙げている[4]。
「日本の植物学の父」ともよばれる牧野富太郎 (1961) は魚のゴンズイ説を採り、本種にかつてニワウルシ(やはり役に立たない木)と混同されたことを根拠としてあげている[5]。
日本では本州の関東地方(茨城県)から富山県より西、四国、九州、琉球列島に産する[3][8]。日本国外では朝鮮南部、台湾北部、及び中国中部に分布する[9]。山地に自生し[3]、二次林や林縁部に生える[10]。
落葉広葉樹の小高木[3][10]。高さは普通3 - 6メートル (m) だが[3][8]、時に10 mに達する[10]。樹皮は紫黒色や黒緑色を帯びた灰褐色で、細長い割れ目状の皮目が縦に走って割れ目が入る[3][11]。樹皮の白い縦の筋は次第に黒っぽくなる[8]。一年枝は緑褐色や紫褐色で太く、無毛で白い線形の皮目がある[8]。普通は頂芽ができず、1対の仮頂芽から有花枝、あるいは無花枝を伸ばして成長する[10]。さらに側芽から枝を伸ばすことは少ない。有花枝は2 - 3対の葉と、先端に花序を付け、無花枝は2 - 3対の葉のみを付ける[10]。
葉は対生し、奇数羽状複葉で全体の長さは10 - 30センチメートル (cm) [3]、幅は6 - 12 cm。葉柄は長さ3 - 10 cmあり、複葉の軸とともに無毛[10]。小葉の葉柄は、側小葉では長さ2 - 12ミリメートル (mm) 、頂小葉ではより長くて2 - 3 cm、短い毛がある[10]。時に頂小葉がない場合がある。小葉の葉身は狭卵形で、長さ4 - 9 cm[3]、幅2 - 5 cm、硬くて表面につやがあり、先端は尖り、基部は丸みを帯びるかやや広い楔形[10]。裏面の中脈や側脈の上に短い毛がある[10]。葉縁には細かい鋸歯がある[3]。秋に紅葉するが、日当たりのよい木では、しばしば葉全体が濃い紫色になる[12]。これは、葉緑素の色素がなかなか抜けず、アントシアニンの赤い色素と重なって紫色に見える現象で、やがて緑色が抜ければ赤色や橙色になる[12]。
花期は5 - 6月[3]。枝先から出る円錐花序は長さ15 - 20 cmで、よく分枝して多数の花をつける[3]。花は淡黄緑色で、径4 - 5 mm[3]。花柄は長さ1 - 2 mm、萼裂片と花弁はいずれも楕円形で長さ約2 mm[10]。雄蕊、雌蕊は花弁とほぼ同長、子房は2室ないし3室からなり、同数の柱頭と花柱が互いに接着する[11]。
果期は9 - 10月[3]。果実は袋果で半月形[9]、1つの花から1 - 3個生じ、長さ1 - 1.3 cmになる[10]。これは子房の心皮がその数だけに裂け、反り返ったものである[11]。果実の各部分は肉質で熟すると赤くなり[3]、鎌形に曲がって反転し、太い条がある。それが裂けると中から1 - 3個の種子が顔を出す[9]。裂けて見える子房の内側も鮮紅色で美しい[11]。種子はほぼ球形で径約5 mm、黒色で強い光沢がある[3]。また、種子は当初、赤い仮種皮に包まれている[13]。葉や実には臭気がある[9]。
冬芽は鱗芽で、芽鱗は暗紅紫色で2 - 4枚つく[8]。枝先に仮頂芽が2個、または1個つき、側芽は枝に対生する[8]。葉痕は半円形で、維管束痕が7 - 9個輪状に並ぶ[8]。
本種は1種のみでゴンズイ属を成す。その所属するミツバウツギ科には伝統的には5属が含まれ、そのうち日本に産する3種のうち残り2種、ミツバウツギとショウベンノキは、はそれぞれミツバウツギ属 Staphylea とショウベンノキ属 Turpina に含まれ、この3属をまとめてミツバウツギ亜科とする。AGPIIIではこの亜科をもってミツバウツギ科としている。そのうちショウベンノキ属は果実が肉質で裂開しない。ミツバウツギ属はやはり袋果を付け、裂開するが基部で互いに癒合して上部のみが開き、本属のように全部が裂けることはない。また本属では種子には仮種皮があるが、ミツバウツギ属ではそれがない[14]。
種内変異としては以下のものがある[10]。
また、果実が赤くならず白くなるものがまれにあり、これはシロゴンズイ f. eburnea とよばれる。
材は黄白色で、軽く柔らかいが割れにくい。材としての利用価値はない。キクラゲ栽培の原木には使える[15]。沖縄で枝をお祭りの際に使用したと言う[6][注 2]。
庭園樹などとして栽培されることがある。若芽は食用になり、茹でてお浸しなどにされる[9]。中国では果実や種子を腹痛や下痢止めとして用いる[4]。
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